【報 文】

 

ローターアクト拡大の傾向に関する研究
2510地区(北海道西部)を事例として

Trend of Rotaract Clubs on Extension
― A case study in District 2510(Western Hokkaido) ―

矢橋 潤一郎 *
(YAHASHI Junichiro)


  I. はじめに
 RCは会員増強・拡大を常に志している。他の諸団体も同様であるがこの志向が第一義にあるからこそ団体としての隆盛が保たれる。RACにおいても会員増強は大きなテーマであり、時として会員数不足はクラブの死活問題に至る。
 ではRACの拡大はどうか。RCと違い、RACが自らRACを提唱することは認められていない。そのためRACがクラブ単位として拡大をテーマに掲げることはまずない。しかし周辺にRACが少ない地域では、MUの不便さはRCほど厳格ではないため実感は伴わないまでも、交流できるRACが存在しないという寂しさはあろう。特に東京・関西等、毎晩どこかのRACが例会を開催し、毎週末のように地区行事・ゾーン行事・クラブ例会外行事が行われる地区の実情を目の当たりにすれば、地元に戻ってクラブ数が多ければ活動も盛り上がるであろうという期待感は抱くかもしれない。
 本研究では、大都市にも関わらずRACが少ない地域の事例として札幌市を取り上げ、その現状と傾向を考察する。

 II.  対象地域の実状

 1. 在札RCの提唱状況
 札幌市は人口180万人を超え、規模としては国内5番目の都市である。RCは市内に15クラブある。古いRCは創立昭和7年の札幌RCで、今月認証状伝達式を終えた札幌大通公園RCが最も新しい。これらRCの新世代との関わりをIAC・RACの提唱状況に基づきまとめたものが
表-1である。RCは創立順に並べてある。

表-1 札幌市内RCのIAC・RAC提唱状況

RC IAC RAC
札幌 札幌第一高校  
札幌南    
札幌東 北海高校  
札幌西   札幌西(解散)
札幌幌南 札幌商業高校 札幌幌南
札幌手稲    
札幌真駒内    
札幌北   札幌北
札幌モーニング 札幌龍谷学園  
札幌西北 札幌山の手高校  
新札幌    
札幌はまなす    
札幌あけぼの    
札幌清田    
札幌大通公園    

(2001年8月15日現在)

 都市の規模からみてRCが15クラブというのは適正な数か賛否はあろう。IACが15RC中5校というのも、1/3提唱は貢献度が高いといえる。一方でRACであるが、札幌西RACは平成7年で活動を停止しており、実質2クラブである。市内提唱率13%は、IACの33%に比較しても物足りない。また2510地区内では71RC中12RACが提唱されているが、地区提唱率17%からみても道庁所在地札幌が地区平均を下回っていることがわかる。

 2. 会員候補の潜在
 国内RCにRACを提唱しない理由を尋ねると、地方のRCからは「街に大学が無いから」との答えが返ってくるのが一般的である。しかし2510地区内では赤平や留萌など大学生のいない街のRACが活発な活動を展開している。札幌は北海道大学を始め道教育大・北海学園大・札幌大など大規模な四年制大学のほか藤女子・北星女子のような伝統ある短大もあり、専門学校も含めると18歳以上の学生数たるや市内人口の相当な割合に上る。ところが在札2RACにおける学生会員は、幌南には一人。札幌北は総会員数の大半を占めるものの、酪農学園や札幌学院など比較的札幌圏の郊外に位置する大学から来ている学生が多い。北大生がRACに一人もいない現状で2RACが運営されているのを見ても、会員増強の余地はまだまだあるといえる。これら学生会員の掘り起こしだけとっても、RACの拡大展望が開ける。

 3. 過去の提唱
 2510地区の過去の新クラブ発会状況をみると、1968-69年度に岩見沢RACが発会して以来11年度連続してRACを拡大してきた。しかし札幌北RAC発会後10年間は拡大がなく、千歳RACから恵庭RAC迄4年を要することになり、さらに現在までの9年間、拡大されていない(
表-2)。

