9:15  エーックス………                  ( ̄ ̄<     / ̄>                   \  ヽ   / /ソ         プ ロ ジ ェ ク ト\  ヽ P r o j e c t X    ─────────────────────          挑戦者たち /|_/ /\Challengers                  |   /   \   丶                  \/       \__ノ 「宇宙世紀0079年10月、フラナガン機関によるサイコ・コミュニケーター・システムの試作品が完成。 旧態の電子兵器戦にも似た戦術を行なえるとあって、誘導兵器の研究が進められた。 幾つもの困難を乗り越えた開発チーム、完成を目前に突然の解散。 ソロモンの陥落。ア・バオア・クーに迫る連邦軍。そして、ジオングは出撃した。 これはMS-16Xを開発する事に全てを賭けた男たちの物語である。」 (地上の星流れる) 「プロジェクトX!」 ♪風のなかーのすばるー (映像:巨大なビーム兵器基部) 「不安定な 出力」「遅れる 小型化」 ♪砂のなかーのぎんがー (映像:高出力ジェネレーター) 「暴走の 恐怖」「達成できない 出力」 ♪みんなどこーへいーったー 見送られることもなくー (映像:コレヒドール、実験艦レムリア) 「上がらない 機動性」「連邦パトロール艦隊との 接触」 ♪地上にある星をー 誰も覚えていない (映像:実験艦レムリア、MSN-01) 「高機動 オペレーション」「たわむ ケーブル」 ♪ひとは空ばかり見ーてるー (映像:ソロモン空域、エルメス) 「全くの無線誘導兵器の 完成」 ♪つーばーめよー たかーいそらかーら (映像:本国防空隊の工廠) 「開発チームの 解散」 ♪教えてよ 地上の星ーをー (映像:0079年12月31日、出撃するジオング。) 「新たなる 旅立ちへ。」  究 極 の モ ビ ル ス ー ツ を 開 発 せ よ! 〜 MS-16X開発に全てを賭けた男達 〜 「プロジェクトX挑戦者たち 今夜はMS-16Xの開発に全てをかけた男達の熱き物語をお送りいたします。」 「MSN-02の方が聞きなれていることと思いますが、実は開発の最終段階までMS-16Xと言われていました。」 「国家の名を冠したモビルスーツ開発発令に、どのような背景があったのでしょうか?」 「まずは、開戦から開発発令までをご覧ください。」 エーックス……… (映像:連邦軍の艦砲射撃をすり抜けるザク、動き始めるコロニー) 「0079年1月3日にジオン公国の宣戦布告によって勃発した『一年戦争』は、 『一週間戦争』『ルウム戦役』をへて『休戦協定』の条約会議で連邦政府に 降伏勧告を飲ませることで、終了するはずだった。」 (映像:傷だらけの内火艇、扉の奥からレビル将軍が現れる) 「会議場に入った連絡で会議は中断、使用可能な回線全てを使ってレビル将軍の演説が始まった。」 (映像:にわか作りの壇上に立つレビル将軍) (音声:『我が連邦軍以上に、ジオンも疲弊している。ジオンに残された兵力は少ない』) 「この演説で連邦政府は態度を硬化、NBC兵器の使用とコロニー落しを禁じた 『南極条約』を結ぶにとどまった。予定外だった。」 (映像:ムサイ級巡洋艦に係留されていたHLVが切り離され、地球に降下していく) 「連邦政府の徹底抗戦の意志を再度くじくため、ジオン公国は地球進攻を開始した。」 (映像:世界地図、ジオン軍の勢力範囲が拡大していく) 「鉱山、油田、軍事拠点などを尽く抑えて行くジオン軍降下部隊ではあるが、 施設の維持、護衛、前線と補給路の確保、捕虜の監視などに膨大な兵員を割く結果となった。 