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アメリカに住んでおられる、娘さんが脊髄損傷の日本人のお母さんが最近ブログを開設しました。 時々、僕も書き込みをしていますが、実際にアメリカに住んでいるので、アメリカの実情が見えてきてとても興味深いものがあります。

彼女のブログでいろいろ考えさせられました。 一つは子供の患者さんに対する心のケア、もう一つは障害者の周囲の健常者たちの関わり方です。 以前、僕もホームページに介助猿の話を書きましたが、所謂、アニマルセラピーです。 そして、パッチ・アダムスという有名なドクターで有名になったクラウン・ドクター(道化師の扮装をしたドクター)による子供の心のケアです。

アニマルセラピーは日本でももう一般化している気もしますが、実際に僕が知っているのは、テレビで高齢者施設を訪れる犬がお年寄りの心を癒しているという番組を通してだけです。 僕の周囲に驚くほど多数の成人の障害者がいます。 そして誰もがアニマルセラピーという言葉を知っていますが、実際にアニマルセラピーを受けた人は誰一人としていません。 小児病棟の場合は、大人の場合と違ってアニマルセラピーを受けられる可能性はあることを期待していますが、実際の所はどうなのでしょうか。 僕はどうも日本ではアニマルが病院内に入ること自体も難しいのではないかと疑っています。

動物がどれだけ患者の心を癒すか、に就いては、僕自身が僕の飼い犬を含め、公園で会う多数の犬達から言葉にいえないほどの多くの癒しを貰いました。 動物は本当に素晴らしい力を患者に与えてくれます。 僕の家の周りで、時々、バギーを押す腰の曲がったお婆ちゃんと会いますが、大抵は道の途中でバギーに坐って、いつも連れている雑種の犬に話かけています。 挨拶を交わす程度ですが、僕も犬が好きなので、犬を構うと犬もお婆ちゃんもすぐ上機嫌になります。 年齢は分かりませんが、80歳は当に過ぎていると思いますが、物凄く元気です。

障害者はどうしても物事を拗ねて見るようになります。 これは意識して前向きに前向きに考えようと思っていても、そうなり易いものです。

そういう時に、犬と触れ合うと心の底から素直になれます。 これは理屈ではない不思議な感情で、言葉では言い表わせません。

クラウン・ドクターとなると日本にそんな医者がいるの? というのが正直のところだと思いますが、彼女の娘さんの場合で言えば、週に1回道化師の格好をしたドクターが来て子供の患者の心を開いてくれたそうです。

日本の場合を調べてみようと思ってネットで見たら、NPOでクラウン・ドクターを病院に派遣している団体がありました。 でも、過去数年間の派遣実績を見て愕然としました。 年に1回、数箇所の病院に派遣しているだけなのです。 小児病院の数だけでも日本全域では数百には上るでしょうが、これでは数十年待って運が良ければクラウン・ドクターと巡り会えるかも知れない、という宝くじに当たるみたいな確率です。

派遣をしている方々が、精一杯の努力をされているのは非常に有難いと思いますが、アメリカの場合とは比較の対象にもならない頻度です。

病気と闘う、障害と闘う上で一番大切なものは、何と言っても心です。 それを考えると、心を癒すセラピーは立派な医療行為なのです。

一日も早く、こういう、特に子供の心のケアを目指すクラウン・ドクターが日本でも増えて欲しいと願って止みません。

もう一つの患者との関わりは、たまたまその方が住んでいるのがアメリカ南部アトランタなので、サザーン・ホスピタリティと呼ばれる他人を思いやる心に感銘を受けました。 娘さんの通っている学校では、教師がGパンで出勤すると5ドルの罰金を取られるそうですが、ある曜日を決めて教師全員がGパンを履いていき、全員が5ドルずつペナルティを払い、それを彼女に寄付するとか、これも曜日を決めて、あるファミリーレストランで食事をしてもらい領収書をボックスに入れるとそのうちの10%が自動的に寄付になるというようなものです。

これは簡単そうに見えますが、言うは易し、行なうは難しの類のものです。 キリスト教の背景、子供の時から人を助ける寄付行為の重要性を、ボーイスカウト、ガールスカウトでの活動を通じて当然のこととして教えられているから、何でもないように行えるわけで、日本のように背骨となる宗教心も、人を助ける重要性など全く教えられない現状では、こういう行為は全く考えられないでしょう。

アメリカは小さな政府が徹底されている国と言われますが、ローカリティの中ではこうした他人を思いやる心が健全に生き残っています。 日本人は基本的に思いやりの強い人種だと思っていますので、今が異常なだけで、いつか日本人の心を取り戻して他人に、高齢者に、障害者に優しい国を取り戻して欲しいと思っています。

 

先日、何気なく米国のホームページを眺めていたら、偶然、脊髄損傷ファクトシートというアーティクルが目に入って来ました。

読んでみると脊髄損傷に関して分かり易く書かれていたので、また翻訳して見ました。 全文はとても長いので、もっと詳しく内容を知りたい方はNSCIAで検索などして、トップページに入り、興味のあるページにジャンプして下さい。

ここで訳したのは、脊髄損傷に関する概説のようなものですが、米国は誰にでも分かり易いこういうホームページを色々な機関で持っているのには感心してしまいます。 また、素人が訳したものなので、誤りはあるかも知れませんが、その場合にはお許しを願いたいと思っています。 下記が抄訳です。

 

 

脊髄損傷について

アメリカのSCI(脊髄損傷)情報ページに、脊髄損傷について、テーマごとにまとめられているので、簡単に紹介しておきたいと思います。

僕自身は頸髄損傷患者ですが、障害を負って時間が経つに連れてSCIであるという感覚が薄れてくるようなので、改めて脊髄損傷を確認することは大事なことではないかと思うのです。

このページはアラバマ州バーミンハムにあるNSCIA(National Spinal Cord Injury Association Resource Center)のFact Sheetsからの引用ですが、全文を訳しているわけではありません。

 

脊損の統計的データ

近年では以前と比較にならないほどSCIについても情報が入るようになっていますが、まだまだ完全なものとは言えません。 一部の統計的データは集約すると以下のようになっています。 但し、病気が原因で起こる脊髄損傷の関しては、その病気の簡単な記述を除いて、ほとんど情報がありません。 従って、以下に述べる情報は事故によるSCI患者に関する情報ということになります。

アラバマ大学の研究者が、アラバマ州のSCIセンターからのデータをまとめたものです。

 

年間、何人の患者が生まれているのか?

毎年、人口100万人に対して32人、7800人がアメリカ全土で発生しています。

しかし、多くの研究者はこの数字は過小に報告されたものだと考えています。 何故なら、即死をした場合や負傷後まもなく死亡した場合はこの数字に含まれませんし、神経に不全があまり起こらない場合や不全があってもSCIと分類されない場合もあるからです。 研究者は100万人に対して20例はある、つまり更に4860人が病院に運び込まれるまでに死亡していると推測しています。

 

現在、脊損患者は全部で何人いるのか?

現在の推測ではSCIあるいは脊髄不全を持ちながら生きている患者は25〜40万人と言われています。 82%は男性で、女性は18%しかいません。 脊損になる最も高い年齢層は16〜30歳で、平均年齢は33.4歳になっています。 最も頻繁に事故に遭い脊髄損傷になる年齢は19歳となっています。

 

脊髄損傷の原因は?

圧倒的に多いのは交通事故で44%、暴力行為が24%、転落事故が22%、スポーツ事故が8%、そのうち3分の2はダイビング事故、その他が2%となっています。

年齢45歳以上になると転落事故が交通事故を抜いてトップになります。

暴力行為とスポーツ事故は年齢が上がるに連れて減少してきます。 最近の4年間を見ると暴力行為が転落事故を上回り交通事故に次いで2番目の原因になりました。

 

受傷時の既婚未婚状況は?

独身者 53%、 既婚者 31%、 離婚者 9%、 その他 7% です。

 

受傷後5年後の既婚未婚状況は?

独身のまま  脊損者88%  健常者65%

既婚のまま  脊損者 81%  健常者 89%

 

受傷時16〜59歳のSCI患者の就業状況は?

雇用   58.8%

非雇用  41.2% (学生、退職者、主婦を含む)

 

受傷後8年後の就業状況は?

対麻痺患者  34.4%  四肢麻痺患者  24.3%

受傷後1年以内に社会復帰する場合は通常、以前の会社、経営者の下に戻ることが多く、1年を過ぎてから社会復帰する場合は、他の経営者に雇われることがほとんどということになっています。

 

受傷について

1988年以来を見ると、全受傷者の45%は完全麻痺、55%が不全麻痺となっています。 完全麻痺は受傷部位以下の感覚と機能が完全に失われます。 不全麻痺は部分麻痺となります。 ただし、完全と言う言葉は必ずしも脊髄が断絶したということを意味するものではありません。 上記それぞれの領域で対麻痺、四肢麻痺が発生することになります。

全般的には四肢麻痺患者は全体の約半分ですが、年齢が45歳以上になるとこの比率は高くなります。 60歳以上では3分の2が、75歳以上では87%が四肢麻痺となります。 スポーツ事故では92%の人が四肢麻痺になっています

C−3以上に損傷を受けた人の多くは治療を受ける前に死亡しています。 生存した場合でも人工呼吸器を装着しなければなりません。 また、脊髄損傷患者の50%以上は他の受傷もしています。

 

対麻痺と四肢麻痺

四肢麻痺  完全麻痺の場合 17.5% 不全麻痺の場合 31.2%

対麻痺   完全麻痺の場合 28.2% 不全麻痺の場合 23.1%

 

平均入院日数(1992年実績)

四肢麻痺 95日  対麻痺 67日

 

平均入院費用(1990年実績 ドル)

四肢麻痺 118、900ドル (約1、400万円)

対麻痺   85,100ドル (約1、000万円)

 

退院後に住む場所は?

個人住宅 92%、ナーシングホーム 4%、他の病院 2%、グループホーム 2%

ナーシングホーム入居と受傷程度の相関関係はありません。 ナーシングホーム入居には、家族が面倒を見られないなどの他の要因による場合が多くなります。

また、高齢者になればなるほどナーシングホーム入居となる場合が多くなります。

毎年、SCI患者の3分の1から2分の1の人が病院に再入院しています。 再入院には対麻痺患者と四肢麻痺患者での差異は見られませんが、完全麻痺と不全麻痺とでは相違が見られます。

 

サバイバル(生き残り)レートは?

事故後24時間を生き延びた患者の85%は10年後も生き続けています。 健常者では、患者と同じ年齢、性別で比較すると98%の生存率となっています。

 

死因は?

最も多いのは呼吸器疾患となっています。 かつては腎臓疾患が主原因でした。

SCI患者も一般の人々と同じ様に脊髄損傷に直接関係する原因ではなく、癌や心臓疾患で亡くなる場合が増えて来ています。 死亡率は受傷後1年以内が、それ以降と較べて極めて高くなっています。

 

SCI患者のセックス

性機能の不全は受傷部位、損傷度合、あるいは性の違いのよるなど、様々な要因から起こります。 脊髄損傷は実質的に人間の体のあらゆるシステムに影響を与えますので、ほとんどの患者が肉体行為に再び関わりあい、エンジョイできるのかに重大な関心を寄せています。

人間の性機能は中枢神経の部分、特に脳と脊髄で、コントロールされています。 脊髄損傷はまさにその部位で断絶しますから、当然、性機能にも影響が出ることになりますが、影響の出方は様々の要因によって違ってきます。

 

このトピックでは、

女性SCI患者の性機能、男性SCI患者の性機能、脊髄損傷後の性的興奮、ボディイメージ、専門カウンセリング、代替のライフスタイル、性器具、リソースリスト を

含みます。 このテーマに興味がある方は直接NSCIAのページを参考にして下さい。 フォーラムなどで読みきれないほどの意見が飛び交っています。 性の問題が生きる上でそれだけ大きいと言うことだと思います。 従って、それらを訳すことは不可能なのでここでは省略いたします。 

URLはhttp://www.sci-info-pages.com/factsheets.htmlですので、詳しい知りたい方はそちらを見てください。

 

新しい脊髄損傷治療法は?

脊髄損傷になった時に直面する最も困難な問題は、現在脊髄損傷の治療法はないという事実を知ることです。 これだけ科学的知識が発達しているのだから、誰かがすぐにでも、脊髄損傷患者に対する何らかの治療法を見つけることは、それほど難しいことではないのではと思いたいのですが、、、。

この仮定に関わる2つの問題があります。 すなわち、

1.           1.           科学的な質問『何故、脊髄は再生しないのか』は簡単な質問か?

2.           2.           治療法を探すために何をしているのか?

 

過去半世紀、科学者達は脊髄損傷に対して何をして来たのかを見てみましょう。

第2次世界大戦以前、脊髄に損傷を受けると言うことは絶望的な状況と見なされていました。 損傷の結果、すぐに死亡しないでも、数週間あるいは数ヶ月の後に、腎不全、呼吸器疾患、床ずれなどの複合的原因で亡くなると思われていました。

幸いなことに近年では脊髄損傷に対する理解が深まり、多くの受傷者の生命が救われ、その後も生き延びることが可能になって来ました。 ペニシリンやサルファー剤の発見により、生命を脅かす複合原因だった腎臓疾患や皮膚病などが制御できるようになりました。

脊髄は生命情報を脳に運んでおり、脊髄損傷が現在、生存可能な受傷になったこと自体がすでに奇跡的なことですが、損傷で受けた肉体的な影響から元に戻す方法を、あるいは、少なくとも壊滅的な打撃の損傷を減じる方法を探すことが急務となって来ました。

 

治療のための研究

80年代、90年代は脊髄損傷の回復および再生に興味を持つ人々にとっては刺激的なものでした。 治療技法と神経機能に関する知識の両面において、近年の進歩は励みになっています。 治療のための研究は人体の最も複雑な部分を含むものです。 脊髄は人体で最も特別な体系である中枢神経に不可欠な部分です。 中枢神経は主に脳と脊髄から成り立っています。

脊髄の主要な仕事は人体のすべての部分と脳との間の命令のやり取りを行うものです。

指が熱いストーブに触るというような感覚を制御する、あるいは、動きを制御する、というようなものです。 それ以外にも通常意識することのない、心拍や呼吸運動のような自律神経を制御する命令も伝達しています。

脊髄は、脊髄の細胞と人体の、他のすべてのシステムの細胞とリンクする神経ネットワークを通じて命令を伝達します。 それぞれの神経細胞はニューロンと呼ばれ、デンドライト(樹枝状突起)と呼ばれる受容力のある繊維の枝を持っています。

出力信号を運ぶ軸索は細胞体から伸びており、伝達を効果的に行うミエリンと呼ばれる脂肪質物質で守られています。

あるニューロンからの神経衝撃(インパルス)は、シナプスと呼ばれる特別な結合の経路にある次の神経細胞のデンドライトによってピックアップされます。

電気化学反応により神経衝撃(インパルス)がシナプスをジャンプするように横断すると、信号が次の神経細胞を刺激し、神経衝撃(インパルス)は軸索に下りていきます。 命令は結合が完結するまで、ニューロンによってピックアップされ、伝達され続けます。

脊髄自身に数百万個の神経細胞があります。 ある下位運動ニューロンは脳から運動命令を受け取り、その信号を直接筋肉に送ります。 他の脊髄のニューロンは、情報を脊髄の上下に運ぶ中継経路を形成します。

それでもまだ手付かずの脊髄ニューロンが残っており、これが受傷部位以下の錯綜した回路を形成します 受傷部位以下の細胞は最早、自分の意志では制御できず、効果的に使用することが出来なくなり、痙攣のような不随意の動きの原因となります。

 

再生

大概の人体細胞は受傷後、自ら修復する能力を持っています。 もし、指を切った場合、数日あるいは数週間、目に見える裂傷があるでしょうが、続いて傷跡が形成されます。 やがては、指を切ったということが嘘のように思えるものです。

このことは皮膚細胞が、血管細胞や臓器や他の生体組織のように再生するということを意味しています。 末梢神経(脳と脊髄以外の神経組織)は、指先にあるもののように再生します。 ただ、修復の過程は皮膚や臓器の場合とは異なります。

長年、科学者達は大いなる神秘『何故、中枢神経は再生しないのか?』ということに関心を払って来ました。 この疑問に科学者達は困惑して来ました、何故なら、下等動物の中枢神経であるCANは再生するからです。 依然として、この神秘に関する明確な答えは用意できていませんが、現在、多くの学者がいろいろな方法でこの問題を解く糸口を探しています。

 

基本的な細胞研究

重要な研究手段は哺乳類の中枢神経における通常の細胞機能を見るということです。

この研究分野で調査している学者は、適切に作動するシステムで起こる細胞の相互反応を特定し、記述しようと試みています。 更に、彼らは受傷後、何が脊髄損傷患者に起こるのかを特定し、説明する試みを、患者を使って行っています。 細胞研究調査を通して、学者は下記を特定しようとしています。

1.哺乳類において中枢神経に存在する、中枢神経の成長をスイッチオフする物質が何であるのか?

