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無料メールマガジン 作文/小論文/自分史セミナー

有料添削の受講者が増加しているために,
無料メールマガジンの発行およびバックナンバーの編集作業が,
大幅に遅れております.ご了承ください.

― 目  次 ―

A.「現代」を考え直すための10章 B.「自分」を振り返るための10章
1.生命倫理 (Vol. 1)  1.正確な思考と誠実な思考(Vol. 5)
 1−1.添削指導 (Vol. 2)  1−1.作成指導 (Vol. 6)
 1−2.添削指導 (Vol. 3)  1−2.添削指導 (Vol. 7)
 1−3.添削指導 (Vol. 4)  1−3.添削指導 (Vol. 8)
 1−4,添削指導 (Vol. 4-1)  1−4.添削指導 (Vol. 8-1)
2.環境倫理 (Vol. 9) 2.自分忠実であること (Vol. 13)
 2−1.添削指導 (Vol. 10)  2−1.作成指導 (Vol. 14)
 2−2.添削指導 (Vol. 11)  2−2.添削指導 (Vol. 15)
 2−3.添削指導 (Vol. 12)  2−3.添削指導 (Vol. 15-1)
 2−4.添削指導 (Vol. 12-1)  2−4.添削指導 (Vol. 15-2)
3.科学技術時代 (Vol. 16) 3.完全人間らしい生活 (Vol. 18)
 3−1.添削指導 (Vol. 17)  3−1.添削指導 (Vol. 19)
 3−2.添削指導 (Vol. 17-1)  3−2.添削指導 (Vol. 19-1)
4.大衆社会 (Vol. 20) 4.たな自己との出会(Vol. 22)
 4−1.添削指導 (Vol. 21)  4−1.添削指導 (Vol. 23)
 4−2.添削指導 (Vol. 21-1)  4−2.添削指導 (Vol. 23-1)
5.高度情報社会 (Vol. 24) 5.無意識世界での願望 (Vol. 25)
 5−1.添削指導 (Vol. 24-1)  5−1.添削指導 (Vol. 25-1)
 5−2.添削指導 (Vol. 24-2)  5−1.添削指導 (Vol. 25-2)
6.ハイテク労働 (Vol. 26) 6.貧しさと豊かさ (Vol. 27)
 6−1.添削指導 (Vol. 26-1)  6−1.添削指導 (Vol. 27-1)
 6−1.添削指導 (Vol. 26-2)  6−1.添削指導 (Vol. 27-2)
7.少子社会 (Vol. 28) 7.現代のコミュニケーション (Vol. 29)
 7−1.添削指導 (Vol. )  7−1.添削指導 (Vol. )
 7−1.添削指導 (Vol. )  7−1.添削指導 (Vol. )
8.超高齢社会 (Vol. 30) 8.日本人の死生観 (Vol. 31)
 8−1.添削指導 (Vol. )  8−1.添削指導 (Vol. )
 8−1.添削指導 (Vol. )  8−1.添削指導 (Vol. )
9.国際化社会 (Vol. 32) 9.日本人の倫理観 (Vol. 33)
0.現代社会の構造 (Vol. 34) 0.現代を生きる人間 (Vol. 35)

【メール文の書き方について】

原稿用紙の書き方についての原則
縦書き.1マス1字.
段落の最初1マス空け,句読点「。」「、」を使用し,句読点や閉じカッコは行頭に置かない.
縦書きの数字は漢数字で,横書きの数字・アルファベットは1マス2字で,「…」や「―」は2マスで書く.

メール文の書き方についての提案
段落の最初1マス空けず,句読点として「.」「,」を使用し,句読点や閉じカッコは行頭に置かない.
段落と段落の間1行空ける.
1行35文字程度で折り返すようにメールソフトを設定する.

(「基礎資料」では句読点は「。」と「,」が使われています.)

 

A-1.生命倫理(基礎資料)

<作文/小論文/自分史セミナー>
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文章力強化トレーニング

1999年10月第1週号 (Vol. 1)

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【設問】あなたは臓器移植に賛成ですか反対ですか.

下の「基礎資料」を参考にしながら,
あなたの意見を400字〜800字の範囲でまとめてみてください.

