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ちょっと投下してみる(`・ω・´)
みんな色々性格違うけど気にしないでね。
「…甘いわあ…真紅ぅ…」
足元の赤い塊を踏みにじりながら、漆黒の翼を広げた人形が嘲る。
全身を勝利の愉悦が駆け巡る。
「う…うう…」
赤い塊がか細い声で悶える。その弱々しい声が黒い人形…水銀燈には心地良い。
「良い格好ねえ…」
そう言いつつ、赤い塊…ローゼンメイデンの第5ドール…真紅を足蹴にする。
「今から他の情けない姉妹たちともども、ジャンクにしてあげるわあ…」
「う、あっ!?あ、ああああっ!!」
残酷な笑みを携え、水銀燈は相手を破壊する方法を楽しそうに考える。
まずは、このもっとも憎らしい姉妹の四肢を分断し、完全に無力化してしまおう。
さらに、既に息も絶え絶えの状態でこの戦闘領域の周囲で蹲っている、真紅に味方する
忌々しい姉妹たちを、彼女の目の前で、ジャンクにする。
果てしない無力感と苦痛、そして絶望に苛まれている中、目の前で大切な姉妹を
失う気分とはどんなものであろうか?もっとも、自分には「大切な」姉妹などはいないので
永遠に理解することなど出来ないだろうけど…水銀燈はそんな風に思いながら、
真紅の−これから失われることとなるだろう−右手に頬擦りする。
「さあ、行くわよお…真紅ぅ…」
「や…やめて頂戴…っ、水銀燈…ぉっ!あ、あああっ!?…あ、あ、ああ…?」
「あらあ?命乞いぃ?うれしいわあ…貴方がそんな態度を見せてくれるなんて…」
今まで見たことが無いほどに、弱々しい表情を浮かべる真紅に、水銀燈は何とも言い難い感情を抱いた。
「でも残念、それももうすぐ聞けなくなっちゃうんだからあ…」
サディスティックな笑みを浮かべ、一気に、憎らしい姉妹の右手を…
…力がこもらない。
「し、真紅う…ほら、今から貴方はジャンクになるのよぉ…」
…どうしても、最後の一歩が踏み出せない。
(どうして!?こうしていられることは私の望み…そして、アリスに近づくために必要なのに…?)
…それは、言うならば…
(姉妹愛だとも言うのぉ!?馬鹿にしないで!)
駄目だった。全身が言うことをきかない。必死にサディスティックな笑みを維持しようとするが、
それすら上手くいかず、どこか不完全な印象の表情を形作ってしまう。
その時だった。思いもしなかった自分の態度に戸惑いを隠せないでいる水銀燈に、乾いた声がかけられたのは。
「…あら、水銀燈?どうしたの?」
視線の先では、先ほどまであんなに弱々しい、無力な表情を浮かべていた真紅が、
水銀燈の笑みなど比べようも無いほどにサディスティックで、冷たい微笑を自分に向けていた。
「し、真紅ぅぅぅっ!?」
まるで、自分の心の中が全て見透かされていたようで、怒りよりも羞恥心が燃え上がる。
…この真紅なら、やれる。
先程までの自分は、やはり、何かの間違いだったのだ。今なら、その失敗を帳消しに出来る。
全身が思い通りに動く。水銀燈は、今度こそ自由に力が入る自分の腕で、憎き真紅の右腕を…
「あっ、あ…がああああああああっ!?」
水銀燈が決断しようとしたその瞬間には、既に相手の謀は完遂していたのだ。
両腕が、両足が、真紅を破壊するのを躊躇ったとき以上に、その自由を失った。
(な、なんで!真紅の力は確かに弱まっていたはずなのに…!?)
視線の先に、生い茂る薔薇の蔦が見える。
はめられた。自分はフェイントを取られたのだ。
「…形勢逆転ね。水銀燈」
「そ、そおぉ?」
精一杯の強がり。だが、真紅はそんなものが通用する相手ではない。
「さ、さっさとやりなさいよぉ!私が貴方にしたように…ジャンクにしてみたらぁっ!?」
…もはや、これまでなのだ。水銀燈はそんな風に、自分を必死で納得させる。
敗れたことは、確かにショックだったがそれほど問題ではない。
ただ、今もベッドの上で自分の帰りを待ってくれている少女は…
…水銀燈は、必死に涙を堪えて、残酷な笑みを作る。
「は、早くしなさいよぉ!」
「…そんなこと、しないのだわ」
「…はあ?」
「水銀燈、貴方も辛かったのね…」
真紅の表情がまたしても変貌している。今度は、ありとあらゆることを包みこむ慈母のような優しい表情。
「な、なに言ってるのお?」
「そうね…メイメイを貸して頂戴。姉妹たちを直すのには協力してもらうのだわ。
…それぐらいはしてくれるでしょう?」
真紅が何を言っているのかがわからない。
目の前のこの姉妹は、さっきまで自分たちが演じていた死闘を忘却しているのだろうか?