  下等動物では再生が見られますし、ごく初期段階の哺乳類の胎児にも見られます。

 開発のある地点で、細胞は再生する能力を失うのです。 この損失は神経細胞の成熟と他の神経システムの変化に関連しているようです。

2.哺乳類の中枢神経にあり、神経細胞の再生およびシナプスの再結合を妨げる成長抑制の要因は何であるのか?

  脊髄軸索を取り巻くミエリンの中に、神経細胞の成長を抑制するある種のプロテインがあることが分っています。 傷跡のように神経システムを形成する細胞表面の上に他の再生抑制プロテインがあることも分って来ました。

  この傷跡細胞を取り除く、あるいは変えることにより、神経細胞は再成長し、機能のシナプスを再構築が促進されると考える学者もいます。

  これらのプロテインに対し生成される抗体は抑制遺伝子を中和し、成長を促します。

  下等動物における再生する中枢神経の能力は、彼らのCNSにおいて抑制遺伝子が存在しないことから起こると考えられています。

3.           3.           成長刺激物質は、神経の成長とシナプスの発達を促進させるために、哺乳類の中枢神経に導入が可能か?

研究者は現在、神経細胞の成長と修復を促進するために受傷部位付近の環境を変えることを試みています。 前述したように、人体の末梢神経は再生します。

これは神経成長を抑制する以上に促進する細胞プロテインが存在するからです。

これらの細胞、あるいは、神経細胞に成長要因を作り出す要素が中枢神経に導入されれば、中枢神経の再成長が起こります。

これら細胞を、機能回復を行う物質をいかに効果的に導入できるかを探るのが今の治療法研究の主な目的になっています。

 

新しい治験的アプローチの発達

動物を使った新しい理論研究が進行中ですが、過去に例を見ないほど急激に進歩しています。 既に特定されている神経線維に対する損傷には3種類あり、それぞれ異なる治験的アプローチが必要になります。

1.           1.           脊髄内部での神経細胞の死滅。

神経細胞が細胞分裂に耐える能力が失われます。 神経細胞は成熟して高度に専門化された形になっていますから、受傷による神経細胞の死は難しい問題となります。 もし、神経がもう存在しないのなら機能結合は構築することはありません。 従って、神経細胞の交換が必要になります。

2.           2.           神経経路の分裂。

脊髄に命令(信号)を運んでいる長い軸索が、事故である部位で切断されたり、損傷を受けると、親の神経細胞と軸索はその損傷を受けた部位の上では残存しています。 従って、損傷を受けた軸索が、神経回路の結合を再構築する可能性は現実的であると言えます。

3.           3.           軸索付近の髄鞘脱落、あるいは分離。

動物研究および近年の人体研究は、ある種の脊髄損傷では神経細胞と軸索は失われたり妨害を受けないが、ミエリンの損失が機能損失に繋がることが分って来ています。 ミエリンは分離を促しますので、電気化学信号は効率的に長く薄い軸索に運ばれます。 この種の損傷は、複雑な回路を配線し直すことは必ずしも必要とされませんので、最も治療しやすいものと言えます。 軸索の再ミエリン化は可能だと言われています。

 

人体負傷にはあらゆる種類の損傷がありますが、それぞれに戦いを挑み、重要な機能を回復させる療法が発達して来ました。 脊髄損傷に対する治療は多数の戦略から成り立っており、それぞれが脊髄損傷患者個人の生活の質における重要な改善をもたらす機能の回復を目指しています。

治療研究へのアプローチは、ある種の脊髄損傷の修復を約束するテクニックに集中されます。 神経科学や分子生物学(遺伝子工学とも呼ばれる)の不断の努力と進歩によって、新しい療法の幅はかつてないほどの広がりを見せています。

 

神経細胞の交換

成熟した神経細胞は、皮膚細胞が行うように傷を治癒するための分割は出来ません。

神経細胞の交換は新しい神経細胞を受傷部位に移植する必要があります。 その後は細胞が成熟し、彼ら自身がホストの神経システムに統合されるのを願うだけです。

健康な中枢神経細胞を移植するには同じ種類の動物から移植することです。

 

研究者の間では、胎児の組織移植では非常に上手く機能するのに、成人の神経組織の移植ではうまく機能しないことが分っています。

胎児の組織は成長し発達するので、学者はそれらが回路を形成し、受傷部位以下の部位に重要な機能を回復させることを期待しています。 現在までのところ、学者はホストの軸索が、これら移植された組織が受傷地点を横断するブリッジ(架け橋)として使われるであろう期待はしていません。

ここで考えなければならない重要な問題があります。 それは胎児組織の移植が動物実験で効果が証明されたからといって、人類へ適用するには、ドナーの組織や人から人へ移植された細胞の拒絶反応など重要な問題に関して、倫理的な考察が欠かせません

これらの問題を避ける他のアプローチは、遺伝子工学を使って、生体組織移植後に神経細胞として働く細胞ラインを作ることです。 このアプローチは、DNA(遺伝子)の一部を胎児性神経細胞に挿入し、細胞が限りなく分裂を繰り返し、ドナーの組織を供給を可能にすることを含んでいます。

純粋な神経細胞ラインを使うことで、移植された生体組織の拒絶反応が起こる機会を軽減することが出来ます。 近年、げっ歯類の細胞ラインは発達し、移植後分裂を停止する(従って潰瘍のリスクはありません)ので、特別な神経細胞に成熟することが分って来ました。 ただ、まだこれらの細胞が脊髄損傷後の機能回復を可能にするかについては実証されていません。

つい最近、成人の中枢神経のある細胞が細胞分裂を促進し、新しい神経細胞に発達することが分って来ました。 このエキサイティングな発見は、胎児性組織のドナーなしに細胞ラインを発達させる新しい可能性を拡げています。

 

損傷した軸索の再生

中枢神経システム、末梢神経システム、両方の神経細胞は神経膠細胞と呼ばれるヘルパー細胞と結合されます。 受傷後、中枢神経のヘルパー細胞は再生を抑制しますが、末梢神経のヘルパー細胞であるシュワン細胞は人間においても再生を促進します。

これら末梢神経の細胞を隔離し、脊髄に移植し、変化したサポーティブな環境を与えることで再生を誘導することが試みられています。

ここでは脊髄損傷患者個人がドナーとなります。 何故なら、シュワン細胞は成人の末梢神経のバイオプシー(生体から組織片を採取すること)から得ることが可能だからです。 シュワン細胞、神経細胞あるいは他の細胞は、成長要因と呼ばれる神経細胞に栄養を与えるプロテインを作ります。 これらの細胞を単独で、あるいは生体移植片と共に受傷地点に導入することにより、更なる神経再生を促進し、健康な神経細胞を作り出すことが期待されています。 このアプローチにより、脊髄内の神経細胞から、あるいは長い軸索を脊髄に送っている脳からの軸索が成長することが証明されています。 残念ながら、顕著な機能回復はまだ起こっていません。

他に遺伝子工学的に細胞を送り込む方法もあります。 この方法では、よりたくさんの成長要因を作り出し、受傷地点に導入できます。 神経繊維は生体移植片により成長を促進しますが、この種の研究はまだ端緒に就いたばかりです。

いろいろな要因を作り出す細胞はまずテストされなければなりませんし、機能回復も注意深く示される必要があります。

 

軸索の再ミエリン化(髄鞘形成)

シュワン細胞は、末梢神経でミエリンを形成する細胞でもあります。 通常、それらが脳あるいは脊髄で見つかることはありません。 そこでは他の神経膠細胞であるオグリオデンドロサイトがミエリンを作っているからです。

脳に移植されたシュワン細胞が中枢軸索をミエリン化できることが分って来ました。

ミエリンの損失が受傷の重要な部分である時、シュワン細胞を移植することで再ミエリン化を促し、機能の回復を促すことができます。

4−AP(4−アミノピィリディン)と呼ばれる薬品を使う他のアプローチもあります。 これは髄鞘脱落した神経が信号を伝えるのを助けます。 動物実験ではごく少量の健康なミエリン軸索が、神経細胞付近の損傷にも関わらず、脊髄内で重要な機能を果たしていることが分っています。 衝撃(インパルス)を伝えるミエリンを失った神経繊維を助けることが、ミエリンに著しい損傷を与えていても神経結合は途絶されていない受傷後の機能回復に役立ちます。 

この研究もまだ端緒に就いたばかりです。

 

学術的研究の概要

受傷に反応する中枢神経の問題は驚くほど複雑です。 一つの療法やアプローチで脊髄損傷のすべての問題を解決することは出来ません。 治療はある一つのアプローチでは出来ない、それにはテクニックの複合化が必要だと現在考えられています。

従って、脊髄損傷に関わるすべての研究分野が重要になりますから、如何にシステムが作動するのかに関する全般的な知識というものが結果的に脊髄損傷に対する治療に結びつくことになります。

新聞報道でよく『新しい地平を開く新発見』ということを耳にされるでしょう。 

この場合、学術的なブレークスルー(発見)と臨床的なブレークスルーの間には大きな違いがあります。 学術的なブレークスルーはしばしば起こりますが、臨床的(処置)ブレークスルーはほとんど起こりません。

学術的な進歩が発表されることは、脊髄損傷が原因で引き起こされる問題の解決策を探る基金を集める注意を保ち続ける効果がありますが、一般的に新しい学術的なブレークスルーはすぐに治療に適用されることはほとんどありません。

 

脊髄損傷治療の研究

受傷に対する薬物治療

(注意―これらの薬物は慢性期(長期にわたる)の脊髄損傷の治療法でないということを理解することが重要です。 しかしながら、最終的には急性期の受傷の痛みを和らげることに繋がります。)

脊髄損傷で起こるすべての損傷が同時に起こるわけではありません。 受傷時に起こるのは神経と神経繊維の物理的な分裂です。 30分以内に脊髄の損傷地域で出血が見られ、それが次の2、3時間で拡大して行きます。 数時間をかけて、炎症性細胞が脊髄受傷地点に入り、その分泌作用が神経組織に一層大きな損傷を与えることになる化学変化の原因となります。

受傷により死滅した神経細胞がこの有害な化学環境に寄与するのです。 このプロセスは数日あるいは数週間続きます。

これら進行する損傷段階を防ぐ治療の希望はあります。 受傷した細胞を防ぐ薬品が現在その受傷度合を軽減することが分って来たからです。 現在、他の薬品あるいは薬品を組み合わせて動物実験と臨床テストを行っています。

 

メチルプレドニソロン

数少ない治療法として大いに希望が持てるのは、ステロイドであるメチルプレドニソロンを受傷後すぐに投与すれば、麻痺の度合が軽減されるとNIH(National Institute of Health)が発表していることです。

臨床テストでは、二重盲検法(患者も医者も誰が実験的薬を使っているのか知らされない実験法)で極めて大量のメチルプレドニソロンが使われて来ました。 この結果、患者に著しい改善が見られたので、NIHはコードを破ること(つまり、誰が薬を使っており、誰が使っていないかを明確にする。など)が重要だと考えました。

これはより多くの患者が潜在的に助かることを意味しています。

概して、同じ様に受傷により慢性的損失を蒙っている二つのグループの一方にメチルプレドニソロンをあるグループに投与すると、もう一方のプラシーボで効果の出たグループより顕著な機能を保持することがテスト結果として出ています。

メチルプレドニソロンは、受傷後8時間以内に大量に投与された場合にのみ効果が出ます。 この薬は、受傷した脊髄の炎症や損傷した細胞がはじけることで起こる損傷を軽減させると考えられています。

損傷を受けた細胞の中身は隣り合った細胞に反対の効果を与えると考えられています。

メチルプレドニソロンの大量投与は、免疫システムが抑制されるというような副作用が起こりますが、ここで述べたように短い期間で使用されるのであれば、重大な問題は報告されていません。

メチルプレドニソロンによるテストの成功は、アメリカの治療基準を変えてしまいました。 この延長線上で薬剤テストによる他の薬とメチルプレドニソロン処方を結合して

その効果を調べる試験が行われています。 著しい効果を示せれば、新しい治療法はメチルプレドニソロン単独で見られた機能的効果を超えていかなければならないでしょう。 同時に、学者はメチルプレドニソロンを使う、あるいは使わない他の薬の効果をテストする大きな動物実験センターを共同して運営しています。

 

ティリリゼード

メチルプレドニソロンと似たようなポジティブな効果を動物実験で示した薬があります。 それがやはりステロイドであるティリリゼード・メシレートです。

この薬も同様に受傷後数時間以内に投与された場合にのみ効果的です。 動物実験の結果では、この薬はメチルプレドニソロンより副作用が少ないと報告されています。

臨床テストが現在進行中です。

大規模なメチルプレドニソロンにティリリゼードを添加する、あるいは添加しないで48時間の結果を比較する臨床テストが現在進行中です。

 

GM−1 ギャングリオサイド

新しい治療法の発表は、脊髄損傷コミュニティに関心と希望を与えました。 小さい研究ですが、実験的サイジェンあるいはGM−1ギャングリオサイドという薬を受傷後72時間以内に投与し始め、その後32日間投与を続けました。

治療後1年に渡り追跡調査が行われ、神経の回復を評価したところ、サイジェンを投与された個人はプラシーボを受けた個人より著しい機能回復が見られました。

GM−1ギャングリオサイドが脊髄組織にいかに作用するかについては二つの理論があります。 一つは脊髄組織が損傷した後に発生するアミノ酸の毒性を軽減することで、ある種のダメージ制御が実行されるのではないかというものです。

刺激的なアミノ酸は細胞死滅の原因となり、最初に受傷が原因の損傷を増大させてしまいます。 もう一つの理論は、理由は不明ですが受傷神経の成長を促す神経栄養効果があるのではないか、というものです。 まだ、いずれの理論も学術的に証明されたものではありません。

サイジェンはまだアメリカではFDA(Food and Drug Administration)により認可されていないので臨床で使うことは認められていません。 まだ、限られた実験として使用されている程度です。 現在、前述の二重盲検法、マルチセンター試験が急性脊髄損傷に関して行われています。

 

外科手術

脊髄損傷後、脊髄にかかる圧迫を解放する外科手術をいつ行うのが良いのか、を決定する臨床研究が外科医によって行われています。 慢性期の脊髄損傷患者に対する場合の減圧外科手術も研究中です。

 

脊髄手術中の新たな受傷の防止

手術中のモニター技術が発達したので、手術中に健康な神経根を守ることが出来るようになりました。 まず動物実験で、次いで人体で、脊椎を固定するメタリックの機器を設置する外科手術で外科医を手助けするテクニックがテストされました。

