[三国志演義] 第四十二回~第五十一回


2002.2.11 (Mon)

[三国志演義] 第四十二回 張翼徳大いに長坂橋を閙がし、劉豫州敗れて漢津口へ走る

劉備の逃避行(後編)。

長坂橋では張飛が大活躍。まずは単身橋の上に陣取り、曹操軍百万に対してメンチをきる。続いて大喝すると、何とびびった夏侯傑が落馬してしまった。張飛の態度に恐れをなした曹操は一目算に逃走。大将たちも我先へと逃げていく。張飛はハッタリによって窮地を脱した。

ところで、本文中には書いてないけれど、おそらくほんのり漏らしたろうな。曹操は。

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2002.2.12 (Tue)

[三国志演義] 第四十三回 諸葛亮群儒と舌戦し、魯子敬力めて衆議を排す

共同で曹操にあたろうと、諸葛亮は孫権を説得しにいく。

張昭 「お前は荊州を曹操に取られたではないか」
諸葛亮 「その昔、高祖も連敗を喫したが垓下の一戦で勝利した。いたずらに弁舌を弄び、有事の際に役に立たない貴様は天下の物笑いじゃ」

虞翻 「さんざん打ち破られた癖に強がり言うな」
諸葛亮 「時の来るのを待っている。要害がありながら主君に降伏を勧める貴様は天下の物笑いじゃ」

歩シツ 「お前は張儀・蘇秦を気取っているのか?」
諸葛亮 「無知な貴様は、彼らが豪傑だったことすら知らないようだな。張儀・蘇秦を笑う貴様は天下の物笑いじゃ」

薛綜 「漢朝は死んだ。天下の三分の二を握る曹操に敵うわけあるまい」
諸葛亮 「忠孝をもって漢朝に報いない貴様は天下の物笑いじゃ」

陸績 「曹操は功臣・曹参の子孫だが、お前の主君はただのむしろ売りに過ぎないではないか」
諸葛亮 「この蜜柑泥棒ふぜいが何を言うか。我が君は今上陛下ご公認の皇族じゃぞ。差別心剥きだしの貴様は天下の物笑いじゃ」

厳シュン 「そもそもお前は何者だ? どんな典籍を修めたのだ?」
諸葛亮 「わしは貴様ら腐れ儒者とは違う。せいぜい硯を刷ることしかできない貴様は天下の物笑いじゃ」

程徳枢 「ただの学問コンプレックスじゃないか」
諸葛亮 「儒には君子と小人の区別がある。貴様のは小人の儒、わしのは君子の儒じゃ。空理空論を弄ぶ貴様は天下の物笑いじゃ」

そして、大ボス・孫権が登場。

孫権 「曹操軍は数が多い。戦ったほうがいいか。それとも降参したほうがいいか」
諸葛亮 「幕僚の力を考え、勝てると思ったら戦え。負けると思ったら降参しろ」
孫権 「劉玄徳はなぜ降参しない?」
諸葛亮 「我が君が他人の下につくようなタマかよ。貴様とは違う」
孫権 「て、てめぇ……」

かくして諸葛亮は孫権を説得したのであった。

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2002.2.13 (Wed)

[三国志演義] 第四十四回 孔明智を用いて周瑜を激し、孫権計を決して曹操を破る

今度は周瑜を説得する。

周瑜 「わしは曹操に降参するつもりだ」
諸葛亮 「うむ、それが良い。貴様じゃ曹操には勝てん」
周瑜 「さすが孔明殿。よく分かってらっしゃる」
諸葛亮 「しかし、二人の人間を差し出せば事はもっと簡単じゃぞ。これを得たら曹操はあっさり引き揚げるじゃろう」
周瑜 「ほほう。その二人とは誰ですかな?」
諸葛亮 「二喬じゃよ。貴様の嫁・小喬と、先主の未亡人・大喬じゃ。そいつらを貢げばいいのじゃ。銅雀台(ハーレム)に入れればいいのじゃ」
周瑜 「……」
諸葛亮 「もし曹操に送るんじゃったら、その前にちぃと味見させちくれ。ひひひひひ」
周瑜 「て、てめぇ……」

かくして諸葛亮は周瑜を説得したのであった。

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2002.2.14 (Thu)

[三国志演義] 第四十五回 三江口に曹操兵を折たれ、群英会に蒋幹計に中る

蒋幹が周瑜のもとを訪ねる。蔡瑁死す。

周瑜という人物は、巷ではイケメンとしてその筋の人たちに大人気らしい。美周郎というあだ名と、早死にしたところと、孫策と親密だったところなどが、人気の源のようだ。

それにしても、その筋の人たちは周瑜がさんざんに貶められた『演義』の存在をどう思っているのだろう。諸葛亮の当て馬として、事あるごとに出張っては負けてしまう周瑜。いつもいつも諸葛亮の才能に嫉妬している周瑜。最終的には憤死までさせられてしまう周瑜。

