[三国志演義] 第六十九回~第七十八回


2002.3.11 (Mon)

[三国志演義] 第六十九回 周易を卜して管輅機を知り、漢賊を討たんとして五臣節に死す

管輅登場。

イリュージョニスト左慈と入れ替わるようにして登場したのが、超魔術師ミスター管輅である。彼は「周易パワー」で透視から予言までこなすマエストロだ。以下にその実績を箇条書きで記そう。

  • 女の亡霊が悪さをしているのを指摘した。
  • 屍の体位が原因で頭痛が起きていることを指摘した。
  • 箱の中にいれた物質を透視した。
  • 牛泥棒の居場所を念視した。
  • 若者の寿命を言い当てた。
  • 仙人に寿命を延ばしてもらうよう若者に助言した。

まさに種も仕掛けもない超魔術。そんなミスター管輅が北の将軍さまのところへやってきた。

さて、魏の賓客となったミスターは、次のような予言をしてことごとく的中させる。

  • 呉で大将(魯粛)が死ぬ。
  • 蜀が魏に攻めてくる。
  • 許都に火災が起きる。
  • 漢中で魏の大将(夏候淵)が死ぬ。

まさに種も仕掛けもない超魔術。その才を見込んだ曹操は太守の地位を差し出すも、ミスターはそれをきっぱり断っている。さらに曹操は自分と配下の寿命を尋ねるも、ミスターはのらりくらりとかわして言わずじまい(何たる保身能力)。第六十八回とこの第六十九回はオカルト色が濃厚で、殺伐とした物語において良いアクセントになっている。

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2002.3.12 (Tue)

[三国志演義] 第七十回 猛き張飛智をもって瓦口の隘を取り、老いし黄忠計をもって天蕩山を奪う

雷銅死す。

張飛が自身の酒癖の悪さを逆手にとったような計略を用い、魏の張コウを打ち破る。その後、雷銅が張コウに討たれるも、張飛は山登りで張コウを挟撃して勝利する。蜀に入ってからの張飛は絶対に覚醒していると思う。

後半は黄忠と厳顔の老人コンビが大活躍だけど、それにしてもみんな黄忠をバカにし過ぎ。魏延のみならず、この回では趙雲までが「老人め!」とバカにしている。さらに後に五虎将軍が決定するときにも、関羽が「老人と同列は嫌だ」とバカにしてるし。これって儒教的にありなの?

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2002.3.13 (Wed)

[三国志演義] 第七十一回 対山を占めて黄忠逸をもって労を待ち、漢水に拠りて趙雲寡をもって衆に勝つ

夏侯淵死す。

山頂から夏侯淵の動静を観察していた法正が、そのたるみを見てとって黄忠に合図を送る。合図を受けた黄忠、果敢に突っ込んで夏侯淵を真っ二つにぶった斬る。魏の名だたる将が討ち取られたのって、けっこう久しぶりじゃないだろうか。しかも、夏侯淵は挙兵以来の勇将だし。

続いては魏軍の糧秣を焼き払う作戦。黄忠がその先陣をきるも、徐晃と張コウに阻まれてしまう。そこへ趙雲が救援に駆けつけ、長坂坡以来の武勇を見せつける。思えば、この頃が劉備一党の黄金時代だった……。

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2002.3.14 (Thu)

[三国志演義] 第七十二回 諸葛亮智をもって漢中を取り、曹阿瞞兵を斜谷に退く

鶏肋殺人事件。

どうも魏には空気の読めない人が多いようで、第三十三回の許攸や第四十回の孔融、第五十六回の許チョなんか、それの代表格だと思う。で、この回にも彼らに匹敵する空気の読めない男が、その性質ゆえに悲惨な目に遭う。いったい誰かというと、第六十回で張松と激論をかわした、名探偵・楊修である。

楊修はこれまでに、名探偵の名に恥じない、快刀乱麻を断つような推理を披露してきた。以下にその実績を記そう。

  • 曹操が門に「活」と書いたのを「闊」と読みとった。そして、門を改造した。
  • 曹操がクリームに暗号を施したのを読み取って、一同に分け与えた。
  • 曹操が寝たふりして近習を斬り殺したのを見破った。

さて、そんな名探偵がこの回で曹操の「鶏肋」発言に出くわす。幕下一同、その真意を測りかねていたが、楊修だけはそれを見破り、退却の準備に取りかかる。何と、「鶏肋」は「退却」を意味していた! だが、その小賢しさが曹操の気に障り、「勝手に退却の準備すんな」ということで楊修は斬られた。

というわけで、教訓。組織人は名探偵になれない。

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2002.3.15 (Fri)

[三国志演義] 第七十三回 玄徳漢中王の位に進み、雲長襄陽郡を攻め抜く

劉備が漢中王になる。

第六十六回で「関羽は強気だ」と書いたけれど、この回の関羽はもっと強気だ。何せ娘にあった縁談の話を、「虎の子を犬の子にやれるか」(下 p.115)と突っぱねているのだから。しかも、「犬の子」というのは孫権の息子のこと! もう完全に喧嘩を売っている。「東呉と和せよ」という諸葛亮の助言は忘れたのか?

