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放り込む、穴

 

[中編] [短編] [短文]

(Contents)

新作紹介

安部公房について

燃えつきた地図
砂の女
箱男
密会

 

その他の作家について

  <エリアス・カネッティー>

眩暈

  <ドストエフスキー>

白痴

 

  <ガルシア・マルケス>

予告された殺人・・・

  <フランツ・カフカ>


変身
カフカ全集

  <サミュエル・ベケット>

ベケット伝
消尽したもの

 <ヘンリー・ミラー>

クリシーの静かな・・・

  <ロブ=グリエ>

覗く人

 

  <その他の作家>

莫言/豊乳肥臀
モノリ リオタール/震える物語
B.H.レヴィ/サルトルの世紀
ヘッセ/ガラス玉演戯
キニャール/舌の先・・・
山下清/山下清放浪記
ザキ/脳は美をいかに・・・
シミック/コーネルの箱
ハイデッガー/芸術作品・・・
ガモフ/不思議宇宙・・・
サイフェ/異端の数ゼロ
サルツブルグ/統計学を・・・
その他

 それでも、放り込む。いつまでも、変わらないようで。その穴は、いつまでも、穴のまま。だけれども、放り込む。埋まらないことよりも、埋めようとしていることの方が、重要である。もしくは、そうやって、時間を稼ぐ。終焉に向かって。いずれにせよ、向かっているのだから。彼は、既に、変わることを期待しない。放り込んでも、放り込んでも、埋まらない穴に、いらだった。全てが、ただの徒労感に変化して、へたり込んで。過去のこと。それもどうでもいいことだと。期待しないだけだ。変わるかもしれない、そのことを否定したわけではない、変わらなくても別に構わない、変わらなければ、変わらないという必然性があったのだろうし、変われば、変わるという必然性があったに過ぎない。彼に関せぬこと、いや、彼に全て依存していることではない。別に、あきらめたわけではない。ただ、期待することをやめただけ。だから、依然として、放り込んでいる。この穴に。何処までもあるのかわからないそれに。むしろ、以前以上に、放り込んでいるかもしれない。それは、時間を稼ぐためだろうか。時間を早めるためかもしれない。いずれにせよ、終わったところから、始まり、終わりに向かっている。今は、終わりの直前かもしれない、比較的長く続く可能性を秘める、終わりの直前かもしれない。答えることには飽きた。いや、適切な言葉が見つからない。こういうべきだろうか、消費の仕方が異なるのだと。時間を。

 時に休憩するのも良いものだ。彼は、時々、放り込むことを止める。いや、止めたわけではない。中断する。その穴から、少し離れてみる。違う穴があるかもしれない。見つかれば、今度は、そっちに放り込むようになるかもしれない。そういえば、ずっとさっきの、同じ穴に放り込んでいたのではないかもしれない。では、いつから何をきっかけに、その穴に、なったのだろうか。覚えていない。自然に、そうなった、抵抗することなど出来ない。出来たかもしれない、例え出来ていたとしても、ここへと繋がることに変化はないだろう。いくら理由を何かに押しつけようとしても、無理なものだ。だから、彼は藻掻くことなく、藻掻くことが出来る。穴が見つからないようなので、戻ってきた、彼は、少しばかりの、しばらくの、不在から。穴が見つかった。それが、さっきまでのものと、同じ穴、なのかどうなのか、実は、彼自身も確信は無かった。新しく、見つけたのかもしれない、実は。だけれど、それにしたところで、どうでも良いことだ。期待することをやめた彼にとっては。新しい穴だろうとそうでなかろうと、放り込むことは出来るし、どうやら、放り込まなければならないようだ。どっちなのだろうか。

 再び、放り込みはじめる。終わりの無い労働だと、苦にすることはない、これで、時間を消費することが出来る。本意かどうかなど、それほどの贅沢を言える身分でもないし、苦情を申し立てるほどのことでもない。それに、誰に対して、苦情を申し立てるのだ。彼自身で見いだした穴に対して、放り込んでいるだけだ。いずれにせよ、きっと、それ以上のことも、それ以下のこともない。坂道を登っているのか、下っているのか、しかし、これは、きっと設問が不適切で。その場所しかない、前も後ろも、残像と蜃気楼以外は。そして、彼は、熱心に穴に向かって、放り込み続ける。

 

(Contents)

 

創作作品について
   <中編>

多重性

切り身

   <短編>

夕立過ぎ
目の取り替え
始まりの時

   <短文>

移転しました
崩壊しそうなそれ
可能性
眺める人
放り込む、穴
箱を運ぶ

堂々巡り
薄板
鼓動
扉と四次元目
終わり、続き
二つの家
いくつもの丘
極限値
再び、再び
窓と椅子
遅刻
小さな壺
モデル
軌跡と膨らみ
穴の前後
機能
ねじり込み
手探り
共犯者
水平
循環参照
時間
伸びる
転回の場
暗い穴
平面考
風吹く丘
状態変化
環境と乱れ
追跡
四角
敷き詰められて
脈拍の乱れ

転がり
劇場
靡く風
躓き
薄氷に対して
その間
固まり
樹形図の杜

石の固まり
待ち合わせ
主語
インサイドアウト・・・
湖畔に辿り着くこと
平地
炎天下
ペンとノートを
風景画
耳元のささやき
掴みかかる意志
生活
部屋の中の椅子
握手した人
木陰
余白における
棒の先端
積み重なり
集まる
ボールペンを握って
抵抗する感覚
逃げようとする感・・・
寒空の下
二日酔いのように
四次元の二次元の・・・
電車にて
倒れた枯れ木
扉とひもについて
あちらとこちら
隊長の物語
空についての対話
植物学者の新たな発見
接続面の考察
標的巡り
痕跡
解読
表現手法の崩壊と・・・
映像の乱れ
拡散性と水玉と針
防寒着を着た人形
壁の中へ
鞄の完成
礼拝堂

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