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立体モアレ11

ピンホールアレイ

Pinhole-Array

ピンホールアレイレンズアレイ


1.鮮明なモアレのために

 一次元の場合にはレンチキュラーレンズを使うことで鮮明な立体モアレを作ることができました。二次元ではハエの目レンズのような二次元のレンズアレイを使って、同様に鮮明な立体モアレを表示することができます。ただレンチキュラーレンズに比べて二次元レンズアレイは入手が困難で、また入手できたとしてもかなり高価です。

 もう一つの方法として、透過部を幅を狭めた格子を使ってもある程度鮮明な立体モアレを形成することができました。この考え方を二次元の場合に拡張すると、透過部を縮小したピンホールアレイを使うことになります。

 もちろんピンホールを使う以上、照明光のほとんどを遮ることになりますから、明るさを犠牲にすることについては割り切らないといけません。ただ立体モアレ3で説明したレンチキュラーレンズと格子の比較と同様に、二次元レンズアレイに無いメリットもあります。以上の理由から、ここではピンホールアレイを使うことを中心に話を進めたいと思います。





2,ピンホールアレイ

 前回の立体モアレ11で使ったパターン1と3の周期性に合わせたピンホールアレイ PA1 と、パターン4の周期性に合わせた PA2 を作成しました。パターンの一部を図11−1に示します。画像上で p 及び px は20ドット(600 dpiで 0.8467mm − 30 lpi)で、透過部は直径6ドットの円としました。なお pypx のルート3倍です。

 

図11−1 ピンホールアレイのパターン

 作成した PA1PA2 の画像データは以下からダウンロードできます。これを前回の二次元格子 GxA の代わりにして GxB と組み合わせて使います。表示条件はこれまでと同じく、二枚の画像をOHPシートに印刷し、厚さ4mmの透明なアクリル板を挟んで、ライトボックスの上に重ねるものとします。

PA1, file name = "pa1.gif"
PA2, file name = "pa2.gif"

 まず PA1 と G1B を組み合わせて見ました。結果を写真11−1に示します。PA1 を手前(上)に、G1B を奥(下)に置いたものを PA1 → G1B で表し、逆にG1B を手前(上)に、PA1 を奥(下)に置いたものを G1B → PA1 で表しています。

PA1 → G1BG1B → PA1
写真11−1 ピンホールアレイで表示したパターン1の立体モアレ

 λD は前回と同じです。ピンホールアレイの開口率は約10%でかなり暗くなりますが、写真10−1ではほとんど分からなかった G1B のパターン形状が、かなり認識できるようになりました。

 さらに PA1 を前回の G3B を組み合わせた結果を写真11−2に示します。これも写真10−3と比較すると、直角三角形のパターンが明らかに良く見えるようになっています。

PA1 → G3BG3B → PA1
写真11−2 ピンホールアレイで表示したパターン3の立体モアレ

 PA2 のピンホールアレイは前回の G4B と組み合わせて使うことができます。同様に表示した結果を写真11−3に示します。ややぼけてはいながら正三角形のパターンが認識できて、前回の写真10−4よりかなりシャープなモアレ像になっていることがわかります。

PA2 → G3BG3B → PA2
写真11−3 ピンホールアレイで表示したパターン4の立体モアレ





3.レンズアレイ

 手元にあるレンズアレイを使って同様の立体モアレを作り、ピンホールアレイと比較してみました。この用途に使えそうなハエの目レンズで入手可能なものは、知る限り光洋の300,360,630ぐらいですが、ここでは360と630を使うことにします。

 残念ながらこれらのハエの目レンズは高価な上に、決して使い易いとは言えません。3D用のレンチキュラーレンズであれば、平面の側に印刷した画像を密着すればピントが合ったのですが、360と630は平面の側にピントが合う設計になっていないので、透明な板を挟むなどして調整しなければなりません。またレンズピッチも公称の1mmより若干ずれているので、印刷倍率の調整をして合わせる必要があります。このように面倒な点は多々ありますが、とにかく使えないことはありません。

 630は1mm角のレンズが正方格子状に並んでおり、機能的には PA1 と同じ配列の格子に使うことができます。ただ G1B → PA1 のように逆向きに使うことはできないため、飛び出すモアレを表示するためにはピッチの広い格子パターンを別途用意しなければなりません。ここでは先ほどと画像のサイズを変えて両方とも作り直しました。レンズアレイ用に作成したパターン1の格子 LA1v (虚像)と LA1r (実像)は以下からダウンロードできます。

LA1v, file name = "la1v.gif"
LA1r, file name = "la1r.gif"

 これらの画像サイズは2400×2400ドットで、レンズピッチが20ドットに相当するように作ってあるので、印刷すると一辺が約120mmの正方形になります。なお LA1v は G1B と同じパターンで画像サイズのみが異なります。レンズピッチが正確に1mmであれば、これらの画像は 508 dpiで印刷すれば良いことになりますが、実際には誤差があるため若干ずれます。手持ちの630では 515 dpiで印刷して大体良さそうな感じでした。また印刷した画像の上に厚さ1mmの透明アクリル板を置いてから、630を重ねるとだいたいピントが合うようです。この条件で表示した立体モアレを写真11−4に示します。

LA1vLA1r
写真11−4 レンズアレイで表示したパターン1の立体モアレ

 レンズの力は偉大です。ピンホールアレイ(写真11−1)より明らかに鮮明でシャープなモアレが表示できています。λ は±30mm、D は約±80mmです。使用した630には無視できない程度の厚み斑があるので、D は正確に決まりません。

 パターン3についても同様に画像を作り直しました。作成したパターン3の格子 LA3v (虚像)と LA3r (実像)は以下からダウンロードできます。

LA3v, file name = "la3v.gif"
LA3r, file name = "la3r.gif"

 同じ条件で表示した立体モアレを写真11−5に示します。

LA3vLA3r
写真11−5 レンズアレイで表示したパターン3の立体モアレ

 一方360は直径約1mmのレンズがハニカム状に並んだレンズアレイで、PA2 の代わりに同じ配列の格子 G4B に使うことができます。レンズアレイ用に作成したパターン1の格子 LA4v (虚像)と LA4r (実像)は以下からダウンロードできますが、 LA4v は G4B と同じパターンで画像サイズのみが異なります。

LA4v, file name = "la4v.gif"
LA4r, file name = "la4r.gif"

 印刷倍率を調整した結果、360では 507 dpiで印刷して大体良さそうな感じでした。どうやら630よりは精度が高そうです。ここでは印刷した画像の上に厚さ1.4mmの透明アクリル板を重ね、その上に360を置いてピントを合わせましたが、結果はいまいちで、実際にはもっと厚い板を挟んだほうが良さそうです。とりあえずこの条件で表示した立体モアレを写真11−6に示します。

LA4vLA4r
写真11−6 レンズアレイで表示したパターン4の立体モアレ

 以上のようにモアレの鮮明さについては圧倒的にレンズアレイが勝ります。ただ価格や使いにくさを考えるとレンズアレイの使用はあまり勧めできません。よって以降はピンホールアレイを主にし、レンズアレイを参考実験として加えることにします。





鮮明なモアレのためにピンホールアレイレンズアレイ

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