【報 文】

 

RAC会員候補としてのIACとその逆説

IAC has been born before RAC

矢橋 潤一郎 *
(YAHASHI Junichiro)


 I . まえがき
 インターアクト(IAC)は高校生または14〜18才までの若者で構成されたクラブである。最初のIACは1962年、メルボルンRC(米国フロリダ州)により結成された。奉仕活動や国際的な友好関係を構築することに主眼を置いており、ローターアクト(RAC)の高校生版といえる。しかしこれには語弊がある。正しくは、RACがIACの大学生版になる。
 IACは高校生を対象とするため、高校卒業と同時に会員資格を失う。折角高校在学中にIAC活動を通じてRC精神を養ったのに、卒業したからといって活動の場を喪失するのは惜しいと1968年、ローターアクトプログラムが立ち上げられた1)。つまりIAC卒業生の受け皿的機能が、RAC設立の発端といえる。
 このように元来、RACにはIAC卒業生が入って然るべき構造になっている。しかし、RACができて35年経った今日、日本国内においてIAC卒業生がRACに入った事例は、そう多くはない。
 本編ではIAC卒業生がRACに入会しなくなった要因を分析し、IAC卒業生のRAC入会後における活躍の可能性について考察する。

 II . IACとRACの過去と現状
 1. IAC・RACの設立
 IACとRACは両方共に米国において世界最初のクラブが設立されている。日本国内での最初の設立との比較を表-1にまとめた。

 
表-1 最初のIAC・RAC
 

世界 日本
IAC

1962年10月28日
メルボルン高校IAC

提唱 : メルボルンRC

1963年6月27日
仙台育英高校IAC
(現・仙台育英学園高校IAC)
提唱 : 仙台RC

RAC

1968年3月13日
ノースシャーロットRAC

提唱 : ノースシャーロットRC

1968年6月1日
国際商科大学RAC
(現・川越RAC)
提唱 : 川越RC

 日本のIAC・RACは共に、RIによるプログラムの提言からさほど間を空けることなく提唱を行っている。国内におけるIAC・RAC誕生において、仙台育英高校IAC創立会長であった今野茂正氏が国際商科大学RACにおいても創立会長を務めたことはよく知られているが、その仲介役を担ったのが当時の東京RC幹事だったことも興味深い2)

 2. 現況
 友誌2003年8月号での統計によると、IAC、RAC、RCそれぞれのクラブ数、会員数、加盟国数は以下のとおり(RC・RACの国内クラブ数は2003年5月末現在の集計。IACは2002年7月末現在)。

 
表-2 IAC・RAC・RCの現況
 

  クラブ数 会員数 加盟国数   国内クラブ数
IAC 8,973 206,379 113   557
RAC 7,534 173,282 155   409
RC 31,314 1,220,543 166   2,324

 RC加盟国の93.4%でRACが提唱されているのと比べれば、IACの提唱68.1%は低い印象を受ける。一方でクラブ数自体ではIACがRACを約1,400の差で上回っている。5年半の歴史の差を考慮してもこの開きは大きい。
 国内に目を向けると、集計時点で1年の違いがあるとはいえ、やはりIACの数はRACを大きく上回っている。

 III . 「兄弟IACを持つRAC」
 IACとの交流や最終的な卒業生のRAC入会には、提唱RCを同じくする状態が有利と考えられてきた。これは一般に他RCが提唱するIACを活動等に誘う場合には、双方の新世代担当委員長・幹事・会長に加え、IAC顧問教諭の了解までが必要となり、非常に手間がかかる為で、提唱RCが同じ場合は自己完結で済むことになる。このフローと関係は以下のように表せる。


 名簿上国内426RACの提唱RCの中には、IACも提唱しているクラブが多々ある。親を同じくするIACが存在する状況を「兄弟IACを持つRAC」と定義付けると、その数は148に上る。この数字は、全体の35%を占めることになる。地区毎の「兄弟IACを持つRAC」の数と地区内RAC数に占める割合を下表に示す。

 III . IAC卒業生への期待感
 IAC卒業生にとって活動の継続の場として用意されたRACであるが、その人数は必ずしも多いとはいえない。IACとRACを両方提唱しているRCは国内に存在することは先に述べたが、そのIACから兄弟分のRACに卒業後、進んでいるかというと、スムーズな事例報告は少ない。
 札幌幌南RCは札幌幌南RACと札幌商業高校IACを提唱していた(IACは2001年に提唱解消)。札幌幌南は前身が札幌大学RACだったため、卒業生ルート自体が限定されており、IACからRACへという形そのものが困難であったが、社会人ベースRACに移行して以降も卒業生勧誘を積極的に行った形跡は無い。
 大阪南RACはそうした恵まれた環境を生かし、各活動毎に清風高校IAC部員に参加を呼びかけ、結果、卒業後にRACに入りたいと希望する部員さえ現れた。
 大阪住吉RACは浪速高校IACと大阪住吉RACを同時に提唱したが、やはり兄弟分という関係は生かされず、活動そのものにおいても交流は少なかった。一方で提唱RCのRA委員会は、他RCが提唱している他校IACの卒業生に対し働きかけを行った結果、勧誘に成功し、多数入会。IAC内での先輩-後輩ラインが構築され、毎年卒業生が入会するようになり、会員増強において一定の役割を果たした。
 元来がIAC卒業生の活動の場として位置付けられるRACだが、IACからのRAC入会が一般化されない今日では逆に珍しいものとして見られる。ではRACにとってIAC卒業生の取り込みにどんなメリットがあるか。

