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活字乱読

 

  重症の活字中毒、小学生の頃から本が大好き、目が悪くなろうと寝不足も平気、が

最近は老眼が最大の敵

作家索引
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2008年読書日記70冊 2009年読書日記59冊  

2010年読書日記42冊
「暗鬼」(乃南アサ)
「家守綺譚」(梨木香歩)
「ICO:イコ 霧の城」(宮部みゆき)
「遺稿集」(鴨志田穣)
「いっぺんさん」(朱川湊人)
「うなぎ鬼」(高田侑)
「エア」(ジェフ・ライマン
「獲物のQ」(スー・グラフトン)
「オリガ」(ステファニー・ウイリアムズ
「薄妃の恋」(仁木秀之)
「八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅」(清川妙)
「花まんま」(朱川湊人)
「蛇にピアス」(金原ひとみ)
「僕僕先生」(仁木英之)
「僕たちは池を食べた」(春日武彦)
「ボトルネック」(米澤穂信)
「仮想儀礼 上・下」(篠田節子)
「かたみ歌」(朱川湊人)
「銀河不動産の超越」(森博嗣)
「ゲゲゲの女房」(武良布枝)
「告白」(湊かなえ)
「孤宿の人 上・下」(宮部みゆき)
「木漏れ日に泳ぐ魚」(恩田陸)
「窓際OL・トホホな朝 ウフフの夜」(斎藤由香)
「マンガ編集者狂笑録」(長谷邦夫)
「見えない貌」(夏樹静子)
「ミステリー・ウオーク 上下」(ロバート・R・マキャモン)
「無意味なものと不気味なもの」(春日武彦)
「さくら草」(永井するみ)
「スメラギの国」(朱川湊人)
「スリーピング・ドール」(ジェフリー・ディーヴァー)
「シャ−プ・ノース」(パトリック・ケイヴ)
「赤々煉恋」(朱川湊人)
「そろそろ旅に」(松井今朝子)
「ユゴーの不思議な発明」(ブライアン・セルズニック
「誘拐児」(翔田 寛)
「夜のピクニック」(恩田陸)
「ダブル」(永井するみ)
「テスタメント」(ジョン・グリシャム)
 
「長良川:スタンドバイミー1950」(松田悠八)
「汝の名」(明野照葉)
「沼地のある森を抜けて」(梨木香歩)
 

   

   <2010年9月読書日記>

       ◎ 「銀河不動産の超越」 森博嗣著(文藝春秋) new

            森先生の本は久しぶり、イメージしてた世界とは、ちょっと違ったけど、

            森先生らしいな。

            大学卒業した「高橋君」は、「気力」の無いままぼんやりとゆっくりと生きてきた、

            なんとか就職できた「銀河不動産」、社長「銀亀元治」と事務員「佐賀佐知子」の二人だけ、

            地元の大金持ち「間宮葉子」さんに出会い、彼女の「店子」なる、

            その一軒家は、不思議な建物だった・・・。

            登場人物が皆良いです、あぁ〜、御伽噺です、ほっとしました。

       ◎ 「オリガ:ロシア革命と中国国共内戦を生き抜いて」 ステファニー・ウイリアムズ著(ソニーマガジンズ) new

           著者の祖母「オリガ・ウンテル」の生涯を辿る物語、

           ロシア生まれの祖母「オリガ」とイギリス人の祖父「フレデリック」が出会ったのは「上海」だった、

           「なぜ?」と疑問を持った著者は、ソ連崩壊後にルーツを辿り、克明に書いている、

           その時代が、生生しく現れてきて、引き込まれました。

           恵まれた生まれのオリガだったから、生き抜けられたんだ、

           市井の人々は失意の中で消えていった、激動の世界大戦、父母の時代だった、

           遠いようで、ちょっと前。

        ◎ 「薄妃の恋」 仁木秀之著(新潮文庫) 

            「僕僕先生」の第二作品、五年振りに「僕僕先生」と会った「王弁君」は、また旅へ、

            出会う仲間もいいな。

            絶対「ハッピーエンド」の安心感、ほっとする、

            いまだ判らぬ「僕僕先生」の正体・・・、絶対「美少女」だと、信じたいな。

        ◎ 「うなぎ鬼」 高田侑著(新潮社) 

