かけ足のイサーン



「イサーン」と総称されるタイ東北部。なんとなく、「貧しい」とか「出稼ぎ」とかってイメージで語られる事が多いのは、なぜかしらん。中でもシーサケットっていう所は極貧県だって、某フチの青いガイドブックに書いてあった。本当なんだろうか?どうやって各地の貧乏度を測定したのかな?

というわけで、出発だ。自分の目で確かめなきゃね。

バンコクから車で1号線を北上、サラブリ方面へ折れ、道中、ベトナムで有名なドラゴンフルーツ(タイ名はゲーオマンクォッ)を道路沿いの屋台で調達。2個B80。この辺、産地らしい。王様プロジェクトの目玉で、昨年末堂々の完成をみた巨大なパーサックダムを左に見て、まずはイサーンの玄関コラート(ナコンラチャシマー)へ。

うーむ。にぎわってる。タオスラナリ像のある中心部は平日の昼間っからやたら活気があって、RCAもどきのパブカフェ地帯なんかも町の西側にちょびっとあったりする。「ルート66」そっくりの名前と構えの店とかもあったりして。日本人が集まるレストランもちらほら。この地で働くお父さん達の名刺が壁にペタペタ貼ってある。働くジャパニーズおやじがいるという事は、彼らがストレス発散する場所もあるという事だ。

近くにあるパノムルン遺跡も表敬訪問。アンコールワットを知ってると、ガックリくるが、カンボジアに行くのが面倒くさい人は、ここでクメール遺跡の魅力を味わうのもいいかも。そのまま幹線道路へ引き返し、東へ東へ。プラサートという小さな町の市場でムーピン&カオニャオ&焼きもろこしで腹ごしらえ。

ここから向きを北に変えスリンの町へ。象祭りで有名な町らしく、町の中心にはいきなり「象の像」が立ち並ぶ。うへえ。そのまんまだ。
こぎれいな建物の数も多いし、ビンボーって感じはしない。駅の近くには、ペッカセムデパートなんてのがある。この中に、店名ロゴから看板まで、あっぱれなパクリ魂を見せた「MKスキ」もどきの「PKスキ」(ペッカセムの頭文字か?)を発見。バンコクではおなじみ「Chester's Grill」や「KFC」などもある。レンタルビデオ屋もインターネットカフェもあるし、市街地なら不自由なく暮らせそうだ。ぼったくり料金のでかいペッカセムホテルもあるし、良心的な1泊240バーツのアマリンホテルなんかもある。一見フツーのホテルだが、裏から入るとラブホに早変わりするタイらしいホテルもあった。

スリンで1泊した翌朝は、カオプラヴィハーン(プレアビヒア)遺跡を目指す。スリンからだと、ちと遠い。普通の旅行者は、ウボンラチャタニーからツアーにはいったり、遺跡手前のカンタララークで泊まったりする。

遺跡手前の第一ゲートは8:00-15:30のみ開いている。免許証を預けさせられるが、緊張した雰囲気はない。歴史的な経緯がいろいろあって、遺跡そのものは現在カンボジア領だ。でもパスポやビザなどの心配は無用。エメラルド寺院を見物に行くようなノリでかまわない。外人は遺跡入口階段の所でB200の入場料を取られる。タイ人ならB50。トライしたが、かなりの根性と運と語学力がない限り、タイ人価格で潜り込むのは難しい。

入口にはクメール語の看板があり、敷地内ではカンボジア通貨リエルが使えたりして面白い。警備にあたるタイ兵士の凛々しさに比べ、カンボジア兵士は制服もボロボロで浮浪者のよう。こんな所にも国力の差が..。遺跡はほとんど廃墟同然だけど、頂上から見おろすカンボジアの草原は感動もの。ここは、ぜひ行くべし。タイ国内の観光スポットの中でも、トップクラスの魅力があります。ポルポト派に撃ち落とされたカンボジア政府軍機の残骸や、ほったらかしにされた高射砲なんかもころがっててムード満点。

