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「ん…」
頭が重い。
僕は今まで寝てたのか?
数回目を瞬かせ、周りを見渡す。
辺り一面の白。
ベッドの上に横たわる自分の体。
すぐ傍には世界中と思わしき巨大な樹が立っている。
という事は……夢の中?
「んぅ…。
翠星石…どこ……?」
「こっちですぅ」
無意識のうちに翠星石を呼ぶ。
そして、その呼びかけに翠星石が答えてくれた事に半ば驚きながらも
辺りを見回し、翠星石の姿を探す。
眠気のせいだろうか、声が頭の中で反響していて
何処から声がしたのかよく聞き取れなかったから。
「どこ…?」
「だからここですってば」
「ひあっ!」
急に後ろから抱きつかれて胸を鷲掴みにされる。
…掴まれるぐらいの胸なら僕にだってあるさ。
「翠星石、何して…!」
「何って…胸揉んでるんですよ」
「そうじゃなくてなんでこんな事…!?」
「そんなの決まってるじゃないですかぁ。
蒼星石のことが好きだからですよ?」
「だからって――」
振り向いた瞬間、唇が塞がれる。
最初、僕にはそれが何だか分からなかったが
目の前に写る翠星石の顔によって、唇を塞いだソレが何なのかを理解した。
僕はすぐに翠星石を振り切る。
顔が熱くなるのが自分でも分かった。
「翠せ…っ!君は何を……!」
「だから言ったじゃないですか。
翠星石は蒼星石の事が好きなんですぅ…」
「でも僕らは姉妹なんだし、こんな事…!」
「……蒼星石は翠星石のこと、嫌いなんですか…?」
翠星石は顔を赤らめ、その双眸には大粒の涙を溜めている。
ほんの少し触れただけでも壊れてしまいそうなほどに儚く見える彼女に
僕は出来る限りそっと声を掛ける。
「僕は翠星石のことが好きだよ。
この世界の誰よりも。他の姉妹たちよりも。
世界中でたった一人の片割れなんだから。
でもさ、姉妹でキスしたりするのって人間の言葉で『キンシンソーカン』とか言って
禁忌とされているんじゃ…」
久し振りに見た翠星石の泣き顔に、僕は少しあたふたしながらも
自分なりに慎重に言葉を選んだ。
「ドールは人間なんかじゃないですぅ…。
だからそんなの関係ないですぅ……」
「でも…」
「でも…何ですか?
何かされたら抵抗しようとか思ってるんですか?」
「翠星石?なに言って…
――!」
気付いた時は既に遅かった。
庭師の如雨露のせいだろうか、伸びた蔓が僕の四肢に絡み付いていた。
「くっ…!放せ!」
「どんなに暴れても無駄ですぅ」
「鋏さえ掴めればこんなもの…!」
「蒼星石をベッドに押さえ付けてやれですぅ」
「うぁっ!」
翠星石の一言で、植物が生きているかのように動き
僕の体を仰向けの状態でベッドに固定する。
「翠星石!君は何がしたいんだ!?」
「何って…エッチに決まってるじゃないですかぁ」
「な…!」
再び顔が熱くなってくる。
「エッチ」なんて言葉をまさか翠星石の口から聞く事になるとは思ってなかったし、
こんな場でこんな言葉を聞くとは思ってもいなかったから。
「そんな事…!」
「好きな人とエッチするのは普通の事ですよ?」
「でも…!」
「蒼星石、すこし黙りやがれですぅ」
そう言って翠星石は僕のズボンを下ろした。
そして僕の目に入ったものは――
「んふっ♪」
「なに……コレ…!」
股間から生えた、僕の中指ほどの長さをもつ棒状の肉塊は
紛れもない、男性の生殖器だった。
手で顔を覆おうにも、蔓が邪魔してそれができない。
目を背けようにも、惹きつけられてしまい目を逸らせない。
「何でこんなものが…!」
「夢の中だから何でもありなんですぅ♪」
「そんなデタラメ…ひぁっ!」
僕の言葉を遮るように、翠星石が僕の股間から生えた異形を口に含む。
初めての感覚に体が反応し、下半身へと血が集まっていく。
「蒼星石の、大きくなりましたよ…」
「やぁぁ…」
翠星石が口を離した瞬間、視界に飛び込んできたものは
痛みさえ伴うほどに張り詰め、大きく形を変えた肉棒だった。
先程までの小さな塊よりも遥かに肥大化し
先端に赤黒い亀頭を携えたそれには、禍々しささえ感じた。
恥ずかしさに耐えかねて、翠星石の愛撫から逃れようと僕は腰を引く。
が――
「抜いちゃだめですぅ」
そう言って根元の部分を強く握り締められた。
「うやぁ…!」
「まだまだこれからですよ?
