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立体モアレ14

位相2

Phase 2

レンズアレイの場合傾斜と位相


1.変形は位相変化

 立体モアレ6では、格子パターンの位相を変化させてモアレを変形させました。二次元の立体モアレでも同様の操作が可能ですが、急激な位相変化を与えてモアレパターンを大きく変形させると、立体視を損なって奥行きが不安定になるので程ほどにしておいた方が良さそうです。ここではパターン1を縦に一ピッチ分、サイン関数で位相を変化させたものを作りました。表14−1に設計データを示しましたが、パターン形状の崩れが目立たないように λ は小さめにしました。なお D はこれまでと同様、4 mmのアクリル板を挟んだ場合の値です。

表14−1 設計データ (mm)
λD はPA1 → G9B の場合
pwλD
0.84670.793812.741

 必要な G9B の画像データは以下からダウンロードできます。PA1立体モアレ11と同じものです。

PA1, file name = "pa1.gif"
G9B, file name = "g9_b.gif"

 これらを600 dpiでOHPシートに印刷し、これまでと同じ条件で表示した結果を写真14−1に示します。PA1 → G9B 、 G9B → PA1 の両方とも、おおむね設計通りの立体モアレになりました。

PA1 → G9BG9B → PA1
写真14−1 PA1 で表示した G9B の立体モアレ





2,レンズアレイの場合

 レンズアレイ630を使って同様の立体モアレを作ってみました。奥に見える虚像 LA9v と、飛び出して見える LA9r の画像データは以下からダウンロードできます。

LA9v, file name = "la9v.gif"
LA9r, file name = "la9r.gif"

 これらを 515 dpiの画像としてスーパーファイン紙に印刷し、画像の上に厚さ1mmの透明アクリル板を置いてから 630を重ねました。表示した立体モアレを写真14−2に示します。LA9r では上下にずれる位相が逆転していますが、これは実像側がパターンの倒立像になっているためです。

LA9vLA9r
写真14−2 630 で表示した LA9v, LA9r の立体モアレ





3.傾斜と位相

 立体モアレの実験では、干渉させる一方のパターンを僅かに傾けるだけでモアレパターンが大きく傾斜(回転)します。この現象を位相によって説明してみます。写真11−1は立体モアレ11で作った PA1 → G1B のモアレパターンです。ここで G1B を僅かに傾斜させたものが写真14−3ですが、形状と大きさはほとんど変わらず、大きく傾斜(回転)しているのがわかります。この回転角をβとします。

写真11−1 PA1 → G1B写真14−3 G1B を僅かに傾斜

 一方この時の G1B の傾斜を図14−1に示すようにαとします。この図ではわかりやすくするためにαを大きくとっていますが、実際に写真14−3のβに対応するαは、これよりずっと小さなものになります。

 

図14−1 G1B の傾斜

 G1B の傾斜によって、水平垂直方向のピッチは w のcosα倍になり、若干小さくなります。これを wt として、傾斜tanαとの関係を図14−2に示しますが、傾斜の小さい範囲では wt の変化が僅かであることがわかります。

 
図14−2 wt と傾斜tanαの関係

 下式のように A を定義すると、この式は G1B 上での w の位置変化がモアレ上で A 倍に拡大されることを示しています。Apw の差 pw に大きく依存しますが、図14−2からわかるようにこの変化は僅かで、結果として A の変化も僅かになります。A と傾斜tanαとの関係を図14−3に示します。

 


 
図14−3 A と傾斜tanαの関係

 このことは傾斜tanαが小さい範囲では、モアレパターンの大きさもほとんど変わらないことを示しています。一方で G1B の傾斜はモアレ上で A 倍に拡大されますが、これを図14−4に示します。その結果モアレのパターンは大きさが変化せず、回転のみが顕著になる訳です。

 
図14−4 モアレの傾斜tanβとG1B の傾斜tanαの関係

 実際に写真14−3で傾斜を読み取るとtanβ=0.28になりますが、このとき図14−4の関係からtanα=0.009となり。図14−3による A の変化は0.1%にもなりません。まさにモアレパターンの大きさは変わらず、回転のみが起こっているわけです。

 もちろんこれはαが小さい範囲に限った話です。αが大きくなればモアレパターンの大きさと角度のみでなく、運動視差の方向まで変わってしまい、奥行き感が乱れてしまうので立体モアレとしては好ましくありません。





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