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虹のギャラリー welcome to mythmusueum虹のすみかIRIS(加藤荊)

 虹に関する神話伝説は、非常に多くまた自然現象を元にするものであることから、広く世界にまたがっている。そしてそれらには少なからぬ共通性と類型的な面がある。これに関する分析・研究は相当深く行われており、大林多良により集大成的著作(「銀河の道 虹の懸け橋」小学館)が出されている。いずれそれらも本ページで紹介することとし、全体の理解のためここでは「世界シンボル事典」の記述を紹介した。

【世界シンボル大事典】(シュバリエ、ゲールブル著。大修館)より。 虹:rainbow: arc-en-ciel
【一般・媒介】


 虹は、地上と天井とを結ぶ<道>であり、<媒介>である。 神々と英雄たちが、あの世とこの世を行き来するのに使う<橋>である。このような、ほとんど普遍的ともいえる機能は、ミグミー族にも、ポリネシアニも、インドネシア、メラネシア、日本にもあることが確認されている。ヨーロッパ以外の文明に限ってもこれだけある。
【象徴・橋】















 スカンディナヴィアではビフロストの橋(注1)日本では「天の浮橋」(注2)。ブッダが天から降りてきた7色の階段は、虹である。同様の概念は、イランからアフリカまで、北アメリカから中国にまで見出される。チベットでは虹は橋(pont)そのものではない。昇天する君主の魂なのである。そこで間接的に<ポンティフェクス>(大神宮)つまり天と地の橋渡しの概念に導かれる。虹と天の両者は語源的にも象徴的にも関連があり、天のプルトン語<kanevedenn>は、古ケルト語の原型<kambonemos>「天の曲線」を前提とする。それで、虹の象徴的意味は<天>と<橋>の象徴的意味と結びつく。(OGAC,12,186)
 ブリヤート族のシャーマンが利用するリボンは、虹と命名され、「一般にシャーマンは、天への上昇を象徴する。」(ELIC,132)。
 中央アフリカのピグミーの信仰では、神は彼らと親交を結ぶ意図を虹によって示す。
 虹は、天界の神の属性が、太陽神へ移った例なのだ。「虹は天界の神が顕現する場と考えられて、太陽と結びつき、フェゴ島人にとっては太陽の兄弟とな る。」(ELIT,SCHP,79)
 ドゴン族の場合、虹は、太陽を生み雨を放尿する白羊宮が地上に降下する<道>とみなされる。カメレオンは虹と同色なのだから、虹と関係がある。やはりドゴン族の信仰では、虹には黒・赤・黄・緑の4色があり、白羊宮で木靴で走ったときにできた足跡である(GRIE)。
 ギリシャでは、虹は神々の使者の女神イリスだ。また一般に天と地の神々と人間の関係を象徴する。虹は神の言葉である。
【5色の虹】




 中国では、虹にあるとされる5色の結合は、<陰>と<陽>の結合に当たる。これは宇宙の調和のしるしであり、また宇宙の豊饒のしるしである。
シヴァ神の弓は虹に似ているが、インドラ神の弓はまさしく虹とされる(インドラ神の弓を意味する<エイントナ>は、今日でもカンボジアではインドラを指す)。ところでインドラ神は地上に雨と雷を放つが、この2つとも天の活動の象徴である。
【7色の虹】



 5色でなく7色の虹は、イスラム神秘主義において、宇宙に反映された神の美点のイメージを表す。なぜなら、虹は「雨という不安定なヴェールに映った太陽の逆のイメージ」(ジーリー)だからである。インドやメソポタミアでは虹の7色は、7天と同一視される。チベットの仏教によれば、雲と虹は<サンボーガ・カーヤ>(報身(ほうじん))と、その雨への解消は<ニルマーナ・カーヤ>(化身)を象徴する。
【旧約聖書】





 反対物の結合(l'union)とは、分離した両半分の「再結合」(la re-union)であり、溶解である。そこでゲノンが示唆するように、ノアの方舟の上方に現れた虹は、「世界卵」の片割れである「下の水」と「上の水」とを再結合し、宇宙秩序の再生と新しい循環の懐胎を象徴する。聖書はもっとはっきりと虹を「契約」の具体的表れとする。「さらに神はいわれた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と代々とこしえにわたしが立てた契約のしるしはこれである。すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる」」(『創世記』9,12-17)
【新約聖書】