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>>> 生命倫理 <<<

[ 基礎資料 ]

■生殖への介入と臓器移植■

遺伝子操作や生殖技術の発達によって,現在では,人間は生命の誕生に直接関与することが可能となった。

難病の治療や人工受精による出産は,親の新たな期待にこたえることになるが,他方では,医師や親が胎児の段階で生命を選別するということも可能となり,そこでは,人間が生殖に技術的にどの程度まで関わってよいのか,胎児はどの時点から人間といえるのか,さらに生殖技術が商業化されよいのかなど,人権問題にまでおよぶさまざまな問題が生じている。

また,現代の新たな「死」といえる脳死は,人工呼吸器の開発とともに現れた。しかしどの時点で脳死と判定するかは,国によってその基準に多少の相違がある。自然死ではなく,人工的な脳死が注目されるようになったのは,臓器移植との関連からである。とくに心臓や肝臓は,心臓が停止してしまった死体から摘出して移植したのではほとんどつかいものにならず,それ以外の臓器も,脳死状態で移植したほうが成功率が格段に高くなるのである。

■日本における脳死と臓器移植■

欧米諸国はもちろんだが,アジアでも脳死を法的に死と認める国が多くなっている。日本でも1997年6月に「臓器移植法」が成立し,その年の10月から本人の移植への意思と家族の同意があれば,脳死が死として認められるようになった。そして1999年2月に,日本で最初の脳死者からの臓器移植手術が行われた。

しかし,伝統的な日本人の死生観からして,それを認めないとする意見も少なくない。(1999年5月現在,脳死=人の死:認める52%,認めない30%)

さらに,それが法的に認められるようになったとしても,多臓器を対象とした全国的なネットワークの整備や,臓器提供者(ドナー)と患者を仲介する専門的なコーディネーター(1998年現在,全国で16名)の養成など,迅速で適正かつ適切な移植のためには,多くの制度上の課題が残されているといえる。

そして,もっとも重要な問題は,臓器提供者の生存中の意思の確認をどのようなかたちでチェックし,さらに残された家族の意向をどのようにして尊重していくかということであろう。

■患者の自己決定権■

臓器提供だけでなく,ガンの告知や安楽死の問題などでも,本人の意思ができるだけ尊重されなければならない。つまり患者には,どのような治療や介護を望むかを決定する権利があり,尊厳ある「生き方」(死のむかえ方)と死後の処置について,患者みずからが選択できなければならない。

そのためには医者には,診断や治療に関する情報を充分に提供する義務があり,患者が納得したうえでの同意(インフォームド・コンセント)に基づいた医療行為が望まれる。今後は,たんに時間的延命だけでなく,早期の段階から患者の知る権利を保障した末期医療(ターミナル・ケア)の体制が拡充されていく必要があるだろう。

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添削指導を希望される方は,下記のメールアドレスに送信してください.

多くの読者の方々の参考となる答案(最も代表的かあるいは個性的な原稿)を取り上げていきたいと思います.

送信の際の「件名」は「Jap:生命倫理」としてください.

メールの宛先: eng0122@geocities.co.jp

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(Media Pub.発行の「トレーニングマガジン」 今週の発行部数: 10973部)

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A-1.生命倫理(添削指導1)

<作文/小論文/自分史セミナー>
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文章力強化トレーニング

1999年10月第2週号 (Vol. 2)

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【設問】あなたは臓器移植に賛成ですか反対ですか.

(Vol. 1)の「基礎資料」を参考にしながら,
あなたの意見を400字〜800字の範囲でまとめてみてください.

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>>> 生命倫理 <<<

[ 添削指導(1) ]

<今週の文書紹介>=====================
(もとの原稿を最大限に尊重いたしましたが,部分的に加除訂正されている場合もあります.*の番号はこちらで記入したものです.)

*1私自身の臓器移植については賛成です。

*2脳死してしまえばもう自分に意識が戻ることはないわけだし、人生を自分の中に意識できない以上、ただ生物学的に生きていても意味はない、と考えます。脳死している自分の「遺体」を取り囲んで家族が臓器移植について悩んでいるのを私の「霊」が発見し、その家族の前に「化けて出る」ことができるなら、迷わず私は家族に「好きに処分しろ」と言うでしょう。

*3自分の自由にならない体を未練がましく保存しても私が何をできるわけではないですし。その保存が遺された家族の負担になっているなら「いいよ捨てちゃって」と私は家族に言うはずです。興味がないからです。でも「捨てるだけ」ももったいないし、使える部分は勝手につかっていいよ。

*4これが「自分の臓器移植」に対する私の考え方です。

====================<今週の文書紹介↑>

今週は最初の添削ですので,わかりやすくて,比較的短めの文書を取り上げることにします.

臓器移植については,若者の場合は圧倒的に「賛成」意見が多いようです.上で紹介した意見もそのような立場から書かれています.以下で3つの観点からコメントしてみたいと思います.

■表記法■

1.まず目につくのは,話し言葉と書き言葉の混在です.

