クイティオ屋台で儲けよう。


第1部「立志編」
(2000/08/01)

掲示板に一切姿を現さなくなったと思ったら、突如自分のHPを作り出し、「毎日1ページずつ増やして『タイの天声人語』を目指す!」と豪語。案の定、1週間であっさり挫折。今やメールも来なくなって一切音信不通の「ころく隊員」。いきあたりばったりの思いつきで活動する姿には、アジアに長い人間ならではの行動特性が垣間見られます。

そんなころく隊員が、何を思ったか、ある日突然バンコクに出現、転職してクイティオ(米から作ったタイのラーメン)屋台を始めたいとの爆弾発言・・・・捨ててますね、祖国ニッポン。決定即行動のキャラ、もう誰にも止められません。仕方ないので渋々お手伝いしてみましょう。



まずは、市場調査。タイ人に有名な店や評判の良い店を、しらみつぶしにチェック。

【ナコンパトム公園前の有名店】
こしのないセンレック。ルークチン(フィッシュボールなどのネリモノ)も個性ないが、駐車場まであって、なぜかいつも大盛況。

【シーロムITF横のニューフェイス】
しこしこぷりぷりの麺は立派。ルークチンも各種豪勢にのっかてる。ただしスープは油の味しかしない。店内も清潔で、コギャル店員がうじゃうじゃ。隣の雪花杯国際連鎖と違って、日本人にもお奨めできる。

【スクンビット・ソイ1の有名屋台】
不気味なほどウガンダに似た「赤いねじりハチマキ」のおやじが、汗だらだら流しつつ仕上げるクイティオ&バーミーは圧巻。スープにも具にも麺にも、明らかな一工夫&気配りがあり、スクビ在住者なら一度は行くべき名屋台。一杯30バーツと屋台とは思えない価格だが、量が日本の中華料理屋のラーメンほどあり、具もいろいろどっさりなので、納得&満足。

【トンロー高級屋台群】
緑バーミーに蟹のほぐしたのがのってたりして30バーツもするが、決定的魅力に欠ける。

【ラマ4に面したチャーンイッサラビル横の食堂】
キュキュッと縮れた、細いバーミーのシコシコ食感は最高。この歯ごたえは、末代まで伝えて欲しい。ただし、生焼けのムーデーン(チャーシュー)には改善の余地有り。

【スクンビット・ソイ26の有名店】
スープはともかく、クイティオ麺はフニャフニャ。なんで人気あるのか不思議でしょうがない。たしかにベンツ停車率の最も高い店だが・・・。バーミー以外は食う気せず。

【タニヤ路地の店】
茶色スープに、ひたすらアヒル肉をぶっこんだ「クイティオ・ペッ」。タイ人客にかなりの人気だが、スープが甘すぎて日本人にはキビシイ。ただし、20バーツとは思えないボリュームは感動的。タイの普通の屋台の盛りの2.5倍はある。

【セントラル、ロータス、BIG C のクーポン食堂】
気のせいか、クーポン食堂の麺は、どこも印象が薄い。可もなく不可もなく?あるいは、これが長続きの秘訣か?タイ風焼きソバ「パッタイ」や辛いスープの海鮮麺「スッキー・タレー」にした方が、満足感が大きい。



ふうむ。こうしてみると、タイのラーメンといっても実に様々だ。奥が深いぞ。奥が深くてヒダがある、まさに奥飛騨慕情。タイで屋台を始めるからには、日本人なんかじゃなく、タイのお客様をつかまなきゃ。初心に帰って、タイのラーメンの傾向と対策をスタディだ。

◎STUDY 1. 種類と特徴

1)麺の観点から
  @センミー:米を原料にした細麺。
  Aセンレック:米を原料にした中くらいの太さの麺。
  Bセンヤイ:米を原料にした幅の広い麺。名古屋のきしめんの感じ。
  Cバーミー:黄色い中華風ちぢれ麺。日本人がイメージするラーメンに最も近い。

2)汁の観点から
  @ヘン:汁なしで、麺をどんぶりの中で調味料や辛子とあえてそのまま食べるスタイル。
  Aナム:いわゆるスープに麺がはいる普通のラーメンスタイル。
       a) ナムサイ:
        クリアな透明スープ。日本の「ダシ」といった概念は乏しく薄味。

        客がテーブル上の辛子や砂糖やナンプラー(魚醤油)で勝手に味付けする。
      b) ナムトゥク:
        牛の血などを混ぜて茶色くなったスープ。

        なぜか「クィティオ・ルア(舟)」と呼ぶ。
        このスープが売りの店は、店頭にルア(舟)の模型があったりする。
      c) イェンタフォー:
        夢にでてきてうなされそうなピンク色のスープ。

        甘酸っぱいが女子供の食い物というわけでもない。
      d) トムヤム:
        おなじみの辛くてすっぱいスープ。タイ人に根強い人気。


3)調理法
  結局、上記の各麺と各スープの種類を組み合わせて注文する事になる。
  細麺をすんだスープで食べたければ「センミー・ナム」、
  中太麺をスープなしで食べたければ「センレック・ヘン」といった感じだ。
  幅広麺を炒めた焼きソバ「センヤイ・パッシユ(醤油炒め)」などの応用もきく。