            借金苦から取立て屋になった「倉見勝」は、192センチ、120キロの巨漢ながら、

            小心者、社長の言うがままに「取立て」にいく。

            裏社会に飲むこまれつつ、自分も罪を犯す、なんか、救いの少ない物語だった、

            が、最後のページには、かすかな「希望」も・・・、きっと・・・。

            「黒牟(くろむ)」という町の風景が、「異界」への入り口だった、ゾクゾクってした。

        ◎ 「さくら草」 永井するみ著(東京創元社) 

            ローティーン少女むけのブランド「プリムローズ」、それを着た少女達が殺される。

            追う刑事「白石理恵」と、メーカーのマネージャー「日比野晶子」、

            有名ブランドが欲しい人達と、それを売り出す側、

            交差する出来事が、緊張感を持って進みます、

            犯人はちょっと意外だった。

        ◎ 「ミステリー・ウオーク 上下」 ロバート・R・マキャモン著(創元社推理文庫) 

            ビリーは、不思議な力を持ったチョクトー・インデアン族の母親と、白人の父親を持ち、

            南部の田舎町で、貧しい暮らしの中で育った。

            ビリーにも母親からの「力」が遺伝していた・・・。

            町の人々の偏見の中、一族の誇りと尊厳を守る母親、

            引き裂かれそうになっても母子を守る父親、そして数々の事件が起きる。

            長編です、それでも、ちっとも長くない、驚きの展開にぐんぐん引きこまれる、

            マキャモンの初期作品。

   <2010年8月読書日記>   

        ◎ 「ダブル」 永井するみ著(双葉社) 

            事故なのか事件なのか、あいまいな事故に興味を持った、雑誌記者「相馬多恵」は、

            取材中に、一人の女性にたどり着く。

            幸せな新婚の妊婦だが、何かがひっかかるのだ・・・。

            心のなかで「死ね」と思ったこと、誰にもありそうだが、 じんわりと怖い話だった、

            残されたオタク青年「佐藤」の『すごく寂しい』ってセリフ、jジーンとした。

        ◎ 「仮想儀礼 上・下」 篠田節子著(新潮社)

            元役人の「鈴木正彦」と、元雑誌編集者「矢口誠」、二人は失業中であり、

            失業した理由も関わりのある「腐れ縁」だった。

            二人は「金儲け」のため、宗教を立ち上げる・・・。

            ネットで開始、マンションの一室から始める、

            カルトにならぬように「あいまい」なままの教義だったが、組織が大きくなるにつれ、

            思わぬ方向へと、突き進んでいく。

            思いっきり「カルト」になっていく、はらはらしながら読みすすんだ、

            正彦の持つ「常識」と「見識」が、救いにならない、現れる信者の要求が大きく深いのだ、

            宗教って、なんだろなー、・・・。

       ◎ 「テスタメント」 ジョン・グリシャム著(新潮社) 

           大富豪「トロイ・フェラン」が自社ビルから飛び降りて死んだ、その莫大な遺産の行方は!

           3人の元妻、それぞれの子供達6人は、放埓に金を使い、ほとんど「破産状態」にあった、

           父親の遺産が総てを解消してくれるはずだったが、

           相続人はたった一人、婚外子の「レイチェル・レイン」だった。

           彼女は宣教師としてブラジル奥地の秘境で働いているらしい・・・。

           その彼女を探す仕事を任命されたのは、「アル中」の治療施設にいた「ネイト・オイラリー」

           弁護士だが、過去の重荷から、いやおう無くブラジルへ向かう・・・。

           フェランの子供達と弁護士の攻防と、ブラジルでのレイチェル探しが交互にあり、

           ぐんぐん引き込まれていった、分厚い二段組が短く感じた。

           翻訳本の読みにくさが無いのは、訳者なのか原作なのか、どちらだろうな。

   2010年7月読書日記> 

       ◎ 「見えない貌」 夏樹静子著(光文社) 

           結婚した娘「晴菜」が行方不明に、

           「朔子」は娘夫婦のマンションに行き娘の生活を知ることになる、

           出張の多い夫、子供は無く、メールで「出会い系サイト」にはまっていた。

           ダム湖で発見された死体が、「晴菜」であることがわかり、警察は「メル友」を捜す、

           娘の遺品整理中に、隠されていた「携帯電話」」を見つけた朔子は、

           その携帯電話が、一人の人物とのメールしか残っていないことを知る。

           そして、一人でその人物との接触を計る・・・。

           途中まではなんとなく予測がついて、そのまま進行します、

           が、思いがけない結末が待ってました、さすがだ。

       ◎ 「遺稿集」 鴨志田穣著(講談社) 