 ド・シャンポーは、同じイメージを新約聖書の中に見出す。ペテロの舟がノアの方舟を引き継ぐのだ。「この貝殻の内部に教会の秘跡が封じ込められている。秘跡はその使命からいっても、正方形に象徴される宇宙と共通の外延を持つ。ノアとともに、神は<新しい宇宙>の正方形を、神意の虹色に輝く<円>の中に前もって組み入れた。神は新しいエルサレムの計画案を立てた。この契約はすでに成就であり聖母の被昇天である。なぜなら神は約束を違えないから。光背をつけたビザンティンあるいはローマのキリスト像を、しばしば虹に包まれて君臨する。」(CHAS,108)
【ヘビ】











 雨と虹が結びつくことから、多くの伝承では、虹が神話のヘビのイメージを連想させる。
 東アジアでは地下世界から出てきた<ナーガ>[ ヘビ、竜 ]になる。この象徴体系はアフリカや、ゲノンによればおそらくギリシャでも見られる。というのはアガメムノンの鎧に、虹が3匹のヘビで表されるからだ。それはともかく、この象徴は天地の間に展開される「宇宙的交流」と関連する。ブッダの虹の階段は、2匹の<ナーガ>を段にする。同様の象徴的意味はアンコール(アンコール・トム、プレア・カン、バンテアイ・サレム)にも見出され、ここでは<ナーガ>の手すりのついた道が虹のイメージである。そのことはアンコール・トムでは、道の端にインドラ神がいることによって裏づけられる。付け加えておけば、アンコールでは同じ概念が門(もちろん天の門)の横木に表される。
 <インドラ>神と<マカラ(魔竭魚)>が2匹の<ナーガ>を吐き出す。「マカラのアーチ」が虹と天の雨を象徴するのは非常に一般的である。中国の伝説では仙人がヘビのようにとぐろを巻いた虹に変身する。これに関連してさらに次の点を指摘しておこう。虹を示す漢字が少なくとも5つあり、どれも部首に<虫>を含む。(注3)へびと同じ部首である。
【不吉】













付け加えれば、虹が周期的再生と結びついて(だから伏羲の誕生時に虹が現れ た。)(注4)、一般に吉兆を告げるとしても、宇宙の調和に混乱が生じる前兆になりうるし、さらに恐るべき意味になることさえある。同一の象徴的観念複合体の別の面、左側あるいは夜の面なのである。淮南子が書いている。「国家の滅亡の危機にあるとき、天の様相が一変し、・・、虹が現れる・・」。
 南ベトナムの山岳民族では、虹を媒介とした天地の関係は不吉であって、病気や死をもたらす。虹の意味の<プル・ラカン>は起源が不吉で、指したりすればレプラ(注5)を招きかねない。ピグミー族の場合、「天の危険なヘビ」であり、2匹のくっついたヘビによりできた太陽のアーチのようなものである。ネグリト・セマン族(注6、注7)では、虹はニシキヘビだ。ときどき「天空に忍び込んで風呂に入る。そのとき、ありとあらゆる色で輝く。浴槽から水をこぼすと、地上で太陽の雨となり、人間にとって極めて危険な水である。」
 ネグリト・アンダマン諸島民(注8)にも、災いをもたらす。森の精のタムタム(太 鼓)であって、虹が出ると病気と死の予告になる(SCHP,157;167)。
 逆にコロンビアのチブチャ族は妊娠した女の守護神とみなした(TRIB,130)。
 インカ族の場合(LEHC)、虹は雷と雨の神イヤパの羽冠である。イヤパは残忍で手に負えない人間とみなされ、したがって古代ペルー人は虹を見ようとせず、もし見てしまうと手で口を閉じた。
 プエブロ・インディアン(注9)は、地下神殿の内部に通じる、だから象徴的に地下の勢力の領域に通じる<梯子>を虹と名づけた。
 インカ族にとっても、虹は不吉で、天のヘビだ。「このヘビがまだウジ虫でしかなかった頃、人間に拾われ、食べに食べたせいで巨大になった。食料に人間の心臓を要求したために、人間はヘビを殺さざるを得なくなった。鳥がその血に身を浸すと、羽毛が虹色の鮮やかな色彩に染まった」。
 中央アジアでは、「虹が川や湖の水を吸い込んだり飲んだりすると、かなり一般的に信じられている。ヤクート族(注10)は虹が虹が人間を地上からさらうことがあるとさえ信じている」。カフカス山脈では、虹によって雲の間に連れさられないようにと、子供たちに注意する(HARA,152)。
・・・・・・・・・・・・        ◆以下の注は管理人による。「日本大百科事典」等を参照した。
注1「ビフロストの橋」