「…駄目なの?」
今度は、すねたような表情。それは、まさに妹が姉に何かお願いをするときのそれだった。
「…わ、わかったわぁ…め、メイメイ!」
「ありがとう。水銀燈」
自分を縛り付けていた薔薇の蔦が、いともあっさりと引いていく。
だが、水銀燈の目には満面の笑顔の真紅だけが映っていた。
それからのことは、さらに水銀燈を困惑させた。
まず、真紅を倒す前に、既に彼女の手にかかっていた姉妹たちは、
意識を取り戻すと、水銀燈に対して敵意を向けるどころか、治療のために
人工精霊を動かしてくれたことを口々に感謝してきたのだ。
さらに…
「水銀燈、僕たちは君の事を誤解していたみたいだよ」
「まったく…しょうがねえ姉ですけど、許してやらねえこともねえですぅ!」
「ねえ、真紅!おなかすいたのー!水銀燈も誘ってみんなで晩御飯なのー!」
「あら、それはいい考えね。さ、行きましょう。水銀燈」
普段ならば何か反論する所だが、事態があまりにも予想外の方向に動いていたために、
何も言うことが出来ず、なんだかよくわからないままに戦闘領域…nのフィールドを脱出したのであった。
「はなまーるーはんばーぐー!おいしいのー!」
「まったく、みっともないチビチビですぅ!ディナーの際にはしゃぐなんて、レディーのすることじゃねえですぅ!」
「ほら、翠星石もほっぺたにソースをつけてるよ」
「き、気のせいですぅ!」
目の前で繰り広げられている光景は、水銀燈には、先程までの凄惨な戦闘などよりも遥かに理解しがたいものだった。
「…」
「あら、お口に合わなかった?」
隣に座った真紅の声に、とっさに返事も出来ない。
「ま、まあ、食べられないこともないわぁ…」
「そう。よかったのだわ」
真紅の声はなおも優しい。
上の空の水銀燈でも、舌の上で繰り広げられる桃源郷には心を動かされていた。
(これなら、めぐだって食べるかも…)
…もしも、これを持って帰ったら、彼女は喜んでくれるだろうか。
だったら、この際恥を忍んで包んでもらうことも…いやいや、もしかしたら、健康上良くないかもしれない…
そんなことをぼんやりと考えてしまう。
「まだまだあるから、遠慮しないで食べるのだわ。食べられそうに無かったら…
そうね、持って帰ってはどう?」
「〜〜〜〜っ!?」
やはり、全て見透かされているようで、思わず顔が真っ赤になる。
「さ、さっきからなんなのよお?そんな風に優しくされたからって、
この私が貴方たちに尻尾を振るとでも思っているのお?」
「あら、貴方は誇り高きローゼンメイデンの第1ドール。天地がひっくり返っても
そんな真似をしないことぐらい、みんなわかっているのだわ」
「な、ならいいんだけどぉ…」
…なにもよくはないのだが。
(…なんて言えば、自然にハンバーグをめぐのところへ持って帰れるかしらぁ…)
水銀燈は、完全に場のムードに飲まれていた。
こうしていると、まるで―本物の姉妹―のよう…そんな風に考えている、なんてことは
本人は間違いなく否定するだろうが。
(めぐ…もうすぐ、ごはん…持って…帰るわぁ…め……ぐ……)
意識はそこで断絶した。
「…とう……ぎんとう…」
頭の中に響く声に、意識が呼び起こされる。
「め…ぐぅ…」
寝ぼけた声でそれに応える。
…少し冷静になって考える。自分は、真紅たちと戦い、敗北し…
何故か夕食に招待され…そこで…
記憶は途切れていた。
「まったく、私はめぐなどという名前ではないのだわ」
「…?し、真紅うっ!?」
「夕食の最中に眠ってしまうなんて、マナーがなってないのだわ、水銀燈」
「あ、あらあ…ご、ごめんなさあい…」
悪びれもせずに、真紅に受け答えをする。それは、あの夕食のムードになれていたからか、
