《先島諸島を旅して》

2002年バージョン

 
ハマヒルガオ 

 


イソギンチャクとクマノミ

 


ゲットウ
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アダン 

 


黒島の牛の群 

 

沖縄の梅雨の晴れ間を縫って,昨年に引き続き、私たち「生き物なんでも調査団(仮称)」の一行5人は5月24日に広島空港より、那覇経由で石垣島に飛んだ。広島から石垣島までの飛行距離は、実は、北海道に行くよりも遠く約880マイルである。台湾からは、およそ100マイルの距離に位置し、気候は亜熱帯に属している。

 石垣島で一泊し、快晴の石垣港を高速艇で約40分、西表島の大原港に着く、今年完成したと言う、白を基調としたこの港の施設は真新しいが、シーズンオフのせいかガランとして人影もまばらである。島に降りると南国特有のギラギラした太陽がまぶしく、直射日光がジリジリと膚を刺す。今日の宿泊先である民宿「なみ荘」までの10分間の道にはパパイヤやリュウキュウスズメウリが実をつけ、グンバイアサガオ、ハマユウなどが道の両側に咲き乱れ、今日から始まる南の島での観察会のプロローグ、少年の頃に帰ったような心躍る瞬間である。

宿につくと、挨拶もそこそこに、通い慣れた島の店「スーパー玉盛」で弁当やジュースを買い込み、いつものレンタカー店でサニーを借りて、干潮時間を見計らって、早速「星砂の浜」に向かう。ここ、西表島は北海道のような形をしており、島の北側に40kmくらいの舗装された一本道が走っているだけである。途中、天然のバナナ、水牛、カンムリワシを見ながら「星砂の浜」の高台にある小さなショップの駐車場に車を止め、途中にアダンやハマトベラがおい茂る急な坂道を30mくらい降りると目指す浜に出る。浜に出ると砂浜一面にハマヒルガオ、モンパ、ハマアズキ、グンバイヒルガオなどが咲き乱れ、さながらお花畑である。
早速、近くのアダンの木陰に5人の荷物を置くと、見事に干上がったサンゴ礁が沖合い300mくらいは拡がっている。浜に出ると、小さなタイドプールには、水族館よりも美しいルリスズメダイやチョウチョウウオの群れが南国の澄んだ水に泳ぎ、少し歩を進めるとイソギンチャクとクマノミの共生があちらこちらで見られる。
干潮の3時間余りをこの浜で過ごし、由布島でヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギのマングローブで遊ぶミナミトビハゼやヤエヤマシオマネキを観察し、夕闇に包まれかけた宿に向かった。
 

前夜は遅くまでヤエヤマヤシのテッペンで繰り広げられる10羽近くのオオコウモリの陣取り合戦の観戦に続き、今朝は早朝5時からの探鳥会である、連日睡眠時間は5時間弱、仲間の自然を求める熱意と、齢に似合わぬパワーに圧倒される。今日の目的地は、西表島から10km先の黒島である。民宿の主人の計らいで郵便船に便乗でき、石垣経由の半分の時間で済んだ。感謝、感謝。

 黒島は人口200余人、黒牛が2,500頭、実に一人当たり10頭以上の牛天国の島である。宮島の半分くらいの島に降り、民宿のお姐さん運転の車で本日の宿泊先に向かう道すがら、車中がまるで香水店に入ったような香気に包まれた。彼女に聞くと何時も大温室で見慣れているゲッキツ(沖縄の方言ではギギチャーと言うらしい)との事、言われて車窓から道路脇を眺めると路肩のあちこちで真っ白な花を咲かせている。
宿に着くと、5人はレンタ・サイクルにまたがり、サッソーと?島巡り、サンゴ礁に取り囲まれ山一つないこの島はどこまでも平坦で快い、快晴の空の下は花と鳥と黒牛に満ち溢れ、行き交う島民も気軽に挨拶してくれる。まさに、この世の楽園と言ったところだろうか。

夕暮れと共に、昼間のゲッキツの香が月夜の時に特に臭いを発するゲットウのオーデコロンのような香と入れ替わる。昨年、西表島の民宿で泊り客の住職から、黒島は黒牛とヒメジャコ貝の島だと聞かされて訪れたが、香の花咲く人情味豊かな島であった。

 こうして、今年も恒例になった5日間の先島諸島の旅も無事終わり、楽しい想い出を胸に帰路に着いた次第です。

      トックリキワタ          根元に、アカホシカメムシの群れがいっぱい