神経刺激と筋肉反応を利用するテクニックは、仙骨の脊柱手術中に起こりえる神経の損傷を防止します。

 

慢性期の脊髄損傷治療と合併症

FES(Functional Electrical Stimulation)

FESはインプラントした、あるいは、外部電極で麻痺した神経を刺激しますので、機能回復のために腕や脚が利用されます。 過去10年間で、3つのFESアプリケーションが開発されました。 運動用FES,上肢(手や腕)機能用FES,下肢(足)機能用FESです。 詳しくはファクトシートNo.9のFESをご覧下さい。

 

網の転移(Omentum Transposition)

一つ議論を呼ぶ脊髄損傷の治療法は網の転移です。 網とは哺乳類の腹部にある組織の塊で腸への循環を司るものです。

外科処置は部分的に網を分離し、それを皮膚の下に通し、受傷地点でそれ縫い合わせる方法が用いられます。 網組織は、血管に豊富にあるのですが、損傷を受けた神経細胞に不可欠な酸素を供給します。 また、網組織は神経成長を促進する化学物質を分泌し、神経細胞を傷つける圧力を軽減する液体を吸収すると考えられています。

受傷後3時間以内に手術が行われた場合、動物実験では機能回復が見られています。

しかし、受傷後6-8時間経過した後の手術ではほとんど機能回復は見られません。

この研究は学術的には証明されてはいません。

受傷後数ヶ月あるいは数年の脊髄損傷患者に対して行われる予定だった臨床実験は取り止めになりました。 多くの学者は、この研究の結果が十分に証明されていないので、人体実験には時期尚早であると結論づけたからです。

 

バイオメディカル・エンジニアリング(生物工学)

生物工学畑の学者が、現代のコンピュータ技術を駆使して、患者個人のADL(日常生活の活動)を援助するメカニカルな装置を開発しました。 研究開発中の装置は、例えば、電気的なハンドグリップや歩行装置などです。

 

痙攣・苦痛

脊髄損傷では痙攣と苦痛の結合が一般的に見られます。 モビリティ(動性)に関わる問題の原因となる重い痙攣や皮膚破壊、苦痛が多くの脊髄損傷患者で報告されています。 痙攣治療は薬剤、髄腔内バルコフェン、脊髄シチミュレーションなどで研究が進んでいます。 痛みは脊髄損傷患者の50%で起こると言われています。 5−30%の人が痛みをdisableと捉えています。 脊髄損傷による痛みの治療のため薬剤使用とともに現在DREZ(dorsal root entry zone)処置、声帯切除などの外科介助が研究されています。

 

男性の生殖力

ほとんどの男性脊髄損傷患者は射精能力、自然に父性になる能力が減少します。   事実、10数年前までは、医者が新たに脊髄損傷になった患者に父親になることは出来ないと言っていました。 しかし、射精が出来るような再生テクノロジーの発達で、脊髄損傷患者もげんざいでは生物学的に父親になる可能性を持っています。

振動による刺激や電気的に射精をさせる処置が調査中です。 現在のところ、手助けをすることで射精が出来ることは分っています。

射精は、男性脊髄損傷患者の生殖力の部分的な問題ですが、脊髄損傷患者の精液が健康な人に比べ薄いという問題があります。

この精液の質に関して、学者達は脊髄損傷になると精液の質に一体何が起こるのか、脊髄損傷患者の精液を使った人工授精、あるいは他の再生テクノロジーはどうしたら上手く行くのか、を研究中です。 テクノロジーの発達により、脊髄損傷患者が父親になれるという希望を胸に抱けるようになりつつあります。

詳しくはファクトシートNo.10脊髄損傷後の男性の再生機能をご覧下さい。

 

ファクトシートNo.6

脊髄損傷研究における基礎科学の重要性

 

はじめに

脊髄損傷患者あるいは介護する人々にとっての究極の夢は、治療法が一日も早く発見されるということです。 何ヶ月かおきに、新聞や雑誌あるいはテレビで脊髄損傷患者に対する新しい発見(ブレークスルー)があったように報じられますが、それらの楽観的な報告が、実際の脊髄損傷患者が治癒したというストーリーに繋がったことはありません。 これらの発見が本当に起こっているのなら、何故、依然として脊髄損傷は不治なのでしょうか。 何故、これらの発見が脊髄損傷患者の実際の機能回復に繋がらないのでしょうか。

このシートの目的は、しばしばブレークスルーと呼ばれる学術的な発見が脊髄損傷患者のとって何故重要なのかを分析することにあります。 また、ブレークスルーと言う言葉がいかに誤って使われているかを分析することでもあります。

基礎科学レベルにおける重要な発見は、すぐに脊髄損傷患者の治療には結びつきませんが、科学の進歩は脊髄損傷患者の治療法を見つけるという究極の目標に欠かすことができないのです。

 

脊髄損傷―その問題点

脊髄損傷が発症した時、最も顕著に影響を受けるのは、受傷地点(レベル)以下での感覚の喪失や動きの喪失です。 神経にダメージを受けた部位以下では有用な機能が除去されます。 何らかの理由によって、人体はこの伝達の道を修復することが出来ませんから、そのままになってしまいます。 対照的に、骨折した足は一時的に障害になりますが、時間が経てば骨は修復されます。 あるいは火傷のような怪我で、ひどく傷跡が残るような場合でも、やがて新しい皮膚が再生し修復してくれます。

脳、脊髄、視神経を除く人体のあらゆる神経を網羅する末梢神経システムは、受傷後みずから治癒することが出来ます。

もし、手の指をひどく傷つけ、神経に損傷を負った場合、しばらくは感覚を失うかも知れません。 末梢神経に関して言えば、死滅した指の神経はやがて成長を始め、適切な結合を行うようになります。

しかし、脊髄損傷のように中枢神経システム細胞に損傷を受けると、機能の喪失は通常永久的なものになります。 これには二つの基本的な原因があります。

神経細胞が死に至るような外傷性な負傷の場合、中枢神経システムは損傷を負った細胞に代わる新しい細胞を成長させることが出来ません。 さらに重要なことは、損傷を負った神経細胞は、死滅してはいないものの、損傷を受けた部位の反対側で他の傷ついた(あるいは無傷の)神経細胞と再結合する若い枝を成長させることが出来ないのです。 この再結合が形成されなければ、末梢神経システムで起きるような再生が起こることはなく、機能損失は永久的なものとなります。

言うまでもなく、脊髄損傷の長期的な臨床研究目標は、脊髄において神経が治る、あるいは再生するのを手助けする方法を開発することにあります。

しかし、この目的が達成される以前に乗り越えなければならない基本的な問題があります。 最大のジレンマは、我々が神経システムで成長を制御する、あるいは再生するという生物学的プロセスを分っていないことにあります。 事実、生物学者は一つの受精卵が成長するのを可能にする重要な調節システムについて知っていることは僅かです。

これらの基本的事実を理解するより前に脊髄損傷に対する治療法を探るという試みは、まるで材料も、分量も、亜流井は焼く温度も知らずにケーキを焼くようなものです。

もちろん、失敗を繰り返してケーキを作ることは可能かもしれません。 しかし、脊髄損傷はケーキ作りとは比較にならないほど複雑な問題です。 第一、まだ材料すら分っていないのです。 いわんや、それらが作動する細胞環境においてどんな相互関係があるのか分っていませんから、脊髄損傷に対するトライ&エラーのアプローチは理性を欠いたものと言えるでしょう。

従って、唯一の脊髄再生の適切なレシピは、細胞形成、細胞と細胞の死の相関関係に関する基本的問題に対する答えを見つけることです。

ひとたび学者がそれらに対する答えに関して素晴らしいアイディアが閃けば、脊髄の再生を可能にする中枢神経システムの反応を変える研究が始まるかも知れないのです。

 

基礎研究―脊髄再生に関する重要な疑問

中枢神経系は脳、脊髄、視神経から成り立っており、かつては中枢神経系細胞は再生しないと考えられていましたが、最近の研究では再生することは出来る、但し、哺乳類においてはそれほど効率的でないということが分って来ました。

何故、神経がある条件下において適切に成長しないのかを理解するためには、神経が成長する時に一体何が起こるのかを知ることがまず大切になります。 再生を注視する重要な方法は、現在、我々の持つテクニックがアクセスできる神経の成長と再生を注意深く検証することです。 そのため、多くの学者は、人間の脊髄に特別に関連性を持つわけでない、例えば、金魚、蛙、巻貝などの神経細胞の研究をしているのです。

動物世界の種の間には明らかな相違がありますが、単純な動物で行われる実験をより複雑な動物と比較することによって、その特定の種に関してだけでなく、人間に関わる問題に対しても基礎生物学的な疑問に対する重要な答えを提供してくれるのです。

単純な動物モデルは、特定の疑問を研究するための比較的すっきりした環境を整えてくれるのです。

理論が単純であればあるほど研究を進めるうちに複雑な要素が現れて来ますが、その中に明確な結果を示すものがあるはずです。

人間の脊髄は信じられないほど複雑な器官です。 正常に脊髄が機能するのは、それぞれが中枢神経系において特定の機能と役割を持った細胞間の錯綜した相互反応によります。 細胞の特別な役割、他の細胞との相互反応を研究するには、関係する多数を整理するのではなく、一つの細胞を特殊な細胞関係から孤立させることが出来る単純な動物モデルを発展させることにあります。

一度この基礎的関係が明確に理解されれば、同時に発生する幾つもの異なるプロセスを持つ複雑な環境をある程度までの理解を持って検証することが可能になります。

現在は通常状態での人間の脊髄機能についてまだ明確には分っていないのです。 

従って、現在最も火急な関心事は基礎的な中枢神経系の機能に対する明確な答えを探すことにあります。 次に重要なのは、受傷に対する細胞の反応を検証することです。

どのように中枢神経系は受傷に反応するのでしょうか。 この問題に対しても、中枢神経系細胞を再生する動物のシステムを詳しく調査するのが役に立ちます。

もし、他の動物が細胞再生を実現できるのかを特定できれば、その知識を脊髄損傷患者に対する治療法に活用することが出来ます。

基礎科学研究の目標は、生物学に関する基礎的な疑問に対する答えを求めることだ、と言うことを認識する必要があります。 一度最も基礎的な生物学的疑問が解ければ、次は動物と人間における多くのシステムがどう働きているのか、を決定することが必要になって来ます。この道の先に、脊髄損傷による損傷に対する実験的治療法の開発が見えて来るのです。

 

ブレークスルーの意味

時々、新聞や雑誌で、ある学者が最近会合で、あるいは科学雑誌に脊髄損傷患者に対する潜在的な発見が発表されたという記事が載ることがあります。 それは、脊髄損傷はもう過去のものになるとか、あるいは、少なくとも治療法発見までの期間が短縮される、とか言うものです。 それらの報告をどう解釈すれば良いのでしょうか。

重要なことは、科学的な調査は長い時間がかかり、複雑なプロセスを持っており、まだ答えの見つからない基礎的な疑問が多数あるということを理解して下さい。

前述した、最も基礎的な生物学的な問題のたった一つに関するブレークスルーでも、ある分野における重要な一歩にはなりますが、細胞機能に対する、やはり重要な基礎的な疑問の多くは未解決なままです。 

従って、ブレークスルーは脊髄損傷の結果起こるメカニズムに関しては、顕著な前進には結びつかないでしょう。 少なくとも、治療法に直接繋がることはないように思います。

科学は、我々はつい決定的と考えてしまいがちですが、それほど決定的な規律ではないという要因も心に留めておくべきです。 ある学者が如何に中枢神経が働いているのかに就いてのある理論を提唱し、事実、その理論をサポートする証明をしたとしても、一つの理論が完全に正しいということを疑いもなく証明することは極めて困難なことです。

事実、ある理論が提示され、他の学者がそのデータの解釈に同意したとしても、最終的にその理論は完全に正しくないと証明されることがあります。

例えば、医学界でかつて医師により患者に瀉血させることが広く行われていました。

何故なら、瀉血が有益だという常識があったので、データを瀉血は良い治療法であるという理論をサポートするように解釈して実践をしていました。 言葉を変えて言えば、患者が最終的に生き残れば、それは瀉血を含みますが、良いケアとなり、他方、死は他の要因となるということです。

科学では、このようなことが起こりえます、しかし、我々は基礎的科学の原則について知識が欠如しているために、あるいは、臨床の前進に繋がる答えを激しく求めるために、いろいろな理論をサポートするハードデータを受け入れがたくしているのです。

従って、報告されたブレークスルーが重要な一歩となるかならないかは、時間がその価値を判断するということを理解することが大切です。

 

結論

脊髄損傷に対する治療法が必要であることは明らかですが、受傷した人々、あるいは、受傷した人を知っている人たちにとっては、治療法開発にかかる時間は受け入れがたいものです。 何故、我々はブレークスルーの主張を受け入れたがるのか、何故、我々は学者が言う5年いや10年以内には治療法が発見されるだろうという言葉を信じたがるのは当然のことですが、脊髄機能、脊髄不全について現在分っている知識では、何時あるいは本当に治療法が発見されるのかを予測することは出来ないのです。

我々がいかに脊髄損傷の即効治療法を求めたとしても、ショートカットの解決策は何物も生み出さないでしょう。 最終的な治療法を見つけ出す鍵は、生物学の基本的な疑問に対する答えを時間をかけて探し続ける研究努力をサポートしていくことです。

それらの答えが出た時に、初めて脊髄損傷治療法にアプローチすることが可能になって来るのです。

 

ファクトシートNo.7

四肢麻痺患者の、手の機能回復のための腱移植手術

 

はじめに

手の外科手術は、脊髄損傷で麻痺となった一部の患者のリハビリにおいて、重要な役割を演じています。 首の骨折、脱臼により、あるいは、拳銃の弾丸、ナイフ、腫瘍または他の疾患により、脊髄が損傷を受けた時、受傷部位においては機能の混乱が起こり、受傷部位以下では筋肉機能や感覚機能のコントロールが失われてしまいます。

このような障害を負った人は、上肢と下肢に少なくとも何らかの麻痺を負いますので、四肢麻痺患者と呼ばれます。

 

アナトミー101

上肢は、C5、C6、C7、C8およびT1と呼ばれる頸椎から胸椎の脊髄に繋がる神経で動いています。 そこには、C6、C7、C8、T1からの神経サプライを受容する前腕、手首、手における筋肉の随意の動きをコントロールする35本以上の筋肉があります。 頸髄受傷に多く見られるのはC6以下の麻痺です。 これらの患者は通常、腕の筋肉のうち麻痺をしていないのは僅かに2〜5本だけです。

腱は骨と筋肉を結ぶ強い索状組織で、筋肉の動きを関節の動きに伝えます。 手首と指を動かす重要な筋肉は前腕にあり、それらの腱は手の骨と結びついています。

腱移植手術では、麻痺していない筋肉の腱が麻痺した筋肉の腱に移され、移された筋肉が失われてしまったものにとって代わります。

腱が移植されると、腱は以前より動作が弱くなりますので、移植をする際に適切な腱を選ぶことが重要になります。 手首の伸展を保持することがとても大事なので、この目的のために1本の強固な筋肉を保持することが重要になります。 C6損傷患者の多くは手首のコントロールが可能になるでしょう。 さらに一つまたは一つ以上の筋肉を移植することで、例えば親指を使って挟む動作などが可能となるでしょう。

 

ファクトシートNo.8

言語とイメージの重要さについての認識

 

はじめに

毎日30人が脊髄損傷あるいは脊髄の病気で麻痺になっています。 一般的に言うと、脊髄損傷は二つのタイプに分かれます。

 対麻痺―下肢に影響の出る麻痺

 四肢麻痺―首および胸以下、両手両足を含む、に影響の出る麻痺

大多数の脊髄損傷患者は移動には車椅子を使います。 そのため、毎日の生活で多くの邪魔あるいは障壁(バリアー)に遭遇します。 最も難しいバリアーは大衆の無理解とその対応と言えるでしょう。