何処か親しげなものであった。
だが、
「態度もなっていないのだわ!」
返ってきたのは、自分を縛り上げたときや夕食のときの優しさを含んだ声ではなく、怒号。
そして、平手打ちだった。
「ちょ、ちょっとぉ!?」
「お父様も…せっかくの第1ドールならば、もっときちんとした躾を施して欲しかったものだわ」
なにがなにやら、水銀燈にはわからなかった。
だが、真紅は水銀燈のことなどお構いなしである。
「聞いているのっ?」
再び、今度は先程とは正反対の左頬に平手が飛んできた。
「い、いたぁっ!?な、なにをす、あっ!?」
水銀燈の言葉が終わらぬうちに、真紅はもう一度右頬を平手打ちする。
さらには、そのまま連打を開始する。
「や、やめ、や、やあっ!いっ!あっ!」
「それが返事なの?水銀燈…幾らなんでも、最低限の言葉ぐらいは身につけておくものなのだわ」
「は、はあっ?あ、貴方なんかにっったぁっ!ひ、ひぃっ、あ…」
「返事は、はいを1回よ」
「は、はいはいっ!ぅくあっ!」
「聞こえなかったの?はいは1回なのだわ」
「は、はいっ!」
未だ状況がつかめない水銀燈は、真紅に流されるがままに返事をする。
と、同時に平手打ちが止み、ようやく彼女が冷静に状況を考えることの出来る時間が訪れた。
(…やっぱり、さっきまでのは演技だったのね…)
手足が動かない。真紅に敗れ去ったときと同様に、薔薇の蔦が全身をきつく締め上げている。
これは、罠だったのだ。
それにひっかかってしまった自分が悔しく、
そして、あの夕食の情景を思い出して、なんだか寂しさを覚えた。
「まったく…どうしようもない奴ですぅ!」
「そうだね…こんな最低の姉を持った自分が恥ずかしいよ」
打ちひしがれた状態の水銀燈に追い討ちをかけるかのごとく、その場に二人のドールが現れる。
翠星石と蒼星石だ。
「…二人とも、遅いのだわ」
「まったく、チビチビの奴がいつまで経っても寝やがらねえから、苦労したですぅ!」
3人が話しこんでいる間に、水銀燈はこの場を退却する方法を熟考していた。
見る限り、ここは真紅たちが住んでいる家の物置か何処かのようだ。
スキさえ見れば逃げ出す事だって…そう考えた水銀燈だったが、
自分の体を縛り付ける薔薇の蔦が、果たして力を緩めるだろうか、と考えた。
(なんとかして、あのお間抜けさんたちを出し抜かないとお…)
「さて、水銀燈」
「な、なによお…真紅…ひどいわあ…結局の所、私を傷つける気なんでしょう?」
限界まで強がり、相手を馬鹿にしたような口調で言う。
「いいえ」
「じゃ、じゃあ、これをほどいてくれるう?」
「私たちは、ただ貴方に躾を施すだけなのだわ」
真紅の表情が、見えない。いや、怖くて見ることができないのだ。
おそらくは…信じられないほどに、冷淡でサディスティックな表情を浮かべているのだろう。
「あら、震えているの?水銀燈」
「そ、そんなわけないじゃなぁい?」
「そう…では、躾を開始するのだわ…そうそう、貴方がお食事に夢中になっている最中に
人工精霊の方は私たちの手中に収めさせてもらったわ」
「…っ!」
負けた。完膚なきまでに負けていたのだ。おそらくは…自分が彼女を破壊するのを躊躇したあの時に。
「し、躾とはまた…貴方らしい言い方ねえ…本当は私を苛めたいだけなんでしょお?」
「誤解しないで頂戴。私は貴方を苛めたりなどはしないのだわ。それどころか…
そうね、貴方をアリスに近づけてあげるのだわ」
「は…はあぁ?」
現在の状況がどうであれ、水銀燈は呆れたような、相手を小馬鹿にした物言いを崩さない。
例え、もう一度あの忌々しい平手が飛んでこようとも。
だが、
