サイド3 1年戦争記念館 そこに、1機のMSがひっそりと展示されていた。 1年戦争中1度も実戦を経験していないMS、その機体の名は・・・ プロジェクトX 〜技術士官達〜 「ゲルググを越えろ!ガルバルディ開発史」 ジオン軍重要宇宙拠点ソロモン そこに運ばれてきたMSがあった そのMSの名は「ゲルググ」 もう少し開発が早ければ、戦況を揺るがしていたとまで言われたMSだった それを見上げる一人の技術将校がいた 彼の名はG、ジオン軍に入隊して20年にもなるベテラン将校だった Gはゲルググを見ながら呟いた 「すばらしい・・・」 Gはすぐさまドズル中将のところへ行った 翌日、Gは補給艦パブワに乗り、いそぎサイド3へ向った その手には「転属願い」と、書かれてあった 何かが、動き始めた・・・ Gが欲しかったもの、それはゲルググの開発データだった そしてそのデータを見て、Gはにやついた しばらくして、Gはギレン総帥のもとに行き、言った 「総帥、開発費用の援助をお願いします。私ならあのゲルググを凌駕する機体が作れます。」 熱く語るGを尻目に、ギレンは言った 「だめだ、現在の我が軍は新型機の開発に宛てる予算など殆ど無いのだよ」 うろたえるGを見て、ギレンは続けた 「近々連邦はソロモンへ侵攻してくるだろう。当然我が軍も迎え撃たねばならん。しかし、 それには莫大な予算がかかる。今は貴様の提案よりもそちらの方へ予算を割らねばならんのだ」 Gは絶句したまま、家路に着いた 次の日、Gは肩を落としながらも出勤した 「なんとしてもギレン総帥を納得させなければ」と、しきりにぼやいていた Gは悩みに悩んだ だが、いくら考えても、何も浮かばなかった それでもGは諦めなかった 「これは俺の為にやってることじゃない、ジオンのためにやってることだ」 なんども、なんども、部下に言った そうした日がしばらく続き、Gは完全に疲れきっていた 疲労が溜まりに溜まって、ついにGは倒れた Gが目覚めたとき、部下はGを説得した しかし、いくら言ってもGの決心は変わらなかった 結局、部下も諦めて帰ってしまった 孤独に支配された病室で、Gはテレビをつけた そこに映っていたのは、ソロモン陥落のニュースだった Gは言葉が出なかった ジオンの最重要拠点の一つであるソロモンが陥落した事は、ジオンの士気を大きく下げた しかし、Gだけは違った そのニュースをまさに天啓とばかりに足早に病院を後にした 『もはや一刻の猶予も無い、今こそゲルググを超える機体を作るときだ』 Gは、ギレン総帥のもとへ行った 汗を拭いながら、Gはギレンを説得しつづけた ついに、ギレンは折れた 翌日、Gをリーダーとした開発チームが結成された みんなの前でGは言った 「これだけ有能な貴君らが集まってくれたことに真に感謝する。現在、ジオンは完全なる劣勢を強いられ もはや最後の拠点ア・バオア・クーが我々の命綱だ。私のもとに集った貴君ら有能な技術士官達は、私と 共にかのゲルググを超える期待の開発の為に集められた。我々の手によって新たな機体を開発し、この劣 勢を跳ね返そうじゃないか」 Gは泣きながら言った この日から、Gとそのチームの戦いは始まった 開発時間はほとんど無かった Gはチームのみんなに言った 「1週間だけ、1週間だけ私に命を預けてくれ」 みな、頷いた 急ピッチで、開発が行なわれた Gとチームの熱意に押され、故障したゲルググが提供された Gは言った「それで十分だ」 Gにとって内部機構などは実物大を見なくとも設計図を見ただけで想像できた 開発が始まる前に、会議を開いた どこをそのままにするか、どこを新調するのか 7時間に及ぶ議論の結果、最終的な開発部は、本体と武器だった Gはチームをαチームとβチームに分けた αチームは本体を、βチームは武器の方を、そしてG一人で両方の統括を行なった 最初に行動を始めたのはαチームの方だった βチームの方は、Gの最も信頼できる部下のFに一時委任させた 先に開発しなければならなかったのは、本体の方だった Gはゲルググの設計図と資料データを見せた まず1番改良しなければならなかった点、それはラジエーターだった Gはゲルググの高性能ゆえの冷却機関の負担を考えていた 「ラジエーターさえ最高の物を用意していればどんな高性能ジェネレーターも取りつけれる」 Gには自信があった これまでのジオン軍の中で最も性能のイイ!