 

言語の力

言語は非常に力強い道具です。 単にアイディアを伝達するというだけでなく、態度を形成したり変えたりすることも出来ます。 あらゆるタイプの障害者は平等に扱われること、コミュニティに参加すること、受け入れられることに骨を折っています。

障害者はまだ、誰が障害者なのか、障害者に何ができるのか、という相変わらず否定的なステレオタイプの思い込みによる言語にいつも煩わされています。

障害者を認めるというポジティブな言語を使うことが、社会の態度を変える第一歩となるです。 犠牲者とか肢体不自由者とかいう用語が車椅子を使う人々を表わすのに使われル時、一般の人々はその用語を見たり、聞いたりするとすぐに人間でしてではなく、モノ(オブジェ)と見てしまいます。 心に浮かぶイメージがネガティブで、人間ではなく障害の方に焦点が合ってしまうからです。

脊髄損傷で障害を蒙った時に、患者はその手あるいは足を完全に使う能力を失ってしまいます。 しかし、考える能力、感じる能力、学ぶ能力、愛する能力、働く能力、あるいは人生を生きる能力を失うわけではありません。 脊髄損傷後の人生はあるのです。

脊髄損傷患者に就いて書いたり、話したりする時に使われる適切で受容できうる専門用語を知ることは重要なことです。

適切な言語を使うことは、政治的に正しいという以上です。 それは車椅子を使う人々をより正確に表わすからで、脊髄損傷に対する一般の関心を高めますし、人々の障壁的な姿勢や否定的なステレオタイプがなくなることを助けるからです。

 

上記はすべてNSCIA(National Spinal Cord Association)もインフォメーションページからの抜粋翻訳です。

もっと詳しく知りたい方はNSCIAにアクセスして下さい。 僕はブレークスルーの箇所など訳していながら、なるほどと納得したりしていましたが、改めて脊髄損傷患者の多くは車椅子ユーザーであることを再認識しました。

それを思うと僕は現在、移動に車椅子は必要ありませんので、随分と助かっており有難いと思っています。 指の機能はまだまだですが、何年かかっても動かせるようにがんばるつもりです。 

 

 

先日翻訳したプロジェクト・ウォークをホームページに載せるべきだ、というご意見が強かったので、いくらか長いのですが、載せることに致しました。 二度見直しはしましたが、まだ完璧とは言えないかも知れません。 でも、知らない人もいらっしゃるので、アメリカにはこういう機関もあるのだということを知って貰えればと思っています。

 

プロジェクト・ウォーク (Project Walk)

 

センター所在地 2738 Locker Avenue, Carlsbad, CA92008

電話 (760)431−9789  ファックス (760)431−1598

Eメール projectwalksci@sbcglobal.net

プログラムおよび見学については 電話(760)431-3481まで

申し込みは Eメール applications@projectwalk.org

 

入所必要事項

基本的なクライテリア

下記の要件を満たしている人が望ましい。

― C-2レベル以下の脊髄損傷患者、但し、自力で呼吸が出来ること

― 完全麻痺、不全麻痺の患者

― 健康体である患者

― 医者から集中的な訓練プログラム(荷重をかけた訓練も含まれる)を受けても良いと言われている患者

― 身長に対する体重が一定範囲内である患者

― 非常にモティベーションが強く積極的な姿勢を持っている患者

― もう一度歩けると信じている患者

 

プログラムに参加するに当たっては、発症後6ヶ月を経過しているすべての患者に、骨密度スキャンを受け、その結果を医者に

より評価してもらった診断書を提出してもらいます。

プロジェクト・ウォークでは骨密度スキャンを解析、評価することは出来ません。プロジェクト・ウォークは、この要件に合わ

ない患者の受け入れを拒絶する権利を持っているものとします。

 

プロジェクト・ウォークを訪ねるには

プロジェクト・ウォークはカリフォーニアのサンディエゴ地域のCarlsbadにあります。最寄の空港はサンディエゴ国際空港で

I-5を使えば35マイルの所にあります。

ロスアンジェルスのLAX国際空港からだとI-5を使って100マイルの距離です。Carlsbadのローカル空港は施設の直ぐそばに

ありますが、小型機しか離発着できません。

 

トライアル訪問

短いトライアル(実験的な)訪問では、大きな成果は上げることは出来ません。

脊髄損傷は一晩で治ると言うものではありません。 早急な処置は決して効果をもたらすことはありません。 そこで我々はここを訪れた患者さんに、このプログラムを受けるよう勧めています。 滞在中にここで訓練を受けている患者さん、まだ1ヶ月と言う短い人もいれば、もう2年も訓練を受けている人もいる、とご自身で話すことが出来ます。

その中できっと肉体的にも、精神的にもこのプログラムが、実際どれだけ辛いものであるかが理解できるでしょう。 不可能と言われたことを実際可能にしている理由を自分の目で見て確かめることが出来ます。

我々は、患者一人一人のニーズにより、毎日訓練の仕方を調節していますからうまく機能するのです。 我々は改善の青写真を持っていますが、それぞれの患者さんの神経システムが再生するように修正を行っています。

我々と過ごすこのトライアルの滞在中に、どこのクリニックでも受けたことのないような訓練を受けるでしょう。 通常のリハビリでは1週間の訓練量を、ここでは僅か1日でこなします。

これで満足でしょうか? 違います。 何故なら、このトライアル訪問は教育だからです。

きっと滞在の最後には、貴方は間違いなくこのプログラムこそ貴方用のものであることに気が付くでしょう。

 

施設見学ツアー

もし貴方、友人、家族の方が、このセンターを見学し、ユニークな雰囲気を体験したいと思われるなら、ドアはいつも開いてい

ます。 (760)431-2481まで電話を下さい。

 

プロジェクト・ウォークにかかる費用

 

1週間コース  1時間100ドル 2時間ないし3時間の1対1のトレーニングを5セッション 患者の必要度損傷度による

インハウス訓練 1時間100ドル  インハウスでの1対1の特別訓練

家庭ベース訓練 300ドル     ビデオとカスタマイズされた運動マニュアルを含む

訓練士訓練   2500ドル   1週間15時間の1対1の特別訓練、カスタマイズされた家庭ベースの訓練、貴方の訓練士を監督する訓練が含まれる

 

プロジェクト・ウォークは非営利の世界へ  2005年3月のニュースレター

 

2月に、我々はProject Walk脊髄損傷回復センターを、独立した取締役に統治される、非営利501(C)3の団体とするべく

必要なプロセスに着手しました。

何故そうしたのでしょうか? これはProject Walkを立ち上げた時から我々が望んでいた方向だからです。 

我々のウェブサイトは.comや,netではなく,orgというアドレスになっていますが、これは通常NPOが使用しているアドレス

です。数年前にProject Walkを立ち上げる時に、アドバイザーと話し合いを持ち、NPOになるという意図の元にビジネスプラン

を作り上げました。

 

我々のプログラムは従来の精髄損傷回復法とはかけ離れていますので、アドバイザーの考えに沿って、NPOになる前にまず信頼を

得ることが必要だという結論に達しました。

最初の段階から我々を良く知っている方々は、我々が僅かの成功談しか持っておらず、エリック・ハーネスを除けば、誰も我々

の訓練法で訓練を受けた人はいませんでした。もっとも当時は、我々の訓練法の名前も付いていませんでした。 

ビジネスの実践で成功を収め、患者に効果があることを証明すること、また、スタッフの訓練に力を入れることも同様に重要な

課題でした、そうすることで結果が伴ってくるからです。それが当初からの合意でした。

 

我々は、まさにそれを行ってきました。 我々は有能なトレーナーを選び、訓練法を確認し、改良し、訓練名を付けました。

今では、The Dardzinski Methodはその業績で、Project Walkをビジネスでの成功に導いています。 今こそ、我々は基本的

な目的であったNPO非営利団体になることによって、Project Walkを成長させ、患者の目的を一層サポートすることが出来ると

信じています。

 

NPOとなった時には、我々はProject Walk脊髄損傷回復センターは我々の所有ではなくなります。 それは独立した取締役会が

統治することになり、その目的は、我々が発見した脊髄損傷回復法であるThe Dardzinski Methodの継続、成長にあります。

会社を経営して来たTammyは、施設管理者であり執行取締役であることを取締役員会に報告しています。

彼女(Tammy)の主な役割は、日々の訓練の監督することになるでしょう。 TedはThe Dardzinski Methodの更なる改良を目指

して働き続けますし、一般の注意を惹く役割と団体・患者への基金を働きかける役割も担っています。

 

非営利団体として、一般の関心を惹き、我々のプログラムに献金してもらうために、新しい、あるいは既に関係を持っている財

団、個人献金者、会社に対して働きかけていくことが出来ます。 また、医学界もNPOとなることで我々に対する見方も変わっ

てくると信じています。

Project WalkがNPOになり、もっと世間に知られることを考えると興奮してしまいます。進展状況は都度アップデートしていき

ます。 Project Walkに関するご質問がありましたら、遠慮なく問い合わせ下さい。 変わらぬサポートに感謝しています。

 

Ted & Tammy

 

トレーニング・オプションについて

 

Project Walkは、1999年以来、我々のクライアント(患者)、他のプログラムを受けているクライアント(患者)、自身で行っ

ているクライアント(患者)をつぶさに観察して来ました。

そして我々はどのようなワークをすれば良いのか、どういう風に進めれば求めることが実現するのか、を学んできました。

患者が我々のドアを開けたその瞬間から、どうすれば成功するかを学ぶことになります。

彼らはこの訓練にタイムテーブルは不要であること、勝利を得るためにすべてを捨てる必要ないということを学習するでしょう。

回復のキーは常に訓練をしているということです。 これを達成するために必要なのは、常に訓練から離れることなく、何が重

要なのかをしっかり自分で理解することなのです。

このことが長期的に見た時に勝利を得る(=回復する)大いなるチャンスとなります。ここでのハードなトレーニングさえ行え

ば回復のチャンスが増えるだろうというようなことは信じないで下さい。 

そうでないと家に戻られる時に失望してしまうでしょう。回復は半年で出来るものではありません。 それは1年あるいは5年

という長い年月を必要とします。 そして、もし貴方が一度でもこの訓練を止めてしまえば、貴方の回復は起こらないのです。

 

プロジェクト・ウォークには、現在多くのローカル・クライアントがいます。 彼らは大学に在籍し学位を、キャリアーを目指

して勉強を続けています。

州外からのクライアントや他の国からのクライアントは長く滞在することが出来ません。

自宅に戻ることは当然のこととして理解できますが、回復のプロセスは継続しない限りはストップしてしまいます。 そのため、

我々は貴方のトレーナーを訓練するコースや自宅ベースでのプログラムを開発しました。

いずれのプログラムも長期にわたるプランが工夫されており、クライアントも回復あるいは改善を持続するに当たって必要と思

えば、何度もこちらに来所することもしばしばです。

あるクライアントは1週間の滞在、他のクライアントは1ヶ月あるいはそれ以上の滞在というように、再来の滞在は患者の意向

次第で決まります。

思い出してください、重要なのは滞在の期間ではなく、訪れるという一貫性であることを。

クライアントは自分たちに合ようデザインされたプログラムで成功を収めています。 彼らが行わなければならないのは、肉体

的に難しい面があっても諦めていけません。 現にここで2年過ごしているクライアントたちが、いまだに改善し続けています。

それは我々が成功する(改善する)道具を与えているからです。

 

成功(改善)は、貴方の改善訓練に密接に結びつく直接的結果ですから、貴方にとってベストなオプションを選ぶことが重要にな

ります。貴方の改善に関するベストオプションを選ぶことは非常に単純なことです。 貴方が日常生活で何事も変えずに行うこ

とが出来るものがベストオプションになります。

もしこのプログラムに関してご質問があれば、遠慮なく(760)431−3481までお電話下さい。

 

トライアル・ウィーク

 

Project Walkは世界で最も経験ある実践ベースの脊髄損傷回復センターです。

我々は成功する(回復する)には何が必要かを学んできました。 このトライアル・ウィークで、我々の仕事は貴方に、我々の理

論を、最新の科学リサーチを、我々のプログラムの肉体的・心理的要求を、いかにしてSCI(脊髄損傷患者)が回復できるのかを、

教えることです。

 

初日 オリエンテーション

まず初日は30分、我々のディレクターの一人とスーパーバイザーとミーティングを持ち、オリエンテーションを行います。 

この時に、我々は貴方の健康履歴や必要書類をチェックし、貴方がお持ちになっているであろうこのプログラムに関する質問に

お答えします。

お互いを知ることは、貴方の滞在の重要な一面になります。 このミーティングにより我々は貴方の能力を見極めますし、逆に、

貴方はこの滞在中に何をなすべきかを一層理解できることでしょう。

 

日々のトレーニング

貴方の能力の機能評価が、最初のトレーニングとして行われます。 後のトレーニングは、貴方の体が出来ること、出来ないこ

とを判断する各種の刺激を、貴方の神経システムに与えます。 我々は貴方に事故以来行っていない動作やエクササイズを行う

よう指示します。 これは肉体的にも精神的にも大変な苦痛になるでしょう。 いずれ貴方自身で、貴方が訓練していることが、

神経システムで動いていることがお分かりになるでしょう。

 

1週間のコースを通じて、我々は貴方の能力を評価(見積り)しますし、貴方は我々を評価(見積り)するでしょう。

Project Walk訪問滞在の最重要な要因の一つが、貴方の仲間と話す機会があること、彼らがトレーニングするする姿を見ら

れるということです。 彼らこそがこの脊髄損傷と言う怪我の本当の専門家なのです。 貴方の仲間たちは、貴方が何をしたい

のかを理解し、このプログラムがいかに厳しいものであるか、同様に彼らが成し遂げた改善の結果について貴方に話すことでし

ょう。 ここでの5日間の滞在で、貴方はDardzinski Method、このメソッドは機能回復への旅を手助けする、Project Walk

だけで実践されているものですが、を使った脊髄損傷患者の回復に関して十二分な情報を得ることでしょう。

 

5日目 最終日インタビュー

貴方の訓練最後の30分に再び貴方のスーパーバイザーとミーティングを持ち、貴方の1週間を振り返ります。 この退所イン

タビューは貴方にこの1週間の訓練経験に関する質疑の機会を与えます。 ここでスーパーバイザーとともに貴方の将来の訓練

計画が打ち合わされることになります。

トライアル・ウィークのスケジュールについては、応募書式に書き込んでEメールあるいはFaxでお申し込み下さい。 

詳細について知りたい方は(760)431−3481にお電話下さい。

 

インハウス・プログラム

 

我々のインハウス・プログラムは、必要とされるコミットメント(参加)が出来る患者にとっては理想的なものです。 前にも

述べましたが、これは半年、あるいは1年、あるいは2年で終わると言うプログラムではありません。 貴方が出来るだけ回復

できるように、どれだけ時間がかかろうと、出来る限りの厳しい訓練を貴方に課すプログラムなのです。

我々の患者全員がこうしたプログラムで訓練した結果、最良な回復を見ています。 以下に、このプログラムが患者に課すワー

クの詳細が書かれています。 何故、このプログラムが他のすべてのプログラムと比べスタンダード(標準)になったか、がお

分かりになるでしょう。

 

The Dardzinski Method

 

Project Walkは、神経システムを刺激するようデザインされた集中的な実践ベースであるこのメソッドを開発し、実践して来ま

した。 このメソッドは主に脊髄損傷患者用に開発され、その後も成長し続け、何年もの経験を経て変更が加えられて来ました。

詳しく知りたい方は、The Dardzinski Methodリンクをクリック(注)して下さい。 このウェブサイトは脊髄損傷患者がこの

メソッドを使ってどのように回復してきたか、について詳細が述べられています。 また、(各回復)段階に我々の患者のビデオ

もご覧になれます。

 