            カモちゃんの「未刊原稿」集。

            未刊小説、ブログ記事、西原とであった頃の話・・・、

            「死」の影さえかけらもない頃、まだまだ沢山作品を残しただろうな、残念。

            「アル中」になるほど、戦地は厳しかったのだろうか、

            平和で日常の不満で「愚痴」だらけの自分に問うて見る・・・、

            カモちゃん、そんな私に「かつ」を入れる作品を書いて欲しかったよ!

       ◎ 「誘拐児」 翔田 寛著(講談社) 

            第54回江戸川乱歩賞作品。

            昭和21年、戦後の混乱期に誘拐事件が発生、犯人逃亡し子供は返ってこなかった。

            それから15年後の、昭和36年、貧しい母子家庭で育った「谷口良雄」、

            母の今際の言葉に、衝撃を受ける、それは子供の頃からの疑問に照合するものでもあった。

            良雄と恋人との真相探しと、警察の捜査が交互に書かれて、収斂する、

            ちょっと予想はついたが、最後まで面白く読んだ、戦後の混乱期が舞台なのが納得。

       ◎ 「八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅」 清川妙著(小学館) 

           著者「清川妙」さん、53歳から英会話を本格的に開始、その熱意はすごい、

           そして「イギリスひとり旅」へと、その旅もいいなー。

           正直、うらやましい、脱帽・・・、まだ58才だよ自分、疲れてる場合じゃないよ、

           且つを入れられました。

   <2010年6月読書日記> 

       ◎ 「告白」 湊かなえ著(双葉文庫) 

            映画化され話題の本、文庫になっていたのです。

            子供が事故死した教師の終業式での「告白」から始まります、

            教え子、犯人、家族・・・、それぞれの「告白」が続く。

            読み始めたら一気でした、やる切れなさが残ったが、現実とリンクしていて、

            ガツンと来る作品だった、話題になる理由が、あるんだ。

      ◎ 「窓際OL・トホホな朝 ウフフの夜」 斎藤由香著(新潮社) 

           サントリーの広報部から健康食品部に異動となり、

           ED(勃起不全・勃起障害)に効くという、健康食品「マカ」を売リこむことになった、

           窓際OLの会社話。

           斎藤由香氏が「北杜夫」氏のお嬢さんだったとは、知らずに借りたが、

           なかなか上手いです、祖父・父の話も出てきて、十分の「七光り」です、

           本人も認めているので、いいでしょうね、売り上げも「6000%」達成だし、

           6年前の本ですが、「窓際OL」シリーズは4作もあるんだな、探してみよう。

   2010年5月読書日記> 

       ◎ 「夜のピクニック」 恩田陸著(新潮社) 

           高校三年生の「西脇融」と「甲田貴子」、「北高鍛錬歩行祭」も今年で最後だ、

           それぞれの「わだかまり」が、ひたすら歩く仲間達との関わりに中で解けていく。

           あぁ〜、懐かしく切ない「青春」の1ページだったです、上手いな「恩田陸」

           だって、私とダンナは同じ高校、同じ経験は無いが、同じ空気を吸っていた、

           それは、今振り返ると、貴重な時間だった。

       ◎ 「蛇にピアス」 金原ひとみ著(集英社)

            題名は知っていた、読んで驚く「若い文学」だった。

            「パンク」と書いてあったが、そうなんだろうな・・・。

            「痛そう」な物語、「花村満月」とは違うが、同じような「匂い」を感じた。

            主人公達の年齢が分かって、自分のその頃を思い出し、

            その「老成」は、なぜなんだ、時代のせいなのか?

