ホーム 安部公房分析室 現代プログレ聴査室 LINK Word文書作成術他

with Rogi073  .Bookmark  .Diary  .Schedule  .Bookshelf  .Music

注目情報

[文学]ブランショ  [美術]中村宏,Gainer [演劇] [映画] [音楽]Myllarit,Out Trio [製品] [その他]Timeline API

dLINKbRING.com Open : More Music More Literature

サルツブルグ/統計学を拓いた異才たち

 

上へ | 莫言/豊乳肥臀 | モノリ  リオタール/震える物語 | B.H.レヴィ/サルトルの世紀 | ヘルマン・ヘッセ/ガラス玉演戯 | キニャール/舌の先まで出かかった名前 | 山下清/山下清放浪記 | セミール・ザキ/脳は美をいかに感じるか | シミック/コーネルの箱 | ハイデッガー/芸術作品の根元 | ガモフ スタナード/不思議宇宙のトムキンス | サイフェ/異端の数ゼロ | サルツブルグ/統計学を拓いた異才たち | その他

 

(Contents)

新作紹介

安部公房について

燃えつきた地図
砂の女
箱男
密会

 

その他の作家について

  <エリアス・カネッティー>

眩暈

  <ドストエフスキー>

白痴

 

  <ガルシア・マルケス>

予告された殺人・・・

  <フランツ・カフカ>


変身
カフカ全集

  <サミュエル・ベケット>

ベケット伝
消尽したもの

 <ヘンリー・ミラー>

クリシーの静かな・・・

  <ロブ=グリエ>

覗く人

 

  <その他の作家>

莫言/豊乳肥臀
モノリ リオタール/震える物語
B.H.レヴィ/サルトルの世紀
ヘッセ/ガラス玉演戯
キニャール/舌の先・・・
山下清/山下清放浪記
ザキ/脳は美をいかに・・・
シミック/コーネルの箱
ハイデッガー/芸術作品・・・
ガモフ/不思議宇宙・・・
サイフェ/異端の数ゼロ
サルツブルグ/統計学を・・・
その他

何となく本屋を歩いていると、本書「統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀 著者;デイヴィッド サルツブルグ」が目に付いたので手に取ってみる。何故目に付いたかというと、近頃、冷静にデータについて考えてみて、そして、多くのものは、全てデータベースとして表現出来るものであるし、多くの物事は、何らかの理論ベースの公式によって表現される場合がある一方で、データベースの中に紛れ込む変数の回帰によって表現される場合もあり、というのが実情であり、後者によって表現される物事の方が多いと捉えるべきなのだろうと強く認識し始めているということに起因する。もう少し、これを説明すると、結局例えば、人間の判断という動作についても、これは、記憶や経験というデータベースに対して(もしくは、極端に言うとDNAというデータベースに対して)、検索をかけて最適と思えるものを選択するということであるのだと捉えることが出来るのではないかと。つまり、様々な物事は論理的云々や経験的云々といしばしば対立項として取り扱 われるものが基底としてあるのではなく、それらを接続(インターフェイス)した発想ともなりうる、データベースとして取り扱えば、なんのことはない、対立も何もないすっきりした現実が表出すると言うことなのでは無かろうかと いうことなのだ。そして、そのようなデータベースという観点が入ってくると、そこには統計という発想が必要になってくる、というか、それがなければ、どうにも処理しきれなくなる。ということで、統計学という学問的重要性もさることながら、その発想というものが非常に重要なものだと思うのだ。

さて、これで前置き終了。まずは全体的なところから。数学関係書籍でありながら、数学にそれほど詳しくなくても、読めるというか、逆に数学的なものを期待しすぎるともう一つ足りなく感じるかもしれない。とはいいつつも、数式を使わないが故に言い回しがややこしくて、理解が困難なところがあるのも事実だったり。ただ、細かい内容の理解ではなくて、理系ドキュメンタリーのスペクタクルを感じたいというのであれば、問題はないだろうし、統計の発展がうまくまとまっているので、理系の人にも読みがいは十分にあると思う。ただ、やはりそのあたりにもう少し工夫が足りないというか、何となく気になってしまうと言うところは、この著者の表現力が並以上ではあれど天才級ではないということだろう。また、何度かたとえ話が表現のために使われるのだが、そのたとえ話の使い方も少し不適切なように思うところもいくつもある。そのあたりが改善されれば、もっと感動できる作品になっていただろう。

もう少し踏み込んでいこう。内容は、カール・ピアソンやフィッシャーといった統計学の創始者とも言うべき人物に対する言及から始まる。 大量の自然発生物に対するデータの収集と分析という、まさにデータ分析の基本的姿勢から統計学が始まる。やがて、そこにあるデータの特性、収集するデータの特性とは別の大量のでデータが常にはじき出す揺らぎという特性、が発見されそこから統計学が始まる。ここに、やがて様々な手法の開発と応用利用が始まるという形で、創始者の話から、多くの統計学者による適用範囲の拡張と精度の向上が図られていくという展開が紹介されている。特に統計学の特徴であるのが、現実の問題を解決するために使用されるという側面。この本でも、ここを重視していて、統計学理論の説明よりも、それがいかに利用されたかという事例紹介に重きを置いているように感じる。そのことによって、読む楽しさが膨張しているといえる。ただ、一方で、多くの事例を扱っていると言うこともあってか、様々な事例の紹介がどこか、中途半端で終わってしまうというか、で、それでどうなったのっていう統計学の導入による最終効果の部分が不足しているようで、ちょっと消化不良感が残るところも多くあるのが残念というか、しょうがないのかもしれないが。

