丸を描く。その真ん中に、真ん中あたりに座り込む。丸が囲っている。その向こうには、広がっている。どちらを見回しても、広がっている。
どこまで行っても、たどり着きはしない。全てのものが遠ざかっていっている。全てのものが中心のようで、全てのものが中心ではない。
遅くなってしまった。間に合うように家を出たのだけれど。間に合うはずだったの。言い訳がましくてごめん。怒っている。三〇分ぐらいだから、大丈夫。しょうがないよ、そういうこともある。今日はあまりにも風が強かったから。そうなの?うちのほうはそのような感じはなかったけれど。天気も良くて。今も、ここだって少し曇ってきてはいるけれど、風はそれほどでもないけど。そうだね。だけど、家を出てから駅までは、確かに風が強くて。それで、思わず、曲がらなくてもいい道を曲がってしまった。そしたら、その道、うまく駅の方に繋がって無くて、うろうろしている間に時間だけが過ぎて。自分の家の近くなのに、案外知らない場所があるんだって。そうかもしれないね。家の周り、引っ越した頃はよくうろうろと歩いていた。それで、いつも行き止まりにたどりついて、そしたら、その行き止まりの周辺に住んでいる人と目があったりして、なんだか妙に気まずく感じたりして。そうなの。今日は、そんな感じだった。
一時間も前に着いてしまったから、合計一時間半待ったことになる。なんで、そんなに早く出てしまったのだろう。そういう話を少しはしてみたかった。しかし、それはどうやらこの場面では不適切のようだ。何かが追い立てるようだった。別に急いでいた訳ではない。直線を走っていると思っていて、そして、どこまでもその直線が繋がっているものだと思っていて、いつの間にか、知らない場所まで来てしまうこともある。うろうろとしても、もうどうやっても戻ることは出来ない。だったら、いつも周りの状況を確認しながら、どこかに流れていってしまわないように、どこかに放置されないように。
別に急ぐほどの用事は無いんだし、会えただけでそれで。どうしよう。どこかに新しいものが出来たってニュースでやってなかったっけ、そこに行く。込んでるかもしれない。それでもいいんじゃない。
きっと、直線を駆け抜けていたその間がもっとも。だけれども、なんて広々としているのだろう。走り抜けたようで、しかし、この丸には変化がなかったのかもしれない。広がっているということと自由との相関係数。
こういう家具かっこいいね。とても高いけれど。大きな家に、これ並べて、それで大きな画面に映画を映して。それは無理だとしても。
何故、今日は道を曲がってしまったのだろう。確かに、風が強かった。それ以外にも理由があるのだろうか。いつになく、広々としている。いつも、手に余るほどのものが周りを囲んでいるのだけれど。遠くが見える。
逃げようとしても、何も追ってきてはいない。形を形成しているようで形成しきっていないような物体が周りに転がっている。全てが遙か遠くのことのようで、痛くもなく感動的でもなく。嘘だ。何が。
思わず、手を強く握りしめた。突然に、手を強く握られた。握り返してみる。そこに展示されている家具を眺めた様子は変えないままに。異なるベクトルで、そして、場が形成されるのだと。