スタッフ

 

もし、貴方が回復をしたいと願うなら、実践的経験と裏付けの教育を受けた誰かと一緒に訓練を受けなければなりません。 

我々のスタッフは全員実践科学のバックグランドを持っています。 スタッフはすべて6ヶ月の徒弟期間を経て、スーパーバイ

ザーの監視の下で更に6ヶ月の研修を受けて、初めてレベル1の検定試験を受ける権利が出来るのです。 レベル2を取るまで

には2年、レベル3を取るには3年以上かかるのです。 ボトムラインとして、ここのスタッフは貴方を手助けする人間とし

ては最高の人間だと言えます。

検定(サティフィケート)に関する詳細は、Instituteをクリックして下さい。

 

プログラムの期間

 

誰でも回復の時間枠(タイムフレーム)を設けたいと思いますし、誰もが自分たちが成功するかどうかを知りたいと思います。 

それが私たちの性質ですし、ギャランティー(保証)を求めるのが文化でもあります。

我々のプログラムは1年、2年、3年で終わるものではありません。 我々はある患者が回復するまでに、どれくらい時間がか

かるものか分かりません。 何故なら、脊髄損傷は個人個人によって違っているからです。

2人の患者がいれば同じであることはありえません。 回復に要する期間あるいは訓練のプログラムは患者によって全く異なり

ます。 Project Walkおよびダルジンスキ法がオッファーできるのは、個々人に基づいた、彼らの目標、必要性という長期にわ

たる回復を目指すプランです。 我々は人間の神経システムの開発は時間枠に従うものでなく、むしろ外部からの刺激や数千回

に及ぶ繰り返しの訓練で開発されるものであることを学んできました。

 

トレーニングの期間

 

貴方が1日5時間以上、それも毎日訓練を行う必要があると思っているとすれば、それは有害な誤認です。 人間の体は、訓練

中は強化されず、ブレークダウン(消耗)してしまいます。

貴方の体は休憩することによって強化され、回復するのです。従って、訓練と休憩の処方が鍵となります。 

Project Walkに入所された患者は1週間にわたってその機能および強さの評価を行います。 これに基づいてその患者に最高の

結果をもたらすだろうという最適な処方を提供します。 患者は1ヶ月ごとに再評価されますし、6ヶ月ごとにスーパーバイザ

ーと共に進歩の具合を検討し、そこで将来の計画を立てます。

平均して、下部頚髄損傷患者および上部胸髄損傷患者は1日おきに3時間の訓練を行っています。 上部頚髄損傷患者、極端な

下部胸髄損傷あるいは腰髄損傷患者の場合は、1日おきに1〜2時間の訓練を行っています。 

訓練スケジュールとそれに要する期間は患者の機能によって決まります。 機能が変われば、訓練も変わります。

 

回復のコーチ

 

Project Walkは全くコントロールした動きが出来ない脊損患者から、自分の意志で動かせる脊損患者までの脊髄損傷患者の長期

間にわたる記録を所有している唯一のセンターです。

我々の包括プログラムは実戦経験に基づいて作られ、我々はすべてを行ってきました、良くも悪くも、すべてをです。 我々が

学んだソースは多様です。 過去6年間、ここは優秀なドクターたちがいる、最も優れたリハビリセンターであり、外科センタ

ーであったので、世界中から患者がこの施設にやって来ました。

また全米中いや世界中から科学者たちが当センターを訪ねて参りました。 我々は訪問された方々と会い、彼らからも評価リポ

ートを貰いました。 そういう経験を経て、我々は回復を早めることは難しいことを知りました。 が、一方で、スピードを落

とすこと、あるいは止めてしまうことがいかに簡単か知りました。

貴方の回復のコーチとして、工程を通して貴方をガイドしますので、貴方はスピードを落とすことはないでしょう。

 

貴方に対する我々の保証

 

我々は、貴方の作業(ワーク)倫理と合致すること、科学的コミュニティと一緒になって我々のプログラムを、一層改善するこ

とを学び続けることを保証します。

他の成功した協力者に関する情報を提供することで改善の一助とし、ポジティブな結果をオッファー出来ない要素を取り除くで

しょう。 患者が成功を収めることだけが我々の関心事なのです。 我々のプログラムが治療でないことは分っていますが、そ

れは間違いなく助けになることを知っていますし、長いプロセスでのよりよい方法を探し続けています。

Project Walkは孤立するプログラムではありません。 我々は単に解決への一つの鍵に過ぎません。 患者が彼らの回復のため

のコーチとして我々を雇い、我々のプログラムに従って訓練を行います。 これをするしないで大きな差が出てきます。

リサーチとコラボレーションに関して詳しく知りたい方はここをクリックしてください。

 

プログラムの利点

 

― 我々は、脊髄損傷患者が適切な、一定の配列による刺激によって回復することを知っています。

― 24ヶ月の最初の6ヶ月で、希望を増加させ、精神状態を改善させます

  中枢神経システムの活動を増加させます

  筋肉の質量を増加させます

  骨密度を維持、または増加させます

  コントロールされた動きを増加させます

  機能的歩行を増加させます

  苦痛を減少させます

  脊髄損傷に関係する健康問題を減少させます

  床ずれを軽減させます

  血圧に関わる問題を軽減させます

  うつ状態を軽減させます

― ある患者は下記のような利点もあります

  感覚(触覚、熱い、冷たいを感じる感覚、排尿排便)の増加

  発汗できる能力および体温の調節が出来る能力の獲得

  セックス機能の改善増加

 

プログラムの作業療法的な利点

患者の多くは下記の利点を享受できます

  ベッドでの寝返りの能力

  座位を保てる能力

  自分で衣類を着脱する能力

  運転能力

  自主独立心

  薬依存の軽減

  患者の90%は社会復帰(職場、学校)しています

我々は、患者が自分たちの肉体を再び使えるようになり、自分自身でケアをし始めていることに大いなるプライドを持っていま

す。 しかし、我々はOTスキルを教えるわけではありません。 機能が戻るとOT機能も戻ると言うことなのです。

全員がこのような回復を得られるわけではありません。 ある患者は歩けるようになるかも知れませんが、痛みは感じられない

こともあります、またある患者は排尿排便は問題なくても、熱い寒いは感じられないということもあります。 

患者それぞれの回復は異なった機能に起ることがあります。 従って、我々は何が、何時起こるか、あるいは、機能すべてが元

に戻るのかについては予測が全くつかないのです。

しかしながら、患者の大多数は全タイプの機能回復を見ており、唯一の相違は時間枠に関する点だけです。

 

Project Walkを始めるにあたって

貴方は、入院中に、既に回復のための試みを始めていると思います。 この損傷はコンクリートのようなものです、生コンクリ

ートを注ぎ込んだばかりは作業しやすく簡単に型に嵌めることが出来ますが、一度固まってしまうと、扱いが難しくなります。

我々のプログラムの成功のキーは、患者が充分に健康である状態で、医者から訓練を受けても良いと言われている患者を出来る

限り早く見られるかどうかにかかっています。

毎日、毎月ごとに体は新しい環境に馴染むようになり、動かすことは一層難しくなってしまいます。 退院したばかりの患者の

場合、ここで訓練を受けると、その結果は驚くべきものとなります。

 

センター

Project Walk Spinal Injury Recovery Centerは病院ではありません、リハビリセンターでもありません。 ここは脊髄損傷

患者の回復を目指すためだけの大きなトレーニング施設なのです。 Project Walkには、精髄損傷患者の回復のための特別な設

備があり、特別な訓練を受けた専門家だけが患者を診ています。

我々のプログラムは、機能の回復を願う患者のスタンダードになっています。 回復を待つ必要はありません。 人間の体は適

切な外部刺激なくしては蘇りません。

トライアル滞在訪問のスケジュールに就いては、応募書類に必要事項を記入し、application@projectwalk,orgまでメールを下

さい、あるいは、(760)431−1598までFax下さい。 詳細に就いては431−3481まで連絡下さい。

 

自宅ベースのプログラム

我々は、このプログラムを受けるためにCarlsbadに移住して来ることが出来ない患者のために自宅ベースのプログラムを用意し

ました。 これは神経システムを保持しながら、繰り返し訓練によって改善させるというものです。資格ある専門家から1対1

で訓練を受けるProject Walkにおける訓練とは同じではありませんが、繰り返しの訓練が改善に必要なことは言うまでもありま

せん。

 

誰がこの自宅ベースのプログラムで利益をえるのでしょうか?

低位胸髄損傷および腰髄損傷者は自宅で我々のプログラムを行うことが出来ます。 何故なら、高位損傷者と違って、彼らは大

抵の機能は働くからです。

高位胸髄損傷および頚髄損傷者も利益を受けるでしょう、しかし、より一層の助けが必要となるでしょう。 大抵の頚髄損傷者

の場合、2人のヘルパーが必要となるでしょう。貴方は将来について決定する時にこの事実を考えなければなりません。 自宅

ベースのプログラムで失敗するのは、手助けの欠如、あるいは、手助けが患者を傷つけるというのが原因なにのです。 

このプログラムは患者を車椅子から引き離すことを要求しています。 ヘルパーにとって、麻痺した足を動かし、運動させると

いうのはとてもきつい仕事になります。

 

利点

 骨密度の維持

 神経システムの活動の維持  

筋肉質量の維持

 中枢神経システム活動の増加

 幸福の増加

 床ずれになる機会の減少

 薬依存の減少

 苦痛の減少

 

プログラム

自宅ベースのプログラムを得るためには1週間の滞在訪問が必要となります。 この目的は教育(学習)です。 滞在の最後に、

貴方用に特別に考えられた、貴方に必要な訓練ビデオを受け取るでしょう。

 

初日

まず我々のディレクターの一人と貴方のスーパーバイザーを含んだオリエンテーション・ミーティングが持たれます。 

同時に、貴方から提出された書類のチェックを行い、 貴方からのプログラムに関する質問等についてお答えします。

お互いを知ることは、この滞在訪問の重要な要因になっています。 また、貴方の能力について観察し、この滞在中に貴方がな

すべきことに関し、理解しやすくします。

 

1〜3日 機能評価訓練

最初の3日間で、機能評価が行われます。 我々は、もし貴方の神経システムを刺激することが出来れば、貴方にあらゆるタイ

プのタースク(仕事)をやってもらうことになります。

我々の目的は、貴方の体に啓発的動きを適用することで、神経システムを助けることにあります。 この機能評価の期間、我々

は、貴方が安全に行えるかどうかを一人の人間がついて見極めます。 貴方は事故以来、行ったことのない事をやるよう要求さ

れるでしょう。 これは肉体的にも精神的にも大きな重圧となるでしょう。 いずれ貴方は自分の神経システムを使って行って

いることに気付くでしょう。 3日目が終わる頃には、我々はより正確に貴方の機能の能力を知ることが出来るでしょう。 

これに基づいて、我々は自宅で安全に行えるプログラムをデザインすることになります。

 

4日

既に貴方の体の能力を知っていますから、自宅で行うトレーニングをやってもらい、何故あるいは、如何に、を学んでもらいま

す。 この時、貴方の専門家が貴方のプログラムを撮影開始いたします。

 

5日

貴方は前日に引き続き訓練を行い、我々は撮影を継続します。 この日の最後の30分間、貴方はスーパーバイザーとミーティ

ングを持ちます。 ここで貴方のプログラムの詳細、目的をチェックし、質問があればして下さい。 ここで最終的な長期的な

トレーニング・プランが明確になります。

同時に、コンタクトに関する情報も与えられます。 貴方の専門家とのコミュニケーションはとりわけ重要になります。 もし、

貴方の機能に変化があった場合、必ず貴方の専門家に知らせて下さい。 あくまで貴方の自宅プログラムは、この滞在訪問時に

おける貴方の神経システムの必要性に合うようにデザインされています。 機能の変化は、当然のこととして、刺激と要求され

る訓練を増加させなければなりません。

 

成功するには何が必要なのでしょうか?

ヘルパー

このプログラムの重要な要素は、貴方が訓練をするにあたり、機器への乗り降りなど手助けしてくれる人が必要だということで

す。 高位頚髄損傷患者の場合は、訓練を行うにあたり2人のヘルパーが必要になります。 ダルジンスキ法は極めて労働集約

的なものです。ギブアップしてしまう患者の多くは、この手助けの欠如で起こります。 決して良くなりたいという願望の欠如

からではありません。

もし貴方がこのプログラムを本当に考えるなら、貴方の周りにいる人が貴方にコミットしてくれるかどうかを確かめて下さい。 

成功は何千回にも及ぶ繰り返し訓練によって達成されるもので、麻痺した体は手助けなしには回復しないのです。

 

装置(機器)

各患者の必要性は、損傷レベルおよび機能のレベルによって異なります。 貴方の滞在訪問期間中に、我々が貴方の自宅訓練プ

ログラムに使用する入手可能な装置をお見せします。

我々は常に各個人の能力に応じて、設備も入手可能なものを使って自宅訓練プログラムをデザインしています。

 

回復計画

最も成功している患者は、回復の時間枠をセットしない、デッドラインを設けない人たちです。

大事なのは、自宅訓練と同時にProject Walkにフォローアップで訪れ、アップデートし、モティベーションを改めて持つという

ことです。 彼らは数カ月ごとにセンターを訪れ、数週間から1、2ヶ月滞在しています。 鍵は首尾一貫しているということ

ですが、訪問の頻度、その時の滞在期間は貴方次第です。

これは長期的に考える患者にとっては極めて成功しているプログラムですが、短期的によくなりたいと考える患者には極めて不向きなプログラムでもあります。

自宅ベースのプログラムは、計画、献身、不退転の決意、それに他人の手助けが必要になります。 これらすべてが揃って初めて成功への道が開けるのです。

このプログラムにも1週間の滞在訪問が要求されます。 必要書類に必要事項を記入しメールあるいはFaxで送って下さい。

 

貴方の訓練士を訓練するプログラム

患者の回復には、首尾一貫した姿勢と諦めない不屈の闘志が大きな要素になります。

しかしながら、必ずしもすべての患者がレギュラー・ベースでProject Walkに参加することが出来るわけではありません。 

人間の神経システムは正しく治癒するには適切な刺激が必要となり、この刺激がストップしてしまうと回復は妨げられます。

それ故に、Project Walkでは、教育プログラムを開発しました。 それが貴方の訓練士を訓練するというプログラムで、自宅、あるいは、ジムで如何に安全にかつ効果的に患者を訓練するかを教えるものです。

このプログラムでは、患者は自宅に留まったまま、適切な刺激を受け、機能の回復を得ることが出来ます。

我々は貴方と貴方の訓練士に、貴方のためのプログラムで、貴方の麻痺した体を効果的に動かせるようにするに必要な知識と技

術を教えます。

 

詳細

貴方の訓練士を訓練するプログラムは、1週間の集中的な教育トレーニングコースで、貴方および貴方の訓練士に脊髄損傷患者

用に開発されたダウジンスキ法を紹介するためにデザインされたものです。貴方および貴方の訓練士は脊髄損傷、およびそれに

関連する問題とProject Walkの安全基準について学びます。

貴方の訓練士は、貴方の滞在中参加するProject Walkのすべてのセッションに参加しなければなりません。 この期間中に、貴

方と貴方の訓練士に、ベースラインの評価となるダルジンスキ法を知ってもらい、Project Walkの資格ある脊髄損傷者の回復に

ついてのスペシャリストの監視の下で自宅ベースのプログラムの展開を知ってもらうことになっています。

Project Walkに来られる前に、訓練士の方には下記のクライテリア(基準)を充足していることが必要です。

SCI101スタディガイドを読んでおくことーSCI(脊髄損傷)に関連する問題をカバーし、それらが如何にProject Walk

の理想と関連するかに関するたマニュアルSCI101の試験を受け合格していること(80%以上)―SCI101でカバー

されている話題75問に関する総合試験、Project Walkの安全基準およびプロフェッショナルガイドを読んで理解しておくこと

 