「ほら、始めるのだわ」
真紅の腕は素早く動くと、水銀燈の服に手をかけたのだ。
「な、なにするのよぉ!?」
「何度も言わせないで頂戴。貴方を躾けるのだわ」
「や、やめなさぁいっ!」
抵抗しようとしても、激しく動けば動くほど薔薇の蔦が身体に絡み付いてきて、
何も出来そうにない。
「ひ〜ひっひっひぃ…一丁前に恥ずかしがっていやがるですぅ!」
「無様だね」
取り巻きがなにか言っているが、そんなことはどうでもいい。
水銀燈はとにもかくにも、真紅の無茶苦茶な行動を止めるのに必死であったのだ。
「し、真紅うっ!もう、いい加減にしたらあっ!?」
だが、本性を現した真紅の耳に、そんな声が届くはずも無かった。
「う、真紅っ、真紅ぅっ…お、おね…」
水銀燈は、そこまで言うと諦めたかのように、口をつぐんだ。
思わず、下手に出て、媚びへつらった声を出しそうになった自分を憎んだのだ。
「まったく、こんな所だけ大人なのに、内面はどうしようもないお子様ね」
真紅の両手は、既に水銀燈の服の胸の部分だけをはだけさせていた。
水銀燈は、自分の(ドールとしては)豊満な両胸が露出しているのに気付いて、
今まで感じたことの無い感覚に襲われる。思わず、真紅から顔を背ける。
「あら、なぁに?その顔は」
「…悪いけど、変態と向き合うなんてごめんよぉ…」
辛ければ、辛い時ほど胸を張ってしまう。
それが事態を好転させてくれないことぐらいは、水銀燈も知っていたが。
「…そう」
「本当にどうしようもねえ奴ですぅ!真紅、とっととやっちまうですぅ!
水銀燈だって所詮は女、穴さえ塞いじまえば、憎たらしい口もきかなくなるですぅ!」
「貴方は黙っていて頂戴。私が、水銀燈が憎くてこんなことをしているのでは無いということを
知りなさい!」
「わ、わかったですぅ!」
翠星石は明らかに怯えていた。
「…な、なんだかわからないけどぉ…するんならさっさとしてくれるう?」
一方、水銀燈は自分のペースだけは決して崩さない。自分のペースに相手を巻き込み、
その場を制するのは自分の得意技なのだ、そう考えてのことである。
「もっともぉ…貴方たちのすることなんて、どうせ幼稚で、私に傷一つ付けられないような
ことでしょうけどぉ…」
「水銀燈…何度も言わせないで頂戴!私は!貴方を!傷つけたりは!しない!のだわ!だわ!」
ヒステリックな声を上げ、真紅が再び平手打ちを再開する。
「いっ、ひっったっあ!?いっ!し、してるじゃないのぉっ!?」
「…はあ…はあ…い、いいえ…これは、貴方のためなのだわ。さあ…始めるわ…」
ようやく冷静さを取り戻した真紅だったが、その後にとった行動は、
直接的な暴力よりも水銀燈に衝撃を与えるのに充分なものであった。
「や、いやああっ!?やめっ、あ…や、やあ…破かないでぇ…」
真紅は乱暴な手つきで水銀燈の下着を脱がせ始めたのだ。
さらに、両足を縛っていた薔薇の蔦が動き出し、水銀燈の両足を持ち上げる。
「…これでいいのだわ…」
真紅は半ばうっとりとしたかのような表情で、水銀燈の姿を眺める。
胸と局部を露出し、それらをこれ以上ないというほどに見せ付けるような格好の姉を。
「さ、最低よぉ…っ!真紅ぅ…こんなことして恥ずかしいとは思わないのぉっ!?」
恥ずかしいのは自分の方であるのだが、そんなことを口に出せるわけもない。
「いい、水銀燈。貴方では…アリス…完全な少女にはなれないのだわ」
いきなり何を言い出すのか、と思わずにはいられない真紅の言葉だが、
水銀燈は恐ろしさに震えて口答えすることも出来ない。
「でもね…多少美しい程度のものでも、徹底的に汚してしまえばそこに新たな美が生まれるのだわ…」
