南アルプス 赤石岳(3120m)へ
南アルプスの盟主 赤石岳
見る角度によって受ける印象は様々
しかしどこから見ても その姿は
人々の記憶に永く 強く残ることでしょう

注!
これは赤石小屋管理人個人の趣味によるH.P.です。
ここに乗せた情報に対しての責任は負いません(笑)
登山は楽しい反面命の危険を伴いかねないスポーツです。確かな情報を集め、
確かな装備と体力と経験と知識を身につけ、体調管理を充分にした上で安全に行いましょう。
★
1.赤石岳の紹介
2.赤石小屋の紹介
3.赤石岳に登る方法
4.登山口「椹島」へ
5.♪山へいこう♪
6.赤石写真館
7.山ぶろぐ
赤石岳
標高3120m。日本で7番目に高い山。
初登頂の記録:
明治12年(1879年)、内務省地理局の測量班による。
明治19年、堀本丈吉により赤石岳への道が拓かれ、明治34、5年頃まで相当数の信仰登山者による登山があったようである。
明治22年、一等三角点が据えられた(日本最高所の一等三角点)。
名の由来:
南面から発して東流する沢に赤褐色の岩石(ラジオラリヤ岩盤)が大崩壊して押し流されたことから、その沢が赤石沢と呼ばれ、頂の山の名になった、といわれる。
山好きの宣教師 *ウォルター・ウェストン氏が登ったのは明治25年、小渋川を詰め広河原からの急坂の登りの途中に赤岩があり、それが赤石山の由来であると彼は書いている。
地理:
南アルプス(赤石山脈)は太古の昔にフィリピンプレートと太平洋プレートの押上による隆起によってできたとされる。
最近日本海のプレートも新たに確認され列島中央部にもぐっているというが、そのようなフォッサマグナ(地中の大きな裂け目)断層の上に南アルプスがあり今も目に見えない移動が続いている。
稜線の東側斜面にはいくつかのカール(圏谷)が見られるが、これは日本国内では最南端の氷河の痕跡である。
気象:
太平洋岸に近い南アルプス南部は駿河湾からの影響を受けやすく、夏は高温多湿の日が多い。
台風の影響も受けやすく通過の前後も充分な注意が必要。
梅雨明けしてから10日間がだいたい天気が安定しやすく、高山植物が咲き競い、登山者が最も多く山小屋もぎゅうぎゅうに賑わう期間であるが、冬の積雪の量などにより植物の成長は左右される。
秋の紅葉は稜線では9月末頃から10月初旬ころまで。
雪が降るのは10月半ば頃からで、2〜3月頃に降雪が多い。
ただこれらも年によって程度、期間が異なる。
この山を広く世に紹介したのは *小島烏水氏であり、1906年、『山岳』の第1年1号に、赤石が日本の名山中の名山であることの理由を五つあげている。
その第三によれば、
「褶曲より成れる高山の代表的名山」であり、その地質構造は全世界で最古のものに属する。水成岩上の純潔王土を固守してきた赤石山に比べると、火成岩の力を借りて高度をあげた穂高や槍や白馬は変節漢であって、ひとり赤石のみが太古からの純粋を保持している
という。
また、『日本百名山』の中で *深田久弥氏は次のように赤石岳への思いを述べている。
『どの山の山頂もそれぞれの特徴を持っている。(中略)しかし、私の記憶にあるあらゆる頂上の中で、赤石岳のそれほど立派なものはない。それは実におおらかな風貌をそなえている。広々としているがただの緩慢ではなく、キリッとした緊まりがある。これほど寛容と威厳を兼ねそなえた頂上はほかにあるまい。』
*ウォルター・ウェストン(1861年〜1940年)
イギリス人宣教師。1888年から1894年に宣教師として神戸に滞在し、趣味として飛騨、木曽、赤石山脈を巡った。
日本の山旅で見た情景と感慨を、1896年『MOUNTAINEERING AND EXPLORATION IN THE JAPANESE ALPS』(日本アルプスの登山と探検)としてイギリスで出版した。
“Japanese Alps”という表現は、在日欧州人向け情報案内誌『日本案内記』(マレー・ハンドブック、1881年(明治14年))に「信州と飛騨の境にある山脈 は『ジャパニーズアルプス』と呼ぶのにふさわしい」と記述があるのが最初であるとされる。
*小島烏水(1873年〜1948年)