プログラム

このプログラムでは1週間の滞在訪問が義務付けられています。 この目的は、貴方の自宅プログラムについて、貴方と訓練士を効果的に教育することにあります。

第1日

まず、オリエンテーション・ミーティングが持たれます。 これには教育・訓練部門のディレクターとスーパーバイザーが出席します。 同時に、提出された必要書類のチェックを行い、もし質問があればお答えします。 また1週間の予定についても打ち合わせをします。

我々は患者の評価を行い、貴方の訓練士が見守る中で訓練を開始します。 訓練士は安全訓練(Safety Training)を始めます。

 

第2日

前日と同様、訓練士は安全訓練(Safety Training)を続け、貴方の訓練を観察します。

 

第3日

スーパーバイザーと共に、訓練士は自宅プログラムのゴール、目的、安全性の問題などの見直しを行います。 ここで訓練士は安全性の実務試験を受け、貴方と一緒に訓練を行うことになります。 我々は貴方の自宅訓練プログラムの撮影を続けます。

 

第4日

前日と同様、貴方は訓練を続け、訓練士は貴方の自宅プログラムの見直しを続け、安全性に関する実務試験を受け、貴方と訓練を共にします。 我々は撮影を続けます。

 

第5日

ここまでに貴方は訓練を完全なものとし、訓練士は必要とされるハンズオンの訓練と安全性に関する試験をすべて終えることになります。 我々は更に撮影を続けます。

最終日の最後の30分間、貴方と訓練士は教育・訓練部門のディレクターとスーパーバイザーと会っていただきます。 この打ち合わせで、我々は貴方の自宅プログラム、ゴール、目的、安全性の問題などについて、最終の見直しを行います。

我々は再びSCI101および安全性の実務試験を繰り返します。 今後の長期的なプランがここで決定し、コンタクトに関する情報が与えられます。

訓練士とスーパーバイザーとのコミュニケーションは極めて重要になります。 もし、貴方の体に変化が起これば、必ずスーパーバイザーに知らせてください。 プログラムはこの滞在訪問で評価された神経システムの必要度に応じて組まれていることを忘れないで下さい。機能の変化は刺激や要求事項の変化を伴わなければなりません。

 

訓練士の雇用

貴方は実際にこのプログラムを自宅で行うにあたり、車椅子から出て行わなければならないので、非常に体力のある個人が必要になります。 訓練の多くはフロアー上で行われ、器具から器具へ動くことになります。 訓練士の他に、ある訓練を行うにあたり、体を持ち上げたりするなど、別の人間がどうしても必要となります。 このプログラムは、貴方の訓練士にとって極めて厳しいものとなります。 痙攣との戦い、機能不全の神経システムの訓練はそれほど簡単ではありません。 それ故に、貴方が訓練士を選ぶ時には充分に注意して下さい。

貴方は、貴方を、貴方のゴールを信じる、職業意識があり、長い道のりを貴方にコミットするような人を探す必要があります。

このプログラムでは、貴方は訓練士と長期にわたる関係を結ぶことになります。 賢く自分の宿題を行ってください。 誰も雇いたくない、訓練の費用を払いたくないのであれば、1ヶ月もしないで彼らは辞めていくでしょう。

 

回復へのプラン

成功は一夜では起こりませんし、そんなに簡単ではありません。 機能の回復を見た患者は常に訓練を欠かしません。 彼らは自宅で訓練士と繰り返し訓練を行っており、定期的にProject Walkに再訪しています。 ある患者は3ヶ月ごとに1週間の滞在をしています、ある患者は6ヶ月ごとに1週間から3ヶ月の滞在をしています。

プログラムは各人の必要度によって異なっています。 従って、我々は貴方と一緒に、貴方の必要度に応じた回復プランをデザインします。 これを固執していれば、貴方の回復への可能性は大きくなります。

Project Walkは、高度に洗練された世界で唯一のセンターで、ダルジンスキ法の資格ある専門家が貴方のゴール、回復をコーチし、ガイド致します。

 

(注) 

The Dardzinski Method for SCI recovery (脊損回復のためのダルジンスキ法)

 

ダルジンスキ法は、脊髄損傷を負った患者の損傷を受けた神経システムを、再教育するようにデザインされた最高のフィジカル・

トレーニング法です。このメソッドは1999年に開発され、現在も進化を続けています。 我々が学んだあらゆることはすべ

てわれ我々の患者とのワークを通じて得られたものです。 脊髄損傷患者に対する回復を目指すプログラムはなかったので、我々

は平均2年間、患者とワークをする機会を得ました。

患者と密着し観察を続けることで、我々は脊髄損傷の患者がどのように回復して行くのかを知りました。 もっと重要なことは

何が効果的で、何が効果を生まないのかを知ることが出来たことです。 これが、患者が我々を雇い、彼らの機能回復のための

PTの手助けをすることになったのです。

 

我々の新しいウェブサイトを見れば、ダルジンスキ法がどうして効果的に働くのか、お分かりになるでしょう。 (我々は調査

機関ではないので出版物はありません。 我々の目的は患者がそのゴールの到達するのを手助けすることであって、書くことで

はありません。)

我々は患者の訓練風景とその進歩具合をビデオでお見せします。 我々はこのメソッドに75人以上の患者を持っています。 

現在受けている人もいれば、卒業した人もいますので、その結果を見てください。

それらは特別な例というわけではありません。 結果は適正なアプローチと刺激を与えれば大抵は回復するものなのです。

 

ダルジンスキ法は回復(リカバリー)を5つの位相に分けます。(機能の復活、機能の開発と安定、機能強化、偏心と同心、機能

と協調、バランスと歩行訓練) そして、退院後すぐに、つまり、回復訓練を行うに理想的な時期に、プログラムを始められる

患者に基づいています。

我々のプログラムは受傷部位をベースにしたものではなく、損傷の重篤さに関わっています。

例えば、見た目にはどこも麻痺していないように見える患者もいますが、他方、同じレベルの損傷でも衰えの激しい患者もいま

す。同じ部位の損傷であっても、個々人は異なる神経システムを持っているので、それぞれに異なるアプローチが必要になって

来るのです。

このメソッドの第一の原則は、メソッドを患者に適合させると言うことで、患者をこのメソッドに適合させるわけではないと言

うことです。 このシンプルな事実がこのメソッドを成功に導いたのです。 あらゆるタイプの神経システムの患者を数千時間

に及んで診て来たという経験なくしては、これを真似(コピー)することは出来ないでしょう。

このプログラムを受ける各個人は、異なる神経システムを持っています。 ある人は緊張と痙攣を持っていますが、別の人は何

もないということもあります。 この個性によって、各個人はダルジンスキ法の異なる位相から始めることになります。

位相は機能と重複の一里塚となります。 それ故に、患者がひとつの位相に留まることは決してありません。 機能回復が見ら

れた時にだけ、我々はより大きな刺激を与えます。

ダルジンスキ法のページは3つのリンクに分かれています。 フェーズ1と2、フェーズ3、フェーズ4です。 フェーズ5は

歩行訓練センターで話し合われます。

このプログラムを受けに来る患者が、それぞれ異なる神経システムを持っているの見て、我々は同じレベルの患者と比較するこ

とが出来ます。 患者は、自分に似た症状の患者を診た経験があるかだけを知りたがります。 これは新たに損傷を受けた人も、

受傷後5年あるいはそれ以上の患者の場合も同様です。

このメソッドがフェーズ・リンクに分かれていることで、貴方がフィットする、そして、貴方の回復状況がどの程度かを知るこ

とが容易になります。

ダルジンスキ法あるいは回復の5つの位相に関してご質問があれば、我々のメッセージボードに質問を書いて送って下さい。

 

位相(フェーズ)1(復活)と位相(フェーズ)2(発達・安定)

 

復活(リサーチャーによっては、この段階を神経システムの再組織あるいは再学習と呼ぶこともあります)は、Project Walkで

実践されるダルジンスキ法で関する最も議論を呼んでいるものです。 我々は脊髄損傷によってショックを受けた神経システム

は適切な外部刺激を与えることによってそれ自身再組織するということを信じています。

外部刺激が与えられなければ、人間の神経システムは劣化してしまいます。 薬漬けにされ、感覚も戻らず、筋肉の拘縮が起こ

る時、麻痺した体の部位に触れるのを拒否する処置に晒された時、貴方は回復するために誰かを期待していいのか、と思うでし

ょう。NASAやロシアの宇宙開発プログラムでは、何百万ドルという費用を投じて、無重力に晒された時に、これには骨密度

や筋肉の質量も含みますが、人間の体はいかに劣化するか、を調査してきました。

四肢麻痺患者を電動車椅子に押し込め、薬漬けにし、一人放っておかれたら、何が起こると期待できるでしょうか。 何も起き

ません。 もし、貴方が一度でも、神経システムが再組織されないのか、と不思議に思ったら、脊髄損傷患者の置かれている環

境を見れば、また回復の希望がないことを認識している、のを見れば、何故なのかが分るでしょう。

 

下記は、再組織に関する世界の、指導的科学者のリサーチの参考文献です。

過去6年間で、Project Walkで歩けるようになった数名の患者がいます。 また、現在、数名が歩く最初の段階におります。 

これらの患者はフォローアップのMRIでまだ脊髄にダメージを受けていることが明白になっています。 貴方自身このことを

問うて下さい。 彼らが損傷を受けている状態でどのように筋肉をコントロールしているのかを。しばしば我々は、彼らが不全

麻痺で、発症から1年以内であるということを、専門家から聞かされます。 確かに、その観察は真実からかけ離れているとは

言えません。 ある患者は発症後5年の状態でプログラムを始め、ある患者は病院で完全麻痺の症状でしたが、訓練開始後3年

で不全麻痺と見なされるようになったからです。

 

議論のために、Project Walkの患者はすべて不全麻痺で、我々の手助けがなくてもいずれは治癒する患者だと言い張るそれら専

門家の通りだとしましょう。 そうであるならば、非常にシンプルな質問をします。 他の6000人の不全麻痺患者はどこに

いるのでしょうか、我々のプログラムに参加している患者の70%以上の人が2年以上かかってやっと歩く段階に入るというの

をどう考えますか、6000人の患者はそうでないのに。

 

現在の考え方を見てみましょう

 

脊髄損傷に対する従来のアプローチ

 回復の希望はない

 感覚と筋肉の拘縮を薬で除去する

 麻痺した部位の放置、荷重をかけた訓練はせず、劣化するままにする

 重力の関係ない状況に患者を置く

 

その結果は、

 怒りとフラストレーションがたまる

 介護者任せになる

 将来の回復の機会を減少させる骨密度、および筋肉質量が減少する

 循環不良を起こす

 感染の可能性が増え、床ずれが出来やすくなる

 機能の回復が起こらない

 

Project Walkの未来計画

参加初日から回復の希望が持てます。 誰にも未来のことは分かりませんし、何もは保証されませんが、未知ということは何も

起こらないということよりは遥かに良いことです。

 患者は薬から解放されます

 筋肉の過緊張は増加しますが、筋肉質量を作り、それを制御するのに慣れて下さい。

 発展的動きのパターンの中での荷重をかけた訓練を初日から行います

 再組織を促進させるために神経システムに外部刺激を与えます

 訓練の間中、患者を重力に関係ない(車椅子に坐っている)状態から引き離します

 

1999年以来、我々はC3からL2までの脊髄損傷患者を診て参りました。 彼らは幸福です、何故なら、彼らは置かれた状

況の中で何かを行っていますし、目的完遂をしっかり見ているからです。 我々のセンターに来所し、患者の訓練を見た指導的

な脊髄損傷科学者はかつて、我々の患者が回復しているのは彼らの関わり方(アティチュード)と希望を持っているからだ、と

話しています。

 

位相1および位相2の結果

 中枢神経の活動が活発化します

 筋肉質量が増加します

 骨密度が保たれます

 循環が良くなります

 ある患者では感覚が鋭敏になってきます

 ある患者では熱い、冷たいの感覚が戻ります

 床ずれの発生が減少します

 薬の使用が減少します

 脊髄損傷と関連する健康問題が減少します

 自分の生命のコントロールが出来るようになります

 

ダルジンスキ法で、これらの2つの位相(フェーズ)は緊密に結びついています。 神経システムの再組織化が起こり始めると、関節の安定化を増加させる筋肉が発達してきます。

しばらく、このことを考えてみて下さい。 関節周りのしっかりした筋肉の増加は、旧来的な処置とは正反対ではないでしょうか。 勿論そうです。 貴方は濡れたうどんの上に立ち上がろうと試みたことはないでしょう。 貴方が足を動かすためには、強靭な安定した関節と筋肉質量が必要なのです。

 

この考え方が、我々を旧来的なリハビリテーションから離れたものにさせます。 我々は脊髄損傷患者を車椅子から引き離します。 Project Walkはもともと退院したばかりの患者を診ることからスタートしています。 我々はあらゆるタイプの患者(Asia Aの完全麻痺から不全麻痺まで)を、患者が自身で呼吸が出来、医者から集中的なフィットネス訓練を受けることを許されている患者を診て来ました。

我々は、成熟したワーキング・システムの中で、神経システムの復活をゴール(目標)にして来ました。

 

増加した筋肉のサイズ、フィットネス、神経システムの活動、関節の安定化が位相(フェーズ)1、2のゴールとなります。 安定した関節は荷重を可能にします。 神経システム活動の増加はまるで内部の電気刺激(あるいはFESバイク)を解き放つようなものです。

これが受身の外部マシンによるものと較べ、より生産的(プロダクティブ)であるのは非常にシンプルです。 貴方が行っているということ、貴方の神経システムからの能動的なリスポンスであるということで決して外部ディバイスからのリスポンスではないということです。

 

位相(フェーズ)1、2は、我々のプログラムで最も難しいステージで、最も長い道のりとなります。 我々はこの回復への道を山スキーに例えます。 貴方は1日かけて山に上りますが、滑降すれば僅か30秒で終わってしまいます。 ある患者たちはこのステージを僅か2,3ヶ月で終了するのに、ある患者たちは2年以上もかかることがあります。

過去6年間で我々が学んだことは、同じ部位に損傷を負った患者でも位相1,2にかかる時間に影響を与えないと言うことです。 各個人は異なる神経システムを持っているからです。

ある患者は制御不能の筋肉の拘縮(痙攣)を持っており、ある患者は痛みを感じており、ある患者は何も感じない、というように各人それぞれです。

痙攣と痛みは脊髄損傷が治る方向に向かっていると言うことですが、適切な外部刺激を与えないと、症状は悪化してしまいます。 ダルジンスキ法では、神経システムが成熟するに連れて、それらの症状が徐々に消えて行きます。

大抵の患者がこのステージで、痙性を弱める薬を完全に止めたり、あるいは、減少させたりするようになります。

 

簡単に言えば、位相(フェーズ)1のゴールは、貴方の神経システムで作り出す、変える、刺激するようになることです。 

位相2では、神経通路を作り上げ、後の位相で使えるようにすることです。

この位相では、誰も歩くことは学びません。 まだ歩くのではなく、生活の質を改善する段階です。 それは貴方自身にフィードバックするような、ベッドでの寝返りだとか、車の運転だとか、介護からの独立というような目的に向かうような仕事となります。

旧来的な方法では、貴方は一生涯介護に依存する生活になります。 我々はそれを貴方から解放するのです。

 