また、中盤では「黄忠みたいな老人と同列に扱われたくない」とごねたりしていて(結局は費詩に説得されるけど)、この第七十三回は、関羽のプライドの高さがますます強調された回だった。

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2002.3.16 (Sat)

[三国志演義] 第七十四回 ホウ令明ヒツギを擡いて死戦を決し、関雲長水を放ちて七軍をオボらす

ホウ徳死す。

この回の于禁はヘタレ指揮官として描かれていて、何かと勇猛果敢なホウ徳の足を引っ張っている。どうやらホウ徳に手柄を立てさせたくないらしい。上官がそういう卑怯者だから、ホウ徳が潔く死んだことが際だつ(しかも于禁は命乞いをしている!)。関羽にも犬・豚扱いされたりと、于禁は今までにないヘタレっぷりを発揮している。

なお、この回で関羽は肘に矢を食らい傷を負った。矢を放ったのはホウ徳。

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2002.3.17 (Sun)

[三国志演義] 第七十五回 関雲長骨を刮って毒を癒し、呂子明白衣にて江を渡る

関羽の手術。

関羽の肘は、トリカブトの毒に骨まで冒されていた。そこで天下の名医・華佗が、骨を削る手術で治療する。その際、クランケ本人の意向で、麻酔なしの、それも碁を打っている状態でのオペになった。なかなか風流な趣向である。腕から血を流しながらの囲碁はさぞ格別だったろう。

術後、関羽はハン城を攻める。その隙に呉は、狼煙台を無効化して荊州に攻め入る。この回では傅士仁が、そして次の回では糜芳が呉に降る。糜芳は魏でいえば于禁みたいなポジションだろうか。どちらも主君に長期間付き従っていたのに、人生の土壇場で節を全うできなかった。

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2002.3.18 (Mon)

[三国志演義] 第七十六回 徐公明大いにベン水に戦い、関雲長敗れて麦城に走る

関羽の敗走。

関羽のハン城攻めは徐晃に阻まれ撤退。襄陽は既に呉に占領されていたので、麦城という小城に立て籠もることになる。関羽、上庸の劉封と孟達に援軍を求めるも、日頃の尊大な態度が祟って拒否される。

関羽といい張飛といい、日頃の態度のせいで……というパターンが目立つ。劉備は注意しなきゃ!

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2002.3.19 (Tue)

[三国志演義] 第七十七回 玉泉山に関公霊を顕し、洛陽城に曹操神に感ず

関羽死す。

結局、関羽は呉に捕まって首を斬られた。まだ捕まっていない関羽配下たちも次々と自殺した。

しかし、関羽は死んでからが凄い。何と、呂蒙に憑依して呪詛の言葉を吐きかけ、七穴から血を流させて殺してしまった! さらに、その後関羽の首は魏に送られるのだけど、ここでも彼は騒動を起こす。何と、曹操にメンチを切って気絶させてしまった! この回の関羽はまさに神。こういう冗談みたいなエピソードが平気で入っているから『演義』は面白い。

ちなみに、『演義』の地の文では「関羽」という表記は数えるほどしかない。ほとんどが「関公」か「雲長」である。これは『演義』が書かれた当時、関羽が神として崇められていたことに由来するらしい。神の名を軽々しく表記するのはいかん、ということのようだ。

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2002.3.20 (Wed)

[三国志演義] 第七十八回 風疾を治さんとして神医身死り、遺命を伝えて奸雄数を終える

曹操死す。

神医・華佗が北の将軍さまの元に召される。頭痛を治してくれという。華佗は将軍さまの頭に穴を空ける外科手術を所望するも、用心深い将軍さまはそれを拒否。逆に「わしを殺そうとしているな」と収容所へ送り、華佗を粛正してしまった。『演義』の曹操はこういうので地味に悪事ポイントを稼いでいる。

その後、将軍さまは死亡。国葬が執り行われた。

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