そんなもの、口実に過ぎないのだろう、などとは言えそうもなかった。
しばらくの間、真紅は無言で水銀燈の痴態を眺め、水銀燈は放心したかのように黙り込む沈黙が
その場を支配していた。
「真紅!こいつを持ってきたですぅ!」
場の静寂を打ち破ったのは、翠星石の元気のいい声だった。
その手には、なにやらぬいぐるみらしきものが抱かれている。
「は、はあ…?あ…う、うそぉ…?」
水銀燈は目を見開いた。
翠星石が抱いている犬らしきものの人形の股間には、
明らかに男性器を模したであろうパーツがぶら下がっていたのだ。
「こいつをぶちこんじまえば、あの生意気なドールも涙と涎をひぃひぃ流して
真紅のことをゴッドと崇める様になるですよ!さあ、さっさとやっちまうですぅ!!」
さも、自分が名案を出したかのように胸を張る翠星石。
まるで、真紅に対して褒めてくれ、と媚びへつらっているかのようであった。
だが…
「翠星石!!」
胸を張って頭を撫でられるのを待っていたドールは、頭を撫でられる代わりに、
顔面を拳で殴られていた。
「ひ、ひいぃっ!!」
水銀燈を平手打ちした時よりも激しい勢いで翠星石が吹っ飛ばされる
。
「翠星石、貴方、何を考えているの…?」
「す、翠星石はっ、水銀燈を苦しめられるように、この前ジュンの部屋で見つけた
こいつを持ってくれば、真紅にも喜んでもらえるとおも」
言い終わらないうちに、今度は平手打ちが翠星石の顔面を襲った。
「い、痛いですぅ!す、翠星石が悪かったですぅ!すみませんですぅ!」
「…よりにもよって、神聖なくんくんをこんな場に持ってくるなんて…
貴方にも躾が必要かもしれないわね…」
「…そうだね、翠星石。君に少し失望しちゃったよ」
「ひ、ひぃっ!ゆ、許してください…許してくださいですぅ!」
水銀燈は、目の前で行われている光景を、何処か遠い世界の出来事のような
気分で眺めていた。
(イカレてるわぁ…)
しばらくして、ようやく翠星石の嘆願が真紅に届いたようであった。
蒼星石は真紅からぬいぐるみを預かり、それを元にあった場所―真紅の私物
置き場―へと戻しに向かう。翠星石はまだ頭を下げたままだった。
「まったく…くんくんにこんな下劣なものを見せるなんて…」
真紅はまだ怒りが収まらないようで、なにやらブツブツと言っている。
ほとんど蚊帳の外にされた水銀燈は、最早ずっと縛られたままの自分の
間抜けな格好も含めて、全てが可笑しく思えてきた。
だが、自虐心を呼び起こすのと、今の真紅に不必要な言葉を投げかけるのを
控えるだけの正気が水銀燈には残っていた。
「水銀燈、待たせてしまったのだわ」
「…」
「どうしたの?随分大人しくなってしまったようだけど」
…こんな相手に、どう対応しろというのだ。
「い、いいから、さっさとしたらぁ…ぬ、ぬいぐるみでもなんでも持ってきなさいよぉ…」
精一杯強がってみるが、自分でも声が震えているのがわかった。
「そうね、貴方は、くんくんの足元にも及ばないような…
もっと下劣で汚らわしい存在を掛け合わさせてあげなくてはいけないのだわ」
水銀燈は、淡々とした真紅の脅しに恐怖を感じた。
「…かといって、道具では汚せる、というほどではないし、野良猫や野良犬に
あの水銀燈と絡ませるなんていう可哀想な事はできないのだわ」
「あ、貴方、本当に狂ってるわぁ…」
考え事に没頭している真紅には、水銀燈の声など聞こえない。
いや、真紅は最初から水銀燈の声になど耳を傾けてはいなかったのかもしれない。
「そうだわ!ジュンよ!ジュンを呼んでくるのだわ!翠星石!」
「は、はいですぅ!!」
「ほほほ…水銀燈、貴方にぴったりの汚らわしい外道を用意させてもらうのだわ!!