            好きでは無いが、面白かった。

        ◎ 「マンガ編集者狂笑録」 長谷邦夫著(水声社) 

            マンガ雑誌の編集者九人の物語、「ガロ」長井勝一、「ジャングル大帝」加藤謙一、

            「川崎のぼる」松坂邦義、「手塚治虫」丸山昭、「少年チャンピオン」壁村耐三、

            「漫画サンデー」峯島正行、「少年マガジン」内田勝・宮原照夫、「少年ジャンプ」長野規、

            「浦沢直樹」長崎尚志。

            表舞台には出ない編集者のこと、まったく知らなかった、

            フィクションになっているが、その「熱さ」は現実だったんだろうと思わせる。

            最近は、ほとんどマンガを読まなくなった、今でも編集者達は狂騒してるのだろうか。

        ◎ 「沼地のある森を抜けて」 梨木香歩著(新潮社) 

            時子叔母が死んで、そのマンションと共に「ぬか床」を引き取った私、

            その「ぬか床」から、不思議な出来事が発生してくる・・・。

            なんというか、SFぽいのだが、昔話のようでもあり、今の話でもある、

            舞台はたぶん「屋久島」か、その濃密な空気は伝わってきた。

            間に挟まった「菌類」の話、繋がっているのだろうが、ピンと来なかった、

            必要だったのかな?

            「ぬか床」の秘密が現れる中盤までが、面白かったな。

        ◎ 「ゲゲゲの女房」 武良布枝著(実業之日本社) 

            NHKドラマ「ゲゲゲの女房」が面白くて原作本を買いました。

            布団に入って読み始め、引き込まれて一気読み。

            子供の頃の「貸本マンガ」の記憶も、紙芝居に記憶も、

            「ガロ」も、テレビアニメも、同時代だった!

            あの人の役を、だれがやるのかな?ますますドラマが楽しみだ。

        ◎ 「無意味なものと不気味なもの」 春日武彦著(文藝春秋)

           春日先生の書評集、ほとんど未読本、それに、異色本ばかりです、

           それが面白かった。

           原作を読まなくても、なんだか納得しちゃうのが、書き手の力だな、

           自分の胸奥底の「暗部」を、冷静に見つめる「力」だろうと思う、

           春日先生の「精神分析」本も読んだ(不幸になりたがる人たち)より、

           私的な感想の物語の方が、面白かった。

   2010年4月読書日記> 

        ◎ 「僕たちは池を食べた」 春日武彦著(河出書房新社) 

            精神科医の僕の日々と、そこから広がる妄想のような物語。

            表題は連れ合いが作ったケーキのこと、

            平べったい円形で青みがかった緑一色のケーキ、

            それは「池」を現しており、水の部分である、中には小さいクッキーの魚が入っている。

            家庭や職場のそんな話から、患者達の姿と、興味深い症状、

            患者達に親近感を持ちながら、妄想へと・・・。

            有名な先生らしいです、初めて読んだが、面白かった。

            まだまだ、新しい本の世界は無限にあるんだろうな。

        ◎ 「長良川:スタンドバイミー1950」 松田悠八著(作品社)

            「第三回小島信夫文学賞受賞」作品、

            岐阜市生まれの悠八は、大学進学で東京で生活をはじめていた、

            「チチキトク スグカエレ」の電報で帰郷、

            そこから始まる、岐阜市の紹介は、すべてが知っている場所です、

            60年前の出来事なのだが、自分(58才)の子供時代と重なります、

            登場人物の話す「岐阜弁」は、母・祖母の言葉でした、

            あっ、自分も話してますね、今でも。

            長良川沿いに育った子供達の、川との関わりは深かったです、

            夏休みに、川でおぼれて亡くなった幼馴染も居ました。

            「ユーチャ」とその仲間達の、小学生最後の夏休み、

            「スタンバイミ−」の音楽が流れてきます。

            岐阜に生まれて、ずーと岐阜で暮らしているが、

            子供の頃への郷愁が、胸にせまってきた。

         「家守綺譚」 梨木香歩著(新潮文庫)

            百年ほど前の琵琶湖畔の村で暮らす「学士・綿貫征四郎」の日々です。

            親友「高堂」が、琵琶湖でボート事故で夭逝し、

            彼の父親から実家を守ってほしいと委託される。

            掛け軸から、高堂が現れ、庭に植わった木々の精、隣家の主婦、

            居ついた犬「ゴロー」・・・、不思議な出来事が、当たり前のように現れてくる。

            前に「西の魔女が死んだ」を読んだので、初めてでは無いのだが、

            この本から、出会いたかった、「西の魔女が死んだ」を再読しようかな、

            本にも、出会う時期ってあるな。

       ◎ 「獲物のQ」 スー・グラフトン著(早川書房)

           初めて読んだ「グラフトン」です、シリーズの何作目かな?

