「評価書」の不実記載を指摘し、
その無効性を訴える公開質問/要望書
 とその回答


事業者が“環境アセスメントの最終しめくくり”として提出した「評価書」の
内容をくわしく見たところ、またしても欺瞞に満ちた不実記載が多数ありました。
『守る会』では、さっそく(評価書縦覧開始の1週間後に)下記のような
“抗議書”ともいえるような公開質問状を提出し、今回の「評価書」の無効を強く訴えました。

事業者はもちろん、“環境アセス”をとりしきる立場の川崎市 環境評価室さえも
この「評価書」をもって、今回の環境アセスは全て落着させようとしていますが、
このような詐欺的内容のもので、終了させることは、私たちには到底納得できません。

市行政(環境評価室)の責任問題も含めて追及をしていくべく下記の公開質問状を出したものでした。
(公開質問状は、このページの下方↓にあります)

それに対する環境評価室からの回答2002912日付で来ました。
また同じ質問に対する川崎市長からの回答2002109日付で来ました。

◎川崎市長からの回答↓

 お手紙拝見いたしました。
 いただきました公開質問状について、次のとおり回答いたします。

 (仮称)鷺沼4丁目プロジェクトについては、ご案内のように川崎市環境影響評価審議会からの答申を受け、市長意見を述べた条例環境影響評価審査書を公告し、事業者が審査書に対する見解等を述べた条例環境影響評価書の提出がありましたので、公告、縦覧したところです。

 川崎市としては、条例に基づいて良好な地域環境の保全・創造に向けて「地域環境管理計画」を定め、事業者に対しても可能な限り環境への影響の回避・低減を求めているところです。本市の環境影響評価制度は事業者に基本となる計画まで変更を求めるものではありません、今後、各種の許認可をしていくうえで、審査書で指摘した意見を踏まえ可能な限り指導を行ってまいります

 なお、個々のご指摘については環境局環境評価室からの回答をご参照ください。

平成14年10月9日

鷺沼地域の住環境を守る会 代表 様

川崎市長 阿 部 孝 夫


受付番号:567

まず、ここで阿部市長が「(自らの名で出した)審査書での意見を遵守させる」と明言していることが、なにより注目すべき点です。鷺沼4丁目プロジェクトにおける事業者の姿勢および行政の姿勢の最大の問題点が、この「審査書の趣旨(=“十分住民と協議のうえでことを進めよ”と明言していること)を確信犯的に無視している点です。行政担当者と、事業者は、この↑市長の意志にも背いた行動をとっていることになります。

◎環境評価室からの回答↓

14川環評第144号
平成14年9月12日

鷺沼地域の住環境を守る会 代表 様

川崎市環境局環境評価室
室長 福 井 和 巳 

公開質問状(要望書)に係る回答について

 平成14年8月23日付けで環境評価室あていただきました「公開質問状(要望書)」について次のとおり回答いたします。
 ご指摘の【1】及び【2】の計画変更につきましては、条例環境影響評価書(以下、「評価書」といいます。)に記載された計画の変更が、住民説明会で既に提示されていた内容であっても、それが事業者の判断として条例環境影響評価審査書(以下、「
審査書」といいます。)の審査意見に基づく変更であると位置づけ記載されているものであることから、これを受理したものでございます。

 次に【3】の「川崎都市計画高度制限の適用除外」を適用しない場合の有効性についてでございますが、評価書に記載された見解は、高度制限の適用除外をしない場合の図書がなく、審査書の指摘事項を十分に反映した内容でないことから、当該図書の掲載を求めたところですが、川崎市環境影響評価審議会の席上でも当該図書がない旨説明があったこと、また事業者としての概念的な文章ではありますが、見解が示されていることから、評価書を不受理にすべき積極的な事由はなく、受理したものでございます。

 最後に、川崎市の環境影響評価制度における審査書につきましては、住民説明会から始まるアセス手続きにおける各段階ごとに提出された意見等を基に、環境への影響の回避・低減に向けての方向を示すものであり、事業者はこの意見書に沿って事業を進めるものであります。

(環境評価室 担当)
電話 200-2156

 