*2の「意識が戻ることはないわけだし」,*3の「もったいないし」,「勝手につかっていいよ」という表現と,*2の「と考えます」や「言うでしょう」,*3の「言うはずです」などの表現が,交互に用いられていて文脈の安定感が損なわれてしまっています.

文書全体を書き言葉で統一するとよいでしょう.

2.次に読点について2,3指摘しましょう.

*1の「脳死している自分の「遺体」を取り囲んで家族が臓器移植について悩んでいるのを私の「霊」が発見し」の部分は,「家族が、臓器移植」とした方が読みやすくなるでしょう.

*2の「自分の自由にならない体を未練がましく保存しても私が何をできるわけではないですし」の部分も,「保存しても、私が何を」と「、」をつけた方がよいでしょう.


■構成法■

*1移植賛成→*2生物学的に生きていても意味がない→*3保存しておくより利用すべき

*2が賛成の消極的理由で,*3の最後に積極的理由が述べられています.この積極的理由の部分をふくらませてさらに言及すると,賛成の立場の説得力がさらに強まるでしょう.


■論理性■

文脈にメリハリをもたせるためには,*2の部分で賛成の理由を2,3あげてしまい,*3でそのひとつを取り上げて賛成の理由をさらに強調し,*4「これが「自分の臓器移植」に対する私の考え方です」と締めくくれば,論理的に明解な文書になります.

関連したテーマでこのような論法を使った文章を作ってみるとよいでしょう.

例えば「ガン告知について」というようなテーマではどうでしょうか.このテーマでの添削指導も受けつけることにします.字数はやはり800字以内としておきましょう.


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添削指導を希望される方は,下記のメールアドレスに送信してください.

多くの読者の方々の参考となる答案(最も代表的かあるいは個性的な原稿)を取り上げていきたいと思います.

送信の際の「件名」は「Jap:生命倫理」としてください.

メールの宛先: eng0122@geocities.co.jp

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(Media Pub.発行の「トレーニングマガジン」 今週の発行部数: 11864部)

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A-1.生命倫理(添削指導2)

<作文/小論文/自分史セミナー>
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文章力強化トレーニング

1999年10月第3週号 (Vol. 3)

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【設問】あなたは臓器移植に賛成ですか反対ですか.

(Vol. 1)の「基礎資料」を参考にしながら,
あなたの意見を400字〜800字の範囲でまとめてみてください.

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>>> 生命倫理 <<<

[ 添削指導(2) ]

<今週の文書紹介>=====================
(もとの原稿を最大限に尊重いたしましたが,部分的に加除訂正されている場合もあります.*の番号はこちらで記入したものです.)

*1私はこの臓器移植問題については賛成の意を表す。今日、脳死患者からの移植が法案可決からやっと実施に至るようになり、その反響はマスコミ各社も大変なものであった。それだけ多くの人々がこの問題に関心を持っていると同時に、沢山の移植を待ち望んでいる人がいるということだろう。

*2私は以前から医学に関し大変興味があり、医院での勤務経験もあり、骨髄バンク、そして今回問題にかかわるドナーカードの所持している。私がこれらに加入するきっかけとなったのは、医院での勤務での影響が大きかった。そこには様々な体の悩みを抱えた人々が来院し、中には十代にして脳出血をおこし半身不随になった女の子もいた。自分は五体満足、恵まれた体をもっているが、この人たちは一人で歩くことさえできないんだ....と思うと何とも言えない気持ちでいっぱいであった。もし、これが自分であったら...家族であったら....どうだろう?

*3世の中には生命の危険にさらされ、そして中にはその希望もたたれて命をなくす方が沢山いる。現在、医学技術もだいぶ進んだが人の命に百パーセントは無いのだろう。しかし、その時自分の体を提供することができたら、少なくとも可能性は多少なりとも上がり、それによって日々の健康を取り戻せるチャンスが訪れるはずだ。自分がもし、不自由な体になった時、間違いなく元の体を切望するだろう。自分の最期に出来るプレゼントではないだろうか、と私は考える。

*4しかし、実際は日本ではまだまだ息をしている人を死と認める考えも根付いていず、今後の問題であろう。他にもさまざまな問題を抱えているが私の臓器移植に対する考えは以上である。

====================<今週の文書紹介↑>

■表記法■

*1の最初「私はこの臓器移植問題については賛成の意を表す。」
これはややおさまりの悪い言い方で終わっています.
「・・・賛成です」あるいは「賛成の意を表したい」の方がよいでしょう.

