小特集 ・ インターネットの活用

 

稼動掲示板における利用者心理
Why do you wright such a thing ?

RAC総研 国内情報分析班
( Project Team of the Domestic Data, RRI )


 I . まえがき
 ローターアクト(RAC)におけるホームページ(HP)の活用は、近年注目されている。ロータリー(RC)に比べるべくもなく若い年代を対象としているため、情報技術への対応が柔軟であり、その活用方法にも多様性を見出しつつある。
 コミュニケーションツールの一つとしてメーリングリスト(ML)が挙げられる。全国の現役・OBを繋ぐもの1)はもとより、Yahoo!が提供するMLでも「ロータリークラブ」の項目で運営されている30のMLのうちRAC関連は10を占めている2)。一方で、かつて「チャット例会」3)と称し、全国どこからでもアクセスできる利点を取り入れようとしたチャットは下火になっている。
 そうしたなか、掲示板(BBS)の有為性が改めて着目されている。RAC総研では過去に、全国のBBS所在を明確にし4)、その後、利用頻度からBBS開設の意義を検討した5)
 ネット社会の変遷の速さに応じ、用途の思想にも変化が生じている。本編では放置BBSとは逆に、利用されているBBSの現状とその課題を検討する。

 II . 稼動掲示板の現状
 放置BBSとは対極的に、頻繁に書き込まれるBBSは、国内に相当数存在する。では放置BBSでなければ頻繁に書き込まれているBBSかといえば、そうとは限らない。月に1〜2回の書き込みがあれば放置の条件から外れるが、そのような頻度が適正であるとはいえない。コミュニケーションツールとしての役に立っているか懐疑的であり、放置BBS候補といえる。
 一般的にBBSは、広告付が多い。CGIを扱うのにある程度の技術を要する一方、無料で提供されるBBSではデザイン性を重視したものもあり、使い勝手もよいためと推測できる。しかし容量制限もあって、過去の書き込みから順次消去を余儀なくされている。頻繁に書き込まれるBBSは、その分過去の発言が消える頻度も早い。古い情報がいつまでも残っているのは見栄えが悪く、初めて訪れた閲覧者に放置の印象を与えかねない。その意味では頻繁に書き込まれた方がBBS自体の活性化につながる。
 しかし、さほど情報性の高くない書き込みの連続では意味がない。商品販売・出会い系など宣伝書き込みがその最たるものである。これは発見次第消去すべきであり、BBS管理者の管理姿勢に関わる。これがRAC関連の書き込みであれば、めったなことでは削除できない。アクターの発言においても、よほど不適切な表現が含まれていないことには、傍観する以外にない。ここに「RACのためのBBS」という定義付けが発生し、各地のBBSでも「RAC関係者以外の発言を禁じる」旨を明記しているサイトもある。

 III . BBSの内部告発
 稀なケースではあるが、九州地方K市内のあるBBSで、議論が生じた。
 このBBSはスレッド繰り上がりのレス式。デザインに凝っているわけではないが、昨年の開設以来、発言数の多さで注目を集めていた。これは同RACの一部会員が、地区内外で親しくなった現役・OBにPRしたことが主な要因である。その関係者からさらに口コミで広がったため、同じRACでつながってはいても顔を知らないという所謂ネット型友人関係の構築に至った。こうして同BBSは発言が相次ぎ、賑やかになった。
 しかしこれを快く思わない会員も同RACには存在した。新年度に入って間もない頃、「ここの掲示板の使い方ってこれで良いんでしょうか」との書き出しで疑問を投げかけた。曰く、自クラブのBBSなのに入りづらいと。これに対し早速BBS管理者から「ではどうすればよいのか」との呼びかけがあったものの、RACなのにRACの書き込みが少ないなどの潜伏していた鬱憤が表面化した。興味深いのは、初めに疑問を呈した発言者が3日間、発言を据え置き、不満を訴える会員の賛同発言も直後になりを潜めたこと。その間、BBS適正化への案を打ち出したのは、同RACからは会員一名と管理者だけで、他はすべて他地区からの投稿であった。
 不満の解決として様々な意見が出されたが、RAC的「みんな仲良くしようよ」という善意の姿勢は別として、具体案ではクラブ内での調整とROMの解消が提示された。
 我々はこの意見、後者に賛同する。

 1. クラブ内調整
 BBSは殆どの場合、特定の地区・RACのHPに付随している。HP開設よりも先にBBSだけを暫定的に置く場合も稀にあるが、最終的にサイトの一コンテンツとして集約されている。
 言わずもがな、BBSはそのRACの所有物といえる。この用途に違いがあっても、主体はRAC又は帰属する地区であり、他地区又は他クラブからの書き込みは客人と位置付けられよう。
 この議論の発端となった書き込みにはこの「自分(のRAC)のもの」という視点が欠けている。これは管理者も「あなたは運営側の人間でしょ?お客様を迎える側の人間でしょ?」と問い掛けているように「運営する側」が持ち出すべき問題提起ではない。不満があれば月2回の例会中に話し合うなり、管理者が卒業したのであればメールでも可能。BBSに書き込むことによって事を荒立ててしまったのは誤算であろう。これについて投稿者は、新たな問題提起としてまとめようとしているが、余計な反感を買うだけでしかなかった。同RACから同様の意見が舞い込んだのも予想外の支持であったろうが、その後の論戦に参加してこないところからも、筋が通っていない、反論のしづらいディベートに陥ってしまったといえよう。

