ブースターが目覚めたのは、例えようも無い奇妙な空間であった。

ブースター「ここは……」
ミュウ「目が覚めたか?」
ブースター「あれ? 僕たしか、ホウオウさまのお話を聞いていて……わわっ、キミは?」
ミュウ「覚えていない、か。そうだろうな」
ブースター「?」
ミュウ「貴様はあの場の炎ポケモンを一網打尽にしようとしたのだ」
ブースター「……ハイ?」
ミュウ「無自覚に『いかり』を発動させていたようだな。貴様はあの場の炎ポケモンを壊滅状態にすることで、無理矢理にでも戦争を終わらせようとしたのだ」
ブースター「いやいやいやいや! なんかアナタメチャクチャなこと言ってませんか!? だいたい僕ひとりであの場の炎ポケモン全員を相手取るなんて無理ですよ!」
ミュウ「その無茶苦茶を貴様はやってしまうところだったのだぞ。
ホウオウを挑発し、地震を使わせ、まず周りの炎ポケモンを一掃する。
自分はそれを『こらえる』でしのぎ、『いかり』との併用で威力の上がった『じたばた』でホウオウを倒す。
その後、『でんこうせっか』でとっとと逃げる、と。
フーディンもビックリのトンデモ戦術だよ、まったく……」
ブースター「いやいや、買いかぶりもいいとこですって! いやそこまでいくとむしろ、言いがかり?」
ミュウ「……無自覚ってタチが悪いな。ともかく、貴様のプランで確かに戦争は終わった。だがそれは、最悪の形での終結だ。だから、私が仕方なく介入したという訳だ」
ブースター「最悪?」

ミュウ「そう、どちらかが圧倒的に勝るというかたちでの戦争の終結は、今後のポケモン界に深刻な影響をもたらす。
たとえば今回危惧されたケースのように水タイプが炎タイプに犠牲も無く完全勝利してしまっては、ひいては
炎を苦手としている鋼、草、虫タイプの勢力を強める結果となる。そして炎タイプを食い物にしていた
地面タイプが草と水の台頭で勢力を落とし、電気タイプが弱点の無い最強のタイプとなってしまうのだ。」
ブースター「ややこしくてよくわかりませんが……。じゃあアナタはこのまま炎と水に殺しあえって言うんですか?」
ミュウ「そうではない。ただやり方を考える必要があるといっているのだ。そしてその為には、恐らくおまえの力も必要になってくる」
ブースター「僕の? どうして?」
ミュウ「イーブイというポケモンはポケモン界広しと言えども稀有な存在だ。様々なタイプに進化する可能性……
不自然なものが絶妙なバランスで混ざり合うことで保たれている調和。これは我らポケモンもそうあれるという希望だ」
ブースター「そんな大げさなもんですか」

ミュウ(空気の読めない奴だな)

ミュウ「……まぁいい。それにおまえの『いかり』は少々特殊だ。ダメージというよりは相手の精神に反応して、
攻撃力のみならず身体能力全般や知性まで変動する。だから時が来るまで、おまえは私の元にいろ。きっとその力がこの戦争を終わらせる鍵になる」


ブースター「でも・・・・」
ミュウ「でも?」
ブースター「僕にそんな勇気は・・・」
ミュウ「・・貴様は色々な面で力を付けたいから修行に来たのだろう?先程もそうだ。自分の倍以上もあるホウオウに向かっていったではないか。」
ブースター「・・・・・」
ミュウ「もっと自分に自信を持て。貴様なら・・・きっと戦争を止められる。」