グリプス戦役、反地球連邦政府組織エゥーゴの強力な武器であったリック・ディアス そのMS開発には全てのスペース・ノイドの復権を目指した男の願いが込められていました 次回プロジェクトX挑戦者たち  「喜望峰を見つけた男の名を借りて・リック・ディアス開発記」                          ご期待ください ♪かぜのなかのすばる〜     若手技術者の壮大なプラン「ドライ」     事実無根・・・戦犯指定     スペース・ノイドの”復権”を目指し     誰がそんなことを望んだ?!          赤い彗星によく似た男     その程度であきらめるか小僧!飛び交う罵声     やっと出来ましたね・・・     一刻も早く・・・     勝ったのか?我々は??      プロジェクトX 〜挑戦者たち〜    −喜望峰を見つけた男の名を借りて・リック・ディアス開発記− クニイ「今日は、フォン・ブラウンにありますアナハイムエレクトロニクスのモビル・スーツ      ミュージアムからお届けしています」 ゼンバ「・・・沢山のモビルスーツが展示してあるのですか、今回取り上げるのは・・・      (暗い室内に明かりが灯って浮かび上がるMS)反地球連邦政府組織”エゥーゴ”     の抵抗運動の象徴でもあった、リック・ディアスです」 クニイ「このモビルスーツの開発の裏には一人の男の壮絶な物語がありました。     続けてご覧ください」 エーックス・・・  宇宙世紀0084、暗礁宙域と呼ばれたデプリが散乱する地帯を一機のデプリ改修艇に 偽装した輸送船が進んでいた・・・船はその動きを止め、ハッチを開けた。 ハッチの奥には、大型のモビルスーツと二つの人影があった 「最終型です。手持ちの技術は全てつぎ込みました。あとは大尉次第です」 「解った。出してみよう・・・・ずいぶん私も見込まれた物だ」 大尉と呼ばれたそのパイロットはコクピットに滑り込み、発進の合図を送った。  そのモビルスーツは、見かけとは裏腹に軽やかに残骸の海をすり抜けていった。数時間後 パイロットは着艦したモビルスーツから降りると、もう一人の男に声を掛けた 「十分だ。量産の暁には連邦を圧倒するのは難しいことではない」 男は大尉に握手した 「ありがとう。これでようやく希望の一歩が踏み出せた」 涙が・・こぼれ落ちた   宇宙世紀0079、サイド3。地上用重MS「ドム」の成功によりMS開発に食い込むにことに 成功したティマッド社はドムの換装型とも言える宇宙用MS「リック・ドム」により再びMS開発 の主導権を握ることに成功した。更にリックドムのバリエーションモデル リックドムツヴァイもジオン上層部の高評価を受けた そしてその2機に関わったのが、グレン・ナガサキ。彼はティマッドの至宝と呼ばれ称えられた。  そんな彼に一人の若者がプランを提出した。 「仮に、ドム・ドライと名付けました。見て・・・頂けますか?」 ナガサキは驚いた。あらゆる面で既存のMSを旧世代に追い込むことも充分すぎる程の出来であった。だが、ナガサキは彼にはいい返事を返さなかった。 このモビルスーツを開発するほどの余力は当時のジオンには無かった。すでにリック・ドムツヴァイの 先行開発機以外の量産キャンセルが発表されていた。時局は新規開発の余裕すら与えなかった。 エ〜ックス ゼンバ「ゲストをご紹介します。リックディアス開発の中心的メンバーであった      グレン・ナガサキさんです」  クニイ「隠れた傑作機と言われたドムタイプですが成功の要因というのはどの辺に      あったとお考えですか?」 ナガサキ「・・・・最初の地上用ドムは、高出力化を進める内に巨大化そして鈍重になった       訳ですがそれを補うためホバーシステムを投入し、機動力もアップしました       又、そのホバ−システムは宇宙に持ち込むにあたり更に加速性能にも       効果が得られジオニックのザク高機動型を上回ることが出来ました。       しかも、陸、宙型双方のアッセンブリーをほぼ同一化したので量産化での       大幅なライン改変も必要なく大量生産出来たからでは無いでしょうか?」 ゼンバ 「そのあと、別のエンジニアによりプランが持ち込まれるわけですが・・・」 ナガサキ「彼には、本当に申し訳ないことをしました。だが、あの時点で新型開発など       到底、出来るような状況ではありませんでした。