表-2 2510地区 RAC発会年月日

年度 クラブ 発会 現状
68-69 岩見沢 1968. 7. 1  
69-70 拓殖短大 1970. 5.30  
70-71 函館大学 1971. 1.27  
71-72 室蘭北 1971.11.26  
室蘭 1972. 3.21 休会
札幌西 1972. 6.27 解散
72-73 留萌 1973. 4. 1  
73-74 伊達 1973.11.27  
74-75 札幌幌南 1974.12.11  
75-76 函館 1976. 4.29  
赤平 1976. 5.20  
76-77 岩内 1977. 3. 3  
77-78 函館北部 1978. 6.15 休会
78-79 札幌北 1978.12.11  
79-80      
80-81      
81-82      
82-83      
83-84      
84-85      
85-86      
86-87      
87-88 千歳 1988. 5.12  
88-89      
89-90      
90-91      
91-92 恵庭 1992. 4. 4 休会
92-93      
93-94      
94-95      
95-96      
96-97      
97-98      
98-99      
99-00      
00-01      
 

 もっとも新しいクラブであるはず恵庭RACが休会状態であるため、現状でもっとも若いRACは千歳になる。この千歳RACが発会してからすでに13年が経ち、当時18歳の最年少会員がいたとしてもアクター総入れ替えとなり、往時を知るアクターは皆無となってしまった。つまり現在の2510地区にはチャーターナイトをよく知るアクターがいないということである。知らなければできないものではないが、12年という総入れ替えに掛かる前に新クラブ拡大を見越したいところである。

 III. 全国の傾向
 2000-01年度で日本国内にRACは7クラブ提唱されている(
表-3)。2650地区(京都・滋賀・福井・奈良)や2770地区(埼玉南東)のように1年間に2RAC拡大している地区もある。

表-3 2000-01年度 国内拡大RAC

地区 新クラブ 発会 会員数 提唱RC
2580 琉球大学 2000.7.30 25 沖縄東部
2650 京都紫野 2001.1.21 26 京都紫野
水口 2001.3.18 20 水口
2810 学校法人東北文化学園大学 2001.6.26 32 仙台宮城野
2770 芝浦工業大学 2001.6.27 23 大宮シティ
目白大学 2001.6.29 22 岩槻東
2730 国分中央 2001.6.29 18 国分中央

 年度は異なるが、1999-2000年度には熊本市内で3RACが提唱された(表-4)。これで熊本市内は11RACに増えた。

表-4 1999-2000年度 国内拡大RAC(熊本)

地区 新クラブ 発会 会員数 提唱RC
2720 熊本菊陽 2000.4.26 16 熊本菊陽
熊本グリーン 2000.4.26 20

熊本グリーン

熊本西 2000.6.23 21 熊本西

 熊本西RACについて養父1)はIACの卒業生が提唱を要請したと紹介している。また福田2)はRAC入会を望んでも地元には学生RACしかなく、それなら自分で作ろうと提唱RC探しに奔走し、1999年5月に高松中央RACを作り上げるに至った。こうした事例から、これまでRCが提唱を考案し会員を募るといういわばトップダウン型の提唱であったのが、RCに要請してRACを提唱させるというボトムアップ型に移りつつあるといえる。

 
IV. 結論
 2510地区は日本で2番目に発会した岩見沢RACを擁し、以来11年度に渡り14クラブを連続して拡大してきた。これは特筆すべきことであり、進取の気性に富むロータリアンが当時多く存在したことは他地区に誇りうるものであろう。他方、新物好きの道民性の気質か、以後ぱったりと拡大の勢いが失速したのも地区の特徴である。11年度間の熱した時期が過ぎた後の22年度間は2RACしか拡大されていない、まさに熱しやすく冷めやすい気質の表れである。
 経済的にも元気がない北海道において、中心都市札幌の牽引力への期待感は大きい。RACに関しても、提唱すべきRC数、18〜30歳人口の中核を担う大学・専門学校数・企業数のいずれを取っても市内2RACが少な過ぎる感は否めない。まずはRCにRACを再認識させる機会が必要であろう。

 

参考文献
1) 養父信義 : RAC誕生に思う,談話室,ロータリーの友6月号,pp.61(2001)
2) 福田将司 : ついに見つかったスポンサークラブ,ローターアクトの”やる気”見せます!,ロータリーの友3月号,pp.58(2000)

 

[ 2001.8.20 受稿 ]


 * 01-02年度2510地区ローターアクト委員会 District 2510 Rotaract Committee, Hokkaido, Japan
 Key Words : 拡大,会員増強