はむ…んふ…ちゅ……。ちゅぷぅ…。
んちゅ……ぷはぁっ」
翠星石は勃起した僕の棹を咥え込み、舌で愛撫してきた。
その舌は亀頭を舐め回し、カリをなぞり、先端を弄ぶ。
少しぎこちない動きではあるものの、こういった経験が初めてである僕には刺激的すぎる快感だ。
「くっ……。だ、めぇ…。
お口…離してぇ……」
「むぅ……。ぢゅぷっ、ちゅっ、くちゅ……」
翠星石は僕のそれを吸いながら顔を前後に動かす。
水音が大きく響き、それに伴って快楽も大きくなっていく。
「ちゅっ、ちゅぷ……ちゅぷ…ぷはっ。
気持ち良いですかぁ?」
「そんなの…分からないけど…
頭がボーってするよ……」
「それならいいんですぅ。
はむ。んんっ…。ちゅぷ…、ちゅ…。
はむ…、ちゅぱ…くちゅ…。んふ…。」
「翠星石…。ほんと、変になっちゃうからやめてぇ…」
それでも蒼星石は行為をやめようとはせず、むしろより強く口を窄めて顔を動かす。
「ふぁ…ダメぇ…」
「ん…こっちが空いてますね?」
「ふぇ…?」
翠星石はいきなり、僕のもう一箇所の秘所へと指を潜り込ませる。
「やあぁ!」
一度もモノを入れた事がない裂け目が、
そして陰茎を口でしごきながら指を前後に動かす。
それにより水音が激しくなり、僕は触覚だけでなく聴覚からも攻められている気になってしまった。
「んやぁー!ダメっ、ダメえぇ!
おかしく、なっちゃ…はぁぁっ!
やぁっ…やめてぇぇ!」
「ん…ぢゅぷ、ちゅぷ…。
ちゅぷっ、くちゅ…ちゅぱぁ…」
そして翠星石が喉の一番奥までペニスを咥え込んだ時――
「っくぁ!
ひああぁぁーー!!」
尿道を押し広げ、何かが込み上げてくる。
そしてそれを我慢できず、翠星石の口内に吐き出してしまった。
「んん!んふぅ!」
いきなりの事に驚いたのか、翠星石は声を上げる。
それでも口は離そうとせず、脈動が終わるまで陰茎を咥えたままでいた。
棹の痙攣が一通り終わると翠星石はペニスから口を離し、
コクンと喉を鳴らして僕が吐き出した欲望の塊を飲み下した。
「いっぱい出しましたね、蒼星石…」
「はぁ…はぁ……。
ん、はぁ…。今の、何…?」
「さっきのですか?
あれは精液って言って赤ちゃんの元になるものですよ」
「でも僕らは妊娠なんて…」
「だからこそこんな事してるんじゃないですか」
「そんな…」
そして翠星石は、射精が終わっても硬さを維持している
僕のペニスを見て艶っぽい声を出す。
「まだこんなになってるんですか?
蒼星石ったらヘンタイさんですぅ」
そう言って僕の陰茎を軽く指で弾く。
「ひゃぁ!」
肉棒がピクンと震え、尿道に残っていた精液が僅かに溢れ、
先端部に小さな水玉を作った。
「翠星石も…我慢できないですぅ……」
「え…?」
翠星石はおもむろに服を脱ぎだした。
僕よりも膨らんだ胸が女性っぽさを漂わせている。
その姿に、僕は純粋に見惚れてしまっていた。
「蒼星石ったらそんなに見つめて…。
そんなに早くしたいんですか?」
「するって何を…?」
「エッチの続きに決まってるじゃないですかぁ」
「続きって……」
「ふふっ…。
蒼星石は本当に何も知らないんですね。
可愛くていじめたくなっちゃいますぅ…」
そう言って翠星石は僕の上に跨り、愛液で濡れそぼった翠星石の秘所を
僕の剛直にそっとあてがう。
「続きは…こんな事をするんですぅ」
「あ…!」
翠星石はゆっくりと腰を落とし、僕の棹をゆっくりと飲み込んでいく。
さっき翠星石の口に咥えてもらった時よりもずっと温かく、
ずっといやらしい感覚が僕を包み込んだ。
甘い痺れが体を付き抜け、再び射精しそうになってしまう。
「ん…。蒼星石の…おっきいですぅ…」
翠星石は嬉しそうな声を上げると、腰を前後に揺すり始めた。
チュクチュクと粘性を帯びた水音が響く。
「蒼星石のこと、犯しちゃったですぅ…。」
「いや…ぁ…。許して……。
放してぇ………」
涙声で哀願する僕など構いもせず、翠星石は腰を動かして快感を貪る。
僕の亀頭を子宮口にゴリゴリと擦り付ける翠星石は本当に卑猥で、だけど本当に可愛かった。
「蒼星石の、硬くて…ふぁっ…。
気持ちいい……ですぅ」
「動いちゃ…やぁだ……」
「そんなこと言ったって無駄ですぅ
蒼星石も素直に気持ちよくなっちゃえばいいんですぅ」
「いや…だ……」
口ではそうは言っても体が、そして本能が快感を欲している。
自分でもそれは分かっていた。
それでも、姉妹と性行為をしてしまったという罪悪感が僕を縛り付ける。
「抜いてよ、翠星石…」
「まだそんな事いってるですか?