訓練ガイド

アポイントメント

過去4年間にわたり、我々は、最大の進歩(gain)を得るためには、どの位の時間ここで過ごすのが良いのかを考え続けて来ました。 患者はその損傷のレベルによって、2時間、あるいは、3時間のアポイントを取ってスタートします。 例えば、頸髄損傷の患者の場合には上肢、下肢の訓練も必要になるので、より長いアポイントメントが必要になります。

患者はそれぞれ週3日センターに来てスタートすることになります。 我々のリサーチでは、週に5日来所される場合には、セッション間の適度な回復時間を取れないということを示しています。 週5日の患者は疲れた神経システムのまま、また来所することになり、我々が与える刺激に反応しないのです。 一方、週3日の患者では、次に来所するまでに神経システムが再び強くなっているので刺激に反応するのです。

 

このステージでは、回復時間が、訓練日の最も重要なアスペクトとなります。 ダルジンスキ法は脊髄損傷に関して最上級の訓練プログラムであり、能動的神経システムに働きかけます。 神経システムを訓練を通して回復するようにすることは、同時に新しいコネクションを強化するということでもあります。 能動的神経システムなしでは、我々に残された方法は、受身のROM(動かせる幅―レンジ)を行うしかなく、それは患者に何の恩恵も与えません。

我々は、如何に短い時間内に患者のゴールを達成するか、のために時間を有効に使う努力をしています。

今、我々は貴方に訓練ガイドラインを与えましたが、すべての患者はそれぞれの必要度とゴールを持っている、ということを覚えていておいて下さい。 患者の回復状態を見て、我々は月次ベースで訓練の再評価を行い、回復プロセスに従って訓練ガイドラインが変更されます。

 

位相1,2の訓練処方

日々の訓練メニューには、下記のテクニックの一部または全部が含まれます。

 発達段階の動きのパターン 

 能動的神経システムを補強する

 能動的に荷重をかける

 能動的なスピンバイク(自転車)乗り

 受身の歩行訓練

 

何を期待するのかでしょうか

単純ですが、変化です。 健康が改善されると、貴方の神経システムが、受ける刺激に反応するという肉体的な変化がほとんど即座に起こります。 貴方が最初に気付く兆しは夜間の変化です。 貴方は夕方あるいは就寝中に制御できない筋肉の過緊張を経験するようになるでしょう、あるいは、夕方に燃えるような熱さを感じたり、苦痛を感じたりするようになるでしょう。 

何故、夕方に起こるのでしょうか。 日中、貴方が訓練している時は、貴方の神経システムは与えられた刺激に反応しています。 

夜間に、治癒回復が起こります。 夜間は非常に興味を惹きます。 それは位相1,2を通して貴方の進歩が分るからです。

 

リサーチ・計測

Project Walkでは、患者の進歩を定量化し、実証する進行中のリサーチ・プログラムを持っています。 患者が経験する変化の多くは、持久力が増加したとか、全般的に強くなった感じがするとか、主観的でアクセスすることが難しいものです。

しかし、我々は客観的なパラメーター(補助変数)を記録しており、筋肉の範囲、持ち上げた負荷量、訓練活動の時間を記録することで改善の定量化が出来ます。

また我々は、各患者がこのプログラムに参加した時の程度から3ヶ月ごとに見直すスケールを持っています。 我々のスタッフは患者と一緒になって、少なくとも月ベースで短期・長期のゴールを考えます。 毎日の活動と新しい進展は書類で残されます。 患者は全員、ベースラインを作成するためにプログラム参加時にビデオ撮影され、著しい変化が起これば続けてビデオ撮影されます。

 

付加される属性

我々は、回復への道において以下の属性を付加することが役立つことを発見しました。

鍼療法

鍼療法は位相1,2の期間の何時からでもスタートできます。 鍼療法のゴールは神経システム自身を繋いで直すのを手助けすることです。 針療法は受身ですから、初期の回復局面においては良い補助となります。 マイクル・エイコン、MPH、がセンター内におり、脊髄損傷専門の鍼療法を行っています。

 

高気圧部屋処置

高気圧部屋処置は、特に回復初期の位相においては素晴らしい補助となります。

負傷、感染、病気は肉体組織の酸素レベルが減少することから発生しています。 この高気圧処置は、100%の酸素を体中に与えますので、治癒力を高め、感染と戦うことを促進させます。 この処置室もセンター内にあります。 不明な点は問い合わせて下さい。

 

立ち上がりフレーム(ティルト、お立ち台)

立ち上がりフレームは、回復のこのステージでは非常に重要になります。 貴方は骨密度および筋肉質量を失い始めますので、将来を考えた時に、骨密度を維持することが非常に重要になります。 時として血圧が問題になりますが、立ち上がりフレームに乗ることは絶対に必要になります。 

毎週、貴方は少しずつ長く立っていることが出来るようになります。 立ち上がりフレームは保険対応ではないので、貴方はより創造的になる必要があり、誰かにそれを作ってもらわなければなりません。 だからといって、待ってばかりはいられません。 貴方の足に対する荷重をかけ続けなければ、貴方の骨密度は失われていきます。

 

栄養摂取

栄養摂取は、脊髄損傷患者の回復すべての位相において、非常に重要となります。 何をどれだけ食べるかを知ることは極めて重要で、そうすることによって過度な体重増加を防ぐことができます。

 

FESバイクおよび他の電気刺激

FESバイクや他の電気刺激は回復の初期段階においては重要になります。 外部の電気刺激は筋肉質量を維持し、循環を助けますので非常に重要です。

 

心理的展望

強いメンタルな展望を持つことは、位相1,2において最も重要な様相の一つです。 このプログラムに参加してくる大抵の患者は、無理からぬことですが、多かれ少なかれうつ的症状を呈しています。 しかしながら、週単位で50人以上の同じ障害者に囲まれているうちに、偉大な助言者に巡り会うものです。

大抵の患者は貴方に、ここに来た最初の2ヶ月は彼らが事故に遭って以来、最も幸せな時間を過ごしていると言う事でしょう。 肉体が回復してくると、気持もそれにつられます。

これ以上の貴方をサポートする集団はないでしょう。 このプログラムを卒業して行った患者たちは、ここの障害者仲間や家族、それに友人たちから非常に大きなサポートを受けています。 問題(トラブル)を抱える患者は、家族や友人たちから遠く離れて介護者とだけ一緒と言う場合がほとんどです。 この忠告を真剣に受け止めてください。 貴方には、精神的にサバイバルし、貴方の目的を達成するためには、回復プロセスから離れた日々の気休めが必要になります。

例えば、大学生ならば授業を受ける、高校生なら高校を卒業する、多くの人は働いています。 もし、ローカルなサポート集団を持っていないのならば、Project Walkの外部に何かそういうものを持つ必要があります。

 

プール訓練

貴方の回復のこのステージにおいて、プール・セラピーは下肢にとっては最も生産的な様相ではありません。 何故なら、位相1は復活、位相2は発達・安定ですし、減少された重力環境は効果的でないからです。 一般的に言って、スイミングは柔軟性と関節の過度の活動を促進するものです。 これは我々が行おうとしていること、つまり関節の安定化、と正反対のことになります。 我々のメソッドの最重要な一つは、神経システムのコネクションを閉じるということです。 そのためには、熟練した専門家、あるいはクローズド・チェーン・プラットフォームから直接的な刺激を必要とします。

例外

頸髄損傷患者はProject Walkの休みにプール・セラピーをスタートすることができます。 ただし、それは上肢にフォーカスされるものとします。 胸髄損傷患者は位相4(機能/強調)に入るまではプール・トレーニングを始めてはいけません。

 

位相1,2の卒業

回復プロセスを通して、貴方の神経システムはいつも再学習しています。 位相は機能の変化を表わしているに過ぎません。 機能の変化は麻痺した患者にとって、PTプログラムにおいて非常に重要です。 何故なら、患者の肉体的機能が変化して初めて、刺激によって変化を与えることが出来るようになるからです。

位相2を終わる頃には、患者の神経システムは、しっかりと強化された筋肉を基本的な制御ができるようになるまでに改善しています。

夜間、足はあらゆる種類の動きを行うでしょう。 屈筋は収縮し、伸筋は伸展するでしょう。引き締まった足で、患者は反射的伸張を感じることが出来ます、それはAsia Aの完全麻痺患者の中でも起こることがあります。

患者は、この段階で荷重を受けるに充分な安定した関節を持つことになります。 何故なら、肩、尻、膝、くるぶしの関節がすべて収まるところに収まって来たからです。ここで位相3に移ることになります。

 

位相3 偏心/同心の強さと筋肉の過緊張

位相3に進んだからといって、貴方の体が再学習を止めると言うことではありません。 貴方の体は、位相1,2および全回復プロセスを通じて再学習を続けます。 単に一つの位相(フェーズ)から他の位相へ卒業すると言うことにはなりません。 

それは数ヶ月をかけて、あるいは、数年かけて徐々に起こってくる変化のようなものです。

我々には、歩ける患者がいますが、彼らは、まだ位相1,2の段階で体に麻痺した部分を持っています。 異なる位相を経験することで、貴方が回復プロセスの何処にいるかを知れば、先に横たわるものを理解する手助けとなるでしょう。

これが達成のためのマイルストーンとなり、成功を祝う理由になります。

 

位相3で、従来のOTとは異なる未来の回復がスタートすることになります。 緊張や痙攣などの症状は大歓迎です。 何故なら、それらは我々が神経システムを訓練するのを助けてくれるからです。 緊張や痙攣の原因を自分自身に聞いてみて下さい。 貴方の神経システムであることが分るでしょう。 我々の理論では、貴方の神経システムは事故に遭う以前の状態のようにコネクト(繋ぐ)しようとしています。 しかし、再学習のための外部刺激が与えられないので、緊張、あるいは、拘縮ということが起こるのです。

これらは機能不全の神経システムの症状ですが、再訓練できるのが神経システムでもあります。 如何に神経システムを扱うかを学ぶことによって、有能な専門家が、貴方を緊張と痙攣から制御された動きに導きます。 貴方はもう安定した関節を持って位相3に入ってきたのですから、専門家は貴方の体を扱うことで望ましい動きを作り出し、さらに抵抗をかけるでしょう、従っていっそう強い過緊張が起きるでしょう。

貴方が、専門家の助力なしで、そのような制御された動きができるようになれば位相3は卒業です。

 

現在の考え方を見てみましょう

脊髄損傷に対する因習的アプローチ

 回復の希望はありません

 薬での症状緩和(痛み、熱さ、痺れてぴりぴりする感覚、痙攣など)

 回復は損傷部位によって決まります

 ほとんどの保険会社は立ち上がりフレームを保険適用から外しています

 貴方は本能的に痙攣は良いことだと思っていますが、痙攣は除去されるべきと学習します

その結果、

 緊張、痙攣緩和のために薬漬けにされるので機能しなくなります

 痙攣緩和剤を5年以上使用している患者がいますが、初日にすべての症状が現れました

 薬を止めるには数ヶ月、極端な場合には、数年かかることもあります

 機能の改善は見られません

 体は痙攣で硬くなってきます

 怒りとフラストレーションが起こります

 

Project Walkの未来計画

回復の希望を持たせます。 センターにはいつでも数名の患者、つまり貴方の仲間ですが、が緊張と痙攣に悩む貴方の状態を経験して来ています。 彼らは、彼らの進歩についての貴方に理解させることが出来ますし、貴方は彼らが自分の足を制御しているのを見守ることが出来ます。 

我々は、この時点でしばしば、”彼らは痙攣を制御しているのですか?“という質問を受けます。 これには困惑しています。 

何故なら、貴方は正しく教育を受けて来なかった、ということになるからです。 貴方は痙攣を制御することは出来ません。 

それは制御できない筋肉の緊張だからです。 彼らが足を動かす時、彼らが行っているのはシンプルなことです。

彼らは彼ら自身を制御しているのです。

 

痙攣緩和剤や痛み止めの薬を止めて(勿論、医師の監督下で)、神経システムを刺激するエクササイズに変えることによって、我々は緊張や痙攣を減少させ、成熟した神経システムを構築し、全体の健康を増進させます。

 

ダルジンスキ法は、強固で成熟した神経システムを作り上げ、制御した動きを可能にし、同時に緊張と痙攣を減少、あるいは、除去します。

 

位相3では筋肉の過緊張が起こります。 正しい刺激で何千回も筋肉の過緊張が起こる時、神経と筋肉は継続した強さを獲得しますが、もっと重要なことは、協調するということです。

我々の患者が単純なエクササイズから始めるのは、訓練の初期段階において関節を安定させるためなのです。 そのうち、筋肉はアイソメトリック(等尺性)の過緊張を起こすようになります。 正しい技術を持った専門家がこれらの過緊張を取り去り、患者にどうしたら意識的にオン、オフが出来るようになるかを教えます。

制御された筋肉の過緊張は、歩行に向かう大きな一歩です。 この位相で、貴方は筋肉質量を作り上げることを継続して行います(ある患者たちは障害を負う前よりも筋肉質量が大きくなっている場合もあります)。  この位相を終了する頃には、貴方は特定のポジションで、幾つかの動きを行うことが出来るでしょう。

 

位相3(強化)の結果 偏心的・同心的筋肉の過緊張

 機能が増加します

 筋肉の制御が増加します

 日常活動で出来ることが増加します

 考える力が増加します

 骨密度と循環が良くなります

 感覚が戻ってきます

 貴方の生活において制御できることが増えます

 

位相3の余剰効果として、OTの能力が増加します。

患者はここに歩くことを目的にやって来ますが、興味深いことが起こり、OTにおいてもマイルストーンとなる出来事が起こります。 位相3になると、大抵の患者は自分で車の運転も出来るようになり、自分たちの足でトランスファーが出来るようになり、立ち上がりフレームなくても立ち上がることが出来るなど、彼らの独立性が戻って来ます。

貴方の体が変化してきたので、貴方の訓練内容も変わる必要があります。

 

訓練ガイドライン

アポイントメント

この位相3において、訓練日と訓練時間は患者の緊張と痙攣によって決定されますが、通常は週に3日となります。 例外は、受傷後1年を経過した患者で、その神経システムが全く制御することが出来ない状態、つまり極度の緊張に苛まれており、痙攣が体を制御しているような状態の患者だけです。 この場合は、我々は毎日この患者を診て、持続的に彼らの神経システムをブレークダウン(分割)する必要があります。

我々は患者が、ハードな1週間が終わった翌日の土曜日に気分爽快と感じる傾向があることに気付いています。 これは休息を取った日よりも顕著です。 勿論、すべての神経システムは異なっており、連続して起きる変化に適応できる必要があります。 貴方の体の変化に伴い、我々は適応し、貴方のセッションが後どの位かかるのかを決定します。

 

位相3で処方される訓練

位相3の訓練は過緊張を作り出すことです。 貴方と一緒にワークする脊髄損傷回復の専門家はあらゆる動き(ムーブメント)を行うわけではありません、ただ貴方が動きを作るのを手助けするだけです。

ほとんどの患者は、時間の大半を専門家と1対1で筋肉の過緊張を作りだすよう神経システムを働かせることに費やしています。 貴方の神経システムに反応するのはこの世に何もありませんし、資格ある脊髄損傷回復の専門家として関わりあえる以外何もありません。

貴方の訓練は、必ず専門家が一緒で、過緊張を作り出し、貴方の筋肉はそれに抵抗するようになるでしょう。

 

ポジショナルな動き

ここからスタートします。 それは単純です。 我々は貴方の神経システムを見るために貴方の足を動かします。 答えを引き出すと、貴方の足を筋肉の過緊張が起こる位置に起きます。 

何度も何度も繰り返すことで、自発的に過緊張を作り出す間に神経の強化と忍耐力が増強されます。 重量が付加され、貴方は、神経が反応と過緊張を補強するための、すべての動きを行うでしょう。

 

ポジショナルな動きの目的は、偏心的な過緊張を含む、特別な関節を動かすすべての筋肉を確保することです。 もうお分かりでしょうが、これは一度に起こるわけではありません。

