9:15  えぇぇぇぇぇっくす!! 凄惨なる一年戦争から3年。連邦軍の再建は、民政部門再建に優先して行われていた。それでも再建は遅々として進まなかった。 艦隊派が、連邦の主流であった。予算は、その多くが宇宙艦隊の再建に充てられた。 同時に、モビルスーツの運用研究が密かに行われた。 そしてうまれた、三体のガンダム。 これは、未だ謎多きガンダム開発計画の中でも最も異形な存在、試作2号機を作り上げた男達のドラマである。 (主題歌 地上の太陽) 新しいガンダム 呪われた技術  核 南極条約違反 ガンダム試作2号機 戦略兵器として ジオン技師の矜持 ガンダムを作れ デラーズ フリート プロジェクトX 〜技術士官達〜    「最強を求めて」 〜パンドラの匣を開けた男達〜              幻のガンダム試作二号機 国井「今回取上げるのは、最近秘密公開期限が切れ情報が公開されたガンダム試作2号機開発に取組んだ技術者の物語です。この時に同時に開発された試作器としては試作三号機がしられています。スタジオに、試作1号機と試作2号機の1/144模型を用意してあります」 膳場「試作1号機と比べて試作2号機はかなり大柄な印象ですね」 国「サイサリスモカコイイ…ハァハァ…」 膳「あのぉ、国井さん?」 国「ええ、試作2号機は特殊な運用が前提とされているために、かなりの重防御となっていて、一年戦争末期に計画されたヘビーガンダムやフルアーマー系に属しているといえます」 膳「顔の形がガンダムという以外は、ジオン系の重モビルスーツと言う感じですね」 国「ソコガイイ!!……   そうです。この時期は、ジオンの技術を積極的に取入れていた時期で、ガルバルディーβが連邦向けに改修されていたり、後のハイザックもこの時期に設計が開始されています。では、ご覧ください」 モビルスーツ。 一年戦争におけるザクの活躍でその威力は実証された。 連邦を勝利に導いたのも大量生産されたモビルスーツであった。 ジオンの脅威は消えた。 だが、一年戦争終結は新たな混乱を連邦軍に引き起した。 目指すべきモデルが無かった。コンセプトが無かった。何より、敵が無かった。 そんな中で、ガンダム試作開発計画は、始った。 敵の設定は、当面ジオンの残党とされた。 これを元に設定されたコンセプトは4つ。 ・運動性能を高めた機動型。 ・大破壊力を持った戦略型。 ・大火力を運用する拠点型。 ・高速力による強襲兵器。 それぞれの仕様に応じたモビルスーツが試作された。 後に、重なり合う点の多かった機動型と強襲型は統合。試作1号機となる。 その中でも、試作2号機は試作3号機とは違った意味で特異な機体であった。 その特異さは、指定された武装にあった。 アナハイムエレクトロニクス技術者L。 ツィマッド社でプロタイプドムの制作に携り、様々なツィマッド社製モビルスーツのプロトタイプ作に関わった。量産機こそ手がけたことは無かったが、誰もがその能力を認めていた。 そんな彼に、呼出しがかかった。訪れた彼に、開発部のマネージャーは軍機と書かれた書類とともに告げた。 「君に、試作器を作って欲しい。ガンダムだ」 そこに書かれた仕様の中の一文字の丹後。彼の顔から血の気が失せた。 そこ にはこう書かれていた。 「核の使用を前提とする」 軍の要求は次の通。 ・戦略核の使用を前提とする。 ・的確に目的を攻撃するために、目的に可及的速やかに接近。近距離で攻撃を加える。 ・自衛のために最小限度の武装を施す。 L「技術者が最大の攻撃力に対して核の使用を求めた、なんて話は後からのでっち上げです。核、ありきだったんです。 ですから、内心ではかなり憤ってましたね。 向うに言わせれば、ザクで実績があるから、ジオン系に回しただけだって言うでしょうけど」 だが、彼は引受けた。 開発チームは、既に選定されていた。彼はそのチームの責任者だったが開発チームのリーダーでは無かった。名目上は、連邦系の技術者が上にいた。 L「成果だけは連邦系技術者がとる形になってましたね。まあ、戦後直ぐだったから仕方ありませんけど。それでも、あんまり気持よくありませんでしたよ。 ただ、開発チームはジオン系ばっかりだったんで、γガンダムの時のTさんみたいな事はありませんでしたね。 