この↑回答に示されていることは、まず、【1】【2】の要求項目に関しては「審査書に、そう書いてあったから、受理しました(=それが“事業者の判断”だと受け入れました)」という子供の返事のような内容です。意訳して読みとるに、「役所として、一旦受け入れてしまったものを、もとに返すことは(役所の立場上、あるいはメンツ上)できない」という事情を、こうした言葉で言い表したもののようです。

【3】に関しては、さらに事業者の欺瞞的姿勢があきらかになっています。つまり「役所も“11階建てにしない計画図”の提出を求めた」にも関わらず、事業者はそれを出してこなかったという事実です。さらに情けないのは、「(図面を)出してこないから、そのままにした」という役所の姿勢です。(環境アセス審議会の場で図面がないなどと事業者が説明するのは当たり前。それを“審議会”が“出せ”といっても出してこないことが問題だと指摘しているのが、元の質問書の主旨なのですが。。。。)このような姿勢をもって“環境アセスメントは無事終了しました”などと言い示す行政に、大いなる疑問を感じます。こんなことでは、とても環境アセスメントは終わったと認めるわけにはいかない。私たちは、強く、そう主張しつづけます。

 

◎住民側から提出した 元の質問(要望)書

                                          平成14年8月23日

川崎市環境局環境評価室 室長 福井和巳殿

[公開質問状(要望書)]

「(仮称)鷺沼4丁目プロジェクトに係る条例環境影響評価書」の不実記載に対して
市の公正かつ厳正なる対処を要求します。

 前略
 (仮称)鷺沼4丁目プロジェクトの指定開発行為者(以下、事業者と表記)が作成し、平成14年8月15日から縦覧が開始された「条例環境影響評価書」の内容に、市から出された「審査書」の主旨を歪曲した不実な記載があるため、ここにその内容を指摘し、市当局の公正かつ厳正なる対処を要求いたします。

 ここで指摘する不実記載箇所は、
【1】 「審査書」や「審議会の開催」以前から存在していた計画変更内容を、
審査書の内容を踏まえて変更した」と偽って記述。
【2】 (上記の計画変更に関して)近隣住民が、環境負荷を低減する上で無効(もしくは不十分)、とすでに文書で異議を申し入れ済みの変更内容を「周辺住民への圧迫感低減のために有効」と詐称して記載。
【3】 『高度地区制限の適用除外』を適用しない場合での計画案を総合的見地から比較を行い、その有効性について記載すべし”とした「審査書」の内容を曲解し、具体的・客観的な計画案を提示することもなしに、社会的公正さを欠いた“恣意的に偏った有効性評価”のみで終結。

の3点です。


【1】について-------(問題箇所:「条例環境影響評価書(p.451)3.計画変更について」の項)

 この箇所で事業者は「224件の意見書、住民説明会および川崎市長からの審査書の内容を踏まえて」計画を変更したと記述し、変更[1]から変更[17]まで全17項目の変更点を挙げていますが、これらの計画変更内容は各々、下記の時点で、住民への配布資料で提案されていたものでした。

  変更[1][2][3] →平成14年5月18日付の配付資料
  変更[4]     →同3月30日付の資料で提出され、その後5月18日付資料において微修正。
  変更[5]     →同7月7日付の配付資料
  変更[6]     →前出の変更[2]・[4]・[5]に起因(もしくは付随)する変更点。
  変更[7][8]   →同7月7日付の配付資料
  変更[9][10][11][12][13]
          →同3月30日付の資料で提出され、その後5月18日付資料において微修正。
  変更[15]     →前出の変更[1]・[2]・[7]・[8]に起因(もしくは付随)する変更点。
  変更[17]     →同7月7日付の配付資料

 つまり上記は「審査書」(同7月31日付)よりも、さらには審議会が「答申案」をまとめた時点(同7月12日)よりも以前から“住民の承諾とは無関係に”提出されていた計画変更です。
 ちなみに、川崎市長から審査書が出された以降に提案された案件は、次の2項目のみです。 

  変更[14]A敷地と鷺沼69号線境界沿いに道路を支える擁壁を設置し、川崎市に帰属。
  変更[16]大景木の本数の変更。

 この2点だけでは、「周辺住民への圧迫感の低減」を図り、「周辺環境および周辺住民に十分に受け入れられ得る計画とせよ」と言及した審査書に応じるものとしては、まったくもって不十分な内容です。
 この変更点[14][16]以外の全15項目は「224件の意見および住民説明会の内容を踏まえた」という点で間違いはないかもしれませんが、「審査書の内容を踏まえて検討をした」という記述は明かな偽りです。「審査書の内容を踏まえて検討した」と思われる変更点[14][16]は、到底十分な内容ではありません。このような不実な内容をもって「審査書に応えた」かのように記すことは、公的文書の不実記載という犯罪行為にも匹敵するものであり、私共近隣住民はこれを強く糾弾いたします。


