◎オズの魔法使いにまつわる虹の話。
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●オズの魔法使いと虹とは、何故とはなく関係が深いと思われているのではないだろうか。

●1939年に大ヒットしたミュージカル映画「オズの魔法使」で主演ジュディ・ガーランドが歌った主題歌「虹の彼方に」があまりにも有名になったためであろう。また日本語訳に「オズの虹の国」と題するものもある。
最初の原作者ライマン・フランク・ボームの「オズの魔法使い」シリーズでは、「虹の娘」という妖精は登場するが、エメラルドの都に虹がかかっているとの話はなく、早くから虹がシリーズを代表する特別の役割を担っていた形跡はない。ミュージカル映画「オズの魔法使」の昔のポスターなどにも虹は登場しないが、日本のビデオには、何故かエメラルドの都に虹がかかっているものがある。
●旧約聖書のノアの箱船伝説以来、西洋文化には虹が希望の象徴であるとの考え方があり、また虹は追いかけてもつかめない夢、虹の根元には宝物があるなどの考え方もある。そのような下地の上に童話シリーズ「オズの魔法使い」とハロルド・アーレン作曲、エドガー・イップ・ハーバーグ作詞の「虹の彼方に」の曲とが見事に調和し、広く受け入れられた結果として、オズの魔法使いと虹とがどこか関係深いものと自然に思われるに至ったものでは無いだろうか。
映画「オズの魔法使」で、カンサスから吹き飛ばされたドロシーが着陸してドアを開け初めて見たものは、鮮やかな虹のように様々な色にあふれるオズの国だった。このシーンは、主題歌と呼応して、見るものにオズの国が虹と深く関係付けられているような印象を強く与えている。

●近年”Who Put the Rainbow in The Wizard of Oz?”(「誰がオズに虹を入れたのか」ハーバーグ著)という本が出されている。そこにオズと虹の魔法な関係が書かれているかもしれないと思い、日本にはなさそうだからさっそくアマゾンで取り寄せた。はたして、その冒頭に「虹の彼方に」の作詞者ハーバーグの考えが示されていたのである。彼は、「『オズの魔法使い』の原作には虹は登場しない、そして虹を「オズ」に持ち込んだのは自分だ」と回想している。

 「 この小さな女の子は思いました。
 『私の人生はぐちゃぐちゃだ。私はどこに向かって走って行けばいいのかしら?』
 その歌は、子供らしい楽しみでいっぱいでなければなりません。・・・そう、レモンドロップのような。
 「オズの魔法使い」では、ドロシーの生まれ育ったカンサスは、乾燥した、花さえ育たない土地でした。
 ドロシーがたった一つ彩りのあるものを見るとすれば、それは、時にあらわれる”虹”だけだったのです。 」

そう。そしてドロシーの夢の国は、
あの色あざやかな虹の彼方にあるに違いない・・・。

ハーバーグの回想は続きます。
「『Over the Rainbow Is Where I Want to Be(虹の向こうに私の行きたい場所がある)』が、私がハロルド [アーレン、作曲家] に渡した仮のタイトルでした。タイトルというものは、始まりの鐘を鳴らしたり、ローマろうそく花火を吹き飛ばすようなものでなければなりません。彼は、私に最初の2節のメロディ(あの、1オクターブ飛ぶ)をくれました。私は、「私は虹をこえる」、「いつか虹をこえる」、「虹の向こうがわ」といった題名を考えました。私には、「somewhere(どこか)」という考えが思い浮かばなかったのです。しばらくして私は、それら2節を簡略化してしまうことを思いつきました。私が「Somewhere over the rainbow」にたどり着くまでに、長い時間がかかったのです。」  (以上「」部訳は館長。)

"Who Put the Rainbow in The Wizard of Oz"

●ボームの「オズ」シリーズにおける「虹」について調べた。(参照和文は、原則として佐藤高子訳ハヤカワ文庫による。)

(1) 題名での登場・・・「オズの虹の国」 原題は、The Marvelous Land of Oz.で第2作目にあたる。原作においては、題名、本文とも「虹」は出てこない。上記のようなミュージカルを含むオズの魔法使いと虹との関係を背景としなければ、必ずしもこのような題名の訳は出てこないと思われる。ちなみに次に見るように、第1作〜第4作までには、虹そのものも登場しない。

(2)本文への登場・・・オズの魔法使いシリーズの内、フランク・ボーム作の14編の原作(英語)において、「虹」(rainbow)は、名前を含め以下6作において以下の回数登場する。([ ]は章の番号、その後の数字は登場回数(例[3]2→第3章2ヶ所登場))