◎STUDY 2. 戦略/日本食ブームを視野に入れて

1)タイ都市部での FUJI 等の和食レストランの人気はここんとこすさまじい。どんなショッピングモールにも、たいてい一つは怪しげなローカル和食チェーンがテナントとして入ってる。「茜」「禅」「夢や」等々、メシどきには行列までできてるとこもあったりして。

2)これらの、日本人客比率3%以下の和食店で、タイの人が何をオーダーしているのか冷静に観察。以下の事実が判明した。
  @タイの人にとって、割高な和食は「ハレ」の食事。
    従って、「刺身舟盛り」とか「カリフォルニアロール」とか「鉄板焼き」とか、
    高価なメニューをがんがん注文する。
  A海苔、カニカマ、さばステーキ等、日本人の意表をつく食いものに根強い人気。
  Bやはり、大方のタイ人の和食に対するイメージは「ヘルシー」。
  C特に女性は緑茶や抹茶アイスを好む。
  Dデザートはなぜか、カキ氷が定番。
  E「カレーライス」や「かつ丼」や「ラーメン」など、
    日本男児が普通に食べる日常的庶民派メニューは誰もオーダーしていない。

3)上記の分析から、有効なマーケット戦略は明白だ。普通のクィテイオにジャパニーズテイストをプラス、日本食ブームに乗って、タイの人の興味を引き付けるのが一番だ。名付けて「クイティオ・イープン(日本式米麺)」。
  @スープには抹茶パウダーを小さじ一杯、ほんのり緑色で食欲増進。
  A具は、海苔&カニカマを基本に。
  B50バーツプラスしてピセー(特製)にすれば、さば照り焼きのトッピング。
  C店員は全員、ハッピにネジリハチマキ。

日本人がクイティオ屋台を引けば、話題性は充分。すぐに ITV が取材に来るはず。そこですかさず当店オリジナルメニューを紹介すれば、一気にブレイクだ!順番待ちの行列は必至。まずは屋台で軌道に乗せてから、サイアムスクエアあたりに店舗を構えるぞ!



なんか急に盛り上がってきた2人。アイデアが固まったら、いてもたってもいられなくなったのか、いきなり「鍋を買いに行く」と言い出すころく氏。(どうしてそうなるんだろ?)
金物とかを売ってそうなのって、やっぱりヤワラーあたりか?とりあえず行ってみるが、突き当たりのメリーキングデパート手前あたりに道具や金物や食器類を扱ってる店が多い事が判明した。

聞き込み調査の結果、製造元は限られてるようで、卸してる店を教えてもらったぞ。ラマ3通り近く、チョンノンシの町工場みたいなとこだ。訪ねて行くと、いきなり入り口のとこに金魚の泳ぐ水槽が。金を呼ぶって事で縁起モノなのだ。壁には、漢字熟語の書いてある赤いオフダがペタペタ貼ってあるし・・・こりゃ思いっきり中国系家族経営だ。
聞いてみたら、オーダーメイドでも1300バーツ位で買えるって。初期投資としてはリーズナブル。1時間かけて真剣に鍋を選んだころく隊員。直径18インチの大型ステンレス製に決めたようだ。いいぞ、ころく君。せっかく買うんなら長く使えるやつにしなきゃだもんな。

ここでふと思いつく。屋台スタイルだったら、元締めかなんかがいて、鍋とかリヤカーみたいなのとか一式全部レンタルできるんじゃないの?もう鍋は買っちゃったから、いまさらだけど・・・。パッポンの夜店だって、昼間、解体した露店の骨組みを預けたり、夜になったら露店の組み立てまでやってもらうために、ショバ代とは別に金払ってる人もいるらしいよ。

結局、資金さえあれば、大体の事は他人まかせにできる国なんだよな。だったら道具一式揃える事に時間と労力かけるよりも、スープ作りの腕を磨くとか、おいしくて新鮮な食材の仕入れ先探しとかした方がいいんじゃないか?大人の論理展開に、思わず納得し合う2人。そう、必要なのは正確な情報なのだ。


そんな折りも折り、ソイピパット界隈に、夕刻になると多数の屋台が次々出動していく、いわくありげな屋台の発進基地らしきものがあるとの情報をMIT本部がキャッチ。

さらにダメおしで、こんなメールまで頂いたぞ。

      ↓



>8月22日
>こんにちは、XXXと申します。
>さて、やくにたつかどうかわからん、情報を一つ。
>ボクはソイピパットに住んでるンやけど、
>今日、ソイピパット2で、クイティオの屋台売ってましたよ。
>中古で3500B。
>ちゃんと見たわけやないので、詳しいことは解りません。
>道に看板かけられて、置いてました。
>鍋はめる、大きな穴もあり。
>場所はソイコンベントからソイピパット2へ入って、
>ソイピパットまで行くまでの真ん中ぐらい左手です。

>8月23日
>ちなみに今日もまだ売ってました。
>(そらぁ、そんなにすぐ売れんわな)
>今日はタイ人の友人と前を通りましたが、
>彼いわくも、「チャイ ダイ」だそうです。
>やっぱ、3500Bでした。

転載了承頂いたので、メールの内容一部紹介。所在不明のころく氏に代わって現物見てきたが、ちと小さめながらも、歴史を感じる味のある屋台でした。3500バーツの価格の魅力もさることながら、ぽっかりあいた「鍋はめる大きな穴」が渋い。鍋だけ先に買ってしまったころく氏が泣いて喜ぶ事でしょう...。



怒涛の新展開は本当にあるのか?第2部「風雲編」を待て!


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