特別展示室
虹のギャラリー
万華鏡2(加藤荊)
与謝野晶子と虹の特集です。
与謝野晶子は、その詩歌で何度か虹を詠っています。自然現象としての虹を詠むというより、何かの象徴としての虹、あるいは心象としての虹です。みなさんはどう読みますか。
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詩
「絵師よ」より 与謝野晶子「与謝野晶子詩歌集」(青春の詩集 日本篇11 神保光太郎篇 白鳳社昭和51年7月新装版)
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おお、愛欲の炎、
陶酔の虹、
直感の電光、
芸術本能の噴水。
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「真珠貝」より 与謝野晶子(同上)
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東に昇る「あけぼの」は
その温き薔薇色を、
夜行く月は水色を、
虹は不思議の輝きを、
ともに空より投げかけて、
砂は真珠となりゆけど、
それとは知らず、貝の身は
浪に揺られて常に泣く。
短歌
「みだれ髪」より 鳳晶子
(臙脂紫)
紫の濃き虹説きしさかづきに映る春の子眉毛かぼそき
秋の神のみけし御衣より曳く白き虹ものおもふ子の額に消えぬ
紫の虹の滴り花におちて成りしかひなの夢うたがふな
(蓮の花船)
とき髪をわかえ若枝にからむ風の西よ二尺足らぬうつくしき虹
小百合さく小草がなかに君まてば野末にほひて虹あらはれぬ
(はたち妻)
露にさめて瞳もたぐる野の色よ夢のただちの紫の虹
(春思)
もろき虹の七いろ恋ふるちさき者よめでたからずや魔神(まがみ)の翼
春の虹ねりのくけ紐たぐります羞(はじろ)ひ神の暁(あけ)のかをりよ
歌の手に葡萄をぬすむ子の髪のやはらかいかな虹のあさあけ
「恋衣」より 與謝野晶子
(曙染)
わが恋は虹にもまして美しきいなづまとこそ似むと願ひぬ
鳥と云はず白日虹のさす空を飛ばば翅ある虫の雌雄とも
「小扇」より 与謝野晶子
(うつくし)
うしなひし物か得ざりし或るものかそれに似たりと仰ぎ見る虹
(朝寝髪)
白虹の秋の日をさす眼は父に春のうれひの母おびし眉
童謡
「願い」 与謝野晶子
(「日本童謡選集」(1921)。岩波文庫日本童謡集所収)
虹のような衣物(きもの)
光る衣物
着いたいな
鳩のような白靴(しろぐつ)
細靴(ほそぐつ)
穿(は)きたいな
天馬のような大馬
青い馬
乗りたいな
みんなで着いたいな
みんなで穿きたいな
みんなで乗りたいな
そしてみんなで行きたいな
森の奥の花園へ
みんなで踊りに行きたいな
(了)