第3作 オズのオズマ姫(Ozma of Oz)1907 
     2ヶ所([6]1[7]1)(「虹色の光」「虹色のかたまり」)
第4作 オズと不思議な地下の国 (Dorothy and the Wizard in Oz)1908
     5ヶ所([2]2 [4]1[7]2)(「虹色の光」「虹色の草」)
第5作 オズへつづく道 (The Road to Oz)1909  [本編ではRainbow’s Daughterが登場]
     48ヶ所([5]10[6]2[7]3[8]1[9]2[10]3[11]6[13]1[14]2[15]3[17]3 [18]2[20]2[22]1[23]1[24]7)
第7作 オズのつぎはぎ娘 (The Patchwork Girl of Oz) 1913 
     2ヶ所([4]2)((パッチワークと比較して)「きれいな虹だって」)
第8作 オズのチクタク (Tik-tok of Oz)1914  [Rainbow’s Daughterが再登場]
     36ヶ所([7]17[9]2[10]3[11]1[13]1[17]6[18]1[20]1[23]4)
第12作 オズのブリキの木樵り (The Tin Woodman of Oz)1918 [Rainbow’s Daughterが再々登場] 
     42ヶ所([5]4[6]2[7]1[8]1[10]1[11]3[13]4[14]1[15]3[18]3[19]7[20]1[21]2[23]9)

以下の8作には登場しない。
第1作オズの魔法使い(The (Wonderful) Wizard of Oz)1900 
第2作オズの虹の国(The (Marvelous) Land of Oz)1904 
第6作オズのエメラルドの都(The Emerald City of Oz)1910
第9作オズのかかし(The Scarecrow of Oz)1915 
第10作オズのリンキティンク(Rinkitink in Oz)1916 
第11作オズの消えたプリンセス(The Lost Princess of Oz)1917
第13作オズの魔法くらべ(The Magic of Oz)1919 
第14作オズのグリンダ(Grinda of Oz)1920

(3)「虹の娘」 [“Rainbow’s Daughter”または”Daughter of Rainbow”]
○名前
ポリクローム(Polychrome;多彩なという意味。反対語は"monochrome"モノクロ、白黒である)。
ドロシーのつけたニックネームは「ポリー」。
○登場場面
「オズへつづく道」で初登場。「オズのチクタク」、「オズのブリキの木樵り」で登場。
○正体
「虹」(The Rainbow;虹の王さま)の娘で妖精。「雨の王さま」The Rain Kingはおじさん。
○住居
空にある雲の宮殿
○年齢
ドロシーと似たりよったりに見える。
本人によれば、「この世に、これで何千年もいる...」(チクタク)とのこと。
○性格
のんきで屈託がない。陽気。ただし寒がりでたえず踊って体を温める。
○声
銀の鈴を振るような笑い声(「ちんちろりん」?)
○特技
ダンス「虹の舞」(虹の上でも地上でも)、虹からの滑落、高速移動、ラゲドーの呪いを解くキス、人間や動物を倍率自由で拡大縮小。自分から「虹」のところに飛んでいけないところを見ると空中飛行術は持っていないようす。
○食べ物
露のしずく、霧のケーキ、雲のパン。きわめて小食だが、普通のもの(バターつきパン、ターキーの白い胸肉、お茶、リンゴ)も少量食べる。
○嫌いなもの
「ヒーホー」(ロバの声)
○容ぼう
背丈はドロシーくらいでほっそり。非常に美しく、優雅。金髪。バラ色の頬。スミレ色(violet)(道)または青色(blue)(チクタク)の目。
【注】 虹の娘らしく目の色は登場する話によって微妙に変化するらしい。
「オズへつづく道」より。
第5章 「かがやくばかりに美しい一人の少女が優雅な身のこなしで踊っている・・。」、「妖精のように姿のいい」【実は妖精】、「華奢な足先」、「金糸にも似た髪は、・・・ただよう雲のように身体(からだ)を包んでいます。」、「背丈はドロシーくらい。もっともドロシーよりほっそりしていますが、・・」、「スミレ色(violet)の目」、「バラ色の頬」、「ポリクロームは・・・そのほっそりした手をカンサスの少女のぽっちゃりとした手に・・」
第15章 「ブリキの木樵りは、・・かつてこの目に映った最高に美しいひとだと断言しました。」
「オズのチクタク」より。
第7章「得もいえずきゃしゃで美しいポリクローム。その妖精らしい可憐な姿は、とてもほかの娘のおよぶところではありません。」、「この輝くばかりに美しい<虹の娘>」、「黄金色の頭」、「青い(blue)瞳」
○衣裳
「この世のものとも思えぬ美しい衣裳」、「織り上げたクモの巣を思わせるフワフワの、流れるような長衣(ローブ)は、淡いスミレ色、バラ色、トパーズ色、オリーヴ色、空色、白が彩りよくまじり合った、ほんのりとした縞模様。」(以上「道」)、「すきとおったガウンをきらめくクモの巣のようになびかせて。」、「バラ色の爪先」【注;はだしではないようなのでダンス靴の色と思われる】(以上チクタク)。
【注】 虹の娘の衣裳は、必ずしも7色ではない。原文に出てくる色では、バラ色〜赤、トパーズ色〜橙/黄、オリーヴ色〜緑、空色〜青、スミレ色〜藍/紫がほぼ対応し、約5〜7色である。なお、「チクタク」での新井苑子の挿し絵(白黒)では、虹は6本の帯である。
【注】 「オズのブリキの木樵り」の新井の口絵では、「虹の娘」は黄色の大きなマントを持つ。
【注】 「虹の娘」の衣裳については、「オズのチクタク」における新井の表紙が分かり易い。羽衣(はごろも、うい)とともに古来からいう天女の着物である「霓裳」(げいしょう。虹のスカート。霓(げい)は虹の別字でほぼ同義。)を現代的にしたものを思わせる。西洋の少女天女としての「虹の娘」がイメージされる。なお韓国では、今日も霓裳といって新井苑子の絵によく似た三段重ねで、色を変化させた下着のスカート(ペチコートのようなもの)がある。
【注】 オズシリーズでの新井の絵では、「虹の娘」の衣裳は微妙に変わる。以下国内での発行順に見る。
(チクタク;1981)ローブも羽衣も5〜6色の虹色(青はない)。頭と腰に葉のついた3輪一組の赤い花の飾り。
(木樵り;1984)羽衣は赤/ピンク/橙の3色。ローブは、「チクタク」と同様の色配列順で上から紫、黄、赤の3色。頭と腰に葉のついた大輪の赤い花。唯一カラーで足先が見え、色は黄/橙でバラ色ではない。はだしか靴ばきかは判別できない。本文中の挿し絵(p147、道、白黒)では靴ばきに見える。
(道;1986)金髪にパーマ。羽衣は黄一色。肩をだし、他とデザインのちがうローブは色順のちがう3色。頭飾りの赤い花には葉がついておらず、腰の飾りもみえない。その結果、「チクタク」ではドロシーと年もそう変わらなく見えた「虹の娘」が、「道」では、ドロシーが依然として子供こどもしているのに対して、たいそう大人びて見える。