*3の「しかし、その時自分の体を提供することができたら、少なくとも可能性は多少なりとも上がり、それによって日々の健康を取り戻せるチャンスが訪れるはずだ。」
この文章は,会話ならば意味は通じますが,表現がやや雑といえます.
「その時」は何のときか.「脳死状態になったとき」を補った方がよいでしょう.
「可能性は」は何の可能性か.「生きつづける」というような言葉を加えましょう.
「健康を取り戻せる」はだれが取り戻せるのか.「患者は」という主語が必要です.
「自分の最期に出来るプレゼントではないだろうか、と私は考える。」も,「臓器移植は」と主語を入れた方がよいでしょう.

*4の最後「他にもさまざまな問題を抱えているが私の臓器移植に対する考えは以上である。」
「・・・問題を抱えているが、私の・・・」
さらに「問題が指摘できるが、」と「問題」を主語にすること.

英語だけでなく日本語でも,文章を書くときは,「主語−述語」関係をはっきりさせるように心がけてください.


■構成法■

自分の体験を織り交ぜた文章展開になっており,全体的には説得力のある文に仕上っています.
体験談を織り交ぜた*2の段落から*3の段落への展開に,もうひと工夫あるとさらによくなるでしょう.

■論理性■

*3の段落
1「世の中には生命の危険にさらされ、そして中にはその希望もたたれて命をなくす方が沢山いる。」
2「現在、医学技術もだいぶ進んだが人の命に百パーセントは無いのだろう。」
3「しかし、その時自分の体を提供することができたら、少なくとも可能性は多少なりとも上がり、それによって日々の健康を取り戻せるチャンスが訪れるはずだ。」
4「自分がもし、不自由な体になった時、間違いなく元の体を切望するだろう。」
5「自分の最期に出来るプレゼントではないだろうか、と私は考える。」

この段落の5つの文章は,
人の命のこと→自分の命と臓器移植のこと→患者の命と臓器移植のこと→臓器移植の意味,
というように区別して文章を組み立てると論理的に明解になります.
とくに3の文章は,自分と患者のことを分けて書いた方がよいでしょう.


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添削指導を希望される方は,下記のメールアドレスに送信してください.

多くの読者の方々の参考となる答案(最も代表的かあるいは個性的な原稿)を取り上げていきたいと思います.

送信の際の「件名」は「Jap:生命倫理」としてください.

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(Media Pub.発行の「トレーニングマガジン」 今週の発行部数: 12129部)

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A-1.生命倫理(添削指導3)

<作文/小論文/自分史セミナー>
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文章力強化トレーニング

1999年10月第4週号 (Vol. 4)

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【設問】あなたは臓器移植に賛成ですか反対ですか.

(Vol. 1)の「基礎資料」を参考にしながら,
あなたの意見を400字〜800字の範囲でまとめてみてください.

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>>> 生命倫理 <<<

[ 添削指導(3) ]

たくさんの応募原稿をお送りいただきありがとうございました.
今回は,移植反対の立場からのものと,ガン告知に関して書いてくださったお二人の原稿を取り上げることにしました.

<今週の文書紹介>=====================
(もとの原稿を最大限に尊重いたしましたが,部分的に加除訂正されている場合もあります.*の番号はこちらで記入したものです.)

*1.私は臓器移植には反対です.感情的な問題で納得いかない部分があるからです.

*2.以前の私は賛成派でした.移植により助かる人がいるのであればするべきであると思っていました.しかし,今年の春,父を肺がんで亡くした時に,この考えは変わりました.父の顔があまりにも安らかで,今にも生き返るように見えたからです.人間は,実際に肉親の死を間のあたりにすると考え方が正反対に変わるものなのですね.

*3.延命を考えると、臓器移植は有効な手段の一つであることは間違いありません.移植すれば少しでも延命できる人の家族にとっては藁にもすがりたい思いでしょう.しかし,実際に臓器を提供する家族の感情を当てはめると私には納得できないのです.世のため,人のためになると頭では分かっていても,やはり割り切れない気持ちがあるのです.

*4.人間とは整然とした理論だけでは動けないものです.この気持ちを変えるような何かが見つからない限り,私は反対し続けるでしょう.

===================<↑今週の文書紹介↑>

■表記法■

*2の「死を間のあたりにする」→「死を目の当たりにする」
ワープロ変換で見過ごしてしまうことがよくあります.気をつけましょう.
同じく「人間は,実際に肉親の死を間のあたりにすると考え方が正反対に変わるものなのですね.」
「人間は,・・・すると,考え方が正反対に・・・」と読点が途中にもあった方が読みやすくなります.

