| 小樽地獄坂メモ(1) 架空のお話ではありません。僅か60年前のことです。 全国各地から北海道の小樽高商へ集まって、敗戦という特異な 背景の中で三年間を過ごした同級生たち一人一人が、 時代の中で感じた生き方を、思い出として率直に書き、 資料を加えて物語風に編集したのが、「小樽地獄坂」です。 平成元年に成瀬書房から出版致しましたが、世間の思考の 移り変わりの際立つ今の時代に、あの頃こんな学生もいたことを そんな昔の話と思われる方にも、あの時代なら分かっているよ と言う方にも読んで戴きたく、主な内容を改めて編集し直し ました。 当時は存在しなかった、インターネットの世界を得た現代に ホームページとして掲載いたします。 編集責任者:北村昭三 |
| 小樽地獄坂メモ(3) 「山口県立徳山中学第45期生の証言・太平洋戦争と中学生」 という本を頂戴致しました。 海兵、陸士など軍関係の学校への進学者が多いという名門中 学校へ、昭和十六年に入学し、日本敗戦の日までの、 次第に 厳しくなる戦時体制の中での生活を回顧した同期生たちの手記 をドキュメンタリー風に編集した異色の証言集です。 この学校特有のエピソードや、軍事教練の話、勤労動員、そし て大空襲のことなど、多岐に亘る内容豊富な証言が具体的に生 き生きと記されています。 教練の時間に、軍人勅諭を模写する試験があり、半分も進まな い所で終了のベル。ダルマの絵を描く。手も足もでないという冗句 だった。 これに怒った現役将校の軍事教官は「畏れ多くも天皇 陛下のお言葉の中にダルマとは・・・」教官は、この生徒には「反 戦思想がある」と主張し大事件となる。この事件を表沙汰にしな いために、先生方の懸命な努力で一応の決着を見るのだが、そ れで終ったわけではなかった。中学の繰上げ卒業を待って、この 十七歳の少年に召集令状が配達された。「思想に問題があり」 とされた者は、先ず召集して軍隊に入れて苛め抜き、一番危険 な最前線へ追いやられるという結末が待っていた。 勤労動員で働いていた海軍燃料廠は二十年五月、百機を超す B29の大空襲により壊滅するが、この時の生徒たち一人一の 詳細な証言と恐怖感には迫力があります。この時、動員学徒に も、四名の悲しい犠牲者がでています。 七月には徳山中学も市内への大空襲によって全焼、燃料廠か ら配置転換になった者は光海軍工廠で動員を続け、八月十四日 に再びB29の空襲を受けるのでした。 その翌日が敗戦の日であった。 太平洋戦争が始まりそして終るまでの、異常な環境の中での 中学生の実態を記録した貴重な文献としても、非常に興味深く 読みました。 |