立体モアレ4
横波
Transverse Wave
格子使用の場合
伝搬する波には縦波と横波があることを学んだのは高校の物理だったでしょうか。これまでの立体モアレも視点を動かしたり、格子やレンチキュラーレンズの位置をずらしたりすると伝搬する波のように動きますが、これは疎密の波、すなわち縦波のように見えます。今回は横波に見える立体モアレを作ってみましょう。
作成する立体モアレのイメージを図4−1に示します。基本的にはレンチキュラーレンズを使いますが、後に記すように前回使用したA = 20% の格子であれば使えないこともありません。

図4−1 作成する横波の立体モアレ
ピッチ30 lpiで厚さ1.35 mm 屈折率1.58のレンチキュラーレンズを使うものとして、モアレ周期と奥行きは立体モアレ2と等しくし、波の形状のみ変えるものとします。設計値を表4−1に示しますが、基本的には前回までの実験と同じ数値になっています。
表4−1 設計値(mm)
| λ | w | D |
| M1 | 38.1 | 0.8283 | 38.4 |
| M2 | 25.4 | 0.8194 | 25.6 |
| M3 | 12.7 | 0.7938 | 12.8 |
| M4 | -12.7 | 0.9071 | -12.8 |
| M5 | -25.4 | 0.8759 | -25.6 |
| M6 | -38.1 | 0.8659 | -38.4 |
作成したImage は以下からダウンロードすることができます。印刷解像度600 dpi で写真用紙やスーパーファイン紙などに印刷して使いますが、30 lpi 以外のレンチキュラーレンズでもピッチに合わせて印刷すれば問題なく使えます。
Image, file name = "t_wave.gif"
Imageを前回までの Grid B と比較するために、両者のM3 部分を図4−2に比較しました。単純な格子を等しいピッチ w のサインカーブに変えたことがわかります。
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| Grid B | Image |
図4−2 M3 で Grid B と Image を比較
Imageをスーパーファイン紙に印刷したものに、レンチキュラーレンズを重ねたものを写真4−1に示します。モアレ周期が大きくなるほど、にじみのようなぼけは大きくなりますが、全体的に明瞭なサインカーブが表示されることがわかります。写真からは奥行きが分かりませんが、実物を見れば設計通りの奥行きを感じることができます。

写真4−1 レンチキュラーレンズで表示した横波の立体モアレ
ここでもレンチキュラーレンズと単純な格子の作用を比較してみましょう。上記のImageをOHPシートに印刷してライトボックスに乗せ、前回と同様に厚さ4mmの透明アクリル板を挟んで、Grid A に使った開口率の異なる2種類の格子を重ねて観察しました。これを写真4−2に示します。A = 50% ではさすがに苦しいですが、A = 20% の方ははっきりと横波が見えています。像のシャープネスはレンチキュラーレンズに及びませんが、使えないことはないでしょう。
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| A = 50% | A = 20% |
写真4−2 Grid Aの開口率を変えた横波の立体モアレ
モアレ縞の奥行きを表4−2に示します。表4−1の約3倍と大きいためパースペクティブの効果も大きく、上下(奥と手前)で見た目のモアレピッチの違いが大きくなっています。
表4−2 モアレの奥行き(mm)
(表2−2と同じ)
| M1 | M2 |
M3 | M4 |
M5 | M6 |
| D | 122 | 81 | 41 |
-41 | -81 | -122 |
二枚の格子を印刷して作るのであれば、p, w, d を自由に変えて λと D を決めることができますが、レンチキュラーレンズではp と d がレンズで決まってしまうので、自由に変えられるのは w だけです。もちろんレンズを変えることで p や d を選択することはできますが、入手可能な3D用レンチキュラーレンズは種類が限られるので、この制限は決して小さくありません。この点で二枚の格子を使った立体モアレにも利があります。
一方で写真4−1と写真4−2を比べれば明らかなように、単純なモアレ以上の複雑な表現をしようとするときには、レンチキュラーレンズの性能が大きな助けとなります。p や d を変えられなくとも、Imageの作り方に工夫することで、色々と凝った表現が可能になるのです。
横波のモアレ・
格子使用の場合