【文献紹介】

 

ネット上に見るロータリアンのRAC観

Rotarian talk about Rotaract on the net

RAC総研 ロータリー動向調査班
( Project Team of the Rotary Trend, RRI )


 

I . はじめに
 他地区においてRCがRACについてどのように考えているかを知るには、これまでは紙媒体での報告書を入手する外は全国研修などの会議で話を聞くなど手段が限られていた。しかし近年、インターネットを通じての情報発信が可能となり、積極的に意見提示・現状報告の場をネット上に求めるクラブ・地区が増えている。本編ではそれらの文献を通して、RCがRACをどのように捉えているかを考察する。


II . 文献検索と分類

 1. 検索方法
 ネット上で公開されているRAC関連文献を検索するには検索エンジンによる方法とRC関連リンク集による方法とがある。前者ではGoogleのような検索ロボットが効果的だが、今回はRCサイトに掲載されているものを収集するため、リンク集を用いた。リンク集としてはRotary Japan Webのものが使い勝手があるが、最新の情報を入手できるサイトとして全国ロータリアンインターネット協議会(JRIC)りんく番を採用することにした。尚、JRICサイトにもリンク集はあるが、会報のネット代用を創立以来取り入れている札幌大通公園RCが1年経ってもリンクされておらず、また98年頃に存在していた「札幌北ロータアクトクラブOB・OG会」が当時の呼称のまま残っているなど最新情報としてはりんく番の方が信頼性があるものと判断された。
 リンク集から各RC・地区のHPへ飛び、そこからRAC関連部分を探すには、「新世代委員会」などのような関連名称を目当てに進む以外に方法はない。検索エンジンで自動的にそのページが現れるわけではないので、地道な作業が必要となる。
 「IAC・RACなど新世代...」という表現は多く発見されるが、その部分でRACについて某かの考えが述べられていない場合はここでは省いた。また「RACとは」など用語集も一つ一つ拾い上げていては大量なデータになってしまうので省略した。


 2. 分類
 こうして集めた情報は、提供形態として以下のように分類できる。

 A. クラブ会報(例会卓話)のネット掲載
   ex) 渋川みどりRC、海南東RC
 B. ガバナー事務所のHP企画
  a) ガバナー自身による情報発信
    ex) 2830地区ガバナーエレクト日誌
  b) 地区委員会所信表明
    ex) 2560地区、2650地区、2730地区
  c) 委員会活動報告
    ex) 2680地区新世代セミナー

 目的としては自地区・クラブ内への方針表明・報告と、他地区・クラブに向けてのPR・情報提供の二つに分けられる。


III . 書き手によるRACの捉え方

 1. クラブ会報に見るRAC
 上記分類Aについて渋川みどりRCでは渋川RCからRA委員長を卓話に招いた様子を卓話集として掲載している。「ローターアクトとは」8)とのタイトル通りRACの概要説明から始まり、提唱しているRACが当初40名だったところ現在は実質3名で活動している様子が語られている。この委員長は30名を目標に会員増強を図ろうという熱意を見せている。曰く「私が動かなければ、誰も動いてくれません。それは私が委員長だからです」。人数が不足していては奉仕活動が出来ないという視点に立ち、「単純に簡単に肩のこらない奉仕活動」を目指して、卓話の中でも会員子弟・従業員の入会を呼びかけている。
 続いて渋川RAC会長が現況について報告。25周年を迎え、カーブミラー磨き等の奉仕活動を紹介し、やはり同RCに会員の紹介をお願いしている。
 同RCはこの2年後、96年にも同じ卓話者を迎えている。この時の立場は2560地区RA委員として 「ローターアクトと青少年奉仕について」9)と題し、広く地区の視点での話が展開されている。RACに関わった当初、定刻になっても例会が始まらない、ロータリアンばかりでアクターが集まらない、少人数のためかしっかりとした例会ができていない、といったエピソードが披露された。そこでまず例会をきちんとするよう指導し、ロータリアンにはメーキャップに臨む際の姿勢改善を訴えてきたという。これが2年3年と時間を経るにつれ、しっかりとした例会・奉仕活動が出来るようになり、メンバーも激増し、これからが楽しみになってきたとのこと。この他にはRYLAについてが語られた。
 海南東RCでは新世代委員の会員卓話
11)をクラブ週報のサイトに掲載している。ローターアクト週間に因んでのものだが、RACについてよくわからないというマクラから語られ始めるのも愛嬌が感じられる。そのためかRACの設立経緯を60年代のRIによるIAプログラムまで遡って解説している。青少年の育成など設立趣意の話が淡々と語られる一方、香港の慢性疾患患者を支援する大規模募金とその為のショッピングモールでの巨大展示や、トルコでは資金を集めて障害児学校の特別活動教室を改築、ナイジェリアでは子供達を対象に1年間、疾患予防プログラムを実施していることなど世界のRACの活動も紹介している。最後に自RCで提唱しているRACの設立経緯と現状について触れ、会員紹介の依頼で締められた。
 このように他RC例会でRACがどのように取り上げられているかを知るには会報を読むとよくわかるが、全国のRCの会報を調べるのはあまりにも困難である。ネットでDB化されれば検索も容易になるが、公開する側も手間がかかる。

 2. ガバナー事務所による発信
 次に地区レベルでの情報発信について見てみる。ガバナー事務所と地区委員会に関するHPは一般的に統合されている。一方でガバナー月信を別に独立させている場合もある。

 