もう挿れちゃってるからどんな事を言っても無駄ですぅ」
「それでも……こんな事は…」
「もっと静かにしやがれですぅ。
じゃあ…これはどうですか?」
翠星石は僕に覆い被さるような体勢になると、腰を上下に動かしだした。
ぱぢゅっぱぢゅっ、と淫猥な音が辺りに響く。
そして、僕をより激しく刺激する。
「あはぁっ!
ダメ…激し…すぎ……!」
「こうすると…蒼星石の顔がよく見えるですぅ…
涎まで垂らしちゃって…。
そんなに気持ちいいんですか?」
「やぁ…っ。見ないでぇ…っ!」
「そんなこと言われると…んぁ…っ。
もっと見たくなっちゃうですぅ…」
「翠星石の…ヘンタイ…!」
「犯されてるのに感じちゃってる蒼星石のほうがヘンタイさんですぅ…」
翠星石はおもむろに膣を締め付けてくる。
柔らかく、それでいて強く締めつける内部に、僕はひどく感じてしまう。
「ひあぁっ!
ゴメン…なさい…。」
「そんな風に素直になっちゃえばいいんですよぅ」
半ば反射的に謝る僕を、翠星石は優しく諭してくれる。
「もっと自分に素直になって…。感じて…ふぅ…。
イきやがれですぅ…!」
「んはぁ…。そんな風に言わない…ひゃうっ!」
翠星石の少し乱暴な言葉のせいで感じてしまい、
危うくイきそうになるのを堪える。
もう少しだけ快感を味わいたいと、そう本能が告げているかのようだった。
もっと。
もっと。
翠星石と一緒に。
気持ちよくなりたい。
もう最初の頃の自制心など、今は微塵も残ってはいなかった。
「すいせー…せきっ…。
はぁ…、うくっ……!
僕、もう…。もう…っ!」
「翠星石も…もうイっちゃいそうですぅ…。
蒼星石も一緒に…。
このまま中で…出してほしいですぅ…」
「うん…。いっ…しょに…。一緒に…!
は、あぁ、やぁ…。ダメぇ…!
翠星石、すいせいせきぃっ…!
大好きだよぉ……っ!」
「翠星石も蒼星石のことが…
大好きですぅ…」
「んぁ…出ちゃ……!」
「あああぁぁぁぁぁーーー!!!」
刹那、背筋を電撃のような快感が走り抜けた。
いつの間にか蔓から開放されていた腕で翠星石の体を抱きしめると同時に、
僕は翠星石の一番奥に愛しさの塊を流し込んだ。
「はぁ…。
蒼星石の熱いのが…中でビクビクいってるですぅ…」
「んやぁ…。そんな事言わないでよ…」
しばらく射精の余韻に浸っていたが
いつまでもこのままでいるのはマズいと思い、
翠星石から自身をそっと引き抜いた。
すると、ゴポッという音と共に精液が溢れ出した。
「ふぁ…。
えっちな音ですぅ…」
* * * * * * *
「ごめんなさい…。
ごめんなさいですぅ……えぐっ…。
ひっく…蒼星石のこと、無理矢理…うぅ……」
ぽろぽろと涙を零しながら、翠星石が謝りの言葉を漏らす。
だがそれも嗚咽に混じって、途切れ途切れにしか聞こえない。
まるで姉とは思えないほど弱々しく、幼く、そして華奢なその姿が愛しく思えて、
僕は翠星石をそっと抱きしめた。
「ふえぇ…。翠星石は…翠星石は……。
本当に、本当に蒼星石のことが大好きだったんです…。
ぐず…でも、その気持ちが…ひっく……抑えられなくて、つい…」
「もういいよ」
「ひっく…でも……」
「もういいんだって。
やっちゃった事は元に戻せないんだし。
それに、僕だって…」
「蒼星石…?」
「僕だって、翠星石のことが好きだって…いや、
心から愛してるって気付いたしね」
「蒼――」
何か言いかけた翠星石の唇を僕の唇が塞ぐ。
「あ……」
「ふふっ。
この世界に来てすぐに唇奪われちゃったからね。
そのお返しだよ」
「蒼星石……」
「ほら、涙拭いて。
君は泣き顔よりも笑顔のほうが似合ってるよ?」
「うぅ……」
僕はポケットからハンカチを取り出し、翠星石に渡す。
「これからずっと、ずーっと一緒にいよう。
約束だよ?」
「はい……」
そして僕らはどちらからともなく口付けを交わした。
世界にたった一人しかいない双子に、最愛の人に――。