( ̄ ̄<     / ̄>                   \  ヽ   / /ソ         プ ロ ジ ェ ク ト\  ヽ P r o j e c t MS    ─────────────────────          技術者たち /|_/ /\engineers                  |   /   \   丶                  \/       \__ノ      「俺達はティターンズを許さない─ガンダムMk-再生計画─」  グリプス戦争を戦い抜いた白い機体、かつての『RX-78-2』を彷彿とさせるそのフェイス、 『ガンダムMk-』こと『RX-178』。ティターンズカラーに染められた『反攻のシンボル・ ガンダム』の全てを解明し、運用を可能にしたのは、葬り去られた『GPシリーズ』に関わる 技術者たちの執念にも似た努力の結晶であった…。 (オープニングテーマ:「地上の星」 詩/曲 中島みゆき) 風の中の昴ぅ〜 砂の中の銀河ぁ〜♪   (ガンダムMk-開発計画・強奪計画画策) みんなどこへ行ったぁ〜 見守られることもなくぅ〜♪   (俺達のガンダムは…ガンダムじゃないと言うのかっ!) 草原のヴィーナスぅ〜 街角のペガサスぅ〜♪ (既存機が手元に回らない?! せめて機体の一部だけでも…!) みんなどこへ行ったぁ〜 振り向かれることもなくぅ〜♪   (こんな装甲材はとっくに時代遅れなんだよ! それでも使い続けるのか!? ) 地上にある星をぉ〜 誰も覚えていないっ 人は空ばかり見てるぅ〜♪ (…完成したパーツの『擦り合わせ』すら自分の眼で確認出来んとはな) 燕よぉ〜 高い空からぁ〜♪   (Z計画の始動。今、Mk-の戦い続ける意味は時間稼ぎの他に意味が有るのか? ) 教えてよぉ〜 地上の星をぉ〜♪   (まだ、終わらんよ! FA計画、Gディフェンサー計画の同時進行) 燕よぉ 地上の星はぁ〜♪   (Mk-の継続戦闘能力と汎用性の高さこそが、次世代MSへの第一歩なのだ!) 今どこにぃ いるのだろぉ〜♪ (変形MSから非変形MSへの回帰。νガンダムへの助走。宇宙を漂う半壊したガンダムMk-の映像)  0087年初頭。スペースノイド弾圧組織『ティターンズ』が、ある試作MSの開発に勤しんでいる との情報が、反地球連邦政府・スペースノイド穏健派の集団で有る『エゥーゴ』の逆鱗を逆撫で した。その名は『RX-178・ガンダムMk-』。一年戦争下に置ける地球連邦の、V作戦の象徴たる MSの名を受け継ぐ機体であった。  「これは…ティターンズの、我等スペースノイドに対する、示威行動に他為らぬ! 」  エゥーゴの首脳部は、この一事を持ってティターンズが融和などでは無く、対決姿勢を示した との見地に至ったのである。今やティターンズは、後手に回る『モグラ叩き』の脱却を謀るため、 『新たなるV作戦の発動』を画策しているとの解釈を『頭に血が上った』面々は主張したのだった。  「奴等の弛んだ横っ面を引っ叩いてやれ! 虎の子の『ガンダム』を奪うのだ! 」  彼等の脳裏には、ティターンズ結成の契機と為った、0083の、『星の屑』作戦が去来していた。 『組織の象徴たるガンダムで、恥を掻かせる』事が出来れば、大衆の支持も得られ易く為る狙いが、 彼等の『夢想』を加速させる燃料と為った。それは『ただの暴挙』に終わる、はずであった。  エゥーゴに参加した、一人の『金髪の青年』が、強奪計画の実行を簡単に受諾さえ、しなければ。  何故首脳陣が彼の様な云わば『新参者』に一任したかは謎である。関係者の一人は語る。 『彼の言葉、立居振る舞い、中でも身に纏う雰囲気が、あの『ジオン・ズム・ダイクン』の 再来を思わせた』と。クワトロ・バジーナ大尉。それが彼の当時名乗った偽名だった事は、 後の世に生きる我々の方が承知の通りだ。『キャスバル・レム・ダイクン』と言う本名を エドワウ・マス、シャア・アズナブルと言う偽名で隠して来たが、再度彼は歴史の表舞台に 立つ事になるのを、未だ若かりし『彼』が知っていたのかは定かでは無い。  人は言う。彼のモニターグラスの奥に隠された眼は、スペースノイドの、いや、人類 全体の未来を憂いて居たと。彼は計画責任者を受託する前に一言、最後に言ったと言う。  『多くの人命と引き換えに得られる対価を、私は望んでいるのですよ。人の、革新をね』  その言葉を戦慄と共に首脳陣が思い知ったのは、彼が強奪作戦時に連れ帰った一人の少年 の上げる戦果であった事は、また別の話であろう。…強奪計画は『彼』の主導の下、着々と ジグソーパズルの、一つ一つのピースが本来有るべき場所に『戻る』が如く、寸分のズレも 計画に見られぬまま詰められて行く。彼の二人の子飼いの部下、『ロベルト』『アポリー』 が、『クワトロ・バジーナ大尉』と共に計画実行者の欄に名を連ねた。彼らが口を滑らせる 時が多々、有った。『大佐』と。『彼』の正体は計画関係者にとって、暗黙の了解と化した。  『彼』が計画責任者に就任してから一ヶ月が経過した。情報収集の成果が、目に見えて 以前と格段の違いを見せていた。手に入らなかった機体写真が、『彼』の下に届けられた。 彼はその優美な曲線を描く眉を顰めて、言った。さも、不快げに。  「酷い物だな…黒い『ガンダム』とは…。奴等の美的センスと良識は、無きに等しいと   私は見た…。