 2830地区ではガバナーエレクトが日誌10)をネット上で公開している。地区代表、代表ノミニーら3名がエレクト事務所を訪問した様子である。RACの現況と次期の活動について話し合ったとのこと。地区内では活動が低迷しているようだが、様々な活動を展開しているRACもあるに違いないのにそれが伝わってこない。「何をしているのか、何をしようとしているのかをもっと他者に、特にロータリアンに伝えて欲しい」とコメントしている。そのためにもまずニューズレターの作成を希望し、代表ノミニーにおいては「次年度のローターアクトに期待を抱かせてくれるような、自分の考えをはっきり言える、はきはきした若者であった。期待しているよ!」という文章で締められている。口語体ということもあってか、暖か味を感じさせる文章になっている。
 2560地区HP4)では地区RA委員長が委員会目標のほかに、RA年次大会と世界RA週間について言及している。委員会目標では提唱、未提唱に関わらずRACの活動に参加し、会員増強に協力してほしいとRCに訴えている。さらに提唱について、複数RCどころか分区単位での提唱も視野に入れ、アシスタントガバナーにも協力を要請し、無RAC地域の改善を検討している。現況として「在籍した事を誇りに思うOBがローターアクトの行事にも多勢支援参加」している様子や、「伝統を守り、ローターアクター自身頼もしいくらい積極的に計画を立て活動」していること、「クラブが少なくなったため、区域外の遠くからの参加」という実状も報告している。「ロータリークラブが提唱し、育成してきたローターアクトクラブの意義を考え、ローターアクターと積極的に対話、交流を持ちながら、一緒に活動し、感動を与えてください」との文言に至るや、地区ロータリアンによるRACに対する思いやりが感じられる。年大報告ではガバナーから「ローターアクトが終ったら、ぜひロータリアンに、そして30〜40才の若いロータリークラブを作る元気で頑張ってほしい」との挨拶があったことも披露している。
 2650地区HP
2)でも地区RA委員長のページが存在しているが、RACの成り立ちや意義に多くを割いている。地区概要では「広範囲かつ大規模な組織」を背景に「これだけの仲間が何かアクションを起こせばと一度想像してみてください。それだけアクトへの地域における期待は大きいのです。またこれに答えられる存在にならなくてはいけないのです」と期待を込めている。2730地区HP7)も2650地区に似た構成で、RAプログラムの意義が強調されている。
 2680地区HP
6)では委員会活動レポートを掲載している。そのなかで新世代セミナーについて地区新世代委員長が、講師であるPGの発言要旨を紹介。なかで「ローターアクトを育てるにしても、金を与えるとか、物を与えるとか、目に見える形ばかりを追いかけるようになっている」と嘆いている。「ロータリアンがローターアクトと共に清掃奉仕をする場合を考えれば、それはローターアクトの心を育てるために『ローターアクトと共に』清掃奉仕をしているのであって、ただ漫然とローターアクトと共に清掃奉仕をしているのではない。目に見える現象としては清掃奉仕をしているが、その本願はローターアクトの心を育てるところにある」と言う。金や物を与えて困った人を助けることは、ロータリアンでなくてもできる。タバコの吸殻を拾うことも大切だが、RCの理想はタバコを捨てないひと、心を育てることにある、として、青少年奉仕を「共にする」点においての大切さを強調している。尚、この項目の最後は「ローターアクトとRYLAについての問題点(中略)等があるが、紙面の都合で割愛する」で締められている。どんな問題を抱えているのか気になるところである。

IV . おわりに
 RACの設立意義等に触れているサイトは多いが、RACの存在意義の再確認として役立つことだろう。全般的にRACについて意見を持つロータリアンは、RACを温かく見守りつつ、他方でもっとよい活動に結び付ける手助けはできないだろうかと模索していることがわかった。これまで「育てる」という視点がRCの青少年奉仕のスタンスだったが、今後は「共にする」というキーワードにあるように、奉仕活動のパートナーとしての位置付けも重要視されるだろう。
 新世代・RAC部門については「よくわからない」というロータリアンが多いなかで、HPを活用した活動情報の提供は意義があり、また他地区の活動内容を参考にしたい際には容易に情報が引き出せる点で用途が広がる。単に「新世代とは」「RACとは」から一歩踏み込んで「自クラブでは」「当地区では」と発言するサイトが増えることにより、RCのIT活用の進展につながることが期待される。

参考文献
1) 2650地区玉井公詞(京都伏見) : ローターアクトと共に行動を, 00-01年度2650地区ローターアクト委員会, 2650地区(2000)
2) 長崎一幸(舞鶴東) : 01-02年度2650地区ローターアクト委員会, 2650地区(2001)
3) 大日方弘明(直前G) : 青少年委員会ホームページ開設に当たって, 01-02年度2650地区青少年担当諮問委員, 2650地区(2001)
4) 飯島武好(白根) : ローターアクト年次大会の報告とお願い, 01-02年度2560地区ローターアクト委員会, 2560地区(2001)
5) 大谷光夫(高田) : 新世代奉仕関連合同会議開催, 01-02年度2560地区新世代奉仕委員会, 2560地区(2001)
6) 深川純一(PG) : 新世代セミナー, 01-02年度2680地区委員会活動レポート, 2680地区(2001)
7) 2730地区 : ロータアクト, 2730地区(2001)
8) 戸塚富雄(渋川) : ローターアクトとは, 卓話集, 渋川みどりRC(1994)
9) 戸塚富雄(渋川) : ローターアクトと青少年奉仕について, 卓話集, 渋川みどりRC(1996)
10) 関場慶博(G) : ガバナーエレクト日誌4月分, 2830地区ガバナー事務所(2000)
11) 上芝良造 : 会員卓話, クラブ週報, 海南東RC(2000)

[ 2002.5. 8 受稿 ]
[ 2002.9.18 修正 ]


 Key Words : ネット,ホームページ