実際、リック・ドムに       ザクの装甲を付けてみたりグフのバックパックをドムに背負わせたり       してましたからねえ(笑)」 クニイ 「0080,戦争は終結します。そしてナガサキさんの苦難の日々が始まります」       無いでしょうか?」 0080、戦争は連邦の勝利によって終結する。連邦政府の戦後政策によりサイド3の軍需関連企業は、MS開発の一切を禁じられた。 MS一筋に生きてきた人間にとってそれは死を意味するも同然だった。エンジニアの自殺も相次いだ・・・ ナガサキもまたこの先の自分の生き方を迷い始めていた  そんな時とんでもない知らせが届く。戦争犯罪人に指定されたのである。 罪状は大戦初期にジオン軍が大量投入した毒ガス兵器製造、開発に指導的役割を果たしたというのである。 事実無根であった。なぜなら、彼はこの非人道的兵器の開発を依頼されそれを断り、投獄された経緯があった。 ナガサキは何度も何度も自らの無実を訴えた・・・結果は変わらなかった。逃げることを決意した。  0083、アクシズ転進を断った一部ジオン軍兵士が反連邦組織デラーズ・フリートを結成。再び戦争が始まった。 ナガサキにも協力が要請された、彼はスペース・ノイドの”平和的”復権を協力の条件として伝えた。 だがその思いも空しく南極条約違反の核ミサイル攻撃というテロが実行された。 ナガサキは憤った、ただの・・・・テロではないか!また我々は犯罪者の汚名を着ることになる。 そんな非人道的行為で真の・・・スペースノイドの自由が取り戻せると思ってるのか!! 同志であるはずのデラーズの使者を彼は追い払った。 もう良い・・・兵器なんぞに頭を使うなどもう・・・止めよう。ナガサキはまた隠遁生活に戻った。 2年後、彼の元へ手紙が届いた。差出人はブレックス・フォーラ・・・連邦軍の准将であった ”フォンブラウンにて待つ”・・・長い隠遁生活に疲れたナガサキは逮捕される覚悟で応じた だが、それは連邦政府の出頭要請ではなかった。彼の目の前にいるのはいわゆる宇宙企業のトップたちであった。 目前にいたブレックスは彼にこう告げた 「我々は反連邦政府組織を極秘裏に結成した。ナガサキ君、君に”抵抗運動の柱”となるモビルスーツを作り上げて欲しいのだ」 「冗談ではない!テロ集団にさんかするいわれはない。ふざけないで欲しい」 ナガサキは声を荒げた。 「デラーズのような無差別テロをやるために我々は組織を結成したのでないよ。あくまで連邦軍極右勢力の打倒・・・ そしてスペース・ノイドの復権を目指しているのだ」 スペース・ノイドの復権・・・彼の理念と一致した。  数日後、反連邦政府組織「エゥーゴ」の大口出資者アナハイムエレクトロニクス社の地下工廠に ナガサキの姿があった。五年前若いエンジニアが残した新鋭機「ドム・ドライ」の設計資料が片手にあった。   ナガサキに、アナハイム社内の若手で構成するチームが協力を申し入れた リーダーはコータロー・ノイマン・テシガワラ。連邦軍内部の開発局に席を置いておきながら 前線任務を志願し、終戦後アナハイムにスカウトされた変わり種だった。 しかし、ドム・ドライの余りに先鋭化したその設計は 彼の頭を悩ますのに充分だった。 「難しい仕事です。半年一年で出来る代物では・・・」弱音を吐いた 「その程度か小僧!あきらめが早すぎる!エンジニアの本気を見せてくれ!!」 ナガサキの罵声が飛ぶ・・・・小競り合いはしょっちゅう起きた。現場は、まさに戦場だった  それでもプロト機は頭部を残し完成した。テシガワラには自信があった。 これで、あの男・・・ナガサキを黙らせることが出来る。だがその思いも彼の一言で 覆された 「プロペラントの重量が重すぎる。これでは設定スピードの半分もクリアできない!」 「シミュ上では5%ダウンで確保です。それくらいならたいした問題には・・・・・」 「その5%。5%の手抜きで前線の兵士を死地に追いやるつもりか?!」 テシガワラは怒った、そしてナガサキにつかみかかった。だがナガサキは自分を掴んだ手を 払いのけこう言ってのけた。 「怒り狂うという無駄な時間を次の新たな発想へ使おうとはしないのか?」 数日後、ナガサキのもとへ新たなプランを持ったテシガワラが現れた 「・・・重量の重い物に対して、部分的にガンダリウムを使い、内部もハニカム構造に 変更した結果、設定値2%ダウンまで向上します・・・シミュ上ですが・・・」 ナガサキは彼のプランを一通り眺め 「やれば出来るとは君のことを言うんだな。