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2004/1/24

 タイ政府もやっと観念したのか、鳥インフルエンザ患者の存在を認めたようだ。
地元ニュースもトップで報道している。
以前サラブリでブロイラーの仕事をしていた日本人から聞いたことがあるが、
鶏の病気の感染スピードというのはすごいものらしく、
一羽感染するとあっという間に鶏舎丸ごとアウトになるとか。
広い敷地に距離を置いて鶏舎を建てるのも、そうした事態を警戒してのことらしい。

日本はというと、例によって、すかさずタイチキン輸入禁止。
これで日本のみなさんは安心です。よかったよかった。
とはいえ、私は毎日のように、ここバンコクでチキン食っている。
カオマンガイ、ガイヤーン、クイティオガイ、パッガパオガイ……。
某MIT隊員のように、ある日突然ピタリと日記の更新が止まったら、
そのときは私の身になにかマズイことが起こったと理解しといてください。




2004/1/29

 個人的にはほとんど気にしていなかったのだが、
街の様子があまりに極端なので紹介せずにはいられない。
タイのみなさんも本当にマスコミ報道には弱いようだ。
タイ国内ではここ数日、鳥インフルエンザ感染による死者が次々確認されているが、
その報道の影響がもろに出て、
なかなか切羽詰まった状況を市内あちこちで目の当たりにするのである。

 オフィス街のクーポン食堂。
客でごったがえしているランチタイムなのに、
カオマンガイ(タイ風チキンライス)を出すブースの前だけはガラガラ。
海を渡るモーゼみたいに、そこだけぽっかり風通しのよい空間ができている。

 客が激減したKFCは、少しでも売り上げを伸ばそうとしてか、
店の前の即席露店でKFCグッズの販売を始めている。
売ってるグッズはチキン柄のペンケースとか切なくなるようなものばかりだが、
とっとこハム太郎
の水筒だけは、お昼休みのOLさんたちの熱い視線を集めていた。

 某レストランのタイ料理ビュッフェにも行ったが、
ずらりと並ぶメニューから鶏肉料理は見事に消えており、
豚肉のスープ、豚肉の炒め物、豚肉の煮込みと、ポークづくし。
ぶーちゃん一色……とっても地味だ。

 チキンスープをポークスープに切り替えた某タイスキ店にいたっては、
苦し紛れにワニ肉プロモーションをスタート。
USビーフ輸入禁止で揺れる日本の牛丼屋みたいに、悪戦苦闘している。

 某和食レストランを経営する日本人おやじによると、
仕入れに行ったら市場からも鶏肉が消えていたらしい。
おやじは、「これで和食の真髄である魚料理を注文する客が増える!」と、
変な張り切り方をしているようだが……。

 そんなこんなのバンコク・チキン現場。
中でも一番哀れを感じたのは、タニヤのカオマンガイ屋台だった。
ランチタイムはおばちゃんが殺気立つほど混雑する人気店だったが、
昨日通りかかったら、
「いまは〜もう秋〜だれも〜いない海〜♪」
と歌いたくなるような有様。
客がいないだけでなく、ガラスケースの中にぶらさがってるはずのチキンの姿ももはやない。
路上にあふれるほど並べていた客のためのテーブルやイスも極限まで規模縮小され、
すっかり老け込んでしまったおばちゃんが虚ろな目をして、
「カオカームー(タイ風ポークライス)はいかがー」と、力なく呼び込みしていた。
チキンライスの専門店がある日突然ポークライスを出すようになったって、
だれも食べに来たりしない。
目を覆いたくなるような惨状だ。
よく行く屋台だし、できるものなら食べてあげたいと思ったが、
味里でトンカツ食った直後だったので、目を伏せ足早に通り過ぎてしまった。
許せ、おばちゃん。
「人間なんてらら〜ら〜らららら〜ら〜♪」




2004/2/4

鳥インフルエンザ汚染指定地域は気前よく増え続けている。
お役所も最初は、王宮前広場のハトを抹殺するとかいってればよかったが、
ここへきて、冷え切ったチキン消費をなんとかしようと必死だ。
それほどまでに、タイのみなさん、ニワトリ食わなくなっちゃったのである。

「タイの社会問題の8割は無料コンサートで解決される。」
というセオリーに従い、
グラミーRSのスターを集めたチキン消費促進コンサートも計画されているらしいが、
今日は11チャンネルで、ひときわ強引な特別番組が放送されていた。

