U.C.0083 12月 ジオン公国軍残党狩りを目的に設立されたティターンズは次第にスペースノイドへの 弾圧の傾向を強めます。 それに伴い反地球連邦政府組織エゥーゴも活動を強めていきます。 そしてそれは一年戦争以後、最大規模と言われるグリプス戦役へと発展。 戦場は地球圏へと拡大していきます。 次回 プロジェクトX 〜技術士官達〜           「制空権を奪回せよ!」〜Zガンダムに魅せられた男達〜                               ZPlus開発秘話 9:15 エーーックス           「制空権を奪回せよ!」〜Zガンダムに魅せられた男達〜                               ZPlus開発秘話 U.C.0087 地球上におけるエゥーゴ屈指の支援組織カラバはティターンズから制空権を 取り戻すべく戦闘を繰り返していたが決め手に欠けていた。 エースパイロット揃いのティターンズは手強かった。 さらに単独飛行可能の可変型MS(トランスフォーマブルモビルスーツ=TMS)は 戦略的、戦術的にカラバにとって大きな障害となっていた。 ”こちらも可変型MSで対抗するしかない” カラバ上層部がこの結論に達するのにさほど時間は必要なかった。 エゥーゴの可変型試作モビルスーツ MSZ−006 TZガンダムU その高い汎用性、他を凌駕する格闘性、そして標準兵装のまま単独飛行での 大気圏再突入能力、大気圏突入中の戦闘能力の確保、まさにエゥーゴの フラグシップMSに相応しい画期的な高性能TMSであったが 量産は早期に見送られていた。 Zガンダムは製造コストが高すぎた。 ムーバブル・フレームの採用により基礎構造のコピーが容易であるにも関わらす、 要求スペック通りに建造した場合非常にコストが高く、また乗りこなすことも 容易ではなかった。 だがティターンズが掌握している各拠点空域の奪回と拠点攻略を同時に行う為には 他に手段がなかった。 主題歌 〜地上の星〜 中島みゆき 風の中の昴 砂の中の銀河  “歴史に名を残す傑作” みんなどこへ行った 見守られることもなく  “フラグシップ機の量産” 草原のヴィーナス 街角のペガサス  “大気圏内専用機” みんなどこへ行った 振り向かれることもなく  “コストダウンの壁” 地上にある星を 誰も覚えていない  “整備性の確保”“武装強化” 人は空ばかり見てる  “単独飛行距離 数百Km” 燕よ 高い空から  “WR形態への変形不可能” 教えてよ 地上の星を  “シールドの意義”“索敵能力” 燕よ 地上の星は  “サブユニット” 今どこにいるのだろう  “Zガンダムを超えろ” (国井)スタジオにはRX−78−2TガンダムUとRX−178TガンダムMk−U   の1/100の模型を用意してあります。 (久保)両機とも装甲が外されていますがRX−178は随分スマートですね。 (国井)これがムーバブル・フレームです。言うならばMSの骨格にあたるもので、   極端に言えばこのフレームのみで稼動できるほどのものです。 (久保)これを骨格とするのであれば武装や燃料は筋肉、装甲は皮膚に当たる   なるわけですね。 (国井)そうです。人の構造を模して、人に近い動きを可能にしています。   このフレームを使用したMSを第2世代MS、そしてこのフレームによって   飛躍的に発展した可変型MSを第3世代MSと分類しています。   そしてこの世代もっとも優秀な機体のうちの1つがTZガンダムUです。   すべてはこの機体の完成によって始まっていきます。それではご覧ください。 Zガンダムの完成を心から祝福できない男がいた。 アナハイム・エレクトロニクス キャリホルニア工場 開発主任 S 次世代の高性能MS開発計画『Z(ゼータ)プロジェクト』 彼はこのプロジェクトに関わることが出来なかった。 これは彼に能力がなかった訳ではなく、上司との折り合いが悪かった。 Sの奇抜な発想・意見に開発部長のTは理解を示さなかった。 (S)どうして分からんのです!いつまでも同じことをやっていくわけにもいかんでしょう! (T)黙らんか!こんな物を採用するわけにはいかん!だいたいお前は上司に対して…… (S)…(また始まった。この調子だと、黙っていれば1時間くらいかな…)  中略 (50分後) (T)はぁ、はぁ、とにかくっ!!こんな物は不採用だ。さがれ! (S)……わかりました。 こんな不毛なやりとりが毎日のように続いた。 Sの部下だったM。当時21歳。Sより柔軟な思考のできる男だった。 (S)おい、M。今晩も付き合ってくれ (M)また部長と衝突したんですか? (S)衝突? 衝突もさせてもらえん!ろくに見もしないで一方的にボツだぜ。   これが飲まずにいられるかっての! (M)それはいいんですけど、今日は割り勘でお願いしますね。 (S)そんな心配すんなよ。 (M)先輩がもう少し経済面の心配をして頂ければしなくて済みます。 こんな会話も毎日続いた。 そんなある日、事態は思わぬ方向へと転じていった。 開発部長Tの突然の異動 後任には月のアナハイムからHという男が来た。Tと同世代の頑固そうな男だった。 (久保)スタジオにはSさんの後輩のMさんにお越し頂きました。 (M)よろしくお願いします。 (国井)T部長とS主任はどんな感じでした? (M)二人とも一度言い出したら聞かない人でした。   Tさんは粘着性の保守派、Sさんは速乾性の革新派でしたので顔をあわせた瞬間から   もう臨戦態勢といった感じでした。 (国井)水と油といった所ですか… (M)いえ、むしろハブとマングースといった感じでした。 (久保)毎日飲みに行っておられたのですか? (M)そうですね。ほぼ毎日飲みに行ってはMSについて語ってました。   SさんはTZガンダムUについて”あれは歴史に名を残す傑作だ。そんな機体の開発に   参加できずに指をくわえて宇宙を見上げること事しか出来なかったのは悔しいな”と   よく遠い目をして夜空を見上げながらぼやいました。 (国井)Tさんが突然異動と言われた時はどうでした? (M)異動が本当だとわかったときは工場の皆が抱き合って喜んでました。彼はワンマンな   人で部下に対してとても冷淡でしたから… (久保)さて、後任のH新部長はどのような人だったのでしょうか。   続きをご覧ください。 Hの着任早々、SはH部長に呼ばれた。 部屋に入ったSに対し、Hは1通の指令書を手渡した。 カラバからのTMS開発計画。 その要望を見た瞬間Sの身は震えた。 【Zガンダムタイプの大気圏内専用機  MSK−006TZプラスUの開発。  但し、Zガンダム以上の飛行性能とコストパフォーマンスを獲得すること。】 武者震いだった。 (H)できるか? (S)できます!いや、やらせてください! (H)…任せる。 (S)?…ひとつ、よろしいですか。 (H)なんだ? (S)着任早々まだよく知らない私に何故そんな簡単にこれほどのプロジェクトを   任せられるのですか? (H)……君は前任のTと折り合いが悪かったと聞いている。 (S)はぁ… (H)私はあの男のことは昔からよく知っている。Tがどんな人間と折り合いが悪いのかをな。   だから、これを君に任せる。 そう言って少し微笑んだHの瞳に自分に対する期待の大きさが見えたような気がした。 Sは早速開発チームを結成。作業に取り掛かった。 基礎構造の一部見直し、装甲材の選定。だがコストはそう簡単には削れなかった。 Zガンダムの高コストの要因はその最大の特徴でもある大気圏再突入能力。 WR形態時に展開する内部構造をシールドなどによって完全にいんぺいする為に、 形状と変形時のすり合わせが非常にシビアだったが今回の機体はその制限がなかった。 飛行可能な空力特性さえ獲得できれば多少露出しても問題はなかった。 そのため、可変機構の単純化、アクチュレーター等に規格品の導入するなど生産性の ある部材の多用により信頼性・整備性のアップとコストの削減を図れた。 