1 Canakkale〜Troy
key word
誰よりも私は美しい。
today's photo
 トロイの木馬、レプリカ。巨大な玩具。 
today's hotel
  KAYA PRESTAGE
Sair Esref Blv 1371 No 7 Izmir 


チャナッカレの朝。
 あさー。目覚めは良い。夕べの食事が遅かったので食欲は無い。オレンジ丸ごと一個とトマトひとかけら 。coffeeは一口でリタイア。このチャナッカレは観光地ではなく、トロイへ向かう宿泊拠点となっている小さな町。W.W.1「ガリポリの戦い」(ダーダネルス遠征)の激戦地である。
 連合国が当時ドイツの同盟国であるトルコを経由して、ロシアとの連携を図る為にとった上陸作戦であるが、1915年4月19日から8ヶ月にも及んだ。連合国の進攻作戦は失敗、撤収をみる。(因みにこの遠征の作戦失敗ゆえに英国のチャーチルは首相を辞任する)撃退に成功したトルコ軍は、戦死者25万人を優に越え、この町のすべての道路には、トルコの兵士の血が染み込んでいる、といわれている。連合国側もほぼ同数の戦死者を出した。
 血に染まる大地の上に平和は成立する。言葉ではなく、それがまさに此処、今立っているこの足の下なのだと、平穏な朝の風景から感取するは至難である。なにごともないごくごく普通の、田舎の港町なのだから。ホテルの傍にある軍事博物館には戦争当時使用した大砲も陳列されていたらしい。見そびれてしまった。

トロイ遺跡。

 バスに乗り込みトロイ遺跡へ向う。「トロイの木馬」のトロイである。遺跡へ向う途中ナルキッソス(水面に映った己の姿に恋焦がれた美少年)の伝説の地を通り抜ける。低木の畑がなだらかな丘の斜面に連なる辺り。本当に彼は誰よりも、神々よりも美しかったようである。
 B.C.1200年頃ギリシャとの間に起ったトロイア戦争の舞台として、Homerosの叙事詩『Ilias』『Odusseia』で知られていたが、伝説から現存の地へ引き上げたのがドイツのシュリーマン。1871年から90年にかけて彼は私財を投資して発掘を開始、そして財宝を発見する。その際遺跡を破壊し、又、財宝の殆どはW.W.2の混乱でベルリンからロシアへ移送されたとの説が濃厚である。考古学者として「実証した」功績はあるものの、その発掘方法は批判されても仕方が無いであろう。
 遺跡は全部で 46層、大別して9層からなる。古い市を囲むように新しい市を建設していった。9層のバームクーヘンを想像して頂きたい。その層一つづつが市で、そのほぼ真中の穴の部分がシュリーマンの発掘遺溝跡で第2市。(下写真参照)第1市はB.C.3000〜2600、現存するのは住居跡と壁面一部。第2市はB.C.2600〜2300、第3.4.5市はB.C.2300〜1900(ここまで青銅器時代初期)第6市はB.C.1900〜1300(青銅器時代中期から後期)、第 7a市B.C.1300〜1200と第 7b市B.C.1200〜900は青銅器時代後期。第8市B.C.900〜350はギリシア人の植民以後、続く第9市B.C.350〜400、ヘレニズム期からローマ時代まで存続した。保存及び修復状態は良くない。
 遺跡というより遺痕という感じだ。


フレーム お気に入りの一枚。
第1市住居跡。飛鳥の甘樫丘からの眺望に近似するものを感じる。古の都であった小高い丘の上から見下ろす鄙びた長閑さ。暫し佇む。雲が無ければ遥か遠方のギリシャ半島まで見通せたらしい。
第2市の歩道。大理石で舗装されている。傾斜は見た目より急。
第9市の聖域。儀式に使われ井戸(中央右寄りの円筒状のもの)に生贄の動物の血を貯めていたらしい。中央の祭壇に女神の像が置かれていたが残存しては居ない。

四人の美女 アフロディテ、ヘラ、アテネ、そしてヘレネ

 よく知られた話だが、ギリシャ・ローマ神話においては、トロイア戦争の原因は女神達の諍いにある。それはゼウスの娘の披露宴に出席した彼の妻ヘラ、知と正義の女神アテナ、美と愛の女神アフロディテが、宴に招待されなかった諍いの女神エリスの投げ込んだ「一番美しい人へ」と書かれた黄金の林檎を取り合ったことにあった。
 ゼウスは其の諍いを自ら審判することを避け、トロイアの王子パリスに審判を委ねる。女神達は自分を選ぶように、彼に魅力在る条件を呈示する。ヘラは自分を選んだら全世界の王となり富と栄誉を持つことを約束し、アテネは最高の叡智とどんな戦争にも勝利することを、アフロディテはこの世で一番の美女を与えることを約束した。パリスが選択したのはアフロディテの提案だった。かくして一番美しい女神はアフロディテと決定する。
 地上で一番の美女、はスパルタの王妃ヘレネであった。パリスは彼女を誘拐し(イリアスでは手に手を取って旅立っているが)、夫であるスパルタ王は激怒し戦争を起こす。この戦争は人間界と天上界にまたがっており、天上界では先の「美しい女神」争いで敗北したアテネ、ヘラが当然ながらスパルタ率いるギリシャ連合軍を、アフロディテはトロイアを応援し、彼女達をとりまく男の神達も否応なく巻き込まれていく。
 戦線は10年以上膠着した。ギリシャ連合軍が撤退し、そこへ大きな木馬が残されていた。トロイアの市民は、戦争の勝利の証として敵陣の遺物である木馬を、城門を壊して引き入れ祝宴を開く。その夜、木馬に潜んでいた兵と城門から入り込んだ兵がトロイを攻撃、街はあっけなく陥落し、ヘレネはスパルタへ帰還する。というのが『Ilias』『Odusseia』でのトロイア戦争の概略である。そういえば飛鳥も「大君は神にしませば」で、神と天皇がないませになった時代があり、似た匂いを感じたのもあながち外れた感覚でないのかもしれない。(と少々こじつけてみる。)
 




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