 北欧神話における虹の橋。アースガルド(ユグドラシル(「世界樹」とも呼ばれ、それぞれの世界に泉の水分を吸い上げて生命をもたらす。その根は途方もなく世界各地へと伸びている。)の上にあり、多くの神々の館が建つ神々の世界)とミッドガルド(人間たちが住む世界)とをつなぐ役割を持つ、虹の橋。守護神「ヘイムダル」(アース神族の一人。 九人姉妹の巨人たちから、太古に生まれた神。ビフロストの近くのヒミンビョルグ(天山)に住み、巨人族の動向を見張っている。彼は鳥よりも睡眠を必要とせず、夜でも昼でも百マイル先を見る目を持ち、草原の草 や羊の毛の伸びる音まで聞き取れたという。)が守る。ビルフロストはヘイムダル自身であるとも云われる。 巨人族が押し寄せる時はギャラルホルンを吹いて警告する。
注2「天の浮き橋」

 『古事記』の日本創成神話に登場する神の橋。イザナギとイザナミの二神が天の浮き橋に立って、その沼矛(ぬぼこ)を海に下ろして塩をかき混ぜて引き上げると、さきからしたたり落ちた塩が積もってオノゴロ島となったとされ、天の浮き橋は、虹であると云われる。
注3「虹」の漢字
「虹」、「虫+兒」、「虫+帯」、「虫+東」、「虫+双/双」(以上「虫」 (むしへん)部)、「霓」。以上合計すると「虹」を表す漢字は6字あるが、変形として「工」の下に「虫」と書かれる文字もある。
注4「伏羲(ふつき)」

 姓は風。史記には蛇身人首とある。観察力があり、天地や自身、動物、事象を参考に八卦(易の判断の形)を生み出した。政治を明確にし、婚姻の制度をつくり、漁猟を教えたため人民は皆服従した。三皇とは伏羲、神農、黄帝。五帝とは帝少昊、帝せんぎょく、帝こく、帝堯、帝舜のこと。
注5「レプラ」
 ハンセン病(Hansen's disease)のこと。らい leprosy、らい病、レプラ lepra(ラテン語)。古くは天刑病ともいわれ、聖書や仏典にも記載されてい る。
注6「ネグリト」


 ネグリト/ Negrito。広義にはアフリカのピグミー(ムブティ)を含むが、通常、マレー半島のセマン、フィリピンのアエタ、アンダマン島先住民をさす。
ネグリトとはスペイン語で「小さな黒人」という意味の人種用語。ネグリトの起源、歴史などはよくわかっていないが、明らかにアジアにおける古い人種であり、かつては広い地域にわたって住んでいた。
注7「セマン」


 セマン(人)/ Semang。 マレー半島北部山岳地帯の山麓(さんろく)部に住む狩猟採集民。マレーシアの西部でセマン、東部でパンガンとよばれていた。20世紀初めまでは弓矢を使用していたが、現在はセノイから伝来した吹き矢が唯一の狩猟具となっており、カメ、トカゲ、ネズミなどの小動物をとることもセマンの食料として重要である。しかし、食物の大部分は採集で得られるヤムイモ、果実類の植物性である。
注8「アンダマン諸島」
 アンダマン諸島/ Andaman Islands。ベンガル湾南東部、ミャンマーのネグレイス岬の南に位置する弧状列島。204島からなる。面積6475平方キロ、人口24万0089(1991)。北アンダマン、中アンダマン、南アンダマンの連続する3島が大きく、大アンダマン諸島とよばれる。
注9「プエブロ・インディアン」
 アメリカ合衆国、ニュー・メキシコ州とアリゾナ州に住む北米先住民(アメリカ・インディアン)。16世紀にスペイン人がこの地にきたとき、日干しれんがの密集したアパート式共同家屋に住んでいたためプエブロ(村)と名づけられた。トウモロコシ、カボチャ、豆類を主作物とする灌漑(かんがい)農耕民である。
注10「ヤクート」  東シベリアで、ブリヤートに次いで大きな民族。自称はサハ/Sahaという。