【2】について-------(問題箇所:同「評価書(p.451)3.計画変更について」の項 および
             「(p.443-444)表12-1(6) 個別事項 ク.景観 指定開発行為者の見解:[2]」の項)

 川崎市長からの審査書では、「本計画地周辺住民への圧迫感の低減などのため建物の高さ、セットバックの検討や、道路に面する公開空地の拡大…(中略)…など、その対策について検討するとともに、周辺住民に十分説明をすること」と言明しています。それに対する回答(見解)として、事業者は、前出の「計画変更[1][2][3]…」を挙げて、その対応を図る具体策として記述しています。
 しかし、これらの「計画変更内容」は、前述の通りすでに住民に提案され、そして住民はこれを「問題解決(=圧迫感低減)のためにまったくもって不十分なもの」と判断して、その由を文書にて事業者へ正式に申し入れ済みです。
 この文書での申し入れ以降、事業者から、住民の声に応えるような「計画変更」の提案は行われていません。十分な「協議」も行われていません。この評価書に記載されている「計画変更点」がすでに住民から否定されているものである以上、それを「今後、周辺住民に十分説明する」などということは事実上、全く無意味です。
 こうした“実体のない”“すでに無効となっている”内容をもって「住民へ対応を図る」と記述することは、許されざるべき事実詐称です。


【3】について-------(問題箇所:「評価書(p.433-434)表12-1(1) 全般的事項
                              指定開発行為者の見解:2-(2)」の項)

 審査書では、「本事業における『川崎都市計画高度地区制限の適用除外』を適用しない場合での計画案を、総合的見地から比較を行い、その有効性について、評価書の中に記載すること」と言明しています。しかし、事業者はそれへの回答(見解)の中で、“その計画案”の具体内容(図面等)を提示することもなしに、根拠のあいまいなまま“有効性についての比較”を行い、高度地区制限の適用除外をしない(=5階建て程度の)計画案の有効性を隠蔽する記述をしています。その記述ア〜エ、ひとつひとつに対する具体的指摘を以下に記します。(引用箇所は、【事業者の見解】2-(2) 現計画と一般の建築計画の有効性比較…の項目から抜粋)

【“事業者の見解”からの引用】
ア 現計画と一般の建築計画を比較した場合

 …(前略)…高さ規制の緩和は受けているが、事業ボリュームは一般の建築計画(当該用途地域容積率200%)に準じており住戸戸数および計画人口においても一般の建築計画とほぼ同等としている。



  【住民からの指摘】「同等である」ことは、一般の建築計画を採択しないことの理由にはならない。

【“事業者の見解”からの引用】
イ 現計画と、建物を低層化した一般の建築計画を比較した場合


 …ボリュームバランス上、現計画より建物の列がさらに一列増え、建物間の距離が近接し、まとまった空地を確保することが困難となるため、現計画の方が空地の確保、防災面において、有効性があると考えられる。



  【住民からの指摘】通常の用途地域に従った建築計画ならば、「建物間の距離」は「通常の距離」になるはず。
  それで「防災に必要な空地」が得られないのは、事業者が独自の判断で設定した「ボリュームバランス」が問題で
  ある点を意図的に隠蔽し、問題のすり替えを行っている。
  また、総合的見地から客観的に判断をするための「建物の列が一列増えた計画図面」を提示することも
  なしに、建物間の距離が「近接する」などと騙(かた)っている。

【“事業者の見解”からの引用】
ウ 敷地境界からの建物後退距離を比較した場合


 …一般の建築計画では0.5mから1.0m程度が一般的であるが、現計画は空地確保と併せ9.5mの離隔距離を
確保しており、圧迫感や景観上においても、有効性があると考えられる。



  【住民からの指摘】一般建築計画(=5階建程度)ならば、後退距離がさほどなくても圧迫感は生じない。
  敷地境界からの後退距離のみを取り上げ「11階建て建物の圧迫感や景観への悪影響」そのものの隠蔽を
  図る記述である。

