不正事例とリスクマネジメント






概要

最近の不正行為に対する報道を見ると、企業と社会の認識のギャップの差は大きい。
企業の従業員は、会社に貢献しているという思いから、企業倫理を十分感じていないようである。
しかし、社会規範に反した企業の行為に対して、世間は近年、激しくその社会的責任を追及する。
たった一つの不祥事が企業ブランドを崩壊させ、トップを引責辞任させ、
さらには社会的に淘汰させるほどである。企業は、社会規範から逸脱した行為に
手を染めてしまわないように、社会規範に照らして正しいことを実行していくことが重要である。

キーワード

株主代表訴訟、業績至上主義、COSOレポート、二重帳簿、企業行動憲章、企業文化、

コンプライアンスカード、社会的規範

1.はじめに

食品メーカーなどの食中毒事件や牛肉偽装事件、自動車メーカーのクレーム隠し、電力会社の原発損傷隠ぺい事件など、企業の不正な行為が相次いで報道され、社会の常識から逸脱した社員の行動、企業の組織体制が問題に取り上げられている。その度に、不正行為の防止体制の整備が叫ばれ、企業のリスクマネジメントに対する意識の低さが指摘されている。

企業が不正に巻き込まれるということについて代表的なケースは

(1)自社が不正な行為の被害者となる場合。例えば詐欺事件に巻き込まれて損害を被る場合など。(2)企業そのものが不正の実行者となる場合。総会屋に金品を渡すとか、汚職事件の贈賄側など。

(3)従業員によって不正が行なわれた結果、会社が損害を被るケース。

従業員による横領や使い込みは新聞などで報じられこともないくらい日常茶飯なことではあるが、中には企業の屋台骨を揺るがすほどの巨額に達することもある。不正を起こす気にさせない企業の姿勢が重要だ。

2.業務活動とリスクマネジメント

企業がその目的に従ってそれぞれ事業経営を行うには、それぞれの構成員が、それぞれの分担業務を責任をもって正しく遂行し、組織力を発揮することが不可欠だ。その構成員の中で不正行為を行う者があるときは、当然、悪影響が発生し、企業活動を減退させる。三菱自動車や雪印乳業、また雪印食品や日本ハムなどは、経営者の辞任にとどまらず、商品ボイコットなど売り上げが大幅に落ち込み、企業イメージも大きく傷ついた。雪印食品は食肉偽装が原因で社会的に淘汰(会社解散)された。ついには、日本を代表する大企業で、財界で企業倫理の推進役を勤めてきた東京電力さえも、長年にわたって原発の損傷隠しを続けていたという事実が発覚した。不正の防止は今や、企業の存続にも関係する重要なリスクマネジメントである。

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