診療内容・実績
腎臓・高血圧内科のスタッフは、開院当初から血液浄化療法(血液透析はじめ血漿交換など)にも従事しており、機会的蛋白尿・血尿から末期腎不全に至るまで、そして全身性エリテマトーデスなど難治性疾患に対する特殊血液浄化療法を含め、幅広い診療をしています。
蛋白尿・血尿の時点で、適応があれば安全且つ積極的に腎生検をし、腎炎・ネフローゼの多くを治癒可能に導いています。
腎生検数は、毎年100例以上あり、この20年間に2000例を超えました。
腎臓は全身の循環を調節する要の臓器であり、高血圧の原因臓器でもありますので、高血圧の精査やコントロールも行っています。
糸球体腎炎特にIgA腎症は最も頻度の高い腎炎で、当科では成人で600例以上の腎生検による診断と治療を行っています。
治療法として、通常のステロイド免疫抑制療法の他、最近注目されている扁桃腺摘除+ステロイドパルス療法も実施することでIgA腎症の治癒症例が増えています。
その他、膜性腎症170例、ループス腎炎114例、顕微鏡的多発血管炎101例、巣状糸球体硬化症97例などがあり、年々診療実績が増えています。
糖尿病性腎症腎不全の原因疾患の第1位で40%以上を占めており、当院でも新規透析導入の約半数が糖尿病性腎症です。
2位・3位は、慢性腎炎と腎硬化症で、これら3疾患による慢性腎不全の患者さんを対象に、毎週1〜2人の短期(1週間以内)教育入院を行う腎不全教室を設けています。
教室では、(1)医師・看護師と腎臓の働きや病気と治療法の基本的な理解を深めるために、(2)栄養士と具体的で実践的な食事療法を勉強するために、(3)薬剤師とは服薬指導を受けるために、マンツーマンのQ&A(質疑応答)形式を採用しています。これで患者さんのモチベーションが高まって、数年間腎不全の進行が止まっている症例も数十例あります。
常染色体優性多発性のう胞腎腎臓にのう胞という袋がたくさんできて、大きくなるために、腎臓の力が少しずつ落ちていく病気です。
これまで、根本的な治療法はありませんでしたが、2014年3月から世界に先駆けて日本で、のう胞が大きくなることや、腎臓の力が落ちるのを抑える飲み薬、サムスカ®(トルバプタン)が使えるようになりました。2015年1月からは、難病医療費助成制度の対象となり、費用負担が軽くなって、より身近な薬となっています。
内服開始に必要な短期入院時に、eラーニングを受講して処方可能な当科の医師から、種々の検査、服用継続の説明や薬剤量の調整を十分に行うことで、良好な治療継続率や治療効果が得られています。
ファブリー病アガルシダーゼαという酵素の力が遺伝的に弱っているために、患者さんによって様々ですが、心臓、腎臓、皮膚、神経、眼などの全身の臓器が弱る可能性のある病気です。
このため、早期診断、早期治療が重要になります。診断に関しては、当院の遺伝子診療部で、採血による遺伝子診断が可能です。また、ファブリー病に特徴的な尿所見であるマルベリー小体の同定が、当院の臨床検査技師により可能です。
治療に関しては、2004年から点滴による酵素補充療法が可能となり、当院でも数名の患者さんに行っており、良好な治療効果が得られています。
腎移植については、透析導入となった患者さんの希望を聞いて前述のように泌尿器科で実施しています。泌尿器科での症例数(主に生体腎移植)は1人/月(年間10〜12例)で、5年生着率は約95%です。
血漿交換や各種吸着療法など特殊血液浄化療法の症例数は年間35〜40例で、年によってバラツキはありますが、難治性潰瘍性大腸炎が最も多く(13〜15例)、全身性エリテマトーデスなど難治性の自己免疫疾患(6〜8例)、ギランバレー症候群(3〜5例)などです。
高血圧は、心・血管疾患の重要な危険因子ゆえ、生活習慣の改善と適切な降圧薬の選択に重点を置き、家庭血圧測定も取り入れ、地域医療の医師と協力して外来コントロールに努めています。
対象とする症状・疾患と平成26年度の症例数(一部)
- 症状:
- 高血圧、浮腫、蛋白尿、血尿など
- 疾患:
- 急性・慢性腎炎、ネフローゼ症候群、急性・慢性腎不全(透析療法の要否を問わず)、高血圧(含む二次性)、糖尿病性腎症、全身性エリテマトーデス、腎障害を伴う血管炎などから末期腎不全に至るまで、そして全身性エリテマトーデスなど難治性疾患に対する特殊血液浄化療法を含め、幅広い診療をしています。
1.平成26年に実施した
腎生検 155 例の内訳
- IgA腎症
- 40例
- 膜性腎症
- 11例
- non-IgA メサンジウム増殖性腎炎
- 10例
- 糖尿病性腎症
- 10例
- ANCA関連腎炎
- 9例
- 微小変化型ネフローゼ
- 8例
- 巣状糸球体硬化症
- 7例
- 紫斑病性腎炎
- 7例
- 膜性増殖性糸球体腎炎
- 6例
- 間質性腎炎
- 5例
- ループス腎炎
- 3例
- 骨髄腫腎
- 3例
- Goodpasture症候群
- 2例
- 骨髄腫腎
- 3例
- その他
強皮症腎、C3腎症、IgG4関連腎症、ファブリー病、アミロイドーシス、沈着腎症、シュウ酸腎症、アルポートなど - 34例
2.平成26年に血液透析導入した
原疾患 74 例の内訳
- 糖尿病
- 27例
- 慢性糸球体腎炎
- 20例
- 多発性嚢胞腎
- 7例
- 腎硬化症
- 4例
- 急速進行性糸球体腎炎
- 1例
- 腎尿路系腫瘍
- 2例
- その他
- 13例
3.平成26年に実施した
特殊血液浄化 174件の疾患内訳
- 潰瘍性大腸炎
- 63件
- 肝不全
- 27件
- 腎移植前後
- 24件
- 血管炎症候群
- 17件
- シェーグレン症候群
- 12件
- ギラン・バレー症候群
- 10件
- 重症筋無力症
- 4件
- 成人スティル病
- 3件
- 全身性エリテマトーデス
- 3件
- 血球貪食症候群
- 1件
- その他
- 10件