【“事業者の見解”からの引用】
エ 高さ規制の緩和を受けない5階建て程度の建物を、敷地内に密集した一般の建築計画と、“街並”という観点で比較した場合


 本計画は公開空地をより多くの方々へ開放できるように配慮し、敷地の利用形態が周辺と一体的となる街並み形成を主眼としていることから…有効性があると考えられる…



  【住民からの指摘】5月18日に開催した話し合い会で、住民側の「良好な街並み形成のために空地を市道鷺沼
  12号線沿いに配置し直した計画に変更してくれ
」という申し入れに対して「この公開空地は建築マンションの
  商品価値を高めるために設けるのであり、その目的上 現在の配置を変更することはできない
」と明言した
  事業者の主張から明らかにかけ離れた記述である(この事業者発言は5月18日に同席したまちづくり局
  総務部長 青木謙二氏、総務部所属 松本裕幸氏および川崎市議会議員 平子瀧夫氏らが証人として耳にしている
)。
  この“公開空地”は「より多くの方へ開放できるように…」ではなく「マンション入居予定者のために設定
  されている
ものと事業者自身が断言している以上、この“有効性比較”は事実と異なる虚偽記述である。

 このように、ア〜エすべての項目において、この“有効性比較”は正当性を欠いたものであり、審議会および川崎市長の判断意思を示した「審査書」の内容を欺くものであります。


 以上、【1】【2】【3】に示した不実記載内容を含む文書を、正当なる「条例環境影響評価書」として認めることは、川崎市の行政制度における重大な過失です。
1.この評価書を却下し「審査書」の主旨に沿った適正なる内容へ作り直させること(=再提出)を要求します。なかでも上記【3】の問題箇所については、2.『高度地区制限の適用除外』をしない一般の建築計画案の具体内容(=図面)を提出させることを要求いたします。さらに、条例環境影響評価という公正であるべき場にこうした不実記載を含む文書を提出したことに対し、3.事業者への厳格なる処分を要求いたします。

 かつて私共は、平成14年4月13日の公聴会の後に、事業者が「市の環境アセスの主旨に反する、不正確かつ不誠実な条例準備書を提出していた」と指摘をし、その対処を阿部川崎市長へ文書にて要求しました。阿部市長はその文書に対する回答文書(7月17日付、受付番号124-2)で「すべてを審議会に報告し審議会の判断に委ねる」という主旨の回答をいたしました。そして今、その審議会の答申を経て、市長自らが出した「審査書」の内容が、こうした不実記載に満ちた文書で決着してしまうようでは、上記回答文書における“市長の(市行政の)判断”は、まったく意味を為さないこととなってしまいます。「準備書」の際と同じ市政失態の繰り返しです。川崎市の環境影響評価制度も、実効的内容をまるでともなわない「形骸化した制度」にすぎないこととなってしまいます。そのような堕落した結果としないためにも、市当局の公正かつ厳正なる対処を強くお願いいたします。

 また、もうひとつ、この「評価書」が縦覧されるに至る過程として、貴環境評価室が内容を確認し、精査したうえで「決裁した」という経緯をお聞きしました。もしそれが事実だとしたら、貴環境評価室は、かかる不実記載内容を看過し、一方的に事業者に有利な手続進行を図る形でこの「評価書」を認定した、ということになりかねません。これは、本来中立であるはずの行政機関として、犯罪的とも言える重大過失もしくは背任行為だと私共市民は重く受けとめています。この重大事態に係る責任問題に関して、4.貴環境評価室の見解もしくは弁明を是非お伺いしたい、と思っております。

 上記、1.2.3.4.、全4点の要求事項、是非ともよろしくお願いいたします。
 誠に勝手ながら、この文書に対する回答を平成14年9月13日(金)までにお願いいたします。

    鷺沼地域の住環境を守る会

ちなみに、ほぼ同内容の質問状を、阿部孝夫川崎市長へも送り届けました。(上記文中の、最後の段落部分を、【川崎行政の長たる、貴殿の責任を問う】といった論調で文を書き換えたものにしています)。環境評価室だけではなく、「川崎市長からの弁明」も、明らかに文書でもらわなくてはならないと考えたからです。




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