それでも引受けたのは、反骨心って言えば格好が良いんでしょうけど。結局は、喰うためですね(笑) まあ、多少は連邦系技術者に対する対抗心ってのもありましたけど」 L達のチームは、仕様に基づいたコンセプトをまとめ上げた。 核の使用は絶対条件。目的に確実に命中させるには、ミサイルでは不安な為、核バズーカの使用が決定された。しかし、ザクIIC型で使用された核などよりもよほど強力な威力の反面、長大な加速用砲身が必要だった。 目的に接近するために、高い速度性能が必要だった。それには、多数のバーニアとロケットモーターが必要だった。 想定される爆風からの防御は従来の装甲では不十分だった。対放射能防御は可能だが、威力が大きい分、爆心に近かった。 導き出される機体は、重装甲で且つ高機動。必然的に、そのデザインはかってのジオン重モビルスーツが参考とされた。 自衛用の武装は、最初から頭部のバルカン砲とビームサーベルのみとされた。自衛用にGM用のビームスプレーガンを持たせる案も検討されたが、能力的には可能だがマウントするスペースが無かった。 核バズーカはそれなりに巨大であった。 重装甲は必然であった。まずは、ザクIIC型で施された核対策を参考に、倍の威力に耐えられる様に設定した。 高機動を得るために、スカート部と脚部、ランドセル型バックパックにバーニアを多数装備した。 問題は、核バズーカであった。当然ながらドムのジャイアントバズーカよりも長く太くなる。 どのように運搬するか。どうやって運用するか。 ザクのように肩に負うようにして発射するのか、ドムのように腰ダメで撃つのか。一長一短でなかなかまとまらなかった。 ここで大きな問題が発覚した。 連邦が指定してきたMk-82核弾頭は、ザクが使用していたものよりも直系が倍近くも大きかった。そして十倍近い威力があった。 ザクで使用していた戦術核を一回り大きくした程度だと考えていた当初の設計はやり直しとなった。 対放射能防御は、胸部に余裕があったため対応可能と判断された。横方向へは機構上広げられなかったため、前方に厚みが増した。 だが、爆風対策は十分とはいえなかった。今のままでは、爆風によって機体はずたずたにされてしまう。 最初から特攻目的の機体を作るわけには行かない。毒くわば皿までと割切れ無かった。禁断の技術に手を染めた彼らの最後の良心だった。 射程は、既にミノフスキー粒子下でセンサーが探知可能なぎりぎりだった。射程をのばすことは技術的には可能だったがそうなれば命中がおぼつかない。 これ以上伸すわけにはいかない。 ならば防御力を上げるしかない。だが、これ以上装甲を厚くすると機動性・運動性に多大な影響が懸念された。更に、冷却装置をどこに置くかも問題であった。装甲を厚くすればそれだけ使用可能な空間が減少する。 チームの誰もが打開策を求めた。装甲は限界。ならば。 「盾で爆風を防ぎましょう」 装甲担当として入ってきたばかりのSの一言が、きっかけとなった。 「何故、そんな単純なことに」そう誰もが思った。 コロンブスの卵であった。盾は敵の攻撃を防ぐ為のものという既成概念が妨げていた。 「どうせなら、冷却装置も盾に入れてしまいましょう」 盾に別の機構を積むことは、既にマクベ専用ギャンで実績があった。異論は無かった。これで、機体はできた。誰もがそう思った。 バズーカの設計も一からやり直しとなった。弾頭にあわせて、砲身の経を広げなくてはならなかった。更に、重く大きくなった弾頭を発射するには、砲身長がそのままでは不十分だった。 武装開発班のKは、思いついた。 「二つに分ければいい」 過去の実績はあった。中世期、ドイツや日本において、空挺部隊用として分割される銃が開発されたことがあったし、初期のバズーカ砲は分割式だった。更に、人力で運搬する砲は分割が当然であった。 だが、分割した砲身と基部はどこに置かが問題であった。 そのとき、盾で爆風を防ぐ為、全長並の大型のものとなった事をしった。ここに収納すればよい。 重量自体は、砲身側はさほどでもない。 問題は基部であったが、これはゲルググキャノン等で用いられた様に、バックパックにマウントする方法が採用された。 