*3の「実際に臓器を提供する家族の感情を当てはめると私には納得できないのです.」
「家族の感情を当てはめる」という表現は,「家族の複雑な感情からすると」くらいの表現の方がよいでしょう.

■構成法■

*1「移植反対」→*2「父の死」で反対の立場に→*3感情的な迷い
*2の「考え方が正反対に変わる」
文章全体のなかで,この言葉がたいへんに重みをもっています.
それが*3の「頭では分かっていても,やはり割り切れない気持ちがある」
という部分につながっていくわけです.
できればその「気持ち」について,もう少し書いてほしかったですね.

■論理性■

*4の「人間とは整然とした理論だけでは動けないものです.この気持ちを変えるような何かが見つからない限り,私は反対し続けるでしょう.」
この結論にさらに説得力をもたせるには,うえで言いましたように,自分の「気持ち」についてもう少しふれるか,あるいは,そもそも人間の「感情」がどういうものか,ということについて自分なりの考えを述べるとさらによくなるでしょう.


<今週の文書紹介>=====================
(もとの原稿を最大限に尊重いたしましたが,部分的に加除訂正されている場合もあります.*の番号はこちらで記入したものです.)

*1.ガンの告知に関して,私は単純に賛成反対と言うことはできないと思います.

*2.なぜならば,告知対象者の性格や年齢,さらにガンの症状や進行状況等によって,告知によってもたらされる影響が大きく異なると考えられるからです.例えば80代の老人ならば,ガンであるないに関わらず,自分の余命がそう長くはないことをある程度は覚悟しているでしょうし,一方20代の若者ならば,これからの人生に期待するところが多いはずです.私が最も恐れるのは,告知によってその後のわずかな人生を,死に対する恐怖と生に対する絶望に苛まれながら過ごしてしまうことです.もしも今,私がガンに犯されていて回復する見込みがほとんどないとしたら,とてもそうした現実を受け入れられるとは思えません(私は現在26才です).

*3.しかし逆に告知をすることによって取り除かれるものもあると考えられます.特に看護している家族や治療にあたる医師達と事実を共有し,うそのない協力関係を築けるということは,本人にとって精神的に大きな支えとなり孤独感から免れる大きな要因になるのではと思います.また,ガンの症状による痛みや苦しみとの因果関係がはっきりすることで,いくらかの不安も取り除かれるはずです.

*4.結局のところ私が最も大切だと考えるのは,残された時間をどれだけ有意義なものにできるかということです.死というものは到底納得して受け入れられるものではありません.しかし,残された時間を納得して生きることができればそれはやはり素晴らしいことだと思います.ですから私は基本的にはガンの告知に賛成したいのです.その方が残された時間を有意義に過ごす上で有効だと考えるからです.ただしそれは,本人が告知のショックを乗り越えて生に対して前向きになれる人格であること,そうした本人の意思を精神的、医学的に支えられる環境にあること,が条件になると考えます.

===================<↑今週の文書紹介↑>

■表記法■

特に問題の箇所はありません.

■構成法■

*4の「私は基本的にはガンの告知に賛成したい」という自分の基本的な立場を最初にはっきりさせたうえで,*1の「単純に賛成反対と言うことはできない」という指摘をした方がよいでしょう.

*2の段落は,「私26歳」の場合→「20代の若者」の場合→「80代の老人」の場合→「告知対象者の性格や年齢」による,というように自分の身近な具体例から徐々に一般論を導く書き方の方が,読み手は納得しやすくなります.

全体の展開は,*1.単純に賛成反対できない→*2.年齢による→*3.告知の意義→*4.余命を有意義に生きる,となっていますが,*1→2と*3→4とのあいだに構成上の断絶(論点の飛躍)があります.

■論理性■

論理的に一貫させるには,むしろ前半で*3→4の賛成の立場と理由を述べたうえで,付帯条件のようにして*2にふれ,そのしめくくりとして*4の最後の「本人が告知のショックを乗り越えて生に対して前向きになれる人格であること,そうした本人の意思を精神的、医学的に支えられる環境にあること,が条件になると考えます.」と結んだ方がよいでしょう.


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添削指導を希望される方は,下記のメールアドレスに送信してください.

多くの読者の方々の参考となる答案(最も代表的かあるいは個性的な原稿)を取り上げていきたいと思います.

送信の際の「件名」は「Jap:生命倫理」としてください.
このテーマは今週で終わりにしますので,来週までお待ちください.

メールの宛先: eng0122@geocities.co.jp

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(Media Pub.発行の「トレーニングマガジン」 今週の発行部数: 12407部)

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