ジェネレーターを取りつけた機体を探した その中で、1番高性能のジェネレーターをつけた機体は、ジオング・ケンプファーだった Gが目をつけたもの、それはジオングだった ジオンの技術の粋を結して作られた機体に、Gは興味を抱いていた だが、ジオングほどの機体のジェネレーターを手に入れるのは到底出来なかった そこで、今度はケンプファーに目を置いた 強襲用のとして名高いMSだった αチームを集めてGは言った 「このケンプファーのジェネレーターを使って、ケンプファー以上の活動時間を得る事の出来るラジエーターを開発しなければならない」 みな、首をひねった ア・バオア・クー攻略戦まで、残り6日の事だった Gはケンプファー開発者のHに会いに行った ケンプファーのジェネレーター構造とデータを教えて欲しいそう言った しかし、Hは言った 「いくらゲルググの改良機と言ってもケンプファーのジェネレーターをつけることは無理だ」と そのほかのデータを見て、Gは諦めた ケンプファーのジェネレーターではあまりにも機体への負担が大きかった 『もう時間が無い』Gは焦った 何時間も資料をあさっていた ふと、ある物に気づいた 最重要:ゲルググ高機動型開発及びその実験データ それを見たGは目を見開いた 「なぜこんなところに極秘資料が・・・」 それ以上は考えなかった 軍規違反を省みず、Gは急いでそれを持ちかえった 夜10時を過ぎても帰ってこないGに、αチーム面々は不安を覚えていた しばらくして、Gが帰って来た その顔に、数時間前の落胆は無かった 息を切らしながらGは言った 「やったぞ!ジェネレーターの図が完成したぞ!」 あまりに突然のことに、皆は何も理解できなかった Gは続けて言った 「今から説明をする、みんな会議室に集まれ」 αチームは、沸きかえった ア・バオア・クー防衛戦まで、残り5日の事だった 会議後のαチームの働きは早かった 1日で機構の半分を完成させていた 大まかな開発は任せて、Gはラジエーターの設計図を考えていた ジェネレーターこそ高機動ゲルググのものを改良しただけで済んだがラジエーターはそうはいかなかった そのまま高機動ゲルググのラジエーターを流用すれば、ゲルググを超えられなかった 考えれば考えるほど、何も出てこなかった 「やはりビームライフルのデータが無ければ辛いな」そうぼやいた 少しの空き時間で、GはFのもとへ向った 肝心のビームライフルの改良状況を知るためだった βチーム会議室にたどり着いた時、Gは目を疑った そこには沈黙に支配されたβチームがいた βチームも、行き詰まっていた Fは言った 「どうしてもゲルググを超えるビームライフルは作れない」 その目には怒りの色がこもっていた Gは何も言うことが出来なかった ア・バオア・クー防衛戦まで、残り4日の事だった Fはうなだれていた 誰も改良案が出なかった 会議室で沈黙している所にGが来た それが一層Fにプレッシャーを与えた 時間だけが、無駄に過ぎていった 焦燥感に駆られ、Fはジオン軍のビーム兵器の資料を見ていた ふと、ゲルググのビームライフルに、目が行った 映像を凝視していたFに、何かが閃いた 急いでβチームを召集して、Fは言った 「我々にはもう時間が無い。今残された道はただ一つ、ゲルググのライフルを新調する事だ」 皆、目を見開いた その案は、1番始めに破棄されたアイディアだった Fにとってそれは大きな賭けだった チームの皆も、それは承知のことだった 無言で作業に取り掛かった 皆が、その賭けに乗った βチームの意見は2つに分かれた スナイパーライフルのように収束率を強化するのか、それとも連射性能を上げるのか Fは時間とコストの面でスナイパーライフル型の高収束率、高命中率を重視するようにした 設計時間の余裕は無く、ほとんど手探りの作業だった 時間の無さとプライドが、彼らを変えた 大まかな構図も出来ないうちに、全体のコストと改善策を打ち立てた あまりにも、早かった 残りは組み立てと、実験だけだった βチームの勢いは止まらなかった 度重なる睡魔と疲労に耐えながら、βチームは死力を尽くした ビームライフルのデータ無しでどうやってラジエーターを作るか、Gは考えていた 刻一刻と迫っていることは皆わかっていた ジェネレーターの方は、ほとんど出来あがっていた 誰も何も言えない状態で、一人のメンバーが口を開いた 「ギャンの、ギャンのラジエーターを改良すれば良いんじゃないですか?」 