統計学にも怪しい側面が残るのも事実だ。統計的な方法論を信用しようとしない人もいるし、統計的な手法の誤った使用法によって、誤った結論を導き出す場合もある。実際、専門家の中でもどの統計的手法が正しくて、どの統計的回答が正しいのかということ自体が議論の対象となることも多くあるようであり、そのような側面もこの本の中で紹介されている。真実は、すぐそこに在るようで、どうにも到達できないものであると、しかし、統計学という武器を使用しなければならない時点で、決定論的な発想は、捨て去らなければならないと言うことであり、ただ、どこまで肉薄することが出来るかと言うことがデータ解析者、統計学者の能力に直結するのかもしれない。神はさいころを振らないのではなくて、やはり、さいころを振るのであり、不確定性理論でもあるのだから、静的に固定された世界観ではなくて、動的に変化し続ける世界観によってそれに対峙するしかないのであろう。そして、言うなれば、神はさいころを振るが故に、ここにある宇宙が存在すると捉えるべきなのだろうし、その意味では、神は死んだというべきでもあるのだろう。宇宙の始まりにも揺らぎがあったということでもある。きっとわずかな秩序の混乱によって完全な混沌の中にわずかながらの秩序ができあがり、そして、存在が時間軸の上を走り出したというのが今の宇宙であり、その中に在る我々の存在なのであろう。正確な引用が出来なくて残念だがアイザック・アシモフ氏の著書の中で、「トランプを混ぜた時にも、どこかにたまたま数字が秩序的にならぶところがある。我々の宇宙はそういった無秩序の中にたまたま出来た秩序の部分なのかもしれない。」というような考えが披露されていたが、まさにその捉え方が、この宇宙を表現するのにもっとも適切なのだと思う。

いずれにせよ、この統計学の展開は、今後、明らかにコンピュータの導入で次のステージへ進みつつあると思う。様々なものがデータベース化されてコンピュータ処理が容易になっていく現状と今後を考えると、この統計学の重要性はさらに今後増していく(現在進行形)と、個人的には思っている。なので、非常にタイムリーなところでの統計関連まとめ書籍だと思う。そして、今後様々な分野でさらなるデータのデジタル化が起こって(現在進行形)、その処理技術と処理アルゴリズムが開発されて(現在進行形)、数学的手法も開発されていく(現在進行形)のではと勝手に想像してみる。となると、様々な物事へのデジタル革命に対して、既にぱっと見ただけでもこれだけネタが揃っているということであり、既にデジタル革命はそれなりのレベルまで進行していると捉えるべきだと思う。デジタル革命とはつまりデータのメタ意味の変化である。そして、近頃強く思うのは、マトリックス演算の力強さである。学生時代は全く気づかなかった愚かさであったことが悔やまれる。

この著書の最終章がとても意味深いと思う。「隠れた欠点のある崇拝物」。これは、しかし、もしかすると統計学のみならずこの宇宙がまさにそのような状態であり、前述のようにだからこそ、存在が時間軸の上を走り出したということなのだと思う。そして、この「隠れた欠点のある崇拝物」というのは、実は統計学そのものを差すだけではなくて、この世の中をさすのではないだろうかと。より現実を表現しようとして生まれた統計学が、自己矛盾を抱え込むように、自己参照性という危険性を回避することが出来ず、むしろそこへと突入してしまいがちであるという事実は、きっと、それが表現しようとしている対象がそのような特性を持っているからであるとも考えるべきではないだろうか。神は死に、そして、神はさいころをふり、「隠れた欠点をもつ崇拝物」であり、そう、全ては「隠れた欠点をもつ崇拝物」なのだ。だから、欠点を指摘し続けて、そして、何かを否定して悦に入る態度は全くもって価値のない行動であり、「隠れた欠点」を内包しながらも突入し何かを生み出そうとする努力が必要なのだと思う。

(Contents)

 

創作作品について
   <中編>

多重性

切り身

   <短編>

夕立過ぎ
目の取り替え
始まりの時

   <短文>

移転しました
崩壊しそうなそれ
可能性
眺める人
放り込む、穴
箱を運ぶ

堂々巡り
薄板
鼓動
扉と四次元目
終わり、続き
二つの家
いくつもの丘
極限値
再び、再び
窓と椅子
遅刻
小さな壺
モデル
軌跡と膨らみ
穴の前後
機能
ねじり込み
手探り
共犯者
水平
循環参照
時間
伸びる
転回の場
暗い穴
平面考
風吹く丘
状態変化
環境と乱れ
追跡
四角
敷き詰められて
脈拍の乱れ

転がり
劇場
靡く風
躓き
薄氷に対して
その間
固まり
樹形図の杜

石の固まり
待ち合わせ
主語
インサイドアウト・・・
湖畔に辿り着くこと
平地
炎天下
ペンとノートを
風景画
耳元のささやき
掴みかかる意志
生活
部屋の中の椅子
握手した人
木陰
余白における
棒の先端
積み重なり
集まる
ボールペンを握って
抵抗する感覚
逃げようとする感・・・
寒空の下
二日酔いのように
四次元の二次元の・・・
電車にて
倒れた枯れ木
扉とひもについて
あちらとこちら
隊長の物語
空についての対話
植物学者の新たな発見
接続面の考察
標的巡り
痕跡
解読
表現手法の崩壊と・・・
映像の乱れ
拡散性と水玉と針
防寒着を着た人形
壁の中へ
鞄の完成
礼拝堂

↑このページのトップへ↑

ホーム 安部公房分析室 現代プログレ聴査室 LINK Word文書作成術他

with Rogi073  .Bookmark  .Diary  .Schedule  .Bookshelf  .Music

このサイトに含まれる全ての画像、文章等

に対する権利はこのサイトの作者(gcdzdt2)に帰属します。無断での転載、流用は禁じます。