本名小島久太。登山家、随筆家、文芸批評家、浮世絵や西洋版画の収集・研究家。1905年日本山岳会創立時の初代会長。
*深田久弥(1903年〜1971年)
小説家、ヒマラヤ研究、山岳紀行に活躍。『日本百名山』は1964年読売文学賞を受賞。
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赤石小屋
標高2550m。
赤石岳、聖岳、荒川三山が望める南アルプス南部一の好立地。徒歩5分で富士山が見える展望所あり。
赤石岳へのアプローチとして、赤石小屋に2泊し、小屋に荷物を置いて最低限の装備で山頂を往復するのが時間を充分に使え、最も楽で安全に他の山々の展望を楽しみ且つ赤石岳を堪能できるコースです。
歴史:
大正15年(1926年)、大井川一帯の山林の持ち主、(株)東海パルプの前身東海紙業の創業者で大倉財閥の大倉喜八郎(当時88歳)(1837年〜1928年)が、「自分の所有地の一番高いところに登りたい」と、約200人の人足を引き連れ駕籠に担がれて赤石岳に登るために建てられた。
赤石岳の東尾根を「大倉尾根」というが、それはこのエピソードから付いた名前である。
以来、平成元年(1989年)に今の小屋が建てられるまで何度か建て替えられている。
(赤石小屋は手入れが非常に行き届いているので、築20年経った小屋とはなかなか信じられない)
サービス:
収容人員約100名、テント約15張
夕・朝食事、翌日用弁当提供あり、寝具あり、更衣室あり、薪ストーブあり、
ランチメニュー、
アルコール・ソフトドリンク・スナック・お土産等売店あり、
トイレ有料、水場あり
個室なし、乾燥室なし
料金(一人);寝具つき素泊まり5000円、夕食2000円、朝食1000円、弁当1000円、
テント一人600円
*10名以上要予約
(公式H.P.→(株)東海フォレストサービス事業部)
ただし予約はひとつの小屋に団体が集中して、限られた空間と設備の中でサービスが行き届かなくなるのを防ぐための防御策で、優遇があるわけではありません。
上記の理由から、天候や体調に予定が左右されやすい個人の方の予約は受け付けていませんし(ただし一杯で泊まれない、ということも絶対にない)、7名程のグループでも問い合わせはしておいたほうが良いでしょう。
おみやげ:
バンダナ
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バッヂ
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Tシャツ
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ポストカード
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オリジナル切手
◎すべて赤石小屋オリジナル!通信販売はやりませんので赤石小屋においでください。
◎写真は全部そろっていませんが・・・出来次第掲載します。
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登る方法
赤石岳に登頂するためのルートはいくつか考えられる。
(時間は山頂までの片道目安、山頂には避難小屋があり、7月半ばから9月末まで管理人が常駐している。寝具あり、レトルト程度の食料の販売あり)
東側からのアプローチ(最短):
椹島ロッヂから東尾根を登る。
約9時間30分(椹島ロッヂから約5時間30分に赤石小屋がある)
北側からのアプローチ(縦走ルート):
椹島ロッヂから千枚小屋、悪沢岳(3141m)、中岳(3083.2m)、荒川小屋を経る。
または三伏峠方面から小河内岳(2801.6m)、板屋岳(2646m)、前岳(3068m)を経る。
荒川小屋から約3時間、中岳避難小屋から約4時間15分、千枚小屋から約7時間15分、高山裏避難小屋から約7時間。
南西側からのアプローチ(縦走ルート):
椹島ロッヂ又は易老渡又は畑薙大吊橋から聖岳(3013m)、兎岳(2818m)、中盛丸山(2807m)、百間洞山の家を経る。
百間洞山の家から約4時間15分。
北西側からのアプローチ(難ルート):
小渋川を遡り広河原から大聖寺平を経る。
