小児の夏かぜについて

 

(a)エンテロウィルス感染症

ウィルスが腸管で増殖する。感染ルートは、ウィルスを含む糞便で汚染された水や器物を手で触れ、ウィルスで汚染された手を口に持っていくことにより感染する。

ヘルパンギーナ(コクサッキーウィルス)

手足口病(コクサッキーA、エンテロ)

無菌性髄膜炎(ムンプスウィルス、エンテロ、エコーなど)

非特異的発疹症(コクサッキーA、エンテロ)

 

1)ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、発熱と軟口蓋を中心に紅暈を伴う水疱あるいは潰瘍を特徴とする。40度C以上の高熱をきたすこともあるが、4、5日以内に解熱する。夏季に流行する急性ウィルス性咽頭炎で大部分は4歳以下が感染する。毎年5月頃より増加し始め、6〜7月にかけてピークとなり、8月から減少する。起因ウィルスは、A群コクサッキーウィルス(CA)の2、3、4、5、6、10型である。なお、B型コクサッキーウィルスやエコーウィルスが原因となることもある。

 

2)手足口病

舌、口蓋を含む口腔粘膜に浅い潰瘍やアフタ、あるいは紅暈を伴う水疱を認める。手掌、手指、足底、足趾などに水疱や丘疹、膝と肘の伸側、および臀部に丘疹、まれに水疱性発疹を認める。エンテロウィルス71型、コクサッキーウィルスA群16型、10型が原因ウィルスである。2歳以下が半数をしめる。一般に手足口病は発熱がなく予後良好な疾患である。但し、エンテロウィルス71型によるものでは、発熱することがあり、髄膜炎を併発することもある。稀ではあるが、これらのエンテロウィルスが新生児や2、3ヶ月の乳児に感染して致死的になることがあるので、決して有熱者を近づけないことが大切である。

 

3)無菌性髄膜炎

高熱が遷延し、強い頭痛と嘔吐を伴う(3主徴)。多種多様な病原体が無菌性髄膜炎症状を起し得るが、その病原体として最も多いのがウィルスである。エンテロウィルス属(A群コクサッキーウィルス、B群コクサッキーウィルス、エコーウィルス、エンテロウィルスなどを含む)が全体の約85%を占める。無菌性髄膜炎は例年、初夏から増加し始め、夏から秋にかけ流行が見られる。罹患年齢は幼児および学童期が中心である。その他のウィルスとしては、ムンプスウィルス(おたふくかぜウィルス)、単純ヘルペスウィルス2型などがある。

 

(b)アデノウィルス感染症(滲出性扁桃炎、咽頭結膜熱)

1)咽頭結膜熱(プール熱):アデノウィルスは通常の消毒薬や殺菌剤では失活しない。プールで感染しやすい。タオルの共用は感染を広げる。

2)滲出性扁桃炎:溶連菌感染症と間違えやすい。

 

咳や鼻汁を伴わず、抗生物質に反応しない高熱が続く。発熱と同時、あるいは、2、3日以内に扁桃の滲出物が見られ(滲出性扁桃炎)、咽頭扁桃が発赤する。一部では、結膜炎(眼球結膜の充血)を合併することがある(咽頭結膜熱)。アデノウィルス感染症は、通年性であるが、夏季にプール水を介して咽頭結膜熱(プール熱とも呼ぶ)が流行することがある。

 

(c)パラインフルエンザ又はライノウィルス感染症

鼻汁や咳を主徴とする。

 

小児の夏かぜにたいする発熱について

毎年、7、8月に流行する夏かぜは、エンテロウィルスが原因で発症することが多い。このウィルスは60種以上あり、ほとんどが腸で増殖してから全身に広がる。熱以外の症状はあまりないのが特徴である。

熱はウィルスを殺すために出る体の防御反応で、ある温度の達すると、それ以上には上がらず、自然に下がるようになっている。また、体温の高さと病気の重症度とは関係がない。39度の熱があっても、子供が元気そうなら心配はない。

熱には水がいちばんの薬であり、水分をとって安静にしていれば、汗が出て体温は自然に下がり、風邪もよくなってくる。解熱剤が必要なのは、ぐずるとか眠れないなど、熱のために不快を訴えている場合である。そんな時には解熱剤で熱を下げ、ぐっすり休ませるのがよい。また、親が心配顔をしていると、子供はよけいに不安になりやすい。