【報 文】

 

RAC未提唱期間の傾向に関する研究

The Happiness of  New Club

矢橋 潤一郎 *
(YAHASHI Junichiro)


  I. はじめに
 RCはロータリアンにより拡大できるが、RACはアクターが拡大することはできない。RACのクラブ数を増やすには提唱RCの確保が必要になる。しかし近年、提唱の動きが全国的に緩やかになっていることが度々指摘されている。12年という限られた在籍期間中に新クラブの設立があれば、認証状伝達等RAC設立手続きの一部を垣間見ることができる。だがその経験を経ずに卒業していくOBがいる地区もある。
 本研究では、国内各地区の最新提唱状況を調査し、その傾向から新RAC誕生による意義を検討する。

 II.  最新提唱クラブ
 地区内でもっとも新しく発会したRACをまとめたものが表-1である1)。調査時点で全国的にもっとも新しいRACは、昨年6月29日に発会した2770地区の目白大学RACと2730地区の国分中央RACである。地区内最新ではあっても全国的には古いRACとしては村上RACが挙げられる。1974年10月17日発会で、その後27年4ヶ月間提唱されていない。しかし同地区は分割されているので、旧地区においてはその後新しいRACが設立されており、結果として地区分割により古いRACが最新にスライドしたことになる。
 同様に新しいRACが消えたために古いRACが地区内最新に押しやられる事例としては、新しいRACが発会後間もなく休会・解散するという形もある。2510地区では恵庭RACが1992年4月に設立されて以来10年間提唱が滞っている。その恵庭RACは3年前に休会に踏み切った。地区内で次に新しい千歳RACが1988年5月の設立だが、同RACは今年度に入り例会を開催できないという実質的な休眠状態にある。結局正常に運営しているRACのなかで最新なのは1978年12月設立の札幌北RACにまでさかのぼってしまう。
 同じ事情があるのが2620地区である。運営しているRACのなかで最新なのは甲府南RACだが、同RAC設立後に1981年1月18日に磐田RAC、1989年3月15日には竜王RACがそれぞれ発会している。これら2つのRACが解散したことにより甲府南RACが地区内最新RACの位置についてしまった。他に最新RACが解散してしまった地区として2710地区がある。
 きしくも休会・解散してしまった恵庭RAC、呉大学RAC共に1992年発会。様々な背景があろうが、RAC提唱に消極的なロータリアンがよく言う「RACは作るよりも維持する方が大変」を図らずも裏付けてしまっている。

表-1 地区別最新提唱RAC

   

発会日

 

活動中の最新RAC

2500 旭川モーニング 97.04.10    
2510 恵庭 92.02.14 休会 千歳(88.05.12)
2520 久慈 91.02.18    
2530 桜の聖母ミリアム 93.10.04    
2540 日本赤十字秋田 97.08.05    
2550 鹿沼 98.05.25    
2560 村上 74.10.17    
2790 船橋 92.05.06    
2800 南陽東 98.09.30    
2810 東北文化学園大学 01.06.26    
2820 土浦南 97.02.10    
2830 青森大学 99.05.19    
2840 前橋南 95.02.06    
2570 むさしまつやま 97.12.05    
2580 琉球大学 00.07.30    
2590 川崎新百合丘 00.02.07    
2600 上田 91.06.24    
2610 立山 98.06.16    
2620 竜王 89.03.15 解散 甲府南(79.12.09)
2750 東京マリーン 96.09.02    
2770 目白大学 01.06.29    
2780 小田原城北 95.04.25    
2630 名城大学 00.06.29    
2640 海南・海南東 93.07.26    
2650 水口 01.03.18    
2660 大阪御堂筋 99.02.17    
2680 神戸北 89.06.16    
2690 吉備国際大学 97.05.09    
2760 名古屋名城 95.06.30    
2670 高松中央 99.05.10    
2700 田川 89.01.06    
2710 呉大学 92.05.28 解散 下関東(90.04.05)
2720 熊本西 00.06.23    
2730 国分中央 01.06.29    
2740 伊万里西 87.03.15    

(2002年1月1日調査)

 

 III. 未提唱期間
 表-1を元に各地区最新RAC発会から2002年2月15日までのRACを提唱していない期間を算出・分類したグラフが
図-1である。

 国内35地区のなかで1年以内に新クラブを設立した地区は11%。10年以上提唱していない地区はその倍にあたる。このなかには先述の地区分割により生じてしまったものも含まれる。それを除けばもっとも古いもので2740地区伊万里西RACの14年になる。35地区平均は6年半。12年以上の地区は5つあるが、これらの地区で地区外交流に携わらないアクターは、RAC提唱という動きを見ることなくRACを終えることになる。

 IV. 結論
 平均未提唱期間6年半は、在籍可能年数の半分にあたる。適切な会員増強を継続した上で約6年毎の新クラブ設立を行えば、RAC提唱に関する動きを間近に学ぶことができる。逆に12年以上新クラブ設立のない地区では、地区外との交流による情報以外に提唱の過程を知ることができない可能性がある。RCによる提唱・設立という手段以外にRACが生まれないという特殊性を考えれば、新クラブ設立に立ち会えなかったアクターはRAC活動の一部を享受できなかったともいえる。また認証状伝達式、チャーターナイト、チャーターメンバーなど設立に際して使われる用語も、単に言葉の知識として知るのと実際に使われている場を目の当たりにするのとでは異なる。2510地区のように各クラブが地方に点在し、最寄のクラブとの日常的な交流がない場合、メーキャップというシステムを経験できず、結果としてメーキャップという用語自体もメーキャップカードの存在も知らずにOBになっていく恐れがある。同様に新クラブ設立により提唱の仕組みを知らせることは、RCの支援によりRACが活動しているという組織形態を具体的に伝えることにつながりうる。
 ひとつのRACを作るということは、RACそのものを知らない若者が約20名、一気に増えることを意味する。そうした人々にRACの概念、活動事例を教えるのは提唱RCの担当委員会であるが、周囲の先輩アクターもその役割を担う。これ自体が他者にRACを伝える訓練となる。このように新クラブ設立には様々な周辺効果を伴う。そうした機会を提供するのもRCの責務であろう。

 

参考文献
1) ロータリーの友事務所 : 全国ローターアクトクラブ名簿(2001)

 

[ 2002.2.16 受稿 ]


 * 01-02年度2510地区ローターアクト委員会 District 2510 Rotaract Committee, Hokkaido, Japan
 Key Words : 拡大,提唱