では、前々から予告していた「ドゴスギア」編を。けど、予告の時に書いてました が、前にあった「バーミンガム」のキャラを使おうと思うのですが、いかんせん、 キャラの名前を忘れたので、肩書きが同じだったら同じキャラだと思ってください。 宇宙世紀0087.一隻の巨大宇宙戦闘艦が漆黒の大海原に乗り出した。その名は 「ドゴスギア」。地球連邦軍ティターンズの旗艦となるべくして建造されたこの間 の建造の裏には開発者達と郡部の隠された確執が存在した。 コロニー落としの恐怖 戦闘空母か、大艦巨砲か 今までにない目標 軍の裏切り 技術者としての抵抗 「全ては地峡を守るため・・・  〜ティターンズ旗艦・ドゴスギアの建造の光と影〜」 宇宙世紀0083、12月4日。地球圏全体である演説が放送された。「 ティターンズ演説」。後にこう呼ばれるバスク・オムによるこの演説に聞き 惚れる一人の男がいた。名をL。一年戦争時、後期ペガサス型の開発に関わ った男だった。彼はこの演説の「地球。この我々の宝を守るためにもティタ ーンズはたつのだ!」というフレーズを聴いて、深い共感を覚えた。彼は地 球に勤務していた頃、実際にコロニー落としの現場に行ったことがあった。 そこはまさに地獄だった。その地獄のようなことを起こさないようにする組 織「ティターンズ」。彼はそう信じてすぐにティターンズの技術部門に志願 した。 ちょうどその頃、ティターンズの上層部による会議において、ティターンズ の旗艦の建造が決定されていた。 Lは突然ティターンズの上層部から呼ばれた。呼ばれた部屋に行くとそこに は前地球連邦宇宙艦隊旗艦「バーミンガム」の建造責任者、Mの姿があった。 彼ら二人を前にティターンズの幹部はこう話した。 「君らに我ら、ティターンズの象徴となるような巨大な戦闘艦を作って欲し  い。」 予算などに上限はなく、艦のコンセプトも自分たちで決めてよいという話 だった。二人は二つ返事で答えを出した。 「このプロジェクトはジャミトフ・ハイマン総帥自らの命令であり、特別  機密プロジェクトだ。くれぐれもきをつけてくれたまえ。」 そう、幹部は言い残すとその部屋を後にした。部屋に残された二人は早速 チームの人選に着手した。 選抜したチームの面々と発の会議が行われた。議題は建造コンセプトについ てだった。まずチームの責任者になったLが戦闘空母にする案を提出した。 MSを大量に積載でき、かつ艦戦能力も有するペガサス型の発展形ともいえ るものだった。しかし、副責任者となったMは大艦巨砲の完全な宇宙戦艦に する案を提出してきた。彼は「バーミンガム」のことを諦めきれずにいた。 この二つの意見により会議はいきなり暗礁に乗り上げた。 長い沈黙の後一人の男が意見を述べた。H。「バーミンガム」の主砲開発を 任されていた男だった。 「大艦巨砲より、戦闘空母のほうが理にかなっています。」 皆が驚いた。誰よりも大艦巨砲主義だと思われていた男が言ったからである。 その言葉に愕然としたMはもはや諦めるしかなかった。しかし、艦のシルエ ットは「バーミンガム」に近いものにすることが決定された。 さらに会議を重ねるうちにHからとんでもない提案がなされた。「この艦単 艦で、一MS小隊と戦って勝てる艦に作る」という提案だった。どう考えて も無理だ。外の者は口をそろえて言った。しかし、その中でただ一人賛成す る者がいた。Mである。自分のコンセプト案が却下されてから一言もしゃべ らなかった彼が賛成した。Mは言った。 「バーミンガムのノウハウをいかせばHの言ったことは実現できる。」 皆が半信半疑だった。そんな彼らにMは説明した。独立したエネルギー源を 持つ砲を多数艦の詳報に付ければMSは近寄ることも出来ない。皆がその説 明を聞き色めき立った。なにより感心したのはLだった。「これなら行け る!」皆が確信した。 国井「今日はスタジオにドゴスギア建造の際に砲門部門の責任者をされてい    たHさんにお越しになっていただきました。」 久保「それにしても戦艦だけでMSと戦うなんてよく考えましたね。」 H「バーミンガムを作ってる際に既に『これなら戦艦だけでもMSと互角以   上に戦えるように出来るんじゃ』と思ってましたからね。