車止めゲートから約9時間40分。
★東側からのアプローチについて★
椹島ロッヂ売店「レストハウス椹」の前を写真館の方へ行くと写真館を右手に見て突き当りから近道を通って林道に出ることができる。
林道に出て左手に少し歩くと、すぐに登山道に入る鉄製の階段が見える。
ヒノキ林の斜面をジグザグに登り、一汗かいた頃広葉樹林の尾根上に出る。あとは小赤石岳まで続く長く急な尾根の登りだ。
ミズナラやツガ、モミ等の針広混交林になり、シラビソが多くなってくると僅かに形跡を残す林道跡に着く。
混交林の斜面を登り、樺段を過ぎれば上部の林道跡に出るが、そこが椹島と赤石小屋とのほぼ中間地点である。
一段上がった所に明るい樺の林があり、その先から急斜面に変わる。
シラビソの樹林帯をジグザグに登って、小さなガレの淵に出ると、わずかに開け枯木越しに白根南嶺の稜線が見える。
シラビソの尾根の急登と平坦な道を繰り返し、原生林の広い尾根から斜面を巻き、ツガの林を通って岩の間を登る。大木に囲まれた尾根上の小ピークに着くと、樹間から赤石小屋への稜線が見える。
岩石の道を通りシラビソの尾根からトラバースの道になって、最後に一登りすると、ようやく明るく開けた赤石小屋に着く。
赤石小屋から赤石岳への登り。
小屋を後にシラビソの樹林帯に入っていく。緩やかな尾根は歩きやすく、木立の切れ間からは聖岳方面のやまなみが見える。
小さく折れながら登り、一汗かいた頃ハイマツの平坦地になり、富士見平に着く。赤石岳と小赤石岳ののびやかな稜線、聖岳、上高地岳、荒川三山、また振り返れば白根南嶺の上に富士山の姿まで一度に見ることができる、これこそ南アルプス屈指の贅沢な展望が楽しめる。
ここからは急な登りもなく尾根の南側斜面をトラバース気味に歩き、ダケカンバ帯を通って北沢源頭に着く。ここで水を補給することもできる。
ここから急斜面のお花畑の中を登り、小尾根に取り付きハイマツ帯を抜け、岩礫の斜面を登って縦走路に出る。右へ行くと小赤石岳、大聖寺平を経て荒川小屋、左へ行くといよいよ赤石岳山頂だ。
最後の登りは岩石の間を行く。山頂は最後までなかなか姿を見せない。
一度来れば毎年何回でも来たくなり、登るたびにまた新たな魅力を発見できる超一級の名山です。
注!登りが急登だったということは下りもかなりの急下降です。下りは膝により負担がかかりますから、時間に充分余裕を持って注意深く歩いてください。
また日程と体力に余裕があれば、ここから聖岳方面へも悪沢岳方面へも縦走することができ、それぞれかなり魅力のあるコースです。
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登山口「椹島(さわらじま)ロッヂ」へ
静岡から畑薙第一ダムまで車で約2時間半〜3時間、そこからは静岡市が管理する市道になり許可車両以外通行できないため、約18kmの道のりを歩くか(株)東海フォレストの無料送迎バスに乗る(所要約1時間)。
ただし無料送迎バスは東海フォレストの管理する小屋に素泊まり以上で宿泊する客のみ対象とされる。
3000円の宿泊券(1年間有効)を従業員から購入して乗車、小屋でそれを金券として使い、帰りのバスには椹島にて宿泊領収書1枚を提示してバス券を受け取り乗車する。
宿泊をせずに降りてきてしまうとバスに乗れないので注意。
*このバスは許可車両以外通行できない片道約1時間の市道を無料で往復しているものです。
東海フォレスト管理の各山小屋による売り上げの一部がその費用に充てられています。
静岡から畑薙第一ダムまでの交通機関はタクシーか期間運行のバス
((株)東海フォレストサービス事業部、(株)しずてつジャストライン)
バスを使うと入山の日は椹島ロッヂに泊まることになり、下山の日は13時椹島ロッヂ発が接続の便となる。
マイカーなら、清水・静岡方面から安部川沿いに富士見峠を越えて井川ダムより田代を経るか、
掛川・牧の原方面から大井川沿いに川根、千頭を通って井川ダムより田代を経る。
ただしどちらも通行止めが起きやすいので道路状況要確認。
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山へいこう