貴方は面白いぐらいに汚れるのだわ!だわ!だわ!」
果てしない無力感と絶望に苛まれたまま、水銀燈は事の成り行きを見守っていた。
自分が、完全に相手のペースに乗せられているということには気付いていなかったが。
(´・ω・`)未完(´・ω・`)
前スレ598のつづき…銀様いじめにもカオスにもガチ陵辱にもなりきれていない
どっちつかずけど気にしないでね。
「水銀燈、もう少し待っていて頂戴。もうすぐ翠星石が貴方にうってつけの外道を連れてくるのだわ…」
真紅は微笑を携えながら、水銀燈の顔に手を添える。
「貴方の分不相応に白い肌を、濁った白で染め上げてくれるのだわ」
これは水銀燈のためにやっているのだ、などというお題目は何処へやら、
真紅は心底嬉しそうに水銀燈の怯えた顔を眺める。
「真紅!連れてきたですぅ!」
「遅いわ。翠星石…貴方、ふざけてるの?」
「はぁっ!?な、何を言っているですか!?翠星石はこんなに急いで…」
「あら、口答えするの?」
真紅の静かな物言いに、翠星石は戦慄する。
世の中には例え自分に過失が無かったとしても、逆らってはいけない相手というのがいるのだ。
そして、翠星石にとってのそれは真紅その人なのである。
「す、すみませんですぅ!この通りですぅ!」
「…次からは気をつけるのね」
土下座しながら何度も謝罪の言葉を唱える翠星石を真紅は見ようともしなかった。
「さて、水銀燈、待たせてしまったわね」
「あなた、本当に最低ねぇ…」
「…何の話かしら?さて、貴方にぴったりのこの世で最も醜い外道…ジュンを紹介するのだわ。
ほら、ご挨拶なさい、ジュンっ」
「は、はい…」
水銀燈の目の前に現れたのは、ボサボサの髪にメガネ、一体いつから着替えていないのか、といった
風情のあるヨレヨレの衣服に身包んだ、真紅のミーディアムの姿だった。
「あらぁ、あなたのマスターじゃないのぉ?」
正直な所、水銀燈は安心していた。
真紅の話振りからすると、ケダモノ以下のミュータントが連れて来られるのではないか、
という程のおぞましさがあったが、実際につれてこられたのは自分も見かけたことのある少年だ。
…もちろん、この少年に犯されるのは勘弁してもらいたい所だが。
「…こんなクズに私を汚せるのぉ?ちょっと、真紅ぅ、期待外れねえ」
水銀燈の自分を小ばかにするような声には耳を貸さず、真紅はジュンになにやら囁く。
「で、でも…」
「早くするのだわ」
真紅に比べて、ジュンの態度は水銀燈の目から見ても頼りない。こんなクズに何が出来るというのだろう。
「わ、わかった、や、やればいいんだろ…」
ボソボソと呟きながら、ズボンをおろしはじめるジュン。
「…あらぁ、相応しいって言うのはこういうことぉ?確かにそのサイズじゃあ、
ドールでもなきゃ相手してくれないものねぇ」
水銀燈の蔑む声がジュンの心に響く……それも、良い意味で。
「はぁはぁ…」
水銀燈の刺激的なポーズと声に興奮したのか、ジュンはその場で自慰行為を開始する。
悪夢のような光景である。
「な、なによぉ…この変態は…」
ジュンは水銀燈を汚すどころか、触れようともしない。
ただ、粘りつくような視線を水銀燈の全身に這わせているだけだ。
「げひぇ…へ、へへへ…」
ジュンの声が粘着質のように水銀燈の耳に残る。最悪の気分だ。
「ちょっと、真紅ぅ…これは一体なんなのよぉ…」
だが、真紅は蒼星石や翠星石を一緒にその情景を笑いながら見ているだけで
その質問に答えてはくれなかった。
「まったく、慣れというのは怖いものだわ。最初は球体関節に拒否反応を示していたような
クズが、今では私の一声で情けない茄子をしごき始めるようになるなんて」
「…それもこれも、真紅がジュン君のオカズを強制的に指定し続けたおかげだね」
「あら、ジュンには最初から変態の素質があったのだわ」
「確かにね。そうでもなきゃピグモンやジュアッグのドールを筆頭に、歴代総理、
歴代ノーベル賞受賞者なんかには欲情できないからね」
「そして、ジュンはとうとう水銀燈のような出来損ないでも欲情できる究極の変態になったのだわ!」