           私立探偵「キンジー」が、昔馴染みのドーラン警部の依頼を受けて、

           18年前の「殺人事件」を再調査する。

           当時は身元も判明しなかった若い女性の他殺死体、

           発見場所は、キンジーに深く関わっているし、

           ドーラン刑事と、ステーシー刑事の老年に入ったコンビも良いね。

           謎解きも面白かったですが、三人の関係も楽しかった、

           さかのぼって読みたくなった。

   <2010年3月読書日記> 

       ◎ 「暗鬼」 乃南アサ著(文春文庫) 

            山梨に住んでいた法子は、お見合で和人と結婚した、

            和人は八王子の郊外の旧家で、米・雑貨店を経営する、八人家族の長男、

            大家族に嫁いだ法子は、なじむにつれ家族に疑惑を持つ・・・。

            その秘密と、法子が洗脳されていく過程が、怖いです、

            あとがきに「家族という名の宗教団体」の物語り、と書いてあった、

            「嫁」として婚家に入ることのハードルは、高いです、

            「そういうもの」として受け入れないと、理論では割り切れない、

            それでも、理論を通したい「嫁(私)」は、30年たっても「姑」に反発しちゃうんだな、

            親と同居しなくても、違う歴史の家族を知ることは、結構衝撃だろうな。

      ◎ 「僕僕先生」 仁木英之著(新潮文庫) 

           ホビット・陽子さんのお勧め本、「ファンタジーノベル大賞受賞作」、

           中国唐代、元県令の息子「王弁」は、裕福で一生働かなくても食べていける事に気づき、

           ぼんくらと遊び暮らしていた。

           父の勧めで「黄土山」に住む仙人に会いに行く、そこで出会ったのは少女だった。

           「僕僕」と名のり。齢「何千歳、何万歳?」らしい。

           王弁には「仙骨」(仙人に不可欠なもの)は無いが「仙縁」が有ると言われる、

           そして、僕僕先生の弟子になり、旅に出る!

           ちょっと異質な、恋愛小説でもありますね、もちろん冒険談ですが、

           中国の古い謂れがちりばめられている。

           その時代に「王弁」と「僕僕先生」が、縦横無尽に走ります、面白かった。

           もう三作品も出ていて、もうすぐ四作品も出版予定、続きも楽しみ。

      ◎ 「いっぺんさん」 朱川湊人著(実業之日本社) 

            短編集、「いっぺんさん」「コドモノクニ」「小さなふしぎ」「逆井戸」「蛇霊憑き」

            「山からくるもの」「磯幽霊」「八十八姫」。

            現代によみがえった「伝説」です、ハッピーエンドじゃ無いのも好き、

            世代が同じなのも、同感できていい、私にとって「ハズレ」無しかも。

      ◎ 「ユゴーの不思議な発明」 ブライアン・セルズニック著(アスペクト)

  

        分厚い本ですが、イラストが多くて絵本のよう。

        1930年のパリ、パリ駅の秘密の部屋で暮らす、孤児ユゴー、

        父親の形見の「からくり人形」の復元にすべてをかけている。

        「おもちゃ屋」の老人につかまったことから、物語は思わぬ展開に!

        手作りの機械が、驚きと歓声で迎えられた時代への郷愁かな、

        作家の思いが伝わります。

        美術を学んでいた頃を思い出す、胸キュンな本だった。

      ◎ 「シャ−プ・ノース:少女ミラ、漂流する15歳」 パトリック・ケイヴ著(カプコン) 

           スコットランドの寒村で暮らす少女ミラは、女性が殺される現場を目撃する、

           灰色の服を着た男達が、女性を連れ去った後にメモがあった。

           そこには「ミラ」の名もあり、憧れていた「ギル」の名には「監視役」とあった、

           「何故?」と疑問を持った「ミラ」は、すべてを見直し、村からの脱出に挑む・・・。

           類まれな行動力と幸運で、数々の困難を乗り越え、首都に向かうミラ、

           そこで出会ったは、水位上昇で住む所から逃げてきた人々、子供達、

           選ばれた「美形種」、差別される「無選別種」、「テロリスト」等、混沌の都だった。

           ミラの出生の秘密が、明らかになると共に、迫る危機、

           スピード感に乗って、どんどん読めます、分厚い本だが短いです、

           まだ「つづく」だったよ、どうなるんだ!

