Rebecca Pidgeon (and Ruby Blue) Page / back to discreview index / home
僕が一番好きな女性歌手
mini-bio (資料:ザ・レイヴンのライナー・ノート、インターネットからの情報)
1966年、英国人の両親のもとマサチューセッツのケンブリッジ(ボストン付近の都市の方)に生まれる。
5歳の時に両親ともども英国にもどり、スコットランドのエジンバラで少女時代を過ごす。
ロンドンの the Royal Academy of Dramatic Arts で演劇を学んでいた20歳の頃。友人の(後に
RUBY BLUE のメンバーとなる)Roger
Fife が送ったテープがきっかけとなり、独立レーベル
Red Flame と契約。一枚のフル・アルバムと、一枚の編集盤、複数のシングルを残す。
その活動が認められ、89年にメジャー・レーベルの Phonogram と契約。時を同じくして、23歳のレベッカは Speed-the-Plow の初演に参加、作者 David Mamet 氏と出会う。Phonogram からは「down from above」、加えて何枚かのシングルを発表する。
90年に David Mamet 氏と結婚。氏と共にアメリカへの移住を決意する。
イギリス時代に培ったキャリア、人脈などをひとまず置いた。ゼロからの再出発を余儀なくされたが、女優としても、歌手としても着実な活動を続けている...もちろん、これからも。
ルビー・ブルー時代の想い出なども語られている最新インタビュー記事へのリンク
| ruby blue / down from above (1990年作品) | [Movie] お帰りなさいリリアン (1989年作品) |
| The Raven (1994年作品) | New York Girl's Club (1996年作品) | Four Marys (1998年作品) |
Rebecca Pidgeon / The Raven ( 9/10)

ソロデビュー作。CD-NOW の販売ジャンルは FOLK だし、Music Boulevard では POPS。心斎橋(大阪の繁華街)の TOWER RECORD ではジャズのコーナーに置いてある。要するに自らの音世界を確立している優れた女性SSWで、その最高峰の一人。
誰に似ているか?ローリング・ストーンズ誌は「初期のジョニ・ミッチェルやリッキー・リー・ジョーンズのスウィング感が備わったジュディ・コリンズのよう」と評したらしい。僕も(その評のことを知る前から)初期のジョニ・ミッチェルのジャジーな感覚に近いものを感じていた。
カナダが生み、アメリカが開花させた天才がジョニ・ミッチェルとしたら、英国が生み、アメリカが花開かせた天才がこのレベッカ・ピジョンだ。本作はオーバータブなしのアコースティックな作風。チェスキー・ジャズ特有の立体感ある空間処理が素晴らしい。
全13曲中12曲をレベッカ自身が手がけている。全曲素晴らしい。残る1曲、フィル・スペクターの Spanish Harlem のカバーも素敵だ。ダブル・ベース一本のみをバックに歌い出すレベッカ、いつしかストリングスとピアノが彼女の清楚な歌声を包んでいる。
本作は1994年2月のわずか3日間で録音された。また、音質も素晴らしい。128倍オーバーサンプリングA/Dコンバーターやハイ・レゾリューション技術といったハイパーなテクノロジーが使用されている。
また、レベッカは女優としても名声を得ているということを付け加えておく。
Rebecca Pidgeon / New York Girls' Club ( 9/10)

95年12月録音。前作より複雑なアレンジを施しているが、やはりライブ感あふれる録音。同様に3日間で録音された。もしも、レベッカの音楽性があなたの趣味に合わなくても、このレベルの録音を3日間で成し遂げてしまう彼女の才能、力量には感服するはずだ。私は彼女の音楽が大好きなので、なおさらそう思う。
ボーカル・アレンジメントは勿論レベッカ自身。ミュージカル・アレンジメントは前作に引き続き Joel Diamond なる優秀なピアニスト。参加メンバーは前作と結構重なる。
「The Raven」でのストリングス・クァルテットの参加に呼応するアクセントが本作ではサックス。よりジャジーになっていて、スウィング感では勝る。ケルト風味は薄れた。また、すでに書いているようにアレンジはより高度になっている。逆に数曲、やや弱い楽曲があるのが前作と比して劣る点。
しかしタイトル曲はサックスが決まりまくった超名曲なので総合評価は同じ。
また、Primitive Man はルビー・ブルーの2作目「down from above」のオープニング曲のリメイク。ルビー・ブルー・バージョンはややオーバープロデュースの感があったが、本作ではシンプルでありながら、数段強力なマーチ・ソングに進化させている。この辺のセンス、音楽に取り組む姿勢は敬意に値する。
僕が初めて買ったレベッカのアルバムが本作だ。キッカケは、ルックス (^^;。特に裏ジャケがいいぞぉー。そして中身も最高だったので、見事にハマった。
Rebecca Pidgeon / Four Marys (10/10)

1998年5月発売の最新作。タイトル・トラックはスコッティッシュ・トラッドの名バラッド。
そして全曲トラッド。前作までのチェスキー人脈とは若干離れて、ワールド・ミュージック界で高い評価を得ている名手たちがパック・アップしている。
スコットランドに伝わるトラッド・ソングを集めた作品集なので、当然シャーリー・コリンズ(スコティッシュ・トラッド界のグランド・マザー的存在)のトラッド作品と重なって取り上げられている曲もある。だが、その大御所のトラックと比較しても、全く劣らない出来の演奏、歌唱が並んでいる。
何か美しいものを語るとき、比較級や比喩を使う。そうやって装飾をほどこして、美しさという語義を強めた気になる。だが、それは書き手の妄想に過ぎない。最も美しさを表現している文章は、余分なものを切り捨てて、ただ「美しい」ということ。
Four Marys はそういう音楽だ。素直に表現することのかけがえのなさ。忘れていないか?
歴史的名盤にはたぶんならないのだろうけれど、聴いた人の心に大切なものを残してくれる一枚として、多くの音楽ファンに推薦することができる。
Rebecca Pidgeon (vocals);
George Naha (guitar);
Akira Satake (banjo);
Johnny Cunningham (fiddle, mandolin);
Tomas Ulrich (cello);
Jerry O'Sullivan (Uilleann pipes, tin whistle);
Charles Giordano (accordion);
Emedin Rivera (percussion, snare drum);
Carolyn "Coco" Kallis, Paul Miller (background vocals)
この中で Johnny Cunningham、Jerry O'Sullivan
はビッグ・ネームと言っても構わないと思う。前者はスコティッシュ・トラッドの代表的バンド(イングランドでいえばフェアポートみたいな感じ)シリー・ウィザードの重鎮。後者は
GREEN LINNET や NARADA , SHANACHIE
といった定評あるワールド・ミュージック・レーベルのセッションに頻繁に参加している。また、他のメンバーの演奏力、センスにも非の打ち所がない。
で、この素晴らしいメンバーがニュー・ヨークはチェルシーの聖ピータース教会に集まってセッション。音数は非常に少ない。ギリギリまで切りつめられている。そして不足感は皆無。何曲かは無伴奏でレベッカの独唱だ。少なくとも90年代のトラッド作品としては最高傑作といえる。
天使の歌声、天上の音楽とは本作のことをいう。加えてブックレット内の写真が...美し過ぎる!スナップ・ショットでさえこの美貌。天は2物を与えた。まさに天才美女。
本作がGREEN LINNET や SHANACHIE から出されていたら、今ごろケルト/フォーク・ファンが騒いでいると思うけど、彼等はジャズ・レーベルまでは聴かないわけ。一部の音楽ファンがいかにブランド志向、レッテル嗜好かを思い知らされる。