宮島のシカについて

  宮島のシカは千年以上前に「神鹿」として連れてこられた言う説と、島が形成された6千年も
 前から棲んでいたという説があるが、定かではない。いずれにしても、遥か昔から宮島にはシカ
 がいたことになります。江戸時代には文字通り「神鹿」として大事にされていたが、戦後の混乱期
 には数も減っていたようです。しかし、戦後多くの観光客が訪れるに伴いその数も増え、昨年調査
 したところ、350頭くらいが確認されたようです。従って、未確認のシカの数を含めると推定千頭
 くらいのシカが全島に棲んでいる超過密状態になっています。そのため島には彼らが食用にできる
 草本類はかなり少ない。島以外で多く見られるイネ科植物は殆ど見られない。有毒植物であるハスノハ
 カズラ(ツズラフジ科)やナンゴクウラシマソウ(サトイモ科)の仲間やシダの仲間は食べられない。しかし
 毒をもたないベニバナボロギクなどは人間が山菜として食べるのに、シカたちは殆ど食べないし、レモン
 エゴマは特有の臭いがあるせいか全く手をつけようとはしない。
  
シカは本来、植物性の草や木の芽をたくさん食べて胃の中にあるバクテリアの働きによって、
 健康な体が作られます。しかし、今のように人から与えられる高タンパク、高脂肪で塩分の多い
 食品をとり続けると胃で造られるバクテリアが充分機能出来なくなります。おまけに餌と一緒に
 食べられるビニール類や消化が出来ない異物などが胃袋につまり健康を害し、雄シカの角が貧
 弱な個体も多く見られます。人との共存も程ほどにしないと、シカの糞尿による衛生上の問題、
 雄シカによる人への被害、交通事故など問題が頻発しています。何頭のシカが街中にいるのが
 適当なのか難しい問題ですが、出来るだけ本来の森での生活を取り戻し、人とシカとがバランス
 がとれ、宮島に来られる観光客の皆さんに自然な姿で受け入れられる状態になるのが理想の姿
 だと思われます。

芝生の草を綺麗に食べます ビニールや異物を食べた胃袋 胃の中にはこんなものが…

 


シカの食害により矮小化した植物(宮島・包ケ浦自然公園)

平成17年5月18日(水)

NO

植 物 和 名 

植 物 科 名

カウント
数量

詳 細 説 明

マメカミツレ

キク科

14

調査地点の全地域で多数認められた

チチコグサ

キク科

14

調査地点の全地域で多数認められた

オオバコ

オオバコ科

14

調査地点の全地域で多数認められた

ツボミオオバコ

オオバコ科

11

最近、急速に増えたものと思われる

タチイヌノフグリ

ゴマノハグサ科

山側の広場で多く確認できた

ニワゼキショウ

アヤメ科

調査地点の全地域で普通に見られた

ニワホコリ

イネ科

調査地点の全地域で普通に見られた

コナスビ

サクラソウ科

調査地点の全地域で普通に見られた

クサイ

イグサ科

全般に湿潤な場所で認められた

10

キランソウ

シソ科

やや隅に寄った場所で確認できた

11

イヌカミツレ

キク科

マメカミツレと誤認した人が多かった

12

シバ

イネ科

全般に見られるが未採集者がいた

13

カタバミ

カタバミ科

全般に見られるが未採集者がいた

14

チチコグサモドキ

キク科

チチコグサに混じり生えていた

15

スズメノカタビラ

イネ科

全般に湿潤な場所で認められた

16

チドメグサ

セリ科

全般に見られるが未採集者がいた

17

ヨツバムグラ

アカネ科

やや隅に寄った場所で確認できた

18

ヤハズソウ

マメ科

今回始めて確認できた

19

コメツブツメクサ

マメ科

今回始めて確認できた

20

カモジグサ

イネ科

海岸側で今回始めて確認できた

21

スミレ

スミレ科

今回始めて確認できた

22

スズメノヤリ

イグサ科

今回始めて確認できた

23

ツメクサ

ナデシコ科

今回始めて確認できた

24

ムラサキサギゴケ

ゴマノハグサ科

今回始めて確認できた

25

トキワハゼ

ゴマノハグサ科

今回始めて確認できた

26

ヒメムカシヨモギ

キク科

今回始めて確認できた

27

アカカタバミ

カタバミ科

今回始めて確認できた

28

ウラジロチチコグサ

キク科

今回始めて確認できた

29

ヘビイチゴ?

バラ科

葉の一部のみで、同定が困難でした

30

 

 

 

 

 


 〔採集者及び採集方法〕

   2005年5月18日(小雨)に 広島市植物公園の主催する園外観察会に出席者のうち14名が植物
   採集に参加しました。

   採集方法は11時45分に自然公園包ケ浦管理棟を起点にシカの食害が認められる芝生広場
   一体を管理棟を起点に一人一種類の植物を30分間採集した後、12時15分に管理棟に集まり
   品種毎に分類してその数をカウントしました。

 〔帰化植物比率〕

   今回採集した29種のうち9種が帰化植物でした。帰化植物比率は(9÷29=0.33)33%という
   結果でした。

 〔実施上の注意点〕

   @採集する際は任意に採集せず、参加者が等間隔に整列して、一方向に前進しながら芝生広場
    の全地点を均等に採集する方が、より正確なデータが得られるものと思われます。
   A叢生するものはそのうちの1本のみを採集すること。(カウント時の誤差が防げます)
   B採集前に基本的な調査目的、採集方法、採集時間、同定責任者について充分なコンセンサスが
    必要です。

 〔採集指導担当者〕

        広島市南区  金山芳之( 広島市 植物公園ガイドボランティア)