           傑作だと思う、続編が息切れしない事を、願う。

   <2010年2月読書日記> 

       ◎ 「孤宿の人 上・下」 宮部みゆき著(新潮文庫) 

            「阿呆のほう」と呼ばれる「ほう」は、商家の女中の子で、若主人の子、

            厄払いで「金毘羅代参」に送られて、讃岐国・丸海藩の港に置き去りにされる。

            藩医の井上家に引き取られる、が、可愛がってくれた「琴江」が毒殺され、

            それを見ていた「ほう」の身にも、怒涛の変化がおとずれる。

            江戸の事情、藩の事情、町人の生活、それらが複雑にからまって、

            謎は重層になっています。

            引手(岡引の下)の宇佐、同心の渡部に、江戸から流刑された「加賀様」、

            登場する人物が、皆、丸海藩の中で生き抜いていく、

            上下本でしたが、夢中で読みました、最後は涙が・・・、

            ほうの人生が幸せであれ!と願いました。

       ◎ 「スリーピング・ドール」 ジェフリー・ディーヴァー著(文藝春秋) 

           キャサリン・ダンスはカリフォルニア州捜査局捜査官で、

           尋問とキネシクス(ボディーランゲージ分析)の専門家である。

           カルトの教祖「ダニエル・ペレ」はクロイトン一家殺害事件で有罪服役中だった、

           違う事件の尋問で、ダンスの元にやってきた、が、その裁判所から脱走した。

           人の心を掌握し洗脳し支配する力を持つペレと、

           わずかな手がかりと関係者の証言を元に、ペレの逃亡先を推理するダンス、

           危機一髪の場面と、どんでん返しに驚きます、さすがディーヴァー!

           リンカーン・ライムシリーズではないですが、ちょっと登場します、

           分厚い本で二段組、それでも、もっと長くてもいいな。

        ◎ 「ICO:イコ 霧の城」 宮部みゆき著(講談社) 

            霧の城の「ニエ(生贄)」として生まれたイコ、それは「角のある子」だったからだ、

            実父母と別れ村長夫婦に育てられ、その時を迎える。

            都の神官に連れて行かれた「霧の城」、

            幼馴染トトと養母の力で身にまとった衣装の力で生贄から生還したイコ、

            助けた少女「ヨルダ」とともに、霧の城の秘密を探り脱出を目指す。

            ロールプレイング・ゲームのノベライズ、魔法があって魔女がいて、

            文句無い冒険ゲームだったです。

        ◎ 「木漏れ日に泳ぐ魚」 恩田陸著(中央公論新社) 

            一緒に暮らしたアパートを明日には引き払う男女が、

            がらんとした部屋で最後の夜を過ごす。

            その二人の会話で進むものがたり、二人の関係が明らかになり、

            それにも疑惑が出てきて、二転三転とします。

            ミステリーです、ちょっとドキドキするし、一気読みでした。

            余韻も残って、ちょっと眠れなかった本。

        ◎ 「汝の名」 明野照葉著(中公文庫) 

            「麻生陶子」、美人の会社経営者である、男に頼らず利用して、のし上がってきた、

            同居する妹「久恵」は、職場での失恋から、引きこもりになり、

            陶子に頼り切って暮らしている。

            その二人の関係には「秘密」があり、その秘密が明らかになるにつれ、

            主従関係にも変化が現れる・・・。

            才能も美しさも人望も無い「女」久恵の、恨みが分かる、

            その行動が、今起きている現実の事件と重なって見える。

            明野さんの書く女性は、身を振りかえらせる力がある、本音が怖い。

        ◎ 「ボトルネック」 米澤穂信著(新潮文庫) 

            恋人が死んで二年、「ぼく」はやっと現場である東尋坊にやってきた、

            そのとき墜落しそうになり、気を失う。

            気が付いた場所は「金沢」、自分住む街だった、

            家に帰るとそこには「姉」が居た!

