サクラ並木の保存について

《染井吉野(ソメイヨシノ)のこと》

 ご存知の通り、あの有名な吉野山のサクラはヤマザクラです。平安の昔から多くの人に愛でられていたサクラはヤマザクラ系のヤマザクラ、オオシマザクラ、オオヤマザクラやカスミザクラでした。このヤマザクラ系の仲間は山地に自生し寿命も長く、実生で自然に殖えることが出来ます。ところが、私たちが普段親しんでいるサクラは染井吉野(ソメイヨシノ)と言う品種で、江戸時代末期に江戸染井村(現・ 東京都豊島区 )で植木職人によって作出され「染井吉野」と言う名で全国に広まったと言われています。
 染井吉野はエドヒガンとオオシマザクラの雑種と考えられ、北海道から九州までいたる所の公園や川の堤防に植えられ、さくら前線が南から北に上りな
 がら2ケ月間もの長い間私たち日本人を楽しませてくれます。
  
芭蕉の句に「さまざまの事おもひ出す桜かな」と言う句があります。
 人それぞれにこのサクラに纏
 わる思い出がたくさんあることと思います。
 ところが、この染井吉野はまるで良いとこのオボッチャンのようにひ弱な植物なのです。日当たりの良
 い肥沃で
水はけの良い場所を好み、天狗巣病に罹りやすく排気ガスにも弱い、おまけに実生で育つこと
 は無く、接木で殖やすしかないと言う厄介者。寿命もヤマザクラ
のように何百年とは持たず、樹齢30〜
 40年が最盛期で、還暦を迎える頃には病気に罹り
一生を終わるようです。

《広島の実情》

 3月15日付の「市民と市政」によると、平和公園320本、広島城480本、比治山公園1300本そして黄金山緑地480本と載っていました。早速、この4ケ所の開花前の桜を見に行くと今年の開花予想の4月1日に合わすように蕾を膨らませていました。ところが、いずれも老木が多く、天狗巣病が蔓延しキノコがあちこちに生え、先の台風による傷みもひどいようです。荒廃した広島の街を元気付ける為に戦後間もなく皆さんが協力して植えられたものが多く、恐らく50年以上の老木になっているものと思われます。  

《天狗巣病のこと》  

   サクラの開花期に花を付けずに細かい枝を出し小さい葉を出して、ほうき状にこんもりとしている枝が着いていたらそれは天狗巣病におかされた部分です。この時期に切り取り焼却しないと胞子が飛散してしまい他の枝
や木に移ります。「天狗の巣」に見立ててつけられた名です。これはタフリナと言う菌類におかされた病巣です。テングス病はソメイヨシノに良く発生しますが、ヤマザクラやサクランボ(セイヨウミザクラ)など他のサクラ類に
もつきます。サクラ以外にシイノキやタケなどにも天狗巣病が発生します
が病菌の種類がちがいます。  

《サクラ並木保存の為に》  

  全国各地でソメイヨシノを守り、育てようと言う会が発足しています。私の住む黄金山地区でも黄金山町内会の有志が黄金山のサクラを守り育てるための活動をしています。
しかし、各地のサクラは地域だけのものでなくそれを取り巻く市民の問題であり、恩恵を受ける皆が力を合わせて守り育てていく方が良いのではないかと思います。新しく植え替える為には古い木の伐採や焼却、苗木の購入など費用と時間がかかります。出来れば地域
を支える町内会、公民館、学校、区役所、市役所そして企業が協力して、サクラ並木の保存のために各方面
の人たちが参加する運動を起すべきではないかと考えます。

H17,4,12     広島市植物園ガイドボランティア 金山 芳之)

 

中国新聞地域ニュース

中国新聞・2007,01,19付の記事

黄金山の桜保護へ住民が調査

'07/1/19
  広島市南区の住民グループ「黄金山さくらの会」のメンバー7人が18日、

 黄金山のサクラ並木を守るための調査をした。3月をめどに結果を市に知らせ、

 立ち枯れた木の伐採や新たな植樹を要望するという。約2キロの登山道に並ぶ

 約440本のソメイヨシノは、住民による植樹後からほぼ半世紀がたつ。

 メンバーは1本ずつ番号札を付けながら小枝が放射状に茂るテングス病に

 かかっていないかなどを調べた。

【 写真説明】 幹の太さや伝染病の有無を調べる「黄金山サクラの会」のメンバー

 

中国新聞地域ニュース

中国新聞・2005,4,13付の記事



黄金山の並木守れ 広島市南区の住民が観察会

 ■まず「桜学」研究 終戦直後の500本、迫る老化 

   樹勢が弱ってきている広島市南区の黄金山の桜並木を守ろうと取り組んでいる南区の住民らが十二日、

 広島市植物公園(佐伯区倉重)で「樹木ウオッチング」に参加し、桜の勉強や観察をした。

 園内をガイドする南区丹那新町、環境カウンセラー金山芳之さん(53)の誘いで南区の住民ら十二人が参加。

 金山さんが「ソメイヨシノは約六十年程度で木が弱ることが多く、黄金山に戦後すぐ植えられた約五百本の桜は

 その時期が近づいている」と説明。病気にかかった木のへの対処の仕方や新しい苗木を植える時期、苗木が

 育つ期間などを話した。

  高校入学時に桜を植えた日宇那・楠那町町内会長田中孝司さん(71)は「地元の住民らで育てて守ってきた

 桜並木を残すため、参考にしたい」と話していた。

 地元住民らは二月ごろから、黄金山の桜を守ろうと、樹木の状態を調べたり、新たな植樹への署名を集めたり

 している。

【写真説明】広島市植物公園の桜を見ながら、桜について学ぶ参加者たち

 

 

中国新聞地域ニュース
黄金山の桜、枯死から守れ 広島 '06/1/14

 黄金山(広島市南区)の桜を守る活動を続ける同区の住民グループ「黄金山さくらの会」が二十一日、枯死の危機に直面しているソメイヨシノを守ろうと病気になった木の枝切りをする。四十六年前の植樹後、住民による初の手入れで、周辺の町内会にも協力を要請し、古里の景観保存に臨む。(中野裕介)

 山頂から約一・七キロの登山道脇の斜面のソメイヨシノ約四百四十本のうち、天狗(てんぐ)巣病にかかってほうき状にのびた枝をのこぎりで切除して枯れるのを防ぐ。倒木も回収し、市が焼却処分する。

 会員で環境カウンセラーの金山芳之さん(54)=同区丹那新町=が「このまま放置すると二、三年で桜が消える」と枝切りを提案。市の許可を得て作業が決まった。会の事務局長加用誠男さん(61)=同区仁保新町=は「多くの人の協力が桜を病気から救う」と参加を呼び掛ける。

 当日は同会所属の造園家や樹木医などが指導する。午前九時−正午。参加者は山頂に集合。脚立とのこぎりがあれば持参。加用さんTel082(284)3664。

【写真説明】 天狗巣病の被害に遭うソメイヨシノの枝切り作業を前に、木の状態を調べるメンバー