晴れた日には山々の展望を楽しみ
雲の動きや空の色をただ眺めよう
身体を思いっきり動かして
稜線の風に吹かれよう
雨の日には 美しく濡れて輝く緑に
潤い喜ぶ木々の鼓動を感じる
濡れた身体を乾かして
太陽の光を静かに待つ時間を楽しもう
「森林浴」という言葉ができてすでに三十年近くが経過しました。
「新鮮な森の空気をいっぱいに浴びて自然にとけ込み、健康づくりをしよう」というのが森林浴。
そして、森林浴が意味する「健康」とは、単に体をリフレッシュさせるだけでなく、複雑な現代社会の中で起こる、不安や苛立ちからくる精神的なストレスを拭い去り、体の奥の、心までをも鍛えようというものです。
森林の雰囲気が体に良いことは昔から知られ、利用されてきました。
ヨーロッパでは森林療法が古くから行われているし、日本でも長期の治療・療養のための療養所や、疲れを癒す保養所は、静かな林間に建てられてきました。
静かな森の中を歩いていると、どこからともなく聞こえてくる小鳥のさえずりや、沢を流れる水の音などが心地よく響き、心を和ませてくれます。
自然が奏でる小鳥のさえずりやせせらぎの音は、周波数を分析すると、心地よく、退屈しない「1/fゆらぎ」という特性を示す音の種類であることが知られていますが、実際に、これらの自然が奏でる音のもとでは、人間は生理的にリラックスした状態になることもわかっています。
森の木陰は暑さを遮り、さわやかな風を送り、静けさは疲れた体を癒す。
木々の緑は目に優しく映り、小鳥のさえずりに心は和む。どこからともなくほのかに匂う森の香りは体を刺激し、明日への活力をつくりだします。
森の空気がおいしい理由は、都会につきものの排気ガスやほこりが、深遠な森の中では無縁なのと、木が放出するにおいのためです。
森には様々なにおいがありますが、そこに生えている植物や動物の違いによってその森特有のにおいがつくりだされます。
木のにおいの中には、細菌やカビを殺したり、人の脳を刺激して気分を快適にさせたりする働きを持つものが含まれていて、それが森林浴の源ともなっています。
とはいっても草木の出すにおいはほんの微量であり、さらに放出されるとすぐに大気中に拡散してしまうので、大変希薄です。
だからよほど神経を集中しなければ感じないのが普通ですが、ありがたいことにその程度の薄い濃度での木のにおいが体にとっても良いのです。
木の香りのもとでは、緊張時に現れる「冷や汗」に相当する精神性発汗が減少し、指先に流れる血液も増え、手先の温度が上がって冷えが治まり、それと同時に、興奮して高まっていた脈拍数が減少して安定化することも明らかにされています。
これは、木のにおいが、安らいだ状態をつくりだす副交感神経の働きを活発にするためです。
山で働くようになって、平日一生懸命仕事をして尚且つ貴重な休みの日を登山に充てる人がたくさんいることに最初は驚きました。
でも山にはそれだけの魅力があり、山に来ることで癒され気持ちがリフレッシュされるのです。
「あぁ楽しかった!」と言って小屋に到着するお客さんがいます。そう、山登りはしんどいし年配の人のスポーツ、というイメージが今は強いですが、あまり知られていないのが、それは楽しいスポーツだということです。
確かにアルプス級の山だと装備も体力も経験も知識も必要ですが、それだけに達成感は大きく得るものも大きいです。
テントを担いできて自分の空間と自由な時間を確保して山を感じるのは贅沢なことだし
寝具も暖かい食事も用意されている山小屋を利用してその分荷物を軽く、自分の時間をたくさん取ることも贅沢です。
パソコンの画面から目を離して山に入ってみると、街では絶対に感じられない贅沢がそこにはあります。
一度、赤石岳に登りに来てみてください。
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参考文献:
深田久弥『日本百名山』新潮文庫1978年
今野岳志『山と高原地図42、塩見・赤石・聖岳』昭文社2005年
谷田貝光克『森と一緒に生きてみる!』中経出版2006年
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Ave Migratoria