また、Zガンダムと違い量産型のこの機体はデータ収集の目的はなかったので頭部は 実戦運用のレベルが達成できればよかった。 ”このパーツのコストも抑えることが出来る” 提出された図面は量産型MSTネモUの頭部パーツが使われていた。 これに対してSが激怒した。 (S)俺達が作るのはZタイプだ!!頭部の意匠と変形機構の変更は一切不可だ!! スタッフ皆、呆れ返った。 コストダウンを図る上で一番最初に挙げられるものが意匠、つまりデザインである。 しかし、熱く語るSのTZガンダムUに対する熱意に心打たれた。 メインカメラやセンサー類など一部はZガンダムの構造を踏襲した。 その為、一般的な量産機としては高価な部類に入ってしまった。 さらなるコストダウンの為、メインジェネレーターを空冷式の熱核ジェットに変装した。 整備性改善も同時にできた。 さらにWR時の武装強化を目的とし、牽制にしか使えなかったサイドアーマー内の ビームガン(MS時のビームサーベル)をビームカノンに変装、メインジェネレーターから サプライケーブルを直結し高出力での連射を可能にした。 ビームカノンに収納したビームサーベルへのエネルギー充填も大容量、高効率化できた。 しかし、問題もあった。 Zガンダムは大気圏突入後は翼面積の不足の為、プロペラントの燃焼を含む強力な 推進力によって飛翔する必要があった。これでは超長距離の運用は出来ない。 Sもこのことは気づいていたが航空機のノウハウが無かった。 だが、MがSにWR時の飛行能力の改善案を持ってきた。 (M)先輩、僕にやらせてもらえませんか。 Mの静かな声には自信が感じられた。 Mの図面を見たSはMに尋ねた。 (S)お前さんが描いたのか? (M)ええ、そうです。学生の頃グライダーに興味がありまして。   そのときに航空力学を少し… その図面は少しかじった程度では描けないほど完成度の高いものに見えた。 (S)…よし、任せた。しかしこれほどの物を少しかじった程度で描ける天才か、   単なるひねくれ者かはそのうち追求させてもらうぞ。 (M)謙遜して言っただけです。どちらがひねくれ者かは確認するまでもありませんよ。 Zプラスにはマッハ1前後の飛行能力が要求されていた為、シールドの形状に 流線型を取り入れ空力特性を引き上げた。 さらにフライングアーマーの形状を改善、WR時には航空機並みに効率的な飛行に 充分な翼面積の獲得、さらにMS時にデットウェイトにならぬよう百式のウイング バインダーを参考に高性能AMBACシステムとして稼動するよう配置した。 この事により単独飛行距離 数百Kmと言う脅威の飛行性能の獲得し、MS形態時の 姿勢制御も飛躍的に改善した。 プロジェクトは順調に進んでいた。 だが、カラバからの通知が事態を一変させた。 (S)!!納期の短縮? (H)ああ、1ヶ月短縮してくれ。 (S)…やるしかないんですね。 (H)頼む。 Hの顔に疲弊の色が見えた。 おそらくカラバからはもっと過酷な条件が出ていたのであろう。 (S)わかりました。やってみせます! この人の期待は裏切れない。 Sはその日からさらに鬼気迫る勢いで仕事をこなしていった。 その姿を見て他のスタッフの士気も上がった。 各部位は驚異的なスピードでまとまっていったが 最後まで意見が対立していたものがあった。 レドーム、シーカー等の索敵装置の配置位置 それを聞きつけたHがミーティングに参加してきた。 (M)索敵能力を向上させるにはシールド部分に集中することがベストです。 大半のスタッフは難色を示した。 ”シールドとしての本来の意義と矛盾する。他の部位に設置するのがいい” ずっと黙っていたHが同じく黙っていたSに意見を求めた。 (H)君はどう思う。 (S)確かにシールドの意味を考えた場合センサーをつける余地は無い。   だが、敵の位置をより早く察知してこその索敵装置です。効率の良い場所に   設置した方が良いと思います。さらにZプラスはシールドを機首、ウイング   バインダーを主翼としているのでこれらに損傷を受けた場合、空力特性が   極端に悪くなりWR形態への変形自体が不可能になる。   