ある筋肉は神経信号を受け取るかも知れませんが、ある筋肉はもっとスローに反応するかも知れません。 我々の目的は、神経の活性化を促進し続けることで、反応が遅いからといって決して無視はしません。

 

発達的動き(ムーブメント)パターン

発達的ムーブメントのパターンは、如何に一般的な動きのパターンスキル、それはやがて特化したスキルになるのですが、を学ぶかと言うことです。

貴方がスキル訓練をそのことを考えないままで、繰り返し、繰り返し行っていると自然にそうなります。 Project Walkでは発達的動きのパターンを第1日からここを去っていく日まで行います。 貴方の改善された機能は、貴方の、神経システムの発達のために、刺激を増大させる必要のある更に進んだ動きを可能にします。

既に、貴方は関節の安定性を持っていますから、我々は荷重訓練を行うよう貴方の関節に命令を下します。 我々はウェイト機器、フロアとテーブルを結合させた特別な反復運動を持っており、すべての動きに貴方の神経システムを刺激します。 この刺激は、貴方の神経システムが反応するよう、やせ細ったすべての筋肉に働きかけます。 坐った状態でいることはいかなる改善も見ることはありません。

 

動きを伴う荷重訓練

人間の神経システムは改善するためには荷重が必要になります。 立ち上がりフレームは受身の訓練には素晴らしい効果を与えますが、サポートされた立ち上がりは受身です。

我々に必要なのは行動(アクション)です。 この位相で、貴方は筋肉に偏心的な荷重をかけることを始めます。 このマイルストーンをクリアすれば、貴方の体に事故以来の最大の変化が起こります。

 

制御されたポジショナルな動き

我々は貴方の足をある位置に置きますので、貴方の望む動きを制御してください。 ある患者は痙攣を制御していると言うかも知れませんが、痙攣は制御できない筋肉の過緊張です。

そう、もし制御できない筋肉の過緊張を制御できれば、、、、分りますか?  ポジショナルな刺激と繰り返しを通して、制御された過緊張を作り出します。 そして、神経システムが成熟して来ると、動きは増大して来るようになります。

 

動きを創出するためのトリック

これは患者が自分を騙して動きを作り出すと言うことです。 一例を挙げます。 もし背中をアーチ状に出来れば、足の動きを制御できるということを患者が学び信じることです。最終的には、繰り返しを行うことで、患者は望む動きをトリックをかけることなく出来るようになります。 これを協調といっています。

 

位相3の症状

貴方の治癒が進み、機能の改善が続くと、高原状態(プラトー)に突き当たります。 高原状態は内部が治癒しており、貴方の神経システムが機能増大に伴うストレスに適応していることです。

一度、貴方の神経システムがこのストレスを捕らえれば、貴方の体は更に動くようになります。 このサイクルは、回復への道で何度も何度も起こります。 これは何も脊髄損傷患者だけでなく、すべての障害者にとっても例外ではありません。

貴方の体が訓練刺激に適応すると、壁にぶつかる、それは貴方が体にもう一度チャレンジしろという時なのです。 やがて貴方はフィットネスやスキルで前進を見るでしょう。

脊髄損傷患者にとっての相違は、この前進のタイムフレーム(期間枠)が違うと言うことです。

 

夜間

貴方は夜間の症状に苛つくことでしょう。 日中行った訓練の動きが夜間に戻って来て貴方を悩ませるでしょう。 もし、日中、腰の屈筋訓練をしているならば、一晩中屈筋を持ち上げ続けるのも良いでしょう。 我々は貴方の神経システムに刺激を与えており、それが限界に達しているということでもあります。 夜間に治癒が起こります。 もし貴方が電気ショックなどを受けていれば、治癒が起これば動けるようになります。

我々の患者は夜間のこういう動きを、睡眠不足を容認しています。 何故なら、そういう経験をして来た仲間たちが、それも治癒と回復プロセスの一部だと説明しているからです。

脊髄損傷に関連する大抵の症状のように、貴方が回復すれば、夜間の症状もゆっくりと消滅し始めます。

 

クレージーレッグ

長期の患者はクレージーレッグ(Crazy legs)の症状を示すことがあります。 これは我々には好ましいことです。 何故なら患者が回復していることを示しているからです。

クレージーレッグを訓練することは難しいことではありませんが、個々の専門家にとっては非常に厳しいものとなります。 ダルジンスキ法を通じて、我々はクレージーレッグから制御された動きを作り出すことを実践で学んで来ました。 この回復段階において、貴方がまだ歩き続けられるかどうかが決定されます。

Botox(ボトックス)や痙攣緩和剤に依存している患者は、脊髄損傷患者がどのように回復していくのかを理解できないでしょう。 貴方は回復訓練と薬を併用することが出来ますが、まずは自分に処方されている薬についてチェックすべきです。

 

付加的様相

立ち上がりフレーム

立ち上がりフレームはこの位相においては決定的に重要になります。 何故なら、貴方の筋肉はこの段階で引き締まり、強化されるからです。 貴方がいつも車椅子に乗って時間を過ごしていれば、その坐ったポジションが貴方の自然な姿勢になります。

これが意味するのは、腱が短くなり、腰の屈筋が短くなります、つまり、貴方の体は車椅子ポジションの中に合うように治癒していることになります。 すなわち、関節の屈曲拘縮です。

立ち上がり伸展することが貴方に必要です。 立ち上がりフレームが受動的な姿勢矯正具となったのもこの理由からです。 家庭で、これを使うことによって、貴方は体にその自然な姿勢を教えることが出来ます。 立ち上がりフレームを自分で使ってもらえば、貴方の神経システムが筋肉を動かす訓練にもっと多くの時間を費やすことが出来ます。

立ち上がりフレームなくしては、貴方は堅く短い屈筋でセンターに来ることになります。 この状態だと、まず我々は、屈筋を伸ばすことから始めなければなりません。 

立ち上がりフレームを使っている患者は回復が早く、そうでない患者は回復に苦労していることを、我々は経験から知っています。 毎日、立ち上がりフレームに立ってテレビを見たり、本を読んだりしてください。

 

外部の電気刺激

FESバイクや他の外部電気刺激は発達段階では使わないで下さい。 貴方にはこれは必要ないからです。 貴方の体は自分自身の内部電気刺激を発生させています。更なる外部ソースは貴方の神経システムを混乱させるだけです。

 

プール・セラピー

貴方の足にはまだこのセラピーはお勧めできません。 貴方の神経システムはいまだ発展中でクローズドな内部結合が必要です。 貴方が筋肉を制御しながら足が動かせるようになって初めてプールに行ってください。

プール・セラピーは頸髄損傷患者が、上肢の運動パターンの発達にためだけに使う場合のみお勧めできます。

 

心臓血管コンディショニング

我々はこの回復段階で心臓血管訓練を勧めています。 最良の方法はスイミングで行うことです。 貴方は足をサポートするのにブイを使うことが出来ますし、ある患者はシュノーケルのマスクとチューブを使って呼吸をしています。 他にはハンド・サイクル(車椅子ではなく、より高い位置に坐るもの)、ベルサ・クライマー、それに路上でのハンド・サイクルなどがあります。

 

実社会活動

我々はすべての患者に外に出て生活に参加することを励ましています。 多くの患者が学校あるいは会社に通っています。 

また、乗馬、スポーツ・フィッシング、スキューバダイビング、スキーあるいはカヤックなど可能なスポーツを行っています。

 

位相3の卒業

今や貴方は足を動かすことが出来、制御された動きが出来、自力で立ち上がることさえ出来ますが、協調はされていません。 

貴方に欠けているものは、すべての動きにおける一貫した神経システムの協調です。 位相4の機能と協調では、貴方の訓練はよりダイナミックになり、我々はすべての新しい動きをどのように制御するかを教えます。

 

位相4 機能と協調

我々は位相4を転換期の位相と呼んでいます。  何故なら、患者は社会に出て行けるようになっているからで、彼らはもう麻痺患者ではなく、自分の足を、腕を自分で制御して動かせる能力を持っているからです。  

ただ、杖で歩くにはまだ強さあるいは協調が不足しています。位相3から位相4への転換は長く厳しいもので、しばしばフラストレーションが溜まることでしょう。 それにこの転換には6ヶ月から2年以上もかかることがあります。

それに誰もが回復するという保証はどこにもありません。 位相4の突破口を掴んだ患者の多くは杖を手に歩くようになっています。

 

何故このようなことが起こるのでしょうか?  我々がこれまでに学んで来たこと、我々が患者に教えて来たことは、動きが更なる動きを作り出すと言うことです。

一度、緊張や痙攣に打ち勝てれば、制御された動きが起こります。 更なる動きが簡単になり、簡単が故に活動レベルが増加します。 活動レベルが増加すれば、患者は改善をし続けます。 ダウンヒル(滑降)を行うようなもので、一度加速すれば貴方は速いスピードで滑り降りることが出来ます。

 

位相4は、全体の回復プロセスのように、別々のステージ(段階)で起こるわけではありません。 各ステージは次のステージとオーバーラップしています。 患者は、通常、他の動きを制御できない状態で、ある領域において協調した動きを始めます。

例えば、ある患者の片足は良好で他方の足はそうでない場合があります。 この場合には、彼らは可動性を持っていますが、依然、彼らの神経システムを使うことを再学習中でもあります。ダルジンスキ法は、全体として神経システムに作動して、神経システムの相違点に働きかけます。 神経システムが成熟を続ければ、体のそれぞれの機能がゆっくりと回復してきます。

毎日、我々は機能不全の歩行を緩和することを目的に、体が機能できるように訓練を行っています。 貴方が歩行を始める前に、また、代償行為が悪化する前に、歩行パターンをフィックスするのは難しいことではありません。

 

もし貴方が足を動かせるなら、そして貴方が正しい刺激と専門のプロフェッショナルから正しい知識を持っているならば、必ず歩けます。 我々のバックグランドと経験が結合したパフォーマンス・トレーニングは、この段階で、全く異なる考え方を示すでしょう。

我々は患者を運動選手のように訓練し、彼らに上手に歩く技術を教えます。 これらの技術をマスターすることにより、体はゆっくりと協調を取り戻し、弾みがついたように回復するでしょう。

 

訓練ガイドライン

アポイントメント

ガイドラインは個人ベースでセットされます。 貴方の体が進化すれば、いつでもガイドラインはそれに伴い変化します。 

最大の誤認識は、自分が1日6時間とか8時間の訓練が必要だとい思い込むことです。 我々のプログラムは訓練の質と集中度、それにそれが生み出す結果にフォーカスを当てています。 各患者は少なくとも1人の専門家がいつも付いています。

また2人、あるいは、それ以上の専門家が特別な動き、あるいは、特別な技術を行う時に手助けとして関わりあいます。

我々は、休息を取ることと回復について、その重要さを強調して来ませんでした。 人間の体は訓練と休息の適切な時間が与えられることで強化されます。 このガイドラインに従って訓練と休息を取る患者は良くなり、従わない患者は苦しむことになります。

 

訓練処方

回復のこの段階で、精神的、神経システムの疲労が実際の筋肉疲労に取って代わり、貴方は筋肉の痛みを経験し始めるでしょう。 ダイエットと休息が非常に重要になって来ます。過度な訓練は逆効果になります、単に回復を遅らせることとなるでしょう。

 

この位相で、個人の訓練は以前にも増して、より専門化して来ます。 間違ったプログラムは、緊張と痙攣を一層激しく激しくするだけです。 如何に患者が適応するかを学ぶのは長年の経験だけです。 最も優れた専門家だけが位相4の患者を訓練します。 神経システムに再び歩くことを教えるのは簡単なことではありません。 そのため最も経験豊な専門家にこの転換を見てもらうしかありません。 始めの頃は、貴方の毎日の訓練はほとんど協調に力点が置かれるでしょう。 そして、貴方が進歩を続ければ、立ち上がり訓練に時間を費やすようになるでしょう。 ここから貴方の第1歩が始まります。

 

貴方はフロアでほぼ100%の協調を持って、動いている間中、貴方の足を制御する必要があります。 フロアでの動きのパターンを完全なものにすれば、実際に歩くに必要な協調が発達することとなります。 

我々は、繰り返し繰り返し、それらが強化されるまで、貴方の弱点に働きかけてきました。我々のセンターは、刺激を与え、協調を発達させることを目的に設立されましたから、我々はそういう道具を数多く持っています。

 

付加的様相の示唆

プール歩行訓練

位相4ではいつでもこの訓練を始めても問題はありません。 患者はProject Walkで行っているダイナミックな動きのパターンが出来ますから、それを立ち位置で真似してください。重力を加えると、患者は腰と膝の屈曲を助けるために踝のウェイトをかけざるを得ません。繰り返し行ううちに貴方のバランスは改善されます。

 

マッサージ

床ずれや筋肉疲労にはマッサージが使えます。 貴方の回復時間を助けることになるでしょう。 マッサージは必須と言うことではありませんが、とても効果的で気分も良くなるでしょう。一度試されれば、貴方の体は感謝することでしょう。

 

鍼治療

多くの患者が鍼治療を受けています。 役員会で認定されたマイクル・エイコンが現場におり、実際に患者を診ています。

 

心臓血管エクササイズ

心拍数を上げ、血流を良くすることは良いことです。 固定されたバイク、ロウイング(漕ぐ)・マシン、ベルサクライマー、あるいは、スイミングを行ってください。外に出て体を動かして下さい。

 

実社会活動

貴方はもう機能があるのですから、それを使いなさい。 神経システムは使えば使うほど、早く学ぶことが出来ます。 この位相で、様々な活動を行う患者の方が回復が早い、と言う結果が出ています。 ですから、我々は貴方に外に出て遊びなさい、とアドバイスします。Project Walkのネットワークを通じて、様々な機会が提供されますから、活用して下さい。

サンディエゴ地域では、貴方が考えられるすべての活動、つまり、乗馬、スキー、カヤック、サーフィン、ハンドサイクル、それに車椅子スポーツもあります。もっと詳しく知りたい方はクリックして下さい。

 

装置を寄付しなさい

外部電気刺激・FESバイク

この段階では、もうこれらは必要ありません。 必要な人に寄付してください。 貴方は固定されたバイクに乗れますし、外では三輪のwheelerに乗れます。 患者の一人は自分のマウンテンバイクに訓練用のwheel車輪を乗せています。

 

立ち上がりフレーム

これももう不要なので、寄付して下さい。 貴方は、足の上にボールの重さをかけ、膝を幾らか曲げ、腰は屈曲させて、運動選手のポジションを完全なものにしようと訓練しています。立ち上がりは、もうサポートがなくても出来ることなのです。

 

位相4の症状

貴方は肉体的に疲労困憊となるので、夜はよく眠れます。 また、疲れの経験、あるいは、筋肉疲労を感じるでしょうが、食欲は増大することに気付くでしょう。

 

位相4から位相5へ

これはとても素敵な転換です。 次第に、貴方はより長い時間、立ち位置で過ごすことが出来るようになり、これが歩行の第一歩を完全なものにします。 位相5での訓練は位相4と同じですが、一層高いレベルになります。 すべてが複雑になります。 事故以来、初めて貴方は内耳(バランス)を自分のものとし、貴方の上肢、下肢を繋ごうとします。

頸髄損傷患者は、時として強い足を持っていますが、上肢が弱く、進歩がスローダウンします。 ダイヤルチューナーつきのラジオを思い浮かべて下さい。 床についていれば、貴方が聞きたいラジオ局は簡単に見つかりますが、立ち上がった時には雑音を拾うでしょう。

練習で、ラジオ局を明確に受信するようになります。 貴方が訓練時間の間、床ではなく、良い長い時間立ち上がっていることが出来れば、貴方はもう歩行プログラムを卒業します。

コングラチュレーションズ!

 

 

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