長野新 幹線上田駅につながる上田交通別所線の電車の窓を流れる景色は,のどかで心和む。四方をの山々に取り囲まれ,それらの稜線はやさしく,自然と目がやすまる。
この盆地は通称塩田平と呼ばれているが,盆地を縁どる山里の中にはいくつもの古刹や,文化財がある。
やがて,平坦地が狭まってくると,終点の別所温泉であった。塩田平を扇に見立てると,ちょうどかなめの位置にあたる。
駅はこぢんまりとしたもので,駅前に一軒,土産物屋はあるものの,温泉地に来たという実感はない。温泉街につながるとおびしき道を人の流れについて歩いて行くと,自然と温泉街に導かれる。
別所温泉は塩田平の西端,標高六百メートルの地にある。ここの山腹には,さらに,国宝八角三重塔のある安楽寺,重要文化財石造多宝塔を有する常楽寺がある。由緒ある寺院があることから,古都のような雰囲気を醸しだす温泉地でもあるというのが別所の魅力である。
北向観音は,古くから県内外の人々から信仰されてきた。北向きの本尊・観世音菩薩が,南向きの長野市の善光寺の本尊・阿弥陀如来と相対していることから,双方をお参りしないと片詰りになるともいわれてきた。
別所温泉の歴史は古い。大師湯は,北向観世音本堂を創建したといわれる慈覚大師ゆかりの湯とされている。
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