昭和十七年〜昭和二十三年


馬貸して春耕一日とどこお



父に似し人ありうれし春夜汽車



あちこちの入学話汽車の中



立山のくっきり見えて能登の秋



茶の花や小川は水の涸れしまま



出でてゆく銅像霰たばしれる



何もかも神主ひとり村祭り



夜学子の闇になれたる足速く



草原に西瓜売り来て村祭り



春泥をふみて訪い来し妻の父



おみならに追はれ笑はれ苗配り



五月雨や隣の隣馬蹄打



行水や鈴うちならし馬帰る



柿落葉落ちるにまかせ二三日



向日葵に線路づたひの暑さかな



落し水終日きこえ寺静か



峰つゞき雑木紅葉や谷の寺



柿落葉落ちつくす日を待ち掃かん



露踏めば癒ゆる病のありといふ


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  ( 「蘇人の俳句と歌」 昭和49年9月発行 より抜粋 )  

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