・・・上出来だ、しかしまだ80点だ  残り20点は宿題だ」 「解りました先生!」 二人は固い握手を交わした。いがみ合いを続けた二人のエンジニアの和解であった                                           エ〜ックス クニイ「スペース・ノイドの平和的独立という理想と新型兵器の開発は、かなり矛盾が      あるように思うのですが?」 ナガサキ「確かに、それはそうです。ですが理想をいくら声を上げて叫んだとして何に       なるのか?!・・・いくら矛盾といわれようとも私にはそれ以外にその当時       選択肢はありませんでした。」 ゼンバ 「若いエンジニアとの対立があったようにお伺いしますが」 ナガサキ「ええ。彼らもサイド3のよそ者に次から次とリテイクを言いつけられると       ・・・・言葉は悪いですが”キレル”でしょうね。しかし彼らは優秀でしたよ。       だが、彼らはシミュ上のデータしか見ていない。その辺にチェックを       入れたのですがそれをうまく伝えることが出来なかった私のせいでも       ありますね」 ゼンバ「開発が佳境に入ったドム・ドライ。ナガサキ氏の前に意外な協力者が      現れます」 ドム・ドライは、予定より早くプロトモデルが完成した。しかし、ここで重大な問題が発生する 360度のマルチ・スクリーンが機能しないのである。ナガサキは何度も電装系統を見直した 問題は・・・無かった。通常ジオン系MSはモノ・アイという可動式のメインカメラで視界を 確保する。しかし、この機体は稼働しないモノ・アイであった。 「稼働無しでマルチスクリーンを確保する方法?!・・・・ノイマン君。サイド3の ベルガ造船に勤めるテレム・ワルンボルトをここに大急ぎで呼べないか?」 「?・・・・まさかその人がこの問題の鍵を!?」  その鍵を握る人物、テレム・ワルンボルトが現れたのはノイマンがコンタクト を取ったあとわずか3日だった。 ワルンボルトはプロト機と図面をひとしきり眺めたあと、 「そう・・・この辺はまだ俺も空想の段階なので詳しくは書かなかったんですよ部長。」 「いかんねえテレム。仕事は完全にしてから決裁を仰げと何度言わせれば(笑)」  そう、テレム・ワルンボルトこそが、ドム・ドライのメイン設計者だったのだ。 ノイマンは、早速この問題の解決法を聞いた 「ノイマン・・さん。あなた、トンボという昆虫をご存じですか?」 「トンボ?」 「あの昆虫は、目と呼ばれる部分は2つなのですがその目の中に複眼という目を 沢山用意してあるのですよ。複数のカメラを1つのメインに置けばいいのです」 「しかし、そんな複雑な工程をしなくても可動式にすれば・・・」 「いちいちカメラを動かすという時間的ロスをカットするのです。いざ戦場に出れば 充分な視界を瞬時に確保しないといけないのですよ!」  ノイマンは、そのことを気づかなかった自分はまだまだ甘いと感じた アナハイムの地下工廠で組み立てられた仮称ドム・ドライは連邦政府の目を逃れるため ドムの装甲を貼り付け、「次期量産機の比較」という名目で外へ出され、テストが始まった だが、テストパイロットの評価は低かった。動きが悪い、反応性が悪い。解決法は簡単である 軽量化である・・しかし現状のガンダリウム合金装甲の軽量化はすでに限界に達しつつあった。かつて、大戦中に連邦軍がテストしたRGM−79の装甲を削った一撃離脱機並の軽量化も検討された。しかし、エゥーゴの要求は特殊機ではなく、一般兵向けの量産機である。  軽量化に行き詰まったと言う話を聞いたブレックスが一人の男を連れ、工廠を訪れた 「彼なら、答えを知っている」  男の名は、クワトロ・バジーナ。元連邦軍大尉を名乗っていた 「ガンダリウム合金の新型・・仮にγ(ガンマ)と名付けました。確実な軽量化が可能です」 彼の持っていたアタッシュケースには、そのガンダリウムγの個体と錬成に必要な構成図が 入っていた。  ナガサキは一目で気づいた。似ている・・・赤い彗星に・・しかしそのこと聞くとクワトロは口を閉ざした。それ以上は聞かなかった余計な詮索よりドム・ドライの完成が先であった 早速構成図を元にガンダリウムγとそれを使った装甲の作成が開始された。  そして最終型はクワトロの手により暗礁宙域でのテストが行われた。スペースノイドの復権を目指すグレン・ナガサキの戦いはひとまずの終焉を見た  エ〜ックス