「Quick Start」でフォローできなかった部分の説明です。

注意) 説明で使用している記号は以下の意味です。

代入 -->:      (代入値) --> (代入先)
等号, 不等号 == , <= , >=
配列 [ ] :       (配列名)[ ]
なお、 x[ i ], y[ j ] などのように使用される要素番号( i, j など)は、特に断りが無い限り、 0から最大要素番号までの整数をとります。


・データファイルのフォーマット

 CSV形式で、

X値 ,  Y値 (改行)

という形になっている必要があります。
 拡張子はデフォルトで .dat ですが、制限はありません。
1行に3つ以上のデータが存在する場合、たとえば、

0.1 , 0.3, 0.5 , 1.0

 と並んでいる場合、0.1と0.3は無視され、0.5がX値に、1.0がY値として認識されます。
 また、データファイルの最初の一行はデータ名が記載されている可能性を考慮して、スキップされます。つまり、1行目は何も認識さません。

 データ数が極端に少ない場合、データの強制的な等間隔化処理、自動分析処理においてエラーの原因になる事があります。最低10個以上のデータ点を入力してください。

・ペイン領域

 上の図のように、左下の領域の事を指します。
 ボタンやメニュー上にマウスカーソルを移動させると、この部分に簡単な説明が現れます。また、グラフ上で右ボタンのダブルクリックを行うと、マウスカーソルが指している座標上の値を知る事ができます。

・SA内部でのデータの扱い(等間隔化処理)

..処理の流れ

1.データファイルを読み込む。 ---> 配列 x[ ] , y[ ]
2.X値をキーにして、データtを昇順にソートする。
3.X値のデータ間隔が最大である部分を探し、その間隔をdxとする。   MAX( x[i]-x[i-1] ) --> dx
4.dx間隔の配列 dataX[ ]を作成する。dataX[ ]の配列要素には原則として原点(0)が含まれる。

  例:
   読み込んだデータのX値の最大データ間隔が0.3である場合
        dataX = { ..., -3.3, 0, 3.3 , 6.6, ...}

5.配列dataX[ ] のそれぞれの要素に対応した配列dataY[ ] と、重みを表すw[ ] を作成する。(初期値は0)

6.あるデータ点( x[ i ], y[ i ])が  dataX[ j ] <= x[ i ] < dataX[ j + 1 ]を満たし、

 dataX[ j ] + a == x[ i ]  ;  x[ i ] + b == dataX[ j+1 ]    ( a >= 0 , b > 0, a+b == dx).

とすると、

  y[ i ] * b / (a+b) + dataY[ j ] --> dataY[ j ] ;
  y[ i ] * a / (a+b) + dataY[ j+1 ] --> dataY[ j +1 ] ;

  b / (a+b) + w[ j ] --> w[ j ] ;
  a / (a+b) + w[ j+1 ] --> w[ j + 1] ;

という処理を行う。この処理を全てのデータ点( x[ i ], y[ i ] )に対して行う。

7.両端のデータにおいて、w[ i ] <1 の場合、そのデータを削除する。

8.全てのデータ点に対して次の処理を行う。  dataY[ i ] / w[ i ] --> dataY[ i ] .

9. データ群 dataX[ ], dataY[ ] を、正式なデータとして保持する。

なお、一時的なものではありますが、ファイルを開いた直後に、処理の際に使用したdxの値を、ペイン領域に表示しています。
 例えば、ファイルを読み込んだ直後に、

the maximum value of dx = 1.322[V] (from -23.356[V] to -22.061[V])

と表示された場合、

「X値に関して、-23.356から-22.061の間にデータが存在しないので、その間隔である1.332Vをdxとして、データを再構成しました。」

という意味になります。

・微分について

 微分間隔は で調整します。一次微分では中心差分を使用しています。

 二次微分でも中心差分を使用しています。    参考: y’’[i] = ( y[ i-1] - 2 * y[ i ] + y[ i+1] ) / dx /dx :

・自動分析の中断

 自動分析機能がONになっていても、計算結果が確実に間違っていると判断される場合や、分析ができないケースでは、自動分析が中止されます。

・等間隔データ出力機能における補間

 ユーザによって、出力間隔が指定されている場合、SAが保持しているデータ群と、出力するデータのX値が一致しなくなります。そのため、SAでは、以下のような線形的な補間をおこなっています。

 SAが保持しているデータ群を dataX[ ] , dataY[ ] とし、ファイル出力するデータをx , y とする。
 dataX[i] <= x < dataX[ i+1 ] であり、 x == dataX[i] + a ; x + b == dataX[ i+1 ] ;    ( a >= 0 , b > 0 )
であるとすると、

  y == b / (a+b) * dataY[ i ] + a / (a+b) * dataY[ i+1 ] ;

・イオン飽和電流に関する注意事項

 イオン飽和電流の算出法は、プラズマ電位よりも低いプローブ電位での電流値を採用するとされているが、それ以上に厳格な規定があるわけではありません。このような事情により、SAでは、プラズマ電位Vsを基準として、Vs+Va[V](Va<0,)のプローブ電位(X)におけるイオン電流直線上の値をイオン飽和電流としています。
 このVaは、ユーザによろ指定、あるいは変更が可能ですが、現バージョンのSAでは、設定ファイルによる変更だけをサポートしており、ダイアログなどのGUI的な設定はできません。

 Vaの設定・変更は、SA.exeファイルと同じフォルダ内にあるpInit.prvファイルの編集によって行うことができます。もし、このファイルが見当たらない場合は、一度SAを起動し、終了させると、このファイルが作成されます。このファイルをメモ帳などのエディタで開き、「ISC_RELATIVE = 」に設定されている値を変更すれば、その値がVaとして認識されることになります。なお、この値は負でなくてはならないので注意。

 Vaの変更がSAに認識されているか否かは、データ領域内の(at Vs- )の部分で確認する事ができます。

・精度に関する注意事項

SAの分析精度は、従来の分析方法と同じです。そのため、表示されているデータの桁数は、その精度を保証している訳ではありませんので、注意してください。

・Vf マーカーについて

 [Display(D)]メニュー内の[Vf Marker(V)]のチェックがONになっていると、電流-電圧特性グラフにおいて、このマークが現れます。このマークは、浮遊電位の算出が正常に行われているかどうかをチェックするためのものです。データ領域に表示されているVfの値が、グラフのどこに相当するのかをユーザに示します。

・メニュー[Display(D)]内のI-V graph(I)について

 チェックをつけると、セミロググラフ上に電流-電圧特性曲線が表示されます。このとき、Y軸に関しては電流-電圧特性グラフでの倍率設定が適用されますので、注意してください。

・エラー領域

 ノイズが自動分析において強い影響を与えないように、SA内で設定されている領域です。セミロググラフ上で、赤いメッシュ領域で表示されています。この領域に存在するデータ点は、自動分析機能においては無視されます。手動による分析においても、この領域にあるデータ点は無視した方が良いでしょう。

 この領域は、プローブ電流とイオン電流直線が交わる(あるいは接する)ような領域に存在するすべてのデータ点において、両者の差の絶対値を求め、その最大値をセミログプロット上に投影したものです。

・プラズマパラメータ算出に関する参考文献

・「プラズマ物理入門」内田 岱二郎 (昭和52年7月31日発行、丸善株式会社)
・「気体放電」八田 八典 (1960年1月25日発行、株式会社 近代科学社)

・サポートされない機能