            パラレルワールドの物語、「ぼく」と「姉」との対比に、「ぼく」の存在に疑問を持つ、

            気弱で臆病で、肯定できないんだよな、恋人の死も、両親の不和も、兄の死も、

            全部、自分の存在が原因ではないのか?その疑問は、厳しいな、

            青春ミステリって帯にある、若いときに読みたかったな。

   2010年1月読書日記>

        ◎ 「エア」 ジェフ・ライマン著(早川書房) 

            2020年、国連主導で新しいネットシステム「エア」の導入が開始される、

            それはすべての人々の「脳内」に直接、ネットが繋がるのだ。

            その「試験運用」の日、カルジスタン(中国・チベットと接する架空の山岳国)に住む、

            中年女性「チュン・メイ」に驚くべき出来事が起きる。

            現代文明から隔離された辺境の地に生きる民族の歴史と、

            新しいネット世界がぶつかって起きる事件、でも、等身大!なんだよ。

            チュン・メイのたくましさは、アジアの女だからかな、親近感がわきました。

            長編で時間が掛かったが、読了出来て良かった(挫折しそうだった)

        ◎ 「そろそろ旅に」 松井今朝子著(講談社) 

            十返舎一九の若い日から、戯作者になるまでの物語、

            重田与七郎(一九)と、お供の太吉、同行二人で、駿府・大阪・江戸へ。

            仕官し、武士を捨て、婿入り、離縁し、江戸へ、山東京伝、馬琴に三馬と出会い、

            「東海道中膝栗毛」の出立まで。

            史実がどれほど書いてあるのかは、知らないが、生身の一九が居るよ、

            流されて流れているようで、その飄々とした人物像、

            松井今朝子のイメージだろうが、上手いな〜、一九が好きになる。

        ◎ 「赤々煉恋」 朱川湊人著(東京創元社) 

            短編集、

            「死体写真師」 若くして死んだ妹の美しい死体写真を撮る事にした、

            その葬儀社には、妙な噂が・・・。

            「レイニー・エレーン」 出会い系サイトで女と知り合いホテルに行く佐原、

            会社員で妻子もある、渋谷のホテルに入る二人、

            ホテルにまつわる噂を聞き、昔の思い出をたどる・・・。

            「アタシの、いちばん、ほしいもの」 孤独な女子高生の一日を追う、

            その悲しい日の真相は・・・。

            「私はフランセス」 厳格な家庭に育ったRには、些細なものを盗む癖があった、

            欲しいものでは無く、盗んでもすぐ捨ててしまうのだ。

            親と決別し売春婦として生きる私に、Mとの出会いがあった・・・。

            「いつか、静かの海に」 小学生の僕は、酒乱の父と二人暮し、

            ふと公園で知り合った青年の秘密を知り、共有するようになる。 

            五作品とも、異常愛がテーマです、異形のもの、異界のもの、それに惹かれる人々、

            否定もせず、強い肯定でも無いが、共感できる部分もあるよ、

            澁澤龍彦を出すのは大げさか。

        ◎ 「スメラギの国」 朱川湊人著(文藝春秋) 

            新しいアパートに引っ越した「香坂志郎」、恋人の麗子とともに、新しい生活の出発点だ。

            裏の広大な空き地は、大家が同じで、かつては屋敷があったが、

            火事になりそのままになっているものだった。

            猫が沢山集まっていて、猫好きな麗子の影響で、志郎も野良猫の2匹が、

            部屋に出入りするのを許すようになった。

            大家の未亡人が、その空き地で倒れ死亡、その最後を看取った志郎は、

            不可思議な言葉を残していった・・・。

            幸せいっぱいの志郎に襲い掛かる出来事、猫が!・・・。

            生々しい表現もあって、怖い物語です、が、ぐんぐんと読み進めてしまう、

            最後には「救い」があって、ほっとした。

        ◎ 「かたみ歌」 朱川湊人著(新潮社) 