真紅のわざとらしい笑い声が響く。
「ば、馬鹿にしないでぇ!」
さすがに、ガラモンの着ぐるみ流用しただけの不細工や中曽根と一緒にされてはたまったものではない。
水銀燈はこの間抜けな空間において自分が最も滑稽な存在であるかのように扱われているのが
どうしても我慢ならなかったのだろう。もっとも、真紅がそんな講義に耳を傾けるわけが無いのだが。
「はぁっはぁっ!はぁっ!はぁっ!」
ひたすらに不快なジュンの声はさらに勢いを増している。昇天も近いのだろう。
「そろそろね…翠星石、如雨露を貸して頂戴」
「え…どうしてですか?」
「…」
「は、はい、わかりましたですぅ!」
…はっきり言って、貸したくない。だが、逆らえるわけも無い。
「はぁっはぁっ!はぁっ!ああ、水銀燈!水銀燈!」
ジュンが水銀燈の局部を凝視するのを中止して、その瞼を閉じた。
「う、うう…最低よぉ…」
ジュンの瞼の裏にどんな情景が浮かんでいるのかは誰の目にも明白だった。
「ジュン、そろそろ出すのね?」
「は、はいっ、はぁっはぁっ!真紅様っ!」
ジュンの態度は、ここに連れて来られた時のものとは豹変していた。
明らかにこの状況…自分の自慰行為を眺めてもらえるというシチュエーションに酔い痴れていた。
おそらくは、ここしばらくの彼の青春行為は全て人形たちが鑑賞する中で行われていたのだろう。
「ジュン、この如雨露の中に出すのだわ」
「そ、そんな!?」
「は、はぁっ!?」
水銀燈よりも早く、翠星石が悲鳴を上げた。
だが、真紅が一瞬だけ自分の方を睨んだのが見えたので、すぐに貝のように口をつぐむ。
「うっううっ!はいっ!はいっ!」
真紅から渡された如雨露を左手に抱え、まるで尿検査の日の朝のようなスタイルになるジュン。
こんな奴の欲情の対象になっている、というのが水銀燈には嫌で嫌でたまらなかった。
「あ、はぁぁっっ!で、でゅっ!」
一際気味の悪い、上ずった声をあげてジュンが果てる。
真紅から言われたとおり、律儀に自分の股間に翠星石の如雨露を押し当てる。
「うっ!うっ!うーーっ!!」
「さ、最悪ですぅ…」
翠星石は涙を流しながら、なんとか抗議したい心を収める。
「あら、こぼれているわよ?」
「す、すみませんっ」
ジュンはこぼれかけていた自分の雫を指で掬い上げると、それを如雨露へ注ぐ。
ベタベタの手で触られただけに、如雨露の取っ手は白濁した液でテカテカしていた。
「翠星石、悪かったわね。如雨露を返すのだわ」
「ひ、ひぃっ!?」
正直、いりません、と首を振る。だが、真紅の言いつけを断るわけにもいかないし、
そもそもあの如雨露が無いと困るのだ。
翠星石はこの世の終わりのような表情でジュンからMy如雨露を受け取る。
「ううっ…くせえですぅ…我慢ならねえですぅ…」
きつい匂いと指先に絡みつく嫌な感触が翠星石を打ちのめす。
「さすが、1ヶ月禁止しただけあるのだわ…」
真紅は一人だけマスクをして如雨露の中に溜まったものを眺める。
確かに、人間の分泌した液としては異常な量だ。
「これだけあれば、水銀燈を綺麗にデコレーションしてあげられるのだわ」
「じょ、冗談きついわあ…」
悪夢のような光景がやっと終わったと思ったら、次はいよいよ自分の身に直接的な
被害が及ぶのだ。このような状況ともなれば、先ほどまで余裕すら覚えていた水銀燈であっても
戸惑いを覚えずにはいられない。
いや、むしろ水銀燈をこのような心理に追いやったことも、真紅の策謀通りなのではないだろうか、
思わずそんな深読みをしてしまう。
「さて、水銀燈。貴方、シャワーと一気飲み、どちらがお好き?」
「す、好きなわけ無いでしょぉ!」
水銀燈はほとんど泣きそうな表情で叫ぶ。
「じゃあ、別の所の方がいいのね。そうね、翠星石、ここに如雨露を突っ込んで頂戴!」
真紅が水銀燈の局部を指差す。
「ちょ、し、真紅ぅぅっ!?」
「は、はいですぅ…」
涙をだらだら流しながら、翠星石は如雨露を水銀燈に向ける。
「水銀燈…貴方が人間なら、これももっと楽しくなるのに、本当に残念なのだわ」
