雑誌が書店に並ぶまで
――企画、調査、取材、撮影から最終校正までの制作過程――





 書店で売られている雑誌や書籍は、どのような制作過程を経て出来上がるのでしょうか。雑誌の誌面を例にとって、企画から調査、取材、撮影、最終校正までの過程を紹介いたします。


@企画

 雑誌も書籍もまず「企画ありき」です。定期発行の雑誌の場合、読者ターゲットや誌面づくりの方向性が決まっているので、それに沿った企画を出すことが前提になります。定期的に企画会議が行われ、その号の企画とおおまかなページ割りが決まります。「今回はノートパソコン特集を、10ページ使ってやりましょう」と決まったら、その10ページの中でも、新製品紹介が6ページ、最新機能の紹介が2ページ、パソコン達人のノウハウが1ページなど、だいたいの構成要素を決めていきます。この段階では、あくまで「想定」なので、実際にこのまま進むとは限りません。調査の過程で、もっと面白い情報が出てくる可能性もありますし、もっといいアイデアが浮かぶ可能性もあります。


A調査&取材

 おおまかな企画が決まると、実質的な作業が始まります。市場調査です。上記の企画であれば、パソコンショップを覗いて、カタログをひと通り集める。インターネットで情報を検索する。メーカーの広報に問い合わせる。パソコンを使っている人に、どんな使い方をしているかヒアリングする。つまりは、ノートパソコンの市場がどのような方向に向かっているのか、把握することが大事です。何が求められているのか? 機能性、デザイン、サイズ、携帯性など、さまざまな角度からチェックします。調べているうちに、いろいろな情報が集まってきます。その中から、読者にとって役立つ情報を選択し、何を掲載するか決めていきます。


B撮影

 誌面に掲載する商品や、コメントしてもらう人物をカメラマンが撮影します。メーカーから撮影用の商品を借りたり、人物にアポイントを取るという事前の作業があります。モデルが必要な場合はモデル事務所を通じて手配し、衣装や小物の調達にスタイリストの力が必要であれば、スタイリストに依頼します。撮影は関わるスタッフの人数も多く、一連の仕事の中で最も賑やかになる場面といえます。


C写真のチェック

 撮影に使うフィルムはネガではなく、ポジです。ポジはスライドともいいますが、現像したフィルム自体に、撮影した色彩がそのまま写っていて、ライトテーブルに乗せて光に透かすとはっきり見えます。カメラマンは現像したフィルムをロールの状態で持ってきます。ロールとは、コマごとに切り離していない状態、つまりは横に長いフィルムの状態です。編集者、もしくはライターが、この(現像)上がりをチェックして、必要なカットを1コマ、1コマ、ハサミで切り出し、1枚ずつ小さなポジ袋に入れて管理します。


Dデザイン(レイアウト)

 切り出したポジをレイアウト用紙の上に並べて、誌面のデザイン(=レイアウト、割り付け)を考えます。雑誌は、タイトル、見出し、写真やイラストなどのビジュアルが揃った段階で、編集者かライターがラフスケッチを描いて、デザイナーに渡し、デザインをつくってもらいます。普通、原稿を書くよりもデザインの方が先なのです。これを「先割り」といいます。デザインが後になる場合は「後割り」といいます。最近は、紙の上に手作業で線を引くやり方は少なくなり、パソコンを使ったレイアウト(DTP=デスクトップパブリッシング)が主流になりつつあります。ちなみに特集などのタイトルの決定権は、普通、編集長にあります。


E原稿書き

 デザインが完成した段階で、本文やキャプションの文字数が決まります。たとえば「本文は16字詰め×40行」など、字詰めと行数が指定されているので、これに合わせて原稿を書きます。原稿はパソコン(ワープロ)で作成して、メールで送信するか、フロッピーに入れて受け渡しすることが多くなりました。いや、もうほとんどそうかも知れません。


F入稿&校正

 入稿とは、デザイン、写真などのビジュアル要素、原稿が揃った段階で印刷所に原稿類を入れることです。最近、出版業界も変革しつつあり、入稿から最終校正(校了)までのやり方が以前と変わってきています。

 従来のように、レイアウト用紙に手書きで線を引いた、「指定紙」(レイアウトの設計図のようなものです)で入稿する場合は、入稿後1〜2日くらいで、文字だけを確認する「文字校正」が印刷所から出稿されます。文字校正とは、雑誌などの誌面をページごとに1枚の紙に印刷したものです。モノクロで、写真やイラストは入っていません。この紙に赤字で文字の訂正を入れます。その後1週間くらいで、写真やイラストも同時に確認できる「色校正」が出稿されます。これも文字校正と同じように、誌面を1枚の紙に印刷したものですが、文字校正と違うのは、出版する誌面と同じように色がついていて、写真やイラストが入っていることです。ここでもう一度、文字や写真などに間違いがないか、校正を入れます。色校正を印刷所に戻すと、大抵の場合、「校了」(すべての校正が完了)となります。

 最近は、パソコンによるデザインが増えています。MOディスクを使うので、「MO入稿」なんて呼ばれています。印刷所に入稿する以前に、デザインに原稿を流し込むことができるので、上記の文字校正にあたる作業は、印刷所に入れる前に行います。文字校正が完了したものを印刷所に入れるわけですから、印刷所から出稿されるのは色校正のみです。DTPによって、印刷までの流れが変わりつつあります。DTPの利点は、デザインや文字を修正しやすいこと、印刷コストが安いことなどです。


G印刷&製本、配本

 校了後、本番の印刷に入ります。数ページごとに印刷し、雑誌や書籍の形に製本します。出来上がった印刷物は、書店やコンビニ、駅の売店などに配送されます(配本)。出版社の編集部には、発売日の2日くらい前(雑誌の場合)に現物が見本として届きます。