それで提案し   てみたんです。」 国井「しかし、よく大艦巨砲主義を捨てられましたね。」 H「まあ、結構こだわりはありましたけど、実際MSの搭載能力の無い艦に   は限界があると感じてましたから。ただやはりMさんの事を考えると悪   いことをした気にはなりますけどね。」 久保「なるほど。」 国井「さて、おおよその図面を引き終わり、建造を始めようとするチームに    思わぬ事態が起こります。では、続きをどうぞ。」 Hの理論どうり、バーミンガム建造当時より格段に上がった技術力により、各砲座 に配備されるエネルギー源はコンパクトになり、その間にMSカタパルトや格納庫 を配備することにより、今まで戦艦のネックとなっていた誘爆が起こりにくくなっ た。それはまさしく、最強の戦闘空母と呼ぶにふさわしい艦の設計図が完成された。 そんなメンバー達が建造に入ろうとしたとき、一人の軍人が彼らの元にやってきた。 男はP中尉と名乗った。彼は機密事項であるこの艦の建造の情報漏洩を防ぐために 赴任してきたと説明した。そんな彼に対し、建造チームの面々は反発した。 「軍部は我々を信用していないのか?!」 皆が声をそろえて言った。そんな彼らにPは動じづ 「自分は軍部の命令に従うだけです。あなた方の意見は聞いていません。」 そう、言い放った。彼が、チームの監視について以来、皆の志気は沈み込んでしま った。 Pが赴任して一ヶ月後、ある事件が起きる。突然、ティターンズの少佐がド ゴスギア建造の視察にやってきたのだ。その視察は正規の手続きをふんだモ ノではなかった。突然の来訪者に自分たちの艦は見せられない。例えそれが 軍の上層部であっても。メンバー達はそう考えたが、彼らにはどうすること も出来なかった。 そんな時、今まで、自分たちの監視しかしていないと思っていたP中尉がや ってきた。彼はその視察を求める少佐に言った。 「正式な許可の出ていない方にこの機密事項を見せるわけにはいきません。」 メンバーは耳を疑った。軍人にとって、自分よりも階級の上の者に対して逆 らう事はなによりも出来ないことのはずである。しかしこの男は自分たちの ためにそれをしている。皆のPを見る目が変わった。 結局、その少佐はPの迫力に負け、そのまま退散した。LはPに礼をいった。 Pは「職務だからです」とだけ答えたがその言葉に続けて 「この間は地球を守るための艦です。それ完成させるのが自分の職務です。  あなた方、技術者の意思をくみ取らなければいいモノが出来るわけがあり  ません。」 その後、LらはPがコロニー落としによって故郷を失った人物であることを 彼の口から聞いた。彼らはPという信頼の置ける人物に守ってもらいながら、 ドゴスギアの建造を進めていった。 国井「あなたの提出した案のおかげで、今までにない艦になったわけですね?」 H「そうですね。バーミンガムが沈んで以来、また新たなる艦を作ることばかり考   えていましたから」 久保「さてここでもう一方、お客様をお呼びしています。建造チームの責任者でい    らっしゃったLさんです。」 国井「この艦を作っているときにP中尉が監督に来るわけですが、最初どう思われ    ました?」 L「そりゃいい気はしませんでしたよ。軍人なんかに俺達の仕事が分かるかって。   しかし、Pは違いましたね。我々の仕事に理解を示し、ただ見ているだけでし   たが、決して我々の邪魔はしませんでしたから。」 久保「Hさんはどのように思いましたか?」 H「最初は軍人特有の威圧するだけの人物かと思いましたけど、そうではなかった   ですね。職務には忠実でしたが、それは彼なりの理想があったからでしょう。」 国井「さて、全員一丸となって建造は進んでいきます。しかし、完成直前になって、    Lさんらは建造以外のことである衝撃的なことに直面します。では続きをどう    ぞ。」 建造は思いの外順調に進んでいた。しかし、ティターンズに対抗する組織、エゥー ゴの登場により状況は変わる。今まで放任だった建造チームに対してティターンズ 上層部から圧力が加えられてきたのだ。Pは必死に上層部と掛け合った。しかし、 建造期間は大幅にけづられた。 