「や、やめなさいっ!や、やめてっ!い、いやぁっ!めぐぅっ!めぐ、助けてぇっ!!」
「一気にいくのだわ!」
「もうどうにでもなりやがれですぅ!」
如雨露がグイグイと乱暴に水銀燈の局部に押し込まれていく。
「ぎ、ぎぃぃっ!?いっ!いぁっ!?あ、ああああっ!!」
最初に来たのは、妙に表面がベタベタした如雨露の嫌な感触、その次には如雨露の
独特の形状ゆえに襲ってくる痛み。
「ひぃっ!ぎぁっ!ぬぃ、抜いてっ!抜いてぇぇっ!」
「あら、暴れると途中でこぼれてしまうのだわ。勿体無いのだわ」
真紅は姿勢を固定された水銀燈が精一杯体を揺り動かして屈辱を表現している様子が
愉快で愉快でたまらないらしく、とても楽しそうに笑っている。
「ほら、奥まで届いたですぅ!もうズボズボですぅ!」
やけくそ気味な叫び声をあげる翠星石。
「じゃあ、半分ほど注いであげて頂戴!」
「い、いやああああああっ!!」
なまぬるい何かが自分のなかに満たされていくのを感じて水銀燈が絶叫する。
「ひーーーーっひっひっひぃ!おらおらっ!孕みやがれですぅ!!」
もう、楽しいのか悲しいのか怒っているのか笑っているのかもわからない
涙でべちゃべちゃの表情で、翠星石も絶叫する。
「おほほほほほほっ、水銀燈、良い顔なのだわ!お似合いなのだわ!」
そして、愉快な気分のあまり、ネジがすっ飛んでしまったかのような真紅。
「……」
出すもの出してちょっと素に帰っちゃったジュンはその情景を唖然と眺める。
「まさに、地獄のような光景だね」
いたのかいなかったのかも微妙な蒼星石も、さすがに呆れたのか、
困ったような顔をしてことの成り行きを見守っている。
だが、この状況でも女としての本能が昂ぶっているのは確かなようで、
真紅が持って帰らせたはずの夜のくんくん人形を強く抱きしめている。
もっとも、真紅専用であるこのぬいぐるみを使用するのは流石に躊躇われたのだが。
「さあ、翠星石!水銀燈に大好きな乳酸菌を採らせてあげるのだわ!!」
「へい、ですぅ!!」
「い、いやあっ!うぶぉっ!」
勢いよく抜かれた如雨露の先っぽが水銀燈の口に差し込まれる。
「んん…っ!?うっうぅんぐぅぅっ…」
「水銀燈っ、溢したらどうなるか、わかっているわね?」
「うぅぅ…ぐ…っ」
あまりの気持ち悪さに水銀燈は吐き気を覚えるが、やけくそ翠星石が
右手で思いっきり水銀燈の顎を固定してしまっているため、吐き出すことも出来ない。
結果、口内に残ってしまうのと飲み込むの、どちらがいいのかを天秤にかけ、
結局飲み込むことにする。屈辱と不快感で涙が出てくる。
それら、水銀燈の苦しみ全てが真紅を喜ばせる。
「おほほほほほほっっ!!水銀燈っ、乳酸菌飲んでるぅ?なのだわっ!!」
「ぐぅ…ぐぇ…う、ううぅ…」
ようやく地獄の如雨露から柔らかな唇を開放された水銀燈だったが、
あの嫌な感触は消えそうも無い。
必死で喉の奥に流し込まれたものを吐き出そうとするが、どうにも上手くいかない。
そして、嗚咽しながら咽び泣く水銀燈の姿を、真紅は「みっともない、そんな姿を晒して、
乙女として恥ずかしくないの?」といった表情で眺める。
「う、うう…うぁ…うう…めぐ、めぐぅ…」
自分がどれだけ情けない状態なのかを感じて、水銀燈はさらに涙を流した。
「翠星石、あとどれぐらい残っているの?」
「…よ、4分の1くらいですぅ…」
「じゃあ、そろそろ食後のシャワーが必要ね。おもいきりぶちまけてあげて頂戴」
「は、はいですぅっ」
翠星石が思いっきり如雨露の残りを水銀燈にぶっかける。
結構な量が自分にも降りかかるが、既に翠星石も正気を失いつつあるらしく、
そんなことを気にかけてはいないようだった。
「う………あ…めぐ…めぐぅ…」
「おほほほほほほほほほっ!!白濁燈の完成なのだわ!」
強烈な臭気が辺りを包む。この場にいる約1名を抜かした全員が全員、
早くのこの夜が明けてくれないものかと思っていたが、
この宴の主催者の気分は昂揚する一方のようであり、
それはこの狂気の夜がまだ終わりを告げてはくれないのだということを示していた。
(´・ω・`)つづく(´・ω・`)