しかし、この回ではそんな悲劇的な周瑜像とは違った、彼のユーモラスな一面を垣間見ることができる。曹操配下の蒋幹が説得しにきたのを逆手にとるため、周瑜は一芝居打つのだけど、その芝居っぷりが楽しい。何せ彼は酔ったふりをして、「床に倒れこむなりあたりかまわず食ったものを吐き散らした」(上 p.403)のだから。おいおい、何も吐き散らすことはないだろ。吐き散らすことは。普通に酔ったふりでいいではないか。

周瑜という人は悪ノリするタイプなのだなと思った。

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2002.2.15 (Fri)

[三国志演義] 第四十六回 奇謀を用いて孔明箭を借り、密計を献じて黄蓋刑を受く

十万本の矢と苦肉の策。

奇想天外な方法で十万本の矢のかき集める諸葛亮。体を張って「裏切り」を演出する黄蓋。この二つのエピソードは『正史』にはない、全くのフィクションだけれども(モデルはあるらしい)、はっきり言ってこれを考えた奴は神だと思う。知略それ自体に爽快感があるし、大戦前の盛り上げとしても上々。こういう創造性が『演義』を面白くしているのだ。

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2002.2.16 (Sat)

[三国志演義] 第四十七回 カン沢密かに詐りの降書を献じ、ホウ統巧みに連環の計を授く

苦肉の策と連環の計。

曹操、苦肉の策を見破ったかと思いきや、結局はカン沢に言いくるめられて引っ掛かってしまう。日限を切ったらもしものときが大変だ、と説得されたみたいだが、たぶん、そんなロジックは問題じゃなかったのだろうな。死を宣告してもカン沢があまりに堂々としていたので、ついつい信用してしまったのだ。長坂橋の張飛といい、この回のカン沢といい、嘘をつくには胆力が不可欠であることをよく表している。

その後、鳳雛ことホウ統が連環の計を仕掛けに曹操陣営に赴く。同じ連環の計でもこちらは船同士を鎖で繋ぐことで、第八回で登場した、女を使って君臣の仲を裂くアレとは異なる。

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2002.2.17 (Sun)

[三国志演義] 第四十八回 長江に宴して曹操詩を賦し、戦船を鎖いで北軍武を用う

優雅に船旅。

曹操軍に随行していた徐庶が、一仕事終えたホウ統を捕まえ、身の処し方を尋ねる。ホウ統、徐庶に妙計を授ける。徐庶、ホウ統のアドバイス通り、西涼軍動くの噂をまき散らし、それに備えたいと曹操に言ってとんずら。赤壁の敗戦に巻き込まれないようにする。

良くできている。体は売っても心は売らないという徐庶の設定はかなりおいしいと思う。もっと活かせば良かったのに。

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2002.2.18 (Mon)

[三国志演義] 第四十九回 七星壇に諸葛風を祭り、三江口に周瑜火を縦つ

諸葛亮が東南の風を起こす。

私の記憶では、諸葛亮はこの時期に東南の風が起きることを知っていたというカラクリだった。七星壇を設けてのたうち回ったのは、ただの演出だったと思っていた。ところが、今回改めて『演義』を読んでみると、そういった種明かしが成されていなくて驚く。記憶違いだったのか。それとも見落としただけなのか。

鎖で繋がれた曹操軍の船団に、黄蓋の火船が突っ込んでメラメラ。東南の風と相俟って、火の手は広範囲に及ぶ。

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2002.2.19 (Tue)

[三国志演義] 第五十回 諸葛亮智をもって華容に算り、関雲長義によって曹操を釈つ

曹操の敗走。

この回は凄いよなあ。曹操と関羽の接触を考えた奴は神だと思う。昔日の恩から曹操を見逃す関羽。この場面は、『演義』最大の見せ場と言っても過言ではない。

とはいえ、諸葛亮がこのことをお見通しだったという設定は、盛り上がりに水を差す。知謀の士としてのポイントを稼がなければならないのは分かるけれど、ここで奴の影が見えるのははっきり言ってぶち壊しだ。野暮ったい。

袁紹からの降将、馬延と張凱が甘寧に斬られている。どうでもいい将を殺すことで、激戦なのに生え抜きの将が死なない不自然さを隠しているのだろう。『演義』の中の人も大変だ。

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2002.2.20 (Wed)

[三国志演義] 第五十一回 曹仁大いに東呉の兵と戦い、孔明一たび周公瑾を気らしむ

諸葛亮が南郡を乗っ取る。

周瑜と曹仁がバチバチ殺りあってる隙に、諸葛亮は漁夫の利で南郡をゲットした。そこで周瑜はぶち切れだ。何と矢傷が張り裂けて昏倒してしまう。『演義』での周瑜は、「駄目な奴は何をやっても駄目」というか、不条理劇の主人公というか、そういうかわいそうな運命を背負わされている。痛々しくて見てられない。

一方、周瑜相手の諸葛亮には、ネズミをいたぶる猫みたいな陰険さがある。何か楽しそうだ。

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