★「オズ」の入手について★
「オズ」シリーズを調べるには、全14冊を入手する必要がありました。原語は、インターネットで見ることができましたが、日本語訳は、事実上「ハヤカワ文庫NV」しかありません。そして、当の早川書房でさえ今や2種類(「魔法使い」と「エメラルド」)しか在庫がありません。本屋にもまれに「オズマ姫」や「つぎはぎ」が出ていたくらいで、全14冊を入手することは大変困難です。古本好きの私は、古本屋をのぞくたびに「オズ」を探しました。その結果、長い間かかって必要な14冊を手に入れましたが、なかなか見つからないので、見つかると、すでに持っていてもつい買ってしまいました。一方真留子さんのHPで「オズ」が入手できずに困っている人が多いことも分かりました。そんなこんなで、自分の分を除き、余分に入手したものを、「オズ」を探している人にお分けすることにしました。
以来1年半の間に100冊以上のオズをご希望の方に届けてきました。その間、小学生さんや日本や外国の女子大生さん、学校の先生や青年、中年男性、そして一番多かったのは若いお母さんが子供に読ませたいというものでした。しかし関東では、今や古本屋で絶版のオズを見つけることは稀になり、私が皆さんのために入手する事も難しくなってしまいました。どうしてもよいう方は、やや高いですがネットショップで見つけることもできます。そのような訳で100冊を契機に、虹野が新しいオズを探す事は一旦休止し、機会があれば再開したいと思います。現在手持ちの以下のオズのみをお譲り致します。
【すでに20人の方に107冊のオズ本が渡っていきました。14冊揃えた方も6人います。】
◎お分けできる本の題名(すべてハヤカワNV)
「オズマ姫」
(Sorry, 売り切れです。)「虹の国」「つぎはぎ姫」「木樵り」「地下の国」「つづく道」「チクタク」「リンキティンク」「プリンセス」「魔法くらべ」「グリンダ」「魔法使い」「かかし」「エメラルド」
すべて古本ですので、多少の痛みや汚れはご容赦ください。一部複数冊あります。
○入手には、それぞれ多少お金がかかっていますが、古本屋のすみに埋もれているよりはと思って買ったものですので、読んでくれる人にお回ししたいと思います。価格は、送料+100円/1冊です。)
○ 連絡先   rainbowmuseum@yahoo.co.jp
メールで申し込んでください。 申し込みがあれば、郵送でお送りし、着きましたら代金相当の郵便切手をお送りください。できれば記念切手・特殊切手がいいですね。種類は問いません。 普通切手でも結構です。多めに入れて下さっても結構です。
○万一、冊数以上の方からの申し込みがありました場合には、原則として申し込み順に致します。また原則としてお一人、一冊としてください、と思いましたが、申し込みが少ないので、ご希望があれば遠慮なくご連絡ください。研究用・教育用に使いたい人と、オズ狂いで本が無いと死にそうだということを証明できる人は特に便宜をおはかりします。

                               (了)
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