このMSに関してシールドは本格的なサブユニットとして考えたほうが   いいと思います。   なればこそWR形態時に必要な索敵装置は機首部分に当たるシールドに   集中させても良いのではありませんか?   シールドが破損してもMS形態へ変形を行えば推力のベクトルが変更され、   ほとんどの危機に対処できることがシミュレーションによって判明しています。   致命的な欠陥にはならん筈です。 (H)・・・一理あるが、な。 Sの脳裏に前任者のTの罵声が響いた。 ――――こんな物を採用するわけにはいかん! だがSの聴覚は違う言葉を捉えた。 (H)君が最も有効だと思う方法が正しい道と信じて進みたまえ。失敗は後の成功で   取り戻せばいいのだから。 Sは胸が熱くなった。この人が上司でよかったと心から思った。 Mの発案通りにシールド先端部に索敵装置が内装され索敵能力が向上した。 この結果シールドは唯一Zガンダムより高価なユニットとなっている。 U.C.0087 11月 期日内にZプラスはロールアウトした。 トータルコストは確実に改善され、カラバからの要求の1つであった飛行性能は 他を圧倒的に凌駕していた。 (国井)いや〜、実に対照的な上司ですね。 (M)Hさんは口数が少ないのですがいつも僕たちのことを考えてくていました。   後から判ったのですが当初カラバからの要求は3ヶ月短縮と生産コストの20%   カットだったそうです。 (久保)それを1ヶ月短縮だけに交渉したんですか? (M)そうです。僕らより大変だったと思います。 (国井)センサーの位置は他にどのような候補があったのですか? (M)テールスタビライザーやコクピットハッチという意見もありましたがライフル   の先端が主流でした。しかし武装オプションは戦況に応じて変更される可能性が   あったのでコストの削減という点にひっかかってしまうんです。 (久保)頭部に随分こだわりがあったようですね。 (M)はい。最初の図面が提出された時の事ですが、Sさんがものすごい形相で   ”コストは他で落とせばいい!ここだけは変えるな”と…   最終段階まで頭部はセンサーのスペース確保をしていたのですが、それを残すか   どうするかのミーティングも激しかったですよ。結局時間がなかったのでこの機体   についてはそのままのデザインでバルカンの弾倉として使用する事になりました。 (久保)ついに完成したZプラスがその後の戦略をどのように変えていったのでしょうか。   それでは、エンディングです。 カラバはZプラスのみで構成された特殊部隊18TFASをガルダ級アウドムラに配備、 遊撃部隊として運用し暫時、各地に展開して戦果を挙げた。生産コストは他の量産機に 比べて高価な機体だったがその配備数に見合わない実績をカラバにもたらした。 そのTMSとしての完成度の高さが注目され、多種の派生機のを生んだ。 額部分にメガ・カノンを内蔵させたA2型、大気圏外仕様に再設計し 大気圏再突入能力と空間戦闘能力を持つC1型などが開発された。 制式番号もMSZ−006とし末尾にそれぞれの形式を追加して表記され、 Z系の最大バリエーション機群であると認識されるようになった。 そしてZ系パイロットは要求される高度な操縦技術と残した高い戦果からTZ乗りU とも呼ばれエースパイロットの代名詞となっていった。 (S)『Zプロジェクト』に参加していたら俺達はこの機体の開発に参加出来なかったかも   知れないって思うと人生というのは不思議なものだな。 Sは今、Zプラスの更なる可能性を追い求め、D型の開発に携わっている。 テールラ〜イト♪ヘッドラ〜イト♪ た〜びは〜、おわら〜ない〜♪ 次回 プロジェクトX 〜技術士官達〜           「制空権を奪回せよ!」〜Zガンダムに魅せられた男達〜                               ZPlus開発秘話   終