『これ以上進攻すると内地が手薄になる。』戦争は、膠着状態に陥った。」 (映像:サイド7外観、ドックがズームされる。) 「膠着状態が半年以上続いた。ジオンの人的問題は深刻だった。そんな状態を 打ち破る緊急連絡が、宇宙攻撃軍司令ドズル=ザビ中将にもたらされた。 『V作戦をキャッチしたのです。』『赤い彗星』からの補給要請だった。」 (映像:ドックから現れる連邦軍強襲揚陸艦と白いモビルスーツ) 「『V作戦』は諜報活動によって存在が明らかだったが、モビルスーツと母艦の開発計画だと 言うこと以外はわかっていなかった。データの収集と実機の捕獲が最優先となった。」 (映像:ドップ、マゼラアタック隊による挟撃作戦) 「『赤い彗星』の攻撃を振り切った連邦軍揚陸艦は北米大陸に降下、 地球方面軍司令ガルマ=ザビ大佐が善戦もむなしく帰らぬ人となった。」 (映像:ガルマ大佐の国葬の模様、ジオン軍総帥ギレン=ザビの演説) (音声:『我々は一人の英雄を失った!しかし、これは敗北を意味するのか!?〜』) 「ガルマ=ザビ大佐の仇討ち部隊として、宇宙攻撃軍から部隊がおくりだされ、 公国民はプロパガンダを兼ねた国葬の余韻に浸っていた。」 (映像:アッザムの固定カメラが捉えた連邦のモビルスーツ) 「ジオン公国軍突撃機動軍司令キシリア=ザビ少将は、地球の鉱物資源採掘基地にて 連邦軍のモビルスーツと接触、その脅威を目の当たりにした。」 「『新型の開発を急がせねば。』キシリアはあせった。」 (映像:フラナガン機関研究室、興奮気味のスタッフとサイコミュ試作品) 「グラナダに帰還したキシリア=ザビ少将に諮問機関から連絡が入った 『サイコ・コミュニケート・システム完成』…。 『旧態の電子兵器戦に匹敵する戦術を導入できる。』計画案はMS-16Xとして通案。 集大成モビルスーツとして「ジオング」という呼称が先行してつけられた。」 エーックス……… 「えー、このような状況の中、開発計画がスタートしたわけですが、MS-16Xの 試作機は直接着手されませんで、モビルスーツ、モビルアーマー、中型戦闘機でもって ビーム兵器のテストほかデータの収集から始めることになります。 なかでもMS-06Zと言うモビルスーツはMS-16Xの試作機並のデータ収集が主な目的でして、 その製作にはいくつかの難関があったようです。」 「今夜のゲストは、MS-06Zの製作とデータ収集に携わっておられたAさんです。 どうぞお入り下さい。」 「早速ですがAさん、MS-06Zはジオングの1/2サイズで製作されたと言われていますが、 すでにジオングの青写真があったと言うことでしょうか?」 A「具体的な図面ではなく、スペックや機構の草案が箇条書きされた物でした。 その箇条書きの中にザクの2倍と有りましたが、支給されたモビルスーツが06Fでしたので、 2倍寸の1/2で現行のザクサイズで落ち着きました。あえて1/2と言うわけではないんです。」 「結果的にそうなったと…。では実際、ご苦労なさった点とはどのような事だったんですか?」 A「MS-06Zの場合、まるっきり新しい構造の腕ですね。 片腕に5門、両腕で10門の小型ビーム兵器を取り付けようと言うわけです。 当時MS-11…、MS-14用に小型ビーム兵器の開発計画が立案されたところで、 実用レベルの小型ビームユニットは存在していなかったものですから、 ビームライフルの開発部に飛んでいきましてね、『なんとかならないか』って掛け合いまして、 キアM-33Eって言う小型ビーム砲の原器を一式譲ってもらい、部品単位の小型化と レイアウトの模索をやりました。」 「この腕にはビーム砲が収まるだけではなかったんですよね?」 