膳場「今日は武器開発担当だったKさんにおいで頂きました」 K「どうも」 国井「良く開発を引受けられましたね」 K「ええ。やはり旧ジオン系だからってバカにするなって思いでしょうね。今と違って、ジオン系の肩身が狭い時期でしたから。逆に、トップがLさんだったら、引受けなかったんじゃないかな?」 膳「と言いますと」 K「TOPがKさんだったら、純粋にノウハウを持ってるから指名された、って可能性もあるわけですから。 みんな見返してやるんだって気持で一杯でしたよ。だから、あんまり仲が良くなかったツィマッドの連中とも協力して働いてましたね」 国「なるほど。そうして開発が進んでいった訳ですが、核弾頭の指示はどうなっていたんでしょう」 K「最初は全く知らされてませんでした。どうも、形の上では、アナハイムの方が核使用を要求したと言う風にしたかったみたいですね」 国「盾で防ぐというアイデアですが、一見当り前のようですが」 K「ええ、後で考えると全く当り前過ぎるんですが盲点でした。 当初は上半身が隠せる程度のものだったんです。それをシールドからシェルターに発想を転換したんですね」 膳「では続きをご覧ください」 順調に進んでいるかに見えたチームに横やりが入った。リーダーからであった。 「これはガンダムなんだ。それがなんだ、このデザインは」 チームの全員が激しく怒った。だが、連邦軍は上司の側を支持した。顧客の要求は絶対だった。 足の形状、腰のスカート、顔の形状、全てがガンダムに似せて再設計された。 ここで問題が起きた。バーニアが入らない。 当初はドムやゲルググのようにスカートを広く取りそこにバーニアを入れる設計であった。だが、ガンダムタイプである為に、その位置には最小限のバーニアしかおけない。 足につけるのも既に限界。これ以上付けると、地上での走破性に問題が出る。 ランドセル型バックパックも、既に付けられる限り付けていた。付ける場所がない。 「肩、肩があいてます。ここなら、邪魔になりません」 Sの再度のアイデア。 「そんなところに付けたら、武器はどうするんだ」そう一笑に付そうとしたときに、Lは気が付いた。武器は核バズーカとビームサーベルのみ。核バズーカはマウントされており、別に手で引出さずとも構わなかった。 ここしかない。 誰もがそう感じた。 嬉しい副産物もあった。 肩に付けたバーニアを独立させたため、機動性と運動性が飛躍的にあがったのだ。 こうして機体は完成した。 国「完成しましたね」 K「ええ。南極条約違反という、明らかな犯罪を犯してうまれた機体なんですが、それでもみんな愛着がありましたね」 膳「少し、顔が怖いですね」 K「そこが、サラリーマンができた精一杯の皮肉ってところです。技術者として手を抜くことはプライドが許しませんけど、意匠にどんな意図を込めるかは技術者の勝手ですから」 国「完成した機体はその後オーストラリアに運ばれた訳ですが」 K「やはり、立合いたかったですよ。みんな、俺たちのガンダムって感じだったですから。それだから、ソフト開発の女の子が、私のガンダムみたいな事言ってたのには少しみんなかちんと来てましたね(笑)」 国「私の、と言う点にでしょうか」 K「ええ、そうです。ああ、女性だからって訳では無いですよ。ジオンでは人材を含む資材が全て連邦に劣ってましたから、女性の社会進出は連邦以上でしたから。突撃機動軍なんて、トップが女性ですし(笑)」 膳「その後、この試作2号機はどうなったのでしょうか。エンディングです。」 ガンダム試作開発計画、試作2号機。略称、GP-02A。 完成した機体は、オーストラリアで地上運用テストを受けることとなっていた。 だが、ジオン残党、デラーズフリートにより核弾頭ごと機体を奪われた。 そして、皮肉にも連邦軍観艦式において、その優秀性を示し、一撃で連邦艦隊を壊滅状態に追いやった。 その後、追跡してきた姉妹機ともいえる試作一号高移動改造機との戦いで爆発した。 しかし、この機体は後に傑作と呼ばれるリックディアスの設計の参考とされた。 愛称はサイサリス(ホオズキ)。花言葉は"偽り"だった。 プロジェクトX 〜技術士官達〜    「最強を求めて」 〜パンドラの匣を開けた男達〜              幻のガンダム試作二号機                終