イリス  ギリシャ(ローマ)神話の「虹の女神」

タウマス(ガイアとポントスの子)とエレクトラ(オケアノスの娘)の娘。背に黄金の翼を持った神々の伝令神であり、虹にのって空をかけめぐる。
神々が絶対破ることができない「ステュクスの誓い」では、彼女がステュクス川の水をくんでくる役目がある。
(タウマスとエレクトラは、ハルピュイアイ三姉妹をも儲けた。ハルピュイアイ姉妹は貧食で老女の頭を持った鳥であり、人を冥土へさらうとも言われる。同じ親なのに、美しく、神となったイリスとの差が際立つ。)

「ギリシャ神話小事典」バーナードエヴスリンより
虹の女神で、ヘラの使者。彼女はちょうどヘルメスがゼウスのためにしたように、ヘラの使いであちこち飛びまわった。しかし彼女はまことに善良な性格の持主で、ほかの神々の使者役も同様に勤めた。
彼女は生まれつきの仲裁役だった。激しいあらしのあと、彼女は空にいくつもの色を取り合わせたアーチ型の虹をかけ、人々の気持ちを好天の希望で喜ばせるのだった。
彼女の人の良さはかくべつだったので、ゼウスが自分のアフロディテとの情事をかくすために、彼らの息子のエロスは、じつはイリスと西風(ゼフィロス)との間にできた子だといううわさを広めたとときにも、一言も抗議の言葉を口にしなかった。ヘラはこんなことではだまされず、そうした話が流布しているのを黙認していると言ってイリスを激しくなじった。イリスは自分を弁護しなかった。最初彼女はそっと泣き、それからヘラにほほえみかけた。そのほほえみはあらしの雲の間から輝く虹の光のように、涙のなかにきらめき、そのありさまがあまりにも心を魅了したので、ヘラは、オリュンポスの記録では始めて、叱ることを思いとどまったのである。


イリスは美しい娘なので、ゼウスが例によってイリスに言い寄った。イリスはこれを拒んだがゼウスが余りにしつこいので、ヘラにいとまを申し出た。ヘラはイリスの心に感じて、イリスに七色に輝く首飾りと、大空を渡る翼を与え、神酒を三度ふりかけて、虹の女神とした。その神酒が地上にこぼれ、アイリスの花となったという。
虹の女神となったイリスが、神々の使者を務めるとき、イリスが通ったあとには虹がかかった。

 イリスは、ギリシャ語で虹の意味で(スペイン語、ポルトガル語なども)ある。古代ギリシャでは、アイリスが女性の霊魂を天国に案内すると云われていた。

 なおフランスでは、アイリスは王室の紋章で、国花になった。
また、目の「虹彩」は英語では"iris"(イリスまたはアイリス)とよぶが、これは虹彩をその色から虹になぞらえたものである。

ギリシャ・ローマ神話文化事典(ルネ・マルタン 松村一男訳 原書房)
イリス IRIS
 オリュムポス神以前の神々の一人で、虹の人格化。オケアノスの一族で、 ハルピュイアイの姉妹。虹からの連想で、天空と地上、人間と神々の連絡役 とされた。彼女は神々、特にゼウスとヘラの伝令の役割を果たし、たとえ冥 界までも彼らの命令を伝えた。ホメロスは<風のように速く走るイリス>と いい、しばしばヘルメスのように翼の生えたサンダルを履き、カドゥケスを 手にしている。イリスは金の翼を広げ、軽やかに空を駆けては7色の<虹を 作る(s'iriser)>。
◆ 言語
 <イリス>という名詞は、眼球の中央前面にある粘膜(虹彩)や、 大輪の花を咲かせる装飾用植物(アイリス)、南方に棲息する昆虫、虹など さまざまなものを意味するが、これは女神の名と同じ形の「虹」を意味する ギリシャ語普通名詞に由来する(形容詞形irise'「虹色に輝く」を参照)。
◆美術 「イリス」
ガイ・ヘード、18世紀、ローマ、S.リュック・ギャ ラリー
ロダン、ブロンズ、19世紀、パリ。
IRIS
"IRIS"(古代ギリシャのつぼの装飾絵)




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