A「はい。前腕にはビーム砲以外に姿勢制御と推進用のロケット、手首や指の駆動装置一式… 上腕には…最初にケーブルの巻き取りユニットを配置したんですが、予備のケーブルと 前腕装着時にプロペラントを供給する装置、肘の駆動系…ケーブル巻き取りは 胸部に配置することになりました。3Dのパズルを解いているような感覚でしたね。 結局腕だけはジオングに取り付けられるものと同じようなサイズになりました。」 「腕以外の部分は問題無く進んだんでしょうか?」 A「そうですねー腕以外は、頭部の光学センサ…モノアイのレールを新規に起こしたくらい でしょうか?あとは…MS-14とMS-09Rのブラッシュアップで何とか形にした感じです。 とにかく早急に、仕様に見合った機体を稼動試験にまわさないといけないわけですから。」 「なるほど…。MS-16Xをじっくり練り込むための試験機ですからね。」 「えー完成した3機のMS-06Zはコレヒドールにて稼動試験を始め、本国工廠に データを送り始めます。そんな中、苦労を強いられた人がいました。」 (映像:ジオン本国工廠会議室、スクリーンを食い入るようににらむスタッフたち) 「『ジオングの頭部は脱出カプセルを兼ね単独で航行し、ビーム砲を1門装備。また、 腕部は片方に5門、両腕で10門のビーム砲を装備し…』その時だった、一人の男が技術士官に 噛み付いた。『そんな化け物を食わせるだけのジェネレータがどこに有りますか?』 Bの率いるジェネレータチームのCだった。」 (映像:指差し点検中のBの写真) 「緊迫した空気の中、Bの平手が飛び『有る物だけで新型は出来ない。 無い物は我々が造るんだ。』すかさずたしなめ、その場を収めた。」 (映像:鋳造品のバリをヤスリで落としているCの写真) 「MS-16Xにたずさわるチームの全体会議のあと、CはBに呼び出された。」 (映像:指差し点検中のBの写真) 「工廠側に作られたプレハブの一室に緊張に顔を強張らせたCが入ってくる。 『まあ、すわれ』いすをすすめたBのにこやかな顔にCは言葉が出なかった。」 (映像:指差し点検中のBの写真) 「『おまえが噛み付きたくなるのも分からんことも無い。 安全性や信頼性の確保と新規造り起こしじゃ油と水だ。 ジェネレータが短期に仕上ると思われちゃあ困るんだ。』Bが言った。」 (映像:鋳造品のバリをヤスリで落としているCの写真) 「Cは、自分の考えをBが察しているばかりか理解すらしてくれている事に 胸を撫で下ろした。が、安堵もつかの間もう一つの不安が頭をよぎる。」 (映像:低重力ブロックのラインで組み立てられる小型ジェネレータ) 「当時の最新技術を使ってもジェネレータを新規で造り起こすと、 設計から製造・最終調整終了まで半年以上費やす状況である。 MS-16Xの機体各部が完成し、最終的な組み上げ作業に入った段階で 納品するにしても時間が無いのは変わらない。」 (映像:鋳造品のバリをヤスリで落としているCの写真) 「『容積は3.8倍あります。今手に入る部品だけで設計すれば、出力は若干 下がりますが安全性や信頼性は確保できますし工期も間に合うかもしれません。』 Cの話しを聞き終えたBが、たばこを吹かし戸口を見ると不安そうに覗いている 残りのスタッフ達と目が合った。」 (映像:B率いるジェネレータチーム集合写真) 「『今日は作業場の整理をしてろと言っただろ。』そうBに言われ、 『要求性能と工期が気になって掃除どころでは有りません。』 苦笑いしながら答えるスタッフ達、『そろそろタネアカシを願います。』 と、言葉を続けた。」 (映像:ジェネレータチーム集合写真、古株の一人にスポット当たる) 「『C、お前は入って日が浅いから知らんだろうが、Bさんが 全体会議の後にチームの会議を開かん時は奥の手があるんだ。』 