 2. ROMの解消
 こうした事態を招いたのは、投稿者自身がROMだったことに原因がある。同氏の論では「最近は一部の人しかわからないネタ、他のHPのネタが多くて、どうしても付いていけません」と指摘している。
 所謂内輪ウケの排除を求めているわけで、確かに内輪ウケのBBSに入るのは、困難であるのはわかる。全国MLでも草創期には内輪ウケ問題は真剣に討議された。しかしその際の内輪ウケ話は、まさにその土地でないとわからない話題や、個人的な笑い話など他者には窺い知れないネタであった。このBBSは、アクターであればわかる範囲の中で収まっている。あえてアクターでもわかりづらい点を挙げるなら、最近であれば東日本のOBロータリアンがそのRACと交流した際の話題くらいか。この話についていけないのは、K市以外に住んでいる閲覧者全員であり、究極の内輪話といえよう。だからといって、他地区・RACから「話についていけない」などとクレームが入るわけがない。すべての閲覧者は、そのBBSがそのRACのもので、話題がそのRACに基づくものであるのが当たり前という前提で臨んでいるからである。逆に、顔を合わせたことがない人も集うBBSであるのだから、そうした閲覧者が内輪ウケの話題を供するのは不可能。ネット上での付き合いから派生していることを考慮すれば、他のHPからの引用・比較・最新情報の提供もあろう。それが同BBS上で展開されるのが不満となれば、パスワードをかけるなりして完全に部外者を排除するしか方法はないだろう。
 当人がROMであり、入るタイミングを逸したことを嘆くのは勝手だが、それをBBSの性質云々にまで昇華させるのは本末転倒である。逆に自ら自クラブネタを振りまいて、スレッドのイニシアティブを引き寄せるなど打つ手はいくらでもある。
 そうした自己完結型の中でも、発言しただけまだ救いようがある。その突破口が無ければ自ら口火を切って発言できない者もBBSの背後に控えているのは確か。さらにその中でも追随するだけマシという評価もあり、問題なのは苦言すら呈さず、ただBBSの流れを傍観しながら斜に構え、議論の過程を眺めながら鼻でせせら笑う、所謂冷笑主義(シニシズム)である。

 IV . 利用ベクトルの変異
 北海道内A市のRACのBBSでは匿名で「なんだろう?」と題した書き込みが年度末に入った。「以前このクラブに入ってたけどおもしろいことなんかなんにもないよ!!」という衝撃的な書き出しで、お金だけ取られてつまらない話合いばかりだの、半年くらい連絡こないだの、例会は市内のホテルに集まって安っぽい食事をして難しい話聞くだけだのと辛辣な批判が展開されている。
 言いえて妙なる文言が続く反面、飲み会が割勘なことを不満としている節もある。これはRAC勧誘の際に飲み食い放題などを期待させた可能性がある。また、ホテルでの例会はスーツ着用なので着もしないスーツを買わされたという不満や、夜遅くなるとタクシーで帰るハメになるなど多少RAC批判には的を得ていない書き込みも見られる。
 こうした中で注目すべき文として「このホムペだってぜんぜん更新されてないでしょ?会員紹介は五十年くらい前のだと思いますよ(笑)」というものがある。まさに放置BBSで恐れる展開である。
 この書き込みを、管理者は削除できるだろうか。RACの話題である。多少誹謗中傷の感はあるが、RACの側面を言い表してもいる。反論の書き込みはいつなされるか。今後の同BBSの展開に期待したい。
 かつてYahoo!が提供する掲示板でRAC会員募集をかけたことがあるが、レスはRC批判・RAC批判の連続であった。同サイトでは過去の書き込みを一方的に消去することは許されていないため、結局自然にスレッドが消滅するのを待たねばならなかった。斯様に公開のBBSにはRACの知名度が低いとはいえ、開設者にとって有利な書き込みが続くとは限らない。


 IV . あとがき
 本編では、BBSに書き込みがあればそれでよい、とはいえないサンプルを二例取り上げた。デジタルとはいえ、書き込まれると発言者の意図を離れてしまうのは、アナログな言霊と同様。発言の意味合いによっては俄然注目され、その書き込み自体が様々な意見を呼び起こす可能性がある。
 事務的な書き込みに特化した掲示板と違い、活発な書き込みのあるBBSはチャット的な役回りも含む。チャットが下火になった分を補っているようにも思える。そこでそのチャット要素を否定したのが今回の論議の発端といえよう。BBSに何を求めるかにも多様性がある。
 RAC批判の書き込みをどう扱うか、も今後本格的な検討が必要であろう。トラブルによっての中途退会者や、活動においてRACの振る舞いに不愉快な思いを抱いた部外者にとって、BBSは鬱憤を晴らせる場となり得る。

 

参考文献

1) 全国RACメーリングリスト
2) Yahoo! eグループ
3) 全国RACML : 第75回チャット例会(2001)
4) 全国のRAC掲示板RAC総研 国内情報分析班 : ネット掲示板の開設状況調査(2001)
5) RAC総研 国内情報分析班 : 放置掲示板の問題点とフォロー(2003)

[ 2003.7.27 受稿 ]


 Key Words : BBS,掲示板,Internet,Home Page,カキコ,内輪ウケ