 1. RCシステムの熟知
 RCプログラムの一つであるIACは、RCの影響を直接受ける。RACほどでないのは、間にクラブ顧問である学校の先生が入る為で、その意味では間接的な影響ともいえる。ともあれ、RCがどういうものかを窺い知る機会は多い。RC地区大会への出席で多くのロータリアンや式典の進め方に触れ、IACの地区行事では地区委員長やある時はガバナーから、RCがIACに対してどんな活動を求めているかが語られる。3年間、こうしたルーティンに接していると、高校生とはいえRCがどのような団体かは薄々把握できる。これはROTEXにもいえる3)
 その結果、RC独特の所作に対する抵抗感が無くなる。一般的にRAC入会勧誘での障壁は、RCの知名度の低さに伴う怪しさであり、宗教団体と間違われる儀礼行為にある。点鐘ひとつ取っても、わからない人には怪しげなものでしかない。そうした誤解を解き明かす手間がかからないという点だけでもIAC卒業生の有用性は大きい。

 2. ボランティア活動への取組姿勢
 RCのシステムをただ知っているだけでは活動につながらない。それを活かして奉仕活動なり交流活動なりに転化する姿勢が必要になる。
 ROTEXと異なる点はここにある。多くの地区でROTEXは、甘やかされている。すべてにおいてRCのお膳立てが済んでからの活動が主流で、その活動も単に受入交換学生と飲み食いして終わることが多い。IACは校内における課外活動が本分であるため、高校生としての規範から逸脱することはありえない。真摯にボランティア活動に取り組みたいと志願する生徒で部が構成されている。そうした生真面目さは、多くのRACが掲げる「親睦ありきのRAC」方針には不向きかもしれないが、受け入れ態勢が整えば、IAC時代に培った活動を基盤にさらなる奉仕活動の展開が期待できる。


 IV . RCからの期待感
 養父2720地区RA委員長4)は熊本西RAC提唱に際し「熊本西RCは、すでにIACを提唱しているが、このOBやOGらが卒業後、何もすることのない空虚な日々を送り、インターアクト時代のように活動の場を持ちたいと呼びかけ、集まり、熊本西RCに提唱を要請し結成された」と経緯を語り、「地区内に残るインターアクト生がローターアクトの候補者であることを実証」と確信する。
 赤木2680地区ガバナー5)は「インターアクトからローターアクトに育って、ロータリアンになってくれればいい」と、IAC卒業生のRAC入会のみならずその先まで見据えて期待している。
 一方で片上2660地区IA委員長6)は、RCに対して厳しい視点を持つ。IACの提唱には金銭的負担が一番の障壁とし、同地区内86RCのうちIAC提唱は6RCという現状を伝えている。提唱RCは毎年資金・時間・労力で奉仕しているが、未提唱RCは何の負担もない。「アクト提唱」がRIや地区の目指す方向なら、これはおかしいのではないかと。

 V . あとがき
 IAC卒業生を得るには、日頃からの付き合いが前提になろう。その意味では企業における営業活動と同様にも見える。もちろん、IACが自発的にRACへの入会を希望するケースもあろうが、これとて、RACという団体がIAC後にも控えていることを情報として伝えてこそ。親睦交流・共同奉仕活動等、接する機会を作ることは可能であり、しかも意外に容易い。課題となるのはそこにIAC部員を連れ出す方法である。高校生に馴染まないアルコールを供する場は厳禁。参加費用の嵩む活動も、こづかいの範囲では苦しいという声も出る。何より顧問教諭を説得できる活動内容であることが必要。
 そうしたことを踏まえて、札幌北RACでは2002年春、札幌龍谷学園IACという他RCが提唱するIACに近付く為、IAC顧問教諭本人にRACへ入会してもらうことに成功した。顧問が20代ではないとできないことだが、これによってIAC部員が気軽にRAC例会に参加するようになり、翌春には卒業生が早速入会。今後は既に卒業している学生・社会人の入会が期待される。又、IAC卒業生アクターは入会後1年以内に2つのRCで例会卓話を行い、地区外の行事や通常例会へMUするなど積極的に活動の幅を広げている。即戦力としてのIAC卒業生だが、その力量を試す期間は30まで11年間もある。息の長いスパンにも、IAC卒業生アクターの楽しみがある。

参考文献

1) 加藤昭PG : 世界インターアクト週間によせて,ロータリーの友10月号(1999)
2) 今泉清詞PG : 川越RAC創立のころと最近の活動,ロータリーの友3月号(2000)
3) 矢橋 潤一郎 : 会員増強におけるROTEXの取り込みに関する研究,ローターアクト総合研究所(2001)
4) 養父信義 : RAC誕生に思う,ロータリーの友6月号(2001)
5) 赤木文生G : 大切な新世代奉仕を語ろう,第4回ガバナー座談会,ロータリーの友3月号(2002)
6) 片上 淑子 : 明日のインターアクトのために,ロータリーの友10月号(2002)

[ 2003.8.6 受稿 ]


 * 札幌東ロータリークラブ 02-03年度新世代委員長(北海高校IAC委員長) Chairman of the New Generations Committee, the RC of Sapporo-East, Japan
 Key Words : IAC,卒業,OB,会員増強