困惑したCに古株が説明を加える。」 (映像:指差し点検中のBの写真) 「ばつが悪そうなBをよそに、スタッフがプレハブに入り陣取る。 Cもそれに習う。『仕方がない、聞き終わったら掃除に戻れ。』 Bはそう言って話し始めた。『ペズンに準量産にも満たない極少ロットの 部品がある。ジオンの最先端と言って良いような品だ。それらの詳細リストを 請求した。明日届く事になっている。』呆気に取られる一同、Bが続ける。 『MS-16は三機のみだ、量産ベースは考えるな。詳細が届いたら熟読し、 設計にかかる。カマと外枠は新規で要求性能を満たす。以上。』 掃除に戻る皆の顔は心なしか晴れやかだった。」 (映像:MSN-02模型、ターンテーブル上でゆっくりと回転。脚が付いている) 「一方本体は、頭部・胴体・両腕・両足でそれぞれチームを組み、 技術士官のDが総括する形で治まった。 グラナダのA達が組み上げたMS-06Zの各仕様を全面的に採用。 さらに、外装と内装が平行して作業出来るセミ・モノコックを 一部に取り入れ工期の問題を軽減、技術的問題も無いものと思われた。」 (映像:白板を背に資料に目を通すDの写真) 「ジェネレータと本体の基本設計が上がった頃、Dは 以前から要請の有った上層部への説明会を開いた。 説明会で、実測値…稼動試験での結果、が出ていない部分が有り、 シミュレーションで得た数値を下方修正して設計してある旨を述べ、 具体的な性能へ話しが移った時、上層部が難色を示した。 既存のMA等を引き合いに出し、機動性の低さ等が指摘された。 説明会を終えたDは具体策を出せないままグラナダのAに結果を伝えた。」 (映像:資材置き場、カップを手に鉄骨に腰掛けるAの写真) 「Aが言う『Dさんが送ってくれた基本設計は上出来です。設計変更の少ない形で 対応しましょう』…『実測値は採ってみせます。掛れる所から製作に掛って下さい。』 そう言いきるAに、Dはなぜか不安を感じなかった。」 (映像:実験艦レムリアの周囲を光点が飛び交う) 「Aは徹夜でプランを練り上げグラナダに提出、受理された。 AとDは、プランを実行に移すタイミングが掴めなかった。 本国での設計の本格化によって、データ収集の項目が増え続け、 データ収集に明け暮れる日々が続いた。 その機会は、彼らの予想しなかった形で訪れた。 連邦パトロール艦隊との接触。レムリアがグラナダに帰還した。」 (映像:レムリアから切り離されドックに固定されているコムサイ) 「出迎えたAにコムサイから降り立った若い技師が言った。 『交戦でMS-06Zの2番機が小破したものの、実戦データが取れました。』 技術屋らしい台詞にAも『あいつの傷を見れば更にデータが取れる。』と 返事をして搬出作業をしているコムサイに目を向けた。」 (映像:高機動型足元から見上げたアングル、明るい灰色に塗られている) 「本国からMSN-01の形式番号を授かった改型2番機は、増槽を見送り稼働時間が 極端に短い物ではあったが、データを取るには十分な機動性を発揮した。 データー収集の各項目を順調にこなし、MS-16Xの形式番号もMSN-02に移行。 MS-06Zを仮想敵に様々な戦闘パターンを模索していた時だった、 仮想敵の後ろを取り、腕を放ってダミーを2射、高機動で横に並んで急減速、 本体と腕はそれぞれの制動で減速。しかし、自身で制動がかけられない ケーブルは慣性に従いそのまま進行方向に移動、質量では勝る腕がケーブルの 自重と慣性に引張られた。予想しなかった挙動に、腕の座標を見失った ソフトウェアがフリーズ。 ケーブルの挙動の解析とソフトの強化が急務となった。」