気落ちするPに対してLはいった。 「大丈夫。期間を短縮されてもこの艦は必ず地球を守れるような艦に仕上げてみせ  るさ。」 Pの見たLの顔は頼もしいものだった。 そうして、作業が再び軌道に乗ったチームにPが血相を変えてある情報を持ってき た。 ティターンズによる月へのコロニー落とし未遂。 Lらは愕然とした。 「本当なのか?!」 Mが詰め寄った。 「事実です。機密情報なので、逆に間違いありません。」 Pは淡々と、しかし苦痛に顔を歪めるような悲壮な表情で語った。皆の作業の手は 完全に止まった。 押し黙るチームの面々を前にHが切り出した。 「ティターンズが我々の信念を裏切ったのなら我々も彼らを裏切りましょ  う。」 皆が唖然とした。軍部を裏切る。それはほぼ自殺に等しいことだった。しか し、そのHに続けてLが口を開いた。 「そうだ!軍部が我々を裏切るのなら、この最強の戦艦をティターンズのモ  ノにするのは避けねばならない。我々は技術者として、出来る限りの抵抗  をしてみせる!」 力強く語るLの姿に、皆が賛同した。 まず最も改修すべきはこの艦の対空能力の高さだった。Hの理論どおりに組 まれたこの艦の対空能力は桁違いだった。シミュレイションにおいてはティ ターンズの正式MSジム・クゥエルの小隊はおろか、最新のガンダムMk− 2三機でもその対空網を突破することは出来なかった。しかし、この装備弱 くするということは技術者として、なにより耐え難いモノだった。責任者で あったHは涙ながらに独立したエネルギー源を持った砲塔をつなぎ直してい った。 国井「軍部に裏切られたときのお気持ちを・・・。」 L「それはショックでした、目の前が真っ暗になりましたよ。私達が最も嫌   っていた更衣を信じていた組織にやられたわけですから。だからよけい   にこんな戦闘能力を有する艦をそのまま渡すわけにはいかない。そう考   えたんです。」 久保「今まで取り組んだモノを潰すようなことになったわけですが、技術者    として、辛かったでしょう?」 L「それは辛くなかったと言えばウソになります。実際ほとんどのメンバー   が涙をのんで作業をしてましたから。特にHなんかは・・・。」 H「・・・自分の求めていた、そして夢でもあった技術を切り捨てるわけで   すから・・・。しかし、ここでその技術を自分たちを裏切り、ひいては   全人類に対する裏切りを行った組織に渡すのは自分の信念、そして人間   として許せなかった・・・。」 国井「そうですか・・・。さて、軍部に対しての抵抗を行ったLさんらの手    でドゴスギアは完成します。その後、この艦はどうなったのでしょう    か。では、エンディングです。」 Pの努力の結果、軍部による介入はほとんどないままドゴスギアは完成する。 対空放火に致命的な欠点を残し、さらに誘爆の可能性を秘めたドゴスギアは ティターンズを裏切ったパプティマス・シロッコのモビルスーツ隊による攻 撃によって撃沈する。そのとき、その艦上にはあの「ティターンズ演説」を 行ったバスク・オムの姿があった。ドゴスギアは、艦の上方からビームライ フルをうけ、誘爆を起こして沈んだのだった・・・。 Hはドゴスギア完成後、ティターンズの監視網を振り切りエゥーゴに入り、 ラーディッシュ等の砲塔の設計を行った。しかし、Hと同じようにエゥーゴ に入ろうとしたほとんどのメンバーはティターンズの手によって処刑された。 P中尉。ドゴスギア建造の終了と同時にMS隊に志願。ゼダンの門回戦にお いて行方不明となる。 M。自分たちのしたことの行く末を見守るといってティターンズの技術部門 に残留。メカニックとして乗り合わせたドゴスギアとともに運命を共にする。 L。ドゴスギア建造終了と同時にティターンズを退役。その後月にてジャン ク屋を営む。 Lの手元には一枚のデータディスクがある。それには今となっては時代遅れ となったが、当時は最強であったろう戦闘艦のデータが設計図と共に入って いる。彼はこのディスクを見ては仲間を思いだしている。彼は「このディス クは自分の墓に一緒に持っていく」と言って、笑った。                                  完