醜いものだな…? かつての名機も、こうも塗られてしまえばな…」  かつての、『大佐』であった頃の『彼』が対峙した『ガンダム』は、鮮やかな『白』を 基調とした、テスト機体である事を示す、青・赤・黄を配した『トリコロールカラー』で 有ったのに対し、その後継機たる試作機『RX-178・ガンダムMk-』は、ティターンズの 組織色である、『濃紺』を基調とする物と為っていた。コロニー居住者が蛇蝎の様に嫌う 『GM・クゥエル』の機体色の配置に酷似していた。機体テストが、『グリプス1』で行わ れると、諜報担当者が『彼』に伝えた時、『彼』は静かに微笑み、呟いたと言う。  「サイド7の…。そうか…歴史は皮肉な物だ…。また同じ事を人に繰り返させる…」 と。0087・3月2日。ガンダムMk-強奪計画の本格的な決行日は、その日に定められた。 クニイ「87年のグリプス戦役はエゥーゴ対ティターンズといういわば連邦軍の 内部抗争に等しい戦争でした。そして、この戦争は新たな”ガンダム”が姿を現した 戦争でもありました。」  ゼンバ「ゲストをお呼びします。87年当時エゥーゴのMS戦略に深く関わった      エリック・バロー氏です」  クニイ「ティターンズのMSを強奪するという、かなり荒っぽい選択をするわけですが?」  バロー「当時の我々には与えられた時間はあまりにも少なすぎました。何せ危険分子とはいえ      母体は連邦軍という巨大組織・・・勝ち抜くためには7年前の大戦で立った一機で戦況をひっくり返した      RX−78のような機体、つまりは178型ガンダムが是が非でも必要だったのです。」  ゼンバ「他の手段・・・たとえば収集した情報を元にガンダムを”コピー”する方法はありませんでしたか?」  バロー「・・・・やはり”そのもの”を手にすることがあの時点での最良の手段でした」  クニイ「前代未聞のMS強奪計画がいよいよ実行されます。そして新たな戦乱の火ぶたが切って落とされます」 クワトロ大尉の、ガンダム強奪作戦は成功した。しかも、予想外にも、同形機をもう1機調達して来たのだ。 エゥーゴの士気は、さらに高まった。数時間後、月のフォン・ブラウン市に住むP夫妻に首脳部から連絡が入った。 是非、力を貸して欲しいと。…失われし『ガンダム』の系譜の記憶を受け継ぐ、人材だった。KとN。 地球のオークリー基地に居た夫妻は、夫のKの余りの干されっぷりに業を煮やしたNの勧めで、月に戻ったのだ。  Kは未だに連邦軍人だったが、出向という形で、A・Eに在籍していた。…妻の剣幕に逆らえなかったのだろう。  「さあ、K! 忙しくなるわぁ〜! ガンダムが私を待っているのよ? 待ってなさい、私のガンダムぅ〜♪ 」  「でもN…? 僕は連邦軍人なんだけど…問題ないのかな? むしろ僕が居ない方がエゥーゴも…」  「じゃあ何? K? ティターンズに参加したかったの? 貴方も? この…甲斐性なしぃっ!! 」  半ば無理矢理夫を引き込んだNは、衝撃の事実を知ることに為る。ガンダムMk-を、当座はコピーする事のみを 依頼されたと言う、彼女にとっては屈辱的な仕事である事を。夫の背中を蹴り上げるNはそれをまだ、知らなかった。   Nは激怒した。Kの存在について嫌味を言われたのもあるが、GM・クゥェルの件で痛烈な 批判を浴びたのだった。『君の御蔭で、スペースノイドが何人死んだと思っているのかね? 』 と間接話法型から、『お宅が地球のガンダム作った時点で、裏切者なんだよ』との直接話法型。  夫が替わりに頭を下げていたのだが、プライドの高いNはもう限界だった。  「そんなに言うんだったら、貴方達でやったら?! 実機は運用中で解析に一機も廻せない?   実行部隊に強い事言えないから、私達を叩いてすっきりしようって言うの? …最低ね!   K! 貴方も貴方よ! 愛想笑いしている暇があったら、機体の外観撮った映像の解析を   しなさいよ! 貴方は『腐っても』パイロットなのよ? 私の『ガンダム』の!  」  Nのその一言で、Kは笑顔のままで、目の前の技術部主任をすぐさま張り飛ばした。  「悪いね、Nには逆らえないんだ。僕は。…解ってくれとは、言わないけれどね…」  強襲揚陸艦『アーガマ』の主任メカニックであるアストナージ・メドッソがNの華やかな 微笑の映像に迎えられたのは、それから三十分後のことだった。第一声が、『A・Eの N・Pです。真にお忙しい中、大変申し訳有りません』で、第二声が、Mk−に使っている ジェネレータのサイズを教えて欲しいと言う物だった。アストナージが型番を伝えると、何故か 男が出て、丁寧過ぎる礼を述べ、奥の方でなにやら押し問答が続いた挙句、通信が勝手に切れた。  「Nぁ…。仕事だって解ってるけれどさ…! 他の男に…! 」  「笑顔くらい、タダだからイイでしょう、K! まだ聞く事が有ったのに! 」  「…僕がティターンズのMさんやAさんやBさんに聞けば済む事じゃないか!   僕にだって人脈はあるんだ! こんなでも僕はまだ、連邦の士官だ! 」    Kの「連邦の士官」は、夫婦内の、Kの不退転の決意を示す台詞だった。Nは、渋々、折れた。 ガンダムMk−の詳細なスペックが無記名データでA・E経由で送られて来たのは、Kが連絡 してから3日後の事だった。末尾に一行、付与されていた。 『K、俺もそっち側行くわ。:U夫妻の友人、K&Mより』と。