ケンタッキーやチェスターズグリルなど業界各社が、
テレビ局の前に学園祭の屋台みたいなやつをオープンし
フライドチキンやタマゴを通行人に無料で配りまくるという販促キャンペーンの様子が
延々と生中継されたのである。




KFCのバケツを鼻先に突きつけられ、笑顔で力強くほおばるおばちゃん。
雇われ素人さんの命をかけたパフォーマンスが感動的だ。




突如スーパーの鶏肉売り場に画面がスイッチ。
美人リポーターの背後でここぞとばかりにチキンを購入する精鋭エキストラ部隊。




親類縁者がみなホロコーストにあったものの
自分は運よく粛清を免れキョトンとしているニワトリ。




火を通したものを食べるぶんには全く問題ないべと
クールな棒読みで視聴者を説得する偉い人。




スキをついて流れる政府広報プロバガンダCM。
ケンタッキーフライドチキンを元気よくパクつくタクシン首相の静止画像に続き、
「調理済みのチキンを食って感染したら10万バーツ、
そんでもって死んじゃったら300万バーツ、
この私がポケットマネーで払ってやる!」

うっとりするほど頼もしい首相の言葉が
画面いっぱいにババーンと大きく映し出されて……。



2004/2/7

ついに王宮前広場で、政府主催の大々的な鶏肉消費促進キャンペーン
Chicken Eating Festivals が開催された。
例によって、11チャンネルが、伸びきったパンツのゴムみたいに、
緊張感のかけらもなくダラダラ生中継だ。
土曜の午後にそんな番組ずっと見てる自分も、かなり情けなくはあるが……。



先鋒は、不自然極まりない家族の会話満載の政府広報CM。
「ママ、ニワトリ食べても大丈夫なの?」
「ちゃんと加熱してるから全然心配しなくていいのよ!
さ、今日の晩ごはんはオムレツとフライドチキンだからね!」
「うわぁーい!ママ、ニワトリって本当においしいね!!」



場面変わって、王宮前広場からのライブ映像。
チキン料理がただで食い放題と聞き、
屍肉に群がるゾンビのように押し寄せ、獲物に手を伸ばす大群衆。
最近では、だれも買わないため、
スーパーの生鮮食品売り場からも鶏肉は姿を消しているが、
ただで配るとなると殺到して鬼のような形相で争奪戦を始めるのだから、
タイの人も何を考えているのかよくわからない。



16時半、タクシン首相も王宮前広場に到着。
今日は気合い入っているのか、ワイシャツは第二ボタンまではずし、
角のとんがった紫色のサングラスを着用。
まるで香港の組織から送り込まれてきた凄腕スナイパーのようだ。
会場に着くなり、広場のチキン屋台めがけて突進する首相。
有無をいわせず手づかみでムシャムシャやりだし、ワイルドな魅力を炸裂させる。
写真は国民的歌手バード=トンチャイと首相。
バードが左腕を首相の太ももにのせているように見えるが、首相もまんざらでもなさそうだ。
その筋のみなさんにはたまらない貴重なツーショットである。



大観衆の前で、特製チキン料理「さかさまタマゴ」を自らつくってみせる首相。
写真は少しわかりにくいが、
左端にいる悪の越後屋みたいなのがサマック・バンコク都知事。
息子を無理やり四谷大塚に入れた教育ママみたいな中央の女性がスダラット保健相。
後方で顔が上半分しか見えていない長身の青年が
自らカオマンガイ屋台チェーンを経営する人気歌手ジェームズ。
首相の右後ろにいる白いタンクトップのノムヤイがベテラン歌手クリスティーナ。
思わず下着を汚してしまいそうなほど豪華な顔ぶれである。



白熱のイベントはもちろん夜まで続いた。
1万個のタマゴをぶちこんだという世界最大のガイパロー(漢方シチューみたいの)づくり、
ニワトリ・アヒル・ガチョウを食いまくる大食い野郎コンテスト(優勝賞金5000バーツ)、
そして、人気歌手勢ぞろいの野外コンサート(当然入場無料)。

3才児でも想像のつくオチゆえ、いまさらこんなこというのも心苦しいが、
鳥インフルエンザだけに、コンサートのトリはバード=トンチャイ……ごめんちゃい。