ウィルスの伝播経路

呼吸器系を介したもの(アデノウィルス、パラミクソウィルス、コロナウィルスなど)、消化器系を介したもの(レオウィルス、ピコルナウィルス、EBウィルスなど)、性行為を介したもの(ヘルペスウィルス、HIVなど)、昆虫によって媒介されるもの(黄熱病ウィルス、日本脳炎ウィルスなど)、動物による咬み傷からのもの(狂犬病ウィルスなど)があり、これに対して、親から子へ垂直感染として、胎盤を通過した血液(ヘルペスウィルスの一種など)、授乳によるもの(HIVHTLVなど)さまざまな感染様式がある。

 

呼吸器系を介した感染様式には飛沫感染、空気感染、接触感染などが知られている。咳嗽、くしゃみに伴って、鼻腔や咽頭からの分泌物が飛沫の形で飛散するが、通常1〜2m程度で落下する。これが落下する前に直接吸い込んで、鼻腔や咽頭粘膜から感染するのが飛沫感染である。飛沫は粘膜に付着して感染する場合もある。RSウィルス、インフルエンザウィルス、ライノウィルスなどはこのタイプである。

 

これに対して、飛沫の水分が蒸発するなどして、非常に微小な軽いエアゾル粒子となった場合には、空中に長時間浮遊し、また空気の流れに乗って長距離まで到達して急速な伝播が起きるが、これが空気感染である。インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、水痘・帯状ウィルス、肺結核などはこのタイプである。

 

接触感染は、患者の鼻咽頭などからの分泌物や尿・糞便(糞口感染)に直接または間接的に触れた手から、その後、自らの鼻腔粘膜や口腔内、粘膜などに接種して感染するもので、ライノウィルス、RSウィルス、アデノウィルスなどがこのタイプである。

 

コロナウィルスでは、飛沫感染が主要な感染経路として存在するが、接触感染も考えられている。空気感染の可能性についてはよくわかっていない。コロナウィルスの感染症状はライノウィルス感染症と類似しており、鼻汁分泌量が多いことから鼻汁中のウィルスが感染源となり、飛沫感染を起こすものと考えられている。