山頂の涼しい遺跡を後にして、ラオスに隣接する町ウボンラチャタニーには夕方着いた。ロビンソンがあるし、TATもある。周辺イサーン観光の基点都市として、ホテルも20軒ほどあって、なかなかのにぎわい。タイの地方都市にとって、観光資源の存在がいかに町の活気に影響するかがよくわかる。

おりしも有名な「ろうそく祭り」の日。ウボンじゅうの宿は全て予約済み。町外れの病院の病室を観光客の宿泊用に特別に開放したり、建築中のマンションのオーナーが使えそうな部屋を提供したりと、地元の皆さんも商売っ気十分。例によってホテル予約などした事がないMIT取材班は、TATで出くわしたやりてババアに丸め込まれ、作りかけのマンションの1室にB600で泊まる事になる。祭りのメイン会場のすぐそばなのは良かったが、「足元見られちまった価格」ではあった。

2000年の今年は、7月16日、ウボンの中央公園で、日が落ちる頃からライトアップしたろうそく細工の展示が並んだ。ぎっしりの夜店に人の波。汗ダラダラたらしつつ、「ニンニクすりこみ焼きおにぎり」というバンコクでは余り見かけない屋台食をほおばる。

深夜は一晩中のどしゃぶりだったけど、7月17日朝にはやみ、9:30開始予定のパレードは一時間弱遅れてスタート。B200の入場料をケチった取材班は、メイン会場には入らず沿道でパレード見物。ビンボーとは無縁の祭りの熱気と、ろうそくも溶け出す暑さにノックアウトされる。

疲労でぐったりしつつも、ここで当初の使命を思い出す。夏休みの宿題のテーマ「イサーンは本当に貧しいのか?」だ。極貧と称されるシーサケットに寄らねば。

で、率直なシーサケットの感想だが...活気はスリンの60%といったところか。こぎれいな建物の数もぐっと減る。基本的に静かだ。ひと気がないわけでもないのに、なぜか静か。なぜだろう?みんな、お腹空いてるんだろうか?でも、町の真ん中あたりにはショッピングセンターができてて、1階の「KFC」なんか大人気。39バーツのカーネルサンダース人形をおねだりしてるガキンチョなんかいてバンコクと変らない。ここには、またしても「MKスキ」をパクった「MDスキ」なんてのがあった。中心部をチェックしてまわった所、レンタルビデオ屋はあったが、インターネットカフェはなかった。「ウボン→スリン→シーサケット」、イサーンの活気、三段逆スライド方式だ。

帰路、24号線から、コラートには寄らず2号線へ。シキウまでの丘陵を抜ける直線道路は、北海道みたいで爽快そのもの。丁度シーズンらしく、沿道の屋台では、1kg 20〜35バーツでノイナーを売っている。仏様のイボイボパンチパーマに似たこの果物は、ちょっとザラザラした舌触りが特徴だ。

駆け足の2泊3日、走行1475km。あんまり正直な感想を書くと批判を浴びそうなので、今回は、ありがちなフレーズできれいにまとめておきましょう。「貧しいと決め付ける心こそ貧しいのだ。さあ、曇りない眼とオープンマインドで飛び込んでいこう。豊かな自然と素朴な微笑みの地・イサーンへ。」...なんちて。



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【補】
プレアビヘア(カオプラヴィハーン)遺跡、世界遺産登録が決定
カナダのケベックで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は
8日、タイ国境に近いカンボジア領内の山上にあるヒンドゥー寺院遺跡「プレアビヒア
(タイ側呼称、カオプラウィハーン)」を世界遺産に認定した。
タイではプレアビヒアの世界遺産登録を阻止すべきという世論が高まっていただけに、
カンボジアとの協調路線を進めたタイ政府への風当たりが強まっている。
同委員会にオブザーバーとして出席したタイ世界遺産委員会のポンポン委員長によれば、
タイ外相が裁判所の命令について説明したが、世界遺産委員会はこれを無視し、
国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の報告だけに基づき登録決定を決めたとのことだ。
(2008年7月8日 バンコク週報)