黒番のマネ碁は有利か



昔,藤沢庫之助(朋斎)(1919年3月〜1993年8月)という碁打ち(藤沢秀行名誉棋聖(1925年6月生まれ)の年上だが,秀行の甥に当たる)が白番を持つとしばしばマネ碁を打った.マネ碁とは先番の黒の打つ手に対して,白は天元(碁盤中央の点)に対して点対称の位置に打ち,相手が悪手を打ったらマネをやめるというものである.勿論黒が天元に打てば,その時点で白はマネることはできなくなる.マネ碁は創造性が無いと批判する人もいたが,ルールで禁じていない以上非難するのは筋違いである.コミ(ハンディキャップ)は5目半の時代,成績もなかなか良かったようだ.そのため,黒番を持った人はマネ碁やぶりの作戦をいろいろ考えなければならなかった.また白が何処でマネをやめるかなど,なかなか工夫が必要であったようである.

黒番は有利であるので,現在ではコミも6目半となっている.さて黒番の初手を天元に打ち,黒がマネ碁をしたらどうなるだろうか.手数が一手多い分有利なような気がするが,結論から言うと,黒が必ずしも有利とは限らない.ここでは実際に白が勝つ簡単な手順(参考図1〜6)を示した.最後はシチョウで黒が捕られてしまう.

      
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      ┼┼┼┼●┼┼┼┼
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<参考図1>
黒は第1手目を天元に打ち,後はマネ碁を打つことにする.

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      ┼┼┼┼┼┼┼┼┼
      ┼┼┼┼C┼┼┼┼
      ┼┼┼3●A┼┼┼
      ┼┼┼┼5┼┼┼┼
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<参考図2>
まず白 A と付け,黒3とマネたのに対して白 C とハネる.
黒は5とマネる.
図では黒地に白抜きの記号が無いので,
黒手番は数字のみで示した.

 
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      ┼┼┼9○I┼┼┼
      ┼┼E●●○7┼┼
      ┼┼┼11●G┼┼┼
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<参考図3>
以下白 E から黒 11 までの手順.

     
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      ┼┼┼┼1315┼┼┼
      ┼┼┼●○○┼┼┼
      ┼┼○●●○●┼┼
      ┼┼┼●●○┼┼┼
      ┼┼┼MK┼┼┼┼
      ┼┼┼┼┼┼┼┼┼
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<参考図4>
白 K から黒 15 まで.

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      ┼┼┼O●●┼┼┼
      ┼┼┼●○○┼┼┼
      ┼┼○●●○●┼┼
      ┼┼┼●●○┼┼┼
      ┼┼┼○○17┼┼┼
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<参考図5>
白 O と切ると,黒も 17 と切って応ずる.

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      ┼┼┼○●●┼┼┼
      ┼┼Q●○○┼┼┼
      ┼┼○●●○●┼┼
      ┼┼┼●●○┼┼┼
      ┼┼┼○○●┼┼┼
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<参考図6>
白 Q で黒五子はシチョウとなり,捕られてしまう.


途中黒11が明らかに凡手だし,黒17では変化しなければならない.あくまでマネをしたらどうなるかを示した.

(2006年10月)


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