皆、顔を上げた 「そうだ、その手があった」Gは言った 皆、喜びの表情と共に、希望に溢れた顔をした すぐさまギャンの構造資料を手に入れ、議論に入った そして、ギャン特有の大出力ビームソードの熱量転嫁を半分に押さえ、余った分をビームライフルの許容量にする事になった 疲労をもろともせず、戦いつづけた ア・バオア・クー防衛線まで、残り3日を過ぎた頃だった ついにビームライフルの試作1号が出来あがった スナイパーライフル並の収束率と高命中率は実現した しかし、リロードが極端に長かった 改善する余裕が無いと見たFはそこでビームライフル開発を打ち切った 続けて格闘戦武器開発をしなければならなかった βチームのほとんどの者が、ゲルググのビームナギナタでイイと言った Fは、認めなかった αチームの開発した機関の総出力を知らない分、Fは慎重だった 下手に負担をかけるものより、もっと有効的かつ実践的なものを探した ふと、Fの脳裏にあるMSが浮かんだ 連邦の汎用MS「ジム」だった ジムの格闘戦武器はビームサーベルだった あれなら負担を最小限に抑える事が出来る Fは確信した 会議室で、全員に向けてFは言った 「ビームサーベルだ、あれさえ出来れば最小限に負荷を抑えられる」 皆、驚いた Fにビームサーベルのノウハウは無かった ジオン軍で唯一ビームサーベルを使っているMSはケンプファーだった Fは開発者のHと通信による接触を図った Hのレクチャーを受けて、F達は動き始めた 「1日で造る」そうFは言った 皆、頷いた 開発は急ピッチで行なわれた Hからもらったデータを基に、ケンプファーより低負担、且つ汎用性に優れるものを作り上げた テストをする余裕は無かった Fは試作武器のデータを持ってαチームのもとへ行った Gは待ちかねていた ア・バオア・クー防衛線まで残り1日の事だった F達がビームライフルの開発に手を焼いていた時、Gは決断を迫られていた 武器のデータを無視してラジエーターを作るべきか 時間が無いのはわかっていた、しかし、誰もその一言が出なかった 重苦しい空気の中で、Gは言った 「やろう。我々にできる事は、F達を信じてラジエーターを作る事だ」 不安に駆られながら、αチームはラジエーター開発を始めた Gはゲルググの資料を見たときから暖めていたラジエーターの設計図を皆に見せた 「これを2日で作る」 チームは動じなかった 皆、自身があった 睡眠時間が4時間を切る状態だった それでも、誰も疲れの色を見せなかった GはF達の作った武器とG達の作った機関のデータを照合した 結果は、適合した 「やった!」 自然と声が出た 残された作業は、組みたてだけだった フラフラになりながらも、皆、尽力した 全員が、一つになった 開発は、ほとんど終了間際だった エンジンと、ビームライフルの互換性は良好だった 開発の成功は、目前にあった そして、それはついに完成した ゲルググにも似た、それでいてゲルググよりも堂々としたものだった 疲れて座りこんだGと共に、皆も座りこんだ 「出来た・・・」 そう言い終わった瞬間青い光がサイド3全体を覆った ジオンは、負けた ギレン総帥は死に、ジオンは共和国として成り立つ事になった G達開発チームも、解散になった 解散を通告されたGは、皆に言った 「今までありがとう、さぁ、家に帰って存分に寝てくれ」 格納庫を出る少しの間、Gは出来あがったMSの前に立ってこう言った 「さらば。ゲルググを超えた我が分身、G(ガルバルディ)よ」と あれから十数年、サイド3の1年戦争記念館には、今もその機体は展示されている