            短編集だが、同じ街に住む住人達のそれぞれの物語、

            「紫陽花のころ」 その下町に移り住んだ若い二人、小説家志望で大学中退した私と、

             働きながら支えてくれる比沙子、近所のラーメン屋で起きた殺人事件と、

             「幸子書房」という古本屋、不思議な出来事が、二人の生活を終わりにする。

            「夏の落とし文」 その下町に住む少年「啓介」、兄と妹との三人、

             啓介の名を書いた「怪文書」が町のあちこちに張られている、そして「幸子書房」にも、

             謎の学帽少年が目撃されるが・・・。

            「栞の恋」 その下町の「アカシヤ商店街」の酒屋「サワ屋」の娘「邦子」、

             町で見る「優男」に恋をしている、「幸子書房」でのわずかなすれ違いに、

             こころときめき、ある本を介して文通が始まる・・・。

            「おんなごころ」 その下町、アカシヤ商店街のスナック「かすみ草」、

             従業員だった豊子、酒乱の夫になやみつつ、きっぱりと分かれられないでいた。

             ママの初恵は、もどかしく思いつつ、世話を焼いている。

             その夫が急死、ほっとするはずが、こころを病む豊子は「夫が帰ってきた」と言う。

             古刹「覚智寺」の境内で「幸子書房」の主人とであった初恵は、

             この「寺」はあの世と繋がっているらしいと聞く・・・。

            「ひかり猫」 漫画家の貧しい青年は「覚智寺」の近くに住み、

             チャタローとい野良猫が友だった。

             黙々とマンガを描いて、時々雑誌に載るが、芽がでる事はなく、

             ただ「幸子書房」の主人とだけ言葉を交わすようになった。

             光る玉を見た僕は、幸子書房の主人に話すと、「覚智寺があの世と繋がっている」と・・・。

            「朱鷺色の兆」 アカシヤ商店街の中古レコード店「流星堂」、そこの若主人は、

             大学生の頃、この下町に来て「覚智寺」の近くに住んだ。

             自分が見える不思議な現象に悩み、異常な姿で居たが、「幸子書房」の主人だけは、

             普通に対応してくれ、悩みをすべて打ち明ける事ができた。

            「枯葉の天使」 覚智寺裏のアパートに住む久美子は、毎日2回、参拝する老人を見ていた、

             その老人は、毎回、境内の石灯籠の穴を、覗き込むのだ。

             夫は小さな出版社に勤務し、夭折した女流詩人の詩集を出版することになった、

             そんなある日、境内に4歳ほどの少女が一人で居るのを見た、

             心配になり声をかけると「お使いなの」と、「商店街の古本屋さんに」・・・。

             「幸子書房」へと物語が収斂していきます、じんわりと響く話が繋がっていて、

             昭和の時代の商店街、自分の実家のイメージも重ねました、お勧め本。

       ◎ 「花まんま」 朱川湊人著(文藝春秋) 

            短編集、

            「トカビの夜」 大阪万博の頃、下町の文化住宅に住む「僕」は、

             近所に住む朝鮮人の病弱な「チェンホ」と仲良くなる、

             が、偏見の中でつれなくしてしまった、チェンホがあっけなく逝ってしまい、

             「トカビ」となって帰ってきた・・・。

             子供の頃の切ない思い出が、ふっと異世界から「トカビ」が現れることで、

             浄化されたのだろう。

            「妖精物語」 学校帰りに一人の男から買ったビンに入ったクラゲのような「妖精」、

             手の平に乗せると、ぞっくとする快感が走った。

             棟梁の父親と寝たきりの祖母、弟、私と、職人達の世話をする母、

             貧しい生活の中で、ビンの中の「妖精」は、密かな楽しみだった。

             思春期に入ったばかりの少女の目線が、母親と若い職人との関係を知る、

             男性作家なのに、そのころの少女のゆれが、ぴったりだ。

            「摩訶不思議」 いい加減で遊び人の「おっちゃん」が死んで、

             葬儀も終わり、火葬場へ行く霊柩車が、突然エンスト、

             内縁の妻「カツ子」、「カオルさん」と、そして第三の女「ヤヨイさん」、

             三人が揃ったところで、騒動も起きるが、霊柩車も動き出す!

             落語のようなお話。

            「花まんま」 妹が突然「生前」の話をする、僕はそれを信じて、その町へ連れて行く、

             「花まんま」の意味が分かって、悲しいけれど、暖かい話です。

            「送りん婆」 「言霊」の力で死の国へ送る「婆」、その後継者として選ばれたが、

             時代が変わり、それをすることなく成長した私、でも、いつか、使えるかも・・・。

            「凍蝶」 兄が死に、差別にされた寂しい少年だった僕は、

             墓地で知り合った若い女性を、姉のように慕う、その女性の悲しみも重なって、

             切ない話。

             それぞれが色合いが違っているが、かすかな異界を身近に感じさせてくれる、

             佳作という言い方がぴったりだ。