【報 文】

 

ハイパーアクトの受け皿的機能とその有用性

What are you doing after graduating RAC ?

矢橋 潤一郎 *
(YAHASHI Junichiro)


  I. はじめに
 RACの特徴として30歳定年制が挙げられる。会員資格は直前会長・直前代表を除いて「年齢が30歳に達したローターアクト年度の6月30日に自動的に終結」する1)。これによって組織の中で常に若さが保たれ、RC他でよく見られる”老害”による活動の停滞は避けられる。一方で最低年限の18歳から入会しているアクターは少なく、20代半ばあたりから入会し20代後半に差し掛かってようやくRACの面白味がわかり、会の運営にも慣れたところで退会しなければならないのは一種の人材流出ともいえる。そのためこれまでも定年延長の必要性が議論されている。2001年規定審議会では宇都宮東RC、鹿沼RC、日立北RC、2800地区から定年の5年延長が立法案として提案された2)が否決されている。
 こうした背景のなかで、RACに在籍せずしてRACを支えるOB(OG)の重要性は増してくる。公式・非公式を問わず各RACではOBの集りとしてOB会が結成されている。しかしその性質はあくまでもOB有志の厚意であり、また親睦中心のものが大半を占める。これに対しRC内での位置付けを明確にしたものがハイパーアクト(HAC)である。
 本研究では2510地区(北海道西部)の現状を踏まえて、HAC設立に関する意義を検討する。

 II.  OB受け皿としての有用性
 2510地区内では現在12クラブが活動しており、それらは個々にOB会を持つクラブと持たぬクラブに分けられる。OB会のなかにも、後輩アクターの相談に積極的に乗り、RAC行事で人手が足りないときには手伝いを買って出るところもあれば、ただ仲の良いOB同士が飲むために集るグループをOB会と称するなど様々な形がある。
 現状の2510地区では、OBになってしまえば基本的にRACとの関係が断ち切られる。それはクラブの伝統の継承が途絶える要因のひとつになり得る。活動の一貫性が期待できない上、過去の反省が活かされることない。従っていつまで経っても同じ失敗の繰り返しが続き、見守るひとが変わらない提唱RCからは呆れられることも多々ある。会員数の少ないRACでは、年齢制限を遵守することによっての退会はクラブ存亡の問題に直結する。そのため会員数の維持を名目に30歳を過ぎてもクラブに在籍させる、言わば「定年破り」が黙認される傾向も表れてきている。これらについてはOBによる後輩への適切な助言を行う場の提供、退会しても尚活動には協力できるという安心感をRACに与えられるOBの集合体、つまりOB会の整備が必要となる。しかしOB会と称していては団体格を持たぬ単なるOBの集りと目される恐れがある。また、元々少人数で運営している2510地区の各RACで、活動を終えて無事OBになるひとは少なく、各クラブのOB会とはいっても面倒見のよい先輩個人の代名詞となっている面もある。
 これらOB個人のユニオンをまとめあげる団体として、ハイパーアクトが挙げられる。本来RACには将来のロータリアン候補を期待されているが、30歳卒業後、即RC入会というのは現実的ではなく、その可能性のあるOBでも一旦JC等を経てからというのが慣習化されている。IAC卒業生に対しての受け皿として1968年にRACが設立されたが、RAC卒業後の受け皿は検討されていない。一方でRIは「ローターアクターからロータリークラブ会員への移行を容易にするため、年齢30歳から35歳の会員に対し会費を免除することをロータリークラブに奨励」する3)としてあくまでRACの次はRCという見解を示している。そうした背景を踏まえ、RCに認められた団体としてのHACを作ることは、現役アクターからOBへの連絡の一元化やRCにとってロータリアン候補の集合体を担うなど利点は多いといえる。
 

 III. HACの事例
 国内では東京や2630地区(岐阜・三重)などでハイパーアクトクラブを結成し、役員を選出、定期的に集り、OB同士の親睦、後輩アクターへの助言、活動支援など活発に活動している。
 
東京池袋西HAC4)では毎月の例会でゲストスピーカーを招いている。東京池袋HACと合同で例会を行ったり定款・細則の見直しを図るなど積極的な活動展開を見せている。1979年の設立だが2001年に解散、東京池袋西RCから離れ、補助金無しで独自の運営を行っている。

 IV. 2510地区の地域性
 
2510地区においてもOBの経験に基づく助言と人的支援は、現役アクターにとって有用であるのは間違いない。しかしそれを取りまとめる機能が確立されていないのが現状である。広い地区面積に対しRACが点在している形の同地区では、各クラブレベルでのHACよりも地区レベルでのHACの方がひとも集り、効果が期待できる。だが地区HACを立ち上げるには札幌中心とする都市部と、地域に密着した活動を主体とする地方とで取り組み姿勢に温度差が生じる。さらに性急さを嫌う道民性からもこれまでの案件同様一気に話を進めるのは息切れを引き起こす可能性があり得策ではない。
 そこでまずは札幌市内に2つしかないRACのそれぞれのOB会が合同してHACに移行し、「札幌連合HAC」を設立する。具体的な助言・手伝いを通してHACとしての役割を地区内に認知させ、地区HACに発展させるという二段構えで取り組むのが早道といえる。
 特に2002-03年度の地区を担当する札幌幌南RACは、前年度末で会員数の半分を定年で失う。定年破りで引き留めるにはあまりに多過ぎる人数である。これらOBになりたての方達がスムーズにかつ合法的にホームクラブの手伝いができるようにするためにも、HACの設立は急がれる。

 V. 結論
 
0歳から30歳までを新世代と位置付けるRCにとって、30歳を越えた年代については重点項目から外れさる。よってRACの受け皿的機関の提唱の可能性は当分無く、かといって定年延長の道も開かれない。せいぜいがRAC卒業後RCに入会するなら35歳までは会費を免除するようRIからRCに”奨める”程度の対処しか提示されない。国内のRCでこの奨めに従うRCは皆無だろう。現実に目を向ければ、恒常的な会員数不足と、それを要因とする活動の停滞、さらにその繰り返しによる提唱解消・解散・休会と悪循環に陥るRACも多い。そうしたなかで年月の流れに逆らえずに年々消えていくOBをどう活用するかが問われてくる。定年破りによる一時的な会員数減少の回避によって立ち直るRACもあろうが、建設的な手法とはいえない。HACという受け皿機関の認知度を高め、ロータリアンでもローターアクターでもない第三の要員の活用にこそ、RAC発展の鍵が見出される。
 2004年には大阪でRC世界大会が開催される。これにはRAC会議も含まれる。2002年の全国RA研修ではホストの2660地区RA委員長からアクターに向けて「世界大会が開かれる2年後にはOBになっているという方もこのなかにはいるでしょうが、その方達にも一緒になって考えていただきたい」という挨拶があった。この2年間で30歳に達するベテランアクターこそが有用な提案をし、準備に走り得ると解釈される。そのOBをどう取りまとめるかも課題のひとつである。

参考文献
1) 標準ローターアクト・クラブ定款 第4条 会員資格
2) 宇都宮東RC、鹿沼RC、日立北RC、2800地区 : 決議案 01-237,ローターアクターの年齢制限を35才までと引き上げることを考慮するようRI理事会に要請する件,日本から提案される立法案2001年規定審議会
3) 国際ロータリー理事会の決定事項の抄録 : ロータリーの友5月号(2002)
4) 東京池袋西ハイパーアクトクラブ

 

[ 2002.5.23 受稿 ]


 * 01-02年度2510地区ローターアクト委員会 District 2510